佐藤友哉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
8篇の物語が収められている。
今回の物語に特徴的なのは、「小説とは何か」という疑問だ。
「青と赤の物語」では、物語が禁止された世界を描いている。
物語があるから悪いことをする人がいる、そんな考えを持ったエライヒトたちが物語を禁じてしまったのだ。
全く因果関係はないのに、AだからBと決めつけてしまったのだ。
物語は、文学は、何の役にも立たない。
本当にそうだろうか。
物語は時に残酷なものも、悲しいものも、苦しいものもあり、そんな世界を目にするのは時には恐ろしい。
けれども、そんな世界があるから救われる人もいる。
物語に書いてあることは、どんな物語にせよ、誰かから、読者に、あなたに、向けたメッセ -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、小説にまつわるアンソロジー。
ラノベっぽい軽さのものが多くて中高生向けかな。
それでも小説の存在意義を説くような話が読めてなんだか嬉しかったです。
本を読んで驚いたり、感動したり、幸せな気持ちになったり、そういう純粋に読書を楽しんでいた頃の初々しさを思い出しました。
「青と赤の物語」 加藤千恵
「あかがね色の本」 千早 茜
「新刊小説の滅亡」 藤谷 治
この3つが好きです。
私の人生、何度小説に救われてきたんだろう。
探さなくてもいつだって必要なときは必ず寄り添ってくれてた。
その経験はその本とともに、何年経っても何が変容しても移ろわなくて、私にとって本当にかけがえのないも -
Posted by ブクログ
きょうだい達の物語
サリンジャーの同名小説をモチーフにした作品らしい。
サリンジャー版は読んだことがないので、詳しくはよくわからないが。
鏡家のきょうだい達が語り、あるいは語られる。
『憂い男』
物語の中で語られる『憂い男』の物語に引き込まれる。
醜い顔となって、孤独に生きる憂い男。
そのうちに仲間を得るが、どこかに憂いをもったままのその男。
中学3年生の秋雄さんが教えてくれた話に心を躍らせる。
不思議な憂い男。
自分がその子孫だと信じてやまない子どもたち。
子供らしい思い込み。
そうしていられる時はじきに過ぎ行く。
『小川のほとりで』
家出をした佐奈。
小川のほとり、寒い中でうずくまって -
Posted by ブクログ
野間宏にJ・D・サリンジャーに武田泰淳に椎名麟三、そして太宰治。「戦後文学」というものを書いて世に送り出した先駆者君(太宰治以外正直許容無知)。なかでもサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』は世界で六千五百万部を売上げた前代未聞の驚異的ヒットを飛ばした作品であった。以上本文より云々。
太平洋戦争より、9.11、さらに3.11への伏線は同時に人類における「世界の終わり」を危惧し高揚感と無念さを煽ったが、それでも、やっぱり、世界は終わらなかった。
後半のくだりで、石原元都知事の言葉の饒舌さを説いていたが、たしかに言われてみれば巧妙だ。語弊があるかもしれないが前置きとして本人の本質云々を抜きにして、 -
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姥捨て山をモチーフにし、リアルなようでいてある種ファンタジー。
ですます調の柔らかな文体だけど、硬質な文章。
思想、ロジック、肉体的に現実離れした老婆達。
解説を読んで納得。確かにラノベ的。
そう思って読めば違和感も無く。
自分たちを捨てたムラ社会から隔絶した理想郷を作ろうとする穏健派と、
その村に対して復讐の執念を燃やす襲撃派の対立的構造から、
物語が進むにつれて赤背との対決に焦点が絞られて行く―
この赤背との対決シーンは手に汗握る展開で引き込まれた。
赤背との邂逅によって大目標を見出したカユの行動…
ラストシーンは映画的で、ハッピーエンドではないものの読後感はすっきり。