池上俊一のレビュー一覧
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「パスタでたどるイタリア史」という題名だが、むしろ「イタリア史の中のパスタ」と言うべき本(パスタがメイン)。
パスタといえば、いまや日本を含め世界的な食であるが、それが発祥地であるイタリアにおいて、どのように民族・国民の歴史とともに歩み、発展していったかがわかる。
いまやパスタには欠かせないトマトや唐辛子は、大航海時代にイタリアにもたらされたことや、貧しい人々にとっては長らくパスタは贅沢品であったこと、イタリアではずっと愛されてきたと思っていたパスタが、迫害されていた時代もあったことなど、イタリアとパスタの関係に関して知らない事実を多く知ることができた。 -
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西欧文明における動物裁判の発祥を多角的に検討する一冊。動物裁判の生々しい様子は、興味深かった。
ただ、その考察に関しては、難解だった気がする。機械による自然の克服と宗教、哲学などが微妙に絡み合い、動物(自然)を人間の支配下に置こうとした、というのがおそらく主題だと思われる。近代以降は、動物裁判を野蛮なものとして克服し、動物保護の思想も定着したが、その反面、人間中心の動物・自然の支配という観念が生まれ、それが深刻な環境破壊の根深い要因になっている、というのが著者の主張なのだが、わかったようなわからないような、少ししっくりこないものが残った。 -
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本書は、著者晩年の研究成果のエッセンスを取りまとめた論考が収められている。「遺稿」と記された学会報告を書き起こした途中稿が最後に収録されており、もう少し著者の文章を読みたかったとの思いを強くする。
中世イタリアの海上商人と海賊が結び付いたものであったこと、ガレー船の形態と大型化の歴史、イタリア中世都市の有り様と市民・非市民の関係、職人や労働者の移動状況、文書から見える公証人の活動や役割等が論じられる。
最後に、都市にまつわる研究史、研究状況の現在が語られる。北ヨーロッパ都市に対する南ヨーロッパ都市、都市と農村の関係、こうした点について著者ならではの整理、分析がなされている。
小著で -
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中世ヨーロッパにおいて、人びとのなかに息づいていた「狼男」「妖精」「若返りの泉」などのイメージはどのような社会の欲求から生まれ、根付いたのか。また、当時絶対的な力を奮っていたキリスト教会が民衆の想像力をいかに誘導してきたのか、「聖体の奇蹟」や「煉獄」のイメージが誕生した経緯を通じて考える。
タイトルからはファンタジーのネタ元を紹介するような本に思えるが、そうではなく、中世の人びとが共有していた空想的なイメージが当時の社会構造とどのように関わっていたのかという視点に常に帰っていく評論である。
第一章で扱われるのは狼男。機械宇宙論によって理性に馴致されるべきものとみなされた〈自然〉=本能を、人 -
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シブ知2・6
かかった時間 マジで不明
講談社現代新書の、白い表紙に緑の四角がある表紙のやつを読んだが、バーコードを読んで旧カバーを見て納得。まさにそっち系。
動物裁判という奇妙な習慣をとおして、中世の自然観や法、宗教についての価値観の変容を考察した著作。
前半はケースの集約、後半はそれを支える価値観の考察で、前半は娯楽読み物として、後半は知的読み物としておもしろかった。一方で、個人的には後半部分についてもう少し丁寧に説明があればうれしいとも思った。初版1990年?らしいが、まあ単純に、30年前の読者のレベルではそれでよくて、わたし世代?わたし?の読者としてのレベルがやや残念なんだろうと思 -
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ネタバレモノからたどる世界史シリーズ、イタリア編。
お隣フランスからイタリアへ。
個人的に古代の話が好きなので、古代ローマとかの話はワクワクする。
小麦の起源は何だろうとか、トマトが持ち込まれる前のパスタは何だろうとか、興味深い話が多かった。
自分でパン作りしたり、調味料に興味が出てくるほど料理をするようになった今だから読んで面白いけど、高校生の課題図書としては、食に興味があるか、よほど好奇心が強くないと面白いとは思わないかも。
作ってみるのもいいかも。
以下まとめ
○日本のパスタ
明治40年代(1907~)に大使館用にマカロニ製造機を新潟の製麺業者が開発
1955~(昭和30年代)オーマイ -
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ネタバレお菓子、それはフランスの歴史を彩る武器。
お菓子の歴史ではなく、フランスの歴史とお菓子。なぜフランス料理であったり、フランスのお菓子だったりが、一流の物として世界にフランスのイメージを作ったのか。フランスがフランスたる拠り所とは。
イタリアからやってきた洗練された食文化。それを取り込み、発展する宮廷文化。フランス革命によって、市民のものになる食文化。砂糖を使えることの意味。庭園や建築と共通する飾りへの興味と追求。鉄道建設と地方の名品がパリに集まること。そして、戦争と植民地、技術革新と新しいお菓子。
フランスは、このグローバル社会の中で、フランスであることをどこまで守るのだろう。また、どこ