千住博のレビュー一覧
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日本画家千住博さんの、絵を描くことに対しての情熱が伝わってくる一冊。
トップの画家になるためにはオリジナルが求められるが、美術史の中で「マネ」を超えて「自分のもの」にできる人は1%で、世界の美術史で教科書に載ってくるような人だけである。
そんな厳しい世界で千住さんは、誰よりも絵を必要とし、夢中になって描き続けた。
「夢中で」「続ける」ということは、どの業種でも大事な素質であると感じた。
伝えたいものを一枚の絵で伝えるためには、自分の作品ととことん向き合い、必要ないものをそぎ落としていく作業が必要である。
また、描く対象を自ら五感で感じ取り、経験したものでないとよい絵は描けない。自分 -
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「私は この小説を書くときに、読んでくださる人が小学六年生までの漢字を読む力があれば読んでもらえるものと思ってこの作品を書き始めました」
と「氷点」を書いた三浦綾子さんがいってらっしゃいました。
この本の中で出張授業をされる先生たちは
もちろん、その道のプロフェッショナルの方たちです
そして、聴いている対象者たちは 中学生、高校生たち
その語り口が そのまま 一冊の本にまとめられました
その「語り口」を読んでいて
冒頭の三浦綾子さんの言葉を思い起こしたのです
本当の専門家は
ただ感心させるだけでなく
それなら 僕も(私も) 何かやってみよう
そんな気にさせてくれる方なのです -
Posted by ブクログ
滝の絵で有名なNY在住の画家、千住博氏。日本画をどのようにとらえているか、今の考え方を綴った本。
まず、好きなことが絵を描くことだったこと、それをやり続けたこと、そして本人曰く絵がうまかったこと、これが土台となっている。千住家は皆芸術家であり、絵画だけでなくアートに造詣が深く、本物を見る機会を多く得ていたこともあるのかもしれない。グラフィックデザインに触れて、ポップアートに衝撃を受け、今の画風に一歩ずつ近づいていく。
ピカソのゲルニカを評しているところがある。ピカソは、ゲルニカの爆撃を受けて、悲哀や怒りを表現すべく大作を作ったというものだが、実は一時の感情だけで大作を完成させることはでき -
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新書だけれど、堅苦しくなく非常に読みやすい。
具体的な絵、美術館の説明を求めている人には物足りないかもしれないが、入門として満足の内容だった。
とりわけ日本画家の千住博氏の話は面白く、「耳」は描くのが難しく、画家の実力が出るそう。
「困ったら耳を見る」ことも面白そうだ。
そして、画家の気持ちになってみるというのも、その絵を鑑賞するのに面白いと思う。
今までは、絵だけを見ていたが、その絵を描いた画家になりきることで違った見方ができそうだ。
ニューヨークでは、アートは日本より身近にあって、みな談笑しながら見ているそう。
いい美術館は、壁の色や照明が違うのだそうで、絵そのものよりも見せ方に工夫が凝 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
ゴッホ、モネ、ルノアールからデュシャン、リヒター、ロバート・ゴーバーまで、実際に作品と対話し、その読み解き方、楽しみ方を解説する。
今までにない、最高に贅沢な美術ガイド。
[ 目次 ]
第1章 メトロポリタン美術館―絵を読む鍵(千住博)(いい美術館は壁の色と照明が違う;ゴッホの絵具 ほか)
第2章 MoMA―現代アートを楽しむ(千住博)(モダニズムを否定するモダニズム;美術館もつねに変わる存在 ほか)
第3章 チェルシーのギャラリー―最前線を見て歩く(野地秩嘉)(美術館のようなギャラリー;デミアン・ハースト ほか)
第4章 フリック・コレクション―絵を見る練習(野地秩嘉)(美術