中谷宇吉郎のレビュー一覧

  • 雪

    「雪の結晶は、天から送られた手紙である」という趣深い一文で有名な本作だが、同時にこれほどまでに科学的誠実さに溢れた本が他にあるだろうか。降り積もる雪のひと欠片を丁寧に観測し、吹きすさぶ冬景色の中、時には氷点下の実験室で根気強く分析を続けていく。やがてその研究は雪の結晶の多様性を明らかにし、世界初の人...続きを読む
  • 科学以前の心
    雪の研究に生涯をささげ、世界で初めて人工雪の生成に成功した中谷宇吉郎の随筆を、生物学者・福岡伸一がセレクトしたもの。編者の言葉として、「精密な知性とみずみずしい感性が織りなす珠玉のエッセイ」という表現があるが、まさにその通りだと思う。特に個人的に心を揺さぶられるのが、子供の頃のエピソードを綴った数々...続きを読む
  • 科学の方法
    「科学的である」とはどういうことか、についてのエッセイ。

    かなり古い本のため、現在分かっていることとどれくらい合っているのか
    分からないが、現代物理学の基礎になった重大な発見の周辺の
    エピソードは、有名な内容だが、何度読んでも面白い。

    本書の大まかなメッセージは、
    科学は再現可能であることが必要...続きを読む
  • 科学の方法
    頂いた本。
    科学とは自然世界の切り取り方の一つにすぎず、多くの仮定の上に成立した「非現実的」な概念であることや、科学の役目・限界について再認識することができた。
    古い本だが、今日の科学に対しても、振舞い方は不変だと思う。
  • 雪

    「千夜千冊」の一冊目に上がっている『雪』。昭和13年に中谷宇吉郎博士によって書かれた作品です。(ちなみに、世界で初めて人工雪の実験に成功した方だとか)

    内容は雪の研究の歴史、日常から見た雪(主に災害について)、雪の結晶について、そして初期の人工雪を作る過程。中でも人工雪を研究する箇所については、工...続きを読む
  • 科学の方法
    科学の限界について成り立ちや定義から解説する本。これは面白いです。例えば統計を取る必要性、誤差が存在することの気持ち悪さ。そういった今まで自分の中に溜まっていた科学に関する疑念や不安感をわかりやすい形にして説明されていました。科学は絶対的な存在ではなく、あくまで人間が自然を分析することで考えられた正...続きを読む
  • 科学の方法
    [ 内容 ]
    人工頭脳,原子力の開発、人工衛星など自然科学の発展はめざましい。
    しかし同時にその将来のありかたについて論議がまき起っている。
    著者は、自然科学の本質と方法を分析し、今日の科学によって解ける問題と解けない問題とを明らかにし、自然の深さと科学の限界を知ってこそ次の新しい分野を開拓できると...続きを読む
  • 雪

    この本の読みやすさの1つは中谷博士の実験がある意味でとても原始的な方法によっていることにもあるような気がします。  とかく最先端の理系の研究を表した書物は「専門家でなければ理解できない複雑な理論や関数」に溢れ、実験装置も高額で技術の粋を極め(≒ 素人にはその装置の構造そのものが理解できない)、実験手...続きを読む
  • 雪

    「この本は雪の結晶について私が北海道で行った研究の過程およびその結果をなるべくわかりやすく書いたものである。...ただ、自然の色々な現象について正当な理解を持ちたいと思っておられる人々に、すこしでも自然現象に対する興味を喚起する機縁になれば有難いと思って書いたものである。」このまえがきの通り、雪の研...続きを読む
  • 雪

    雪博士・中谷宇吉郎先生の雪に対する熱き想いが綴られた一冊。中谷先生の文体はお人柄がでていてとてもわかりやすいです。
  • 雪

    不思議から科学へ。これを読むと科学の研究とは、なんて楽しそうなんだろうと思う。特にパイオニアの研究は面白いだろう。雪についての基本的な知識も得られる。
  • 雪と人生
     雪の研究で有名な著者はまた、恩師寺田寅彦と同じく随筆の書き手としても名高い。

     自分の生まれ故郷での想い出を語った、子供時代に上がることを許されて垣間見た「御殿の生活」や、同じく懐かしさに溢れた「真夏の日本海」。
     雪の人工結晶を作る工夫や苦労、楽しさを語る「雪を作る話」、「雪雑記」、静養先の伊...続きを読む
  • 科学と人生
     角川ソフィア文庫では、『雪と人生』に続く、中谷宇吉郎2冊目の著作。
     標題作の「科学と人生」。敗戦後、科学による国家の再建ということが良く言われたが、それが皮相的なものとならないよう、大事なことは科学的なものの見方、考え方であるとして、具体的な例に拠りながらその大切さを説いていく。

     そのほか、...続きを読む
  • 雪

    中谷宇吉郎(1900~1962年)は、東京帝大理学部卒、理化学研究所勤務(寺田寅彦に師事)、英キングス・カレッジ・ロンドン留学等を経て、北大理学部教授を務めた物理学者、随筆家。世界で初めて人工雪を作ることに成功した。位階は正三位。勲等は勲一等。
    本書は、1938年に岩波新書が創刊されたときの(20冊...続きを読む
  • 雪

    雪の結晶の形成と、人工雪作成の実験についての著者自身の研究成果をわかりやすく解説している科学エッセイです。

    1938年に刊行された岩波新書を文庫化したもので、著者の実験の方法などは現在の読者にとは素朴なやりかたに見えますが、著者の師である寺田寅彦と同様に、エッセイの名手と評される滋味のきいた文章は...続きを読む
  • 科学の方法
    科学者でありエッセイの名手として知られる著者が、自然科学がどのような方法にもとついて進められているのか、またその限界はどこにあるのかといった問題について、わかりやすく解説している本です。

    われわれの常識にもなっている科学的世界像には、一般に知られていないさまざまな問題が含まれており、自然のなかには...続きを読む
  • 雪

    専門用語が多く、読み難いところもある。しかし、旧き良き時代の学者の著書の、なんとも言えない良い雰囲気があるように感じられた。
  • 科学以前の心
    雪の研究者中谷宇吉郎氏のエッセイ。

    とても柔軟な心を持った人だなあと思った。

    「本来の科学というものは、自然に対する純真な驚異の念から出発すべきものである。」(簪を挿した蛇)
    科学教育というものは難しいね。
  • 雪

    雪の結晶の分類など細かいところまで入り込んでいくと、まさにミクロの話しでちょっとついていけなくなる(じっさいかなり斜め読みしてしまった)。それよりも著者も述べているように、自然科学の研究とはこういう風にして進めていくのだ、ということがわかればよい、というスタンスで読んでいくとおもしろい。自分が好きだ...続きを読む
  • 科学以前の心
    雪の研究者である中谷宇吉郎氏の科学にまつわるエッセイ。雪今昔物語の雪の結晶を天皇に見せる話。雪の結晶をスタッフと徹夜で準備して、身体の不調もなんとかやりきる。終わって、伊東に養生しにいく。ちょうど大雪予報の東京から、出張で伊東へ。こんな偶然あるだろうか。
    昔ながらの生活、伝統は計算して、あるロジック...続きを読む