池上俊一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
魔女狩りについては一方的に魔女と呼ばれた人がいること、そして魔女と呼ばれた人が理不尽に虐殺されていた、という程度の認識だったが、その実態をよく理解できた。
魔女であることの証明方法か拷問による自白であったり、悪魔のなすことだから悪魔との契約などといった物的証拠はすべて消滅してしまうといった考え方はいまとなっては理解できないし、これらを事実として正式な裁判を経て処刑されていたというのは驚きだった。
ある意味、神秘的・超自然的な社会から法治社会への変遷における共通の出来事なのかもしれない。
魔女とされた人々に境界人が多かったことから日本だと穢多非人が差別されていたことに近いかと思ったが、地域の呪術的な医療や儀式を行っていた有識者という点を見ると、イタコやユタなどが近く、弾圧を受けた歴史からも受けた扱いとしては近いのだろう。
イタコやユタが少数ながらも現存することからいまも世界に魔女がいること自体はわかるが、アフリカなどでは魔女狩り(迫害)が行われていることは非常に驚いた。
一方で、現代社会でもSNSなどによる一方的な決めつけや社会的な処刑が多数発生していることを考えると、形を変えても魔女狩りは行われ続けてしまうように感じた。 -
Posted by ブクログ
どのように歴史を考え、歴史学の研究を進めるべきか、学界の状況も踏まえて考察。歴史学入門や史学概論的な書籍ではあるが、これからの歴史学のあるべき姿についての著者の考えがふんだんに込められているのが特色であり、その主要な主張は「社会史と心性史をもっと先に進めよう」というものである。
学生時代に歴史学を専攻していたが、社会史や心性史を中心に、最近の動向も含め、様々な歴史学の考え方や方法論、手法等が紹介されていて勉強になった。ただ、結構高度な内容も多く、社会史や心性史とは結局どういうものかといった基本的な部分を含めて十分に咀嚼できたかは心許ない。
歴史学の在り方についても考えを巡らすことができた。社会史的な観点が重要であり、全体史を目指すべきという理想もよくわかるが、個々の歴史家にできることには限界があり、結局は個々の歴史家の問題関心次第なのではないかという気はした(従来型の政治史研究も否定されるべきものではないのではないか)。また、著者は数量史的研究に懐疑的なようだが、個人的には個々の史料からは見えてこない側面をあぶり出せるといった点で、数量史的研究はもっと高く評価されるべきではないかと思う。
言語論的転回に対して歴史的認識や歴史学を理論的に弁護するものとして本書で紹介されていた野家啓一氏の「想起」や「合理的受容可能性」の議論は、自分としても強く納得感があった。