【感想・ネタバレ】パスタでたどるイタリア史のレビュー

あらすじ

長い歴史と豊かな地域色をもつイタリアで、人々の心を結ぶ国民食パスタ。古代ローマのパスタの原型、アラブ人が伝えた乾燥パスタ、大航海時代がもたらしたトマト。パスタの母体となった中世農民のごった煮スープに、イタリア統一を陰で支えた料理書、そしてパスタをつくるマンマたち……。国民食の成立過程からイタリアをみつめます。(カラー16頁)

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Posted by ブクログ

これも超面白かった。パスタもこんな紆余曲折を経てイタリアのメジャー料理になったんだって。しかもメジャーになったのは20世紀とかの最近の話っていう。植物性より動物性が優遇されてパスタ(小麦)とオリーブオイルが消えていた時代とかもあるらしい。大好きなニョッキの話もあった。

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2025年01月05日

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19世紀末に出版されたアルトゥージのレシピ本が現代に直接つながるイタリア語を作り、イタリアという統一国家を作ることに貢献した、という部分と、母=パスタ、パスタ=母、という部分、野菜食いからパスタ食い、という部分に、イタリア社会におけるパスタを中心とした食文化の存在感の大きさを感じた。

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2023年07月11日

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料理が苦手な男性でも、パスタは作る人は多いと思う。スペイン統治時代の貧困や、母親と家庭、新世界からのトマトなどの融和など、興味深い話が多かった。

学生自体にこんなことを教えてくれる先生がいたら、興味を持って世界史をより学んだと思う。姉妹本のお菓子でたどるフランス史、もおすすめ。

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2019年11月26日

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イタリアのことがわかったし、イタリアに行きたくなったし、読んでいる間はそのへんで相当パスタ食べました。Reading with eating! このようなエキサイティングな本はなかなかありません。良書。

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2014年07月18日

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パスタの豊富な種類の情報を得ながらイタリア史を学ぶという非常な美味しさ!なぜ、いつからパスタが国民食になったのか。古代ローマの歴史から1861年のイタリア半島統一、イタリアからの南北米への大量移民の発生、そして第2次大戦後の米国への憧れまで。古くて新しい!そして、切り離せない関係にあると思われたトマト、唐辛子などが大航海時代の導入であることから、むしろ地域性がなく半島全体に及んだ!イタリアの南北問題、宗教、そして国民性などを理解できる楽しい好著。ジュニア向けであるが十分大人に堪えられる。なお、日本でパスタ輸入自由化元年が1971年で390トン。1998年には8万トンを超え208倍。今や日本人の国民食に近づいているというのも大仰ではない。今昼はどうしてもスパゲッティを食べたくなってしまった。

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2014年04月14日

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「いや、これジュニア向け?」
一番最初に出た感想は、とにもかくにもコレだった。
言葉遣いは中高生向けに平易になっている感はるが、なにしろ内容が濃い。
パスタという日本に根付いて久しい食文化を通してイタリア史を語る。

その目の付け所といい、切り口といい、クォリティも高くてジュニア向けにくくってしまうのは非常にもったいない。目を留めない大人も結構いるような気がする。

日本でパスタが置かれた状況から語り起こし、しだいにパスタがイタリアで国民食にもぼりつめていく過程を、その時々の世相と絡めてつづっていく手法はスリリングだ。
パスタが一時期、その時々の権力からは弾圧までされていた、ということも驚きだが、実にしぶとく歯ごたえ満点の弾力とモチモチ感で圧力を跳ね返して、またそれを踏み台にするように勢力を拡大していった様は、味、形状、地域性などのパスタを構成する数々の多彩さと重ね合わせることによって、この上もない楽しさとなにより美味しさを感じさせてくれる。

美術史家池上氏といえば、西洋美術史関係でよくお見かけするが、こんな知識と感性をお持ちだったのか。

とにかく名著ということで、大満足の一冊でした。

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2012年05月29日

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個人的には傑作新書の一つ。

パスタというイタリアの国民食を通してイタリア史を語るという試みは面白いと思った。冒頭に、日本でのパスタの受け入れられかたが書かれているので、興味も持ちやすいし、なによりも最初の写真が美味しそうで良かった。

イタリアではパスタが昔から食べられていたわけではなく、最初はミネストローネを庶民は食べていて、パスタは王侯貴族の食べ物(小麦粉で作るから当たり前か)だったのが、都市経済の発展によってどんどん庶民の、母が作る家庭料理になっていく様子が書かれている。もちろん、技術の発展や、新大陸発見によるトマトの流入などが、パスタに進化と洗練をもたらした。

こういう質の高い新書が「ジュニア向け」というのは、ちょっとどうかと思うほどだった。誰が読んでも楽しくなるし、パスタを食べようという気にさせてくれる良書だと思う。

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2012年05月10日

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いまや5歳の娘でさえ、「パスタ」と口にするくらい「国民食」なっている。「動物裁判」や「狼男伝説」の池上俊一が、パスタに歴史を「絡めて」書き下ろした一冊。ジュニア向けなんてもったいない。

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2012年03月17日

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ネタバレ

言われてみれば当たり前なんだが、トマトパスタも唐辛子も新世界産だ。パスタ自体がイタリア統一後に今の地位まで来たんだな。峰ストラトミネストローネがが主流なのは当たり前か。いろいろ学んだ。南北格差は大きいし、歴史も結構違うんだな。統一といってもいろいろ。

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2022年02月02日

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北部では生パスタ、南部ではトマトソースが発展し手で食べていた庶民の料理から徐々に洗練されてゆくマンマの味パスタ。パスタを食べることでイタリア人はイタリア人であることを自覚する、各都市国家による地域色強かったイタリアを統一するにあたってはパスタは大いに貢献したようです。

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2021年04月19日

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日本のパスタ事情から始まり、古代まで遡ってイタリアの歴史をパスタの視点から解説。試験に出そうな基本から雑学まで。巻末のイタリア年表を眺めるだけでも、時系列が整理されて勉強になりそうです。レストランで見分けがつくのはマカロニとスパゲティくらいなので、口絵にパスタの写真があるのもありがたい。

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2020年12月19日

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パスタの話聞きながら、イタリアの歴史も学べちゃうぜ。
イタリア人のこだわりが色々納得出来て面白かった♪(´ε` ) ママ大好きって生き物としては正しいと思うけどな〜(^_^)a

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2018年03月22日

Posted by ブクログ

カトリック教のパスタへの影響や、パスタ・ラザニアの原型であるお粥みたいなパスタから、ソースまでを近現代まで著述。

日本におけるパスタの著述もあり、文化史観点も含み鋭い。

身近な食材となったパスタを通じ歴史を学ぶのは、内容が五臓六腑に響き面白い。

欠点は、読んでいて美味そうなパスタが出てくると腹が減ってくることだけ。

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2016年07月31日

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パスタに詰まった壮大な歴史
今や町中に行けばパスタを扱っている店は数多く、一体どれだけの種類があるのかと思わせる。
しかしながら、日本でなじみ深いものといえばせいぜい3、4種類程ではないだろうか。
本場イギリスでは数多くの種類が食べられているというのはご存知の通り。
この数の多さとそれに使うソース、具材からイタリアの歴史を見ていこうというのが本書である。

まずは巻頭のカラー写真。
これを眺めているだけでも面白い。
本文中にはふんだんに地図や史料が使われているので楽しみながら読み進められる。
コラムとしてあげられているイタリア各地の名物パスタは、写真や図がないので少々イメージしにくいものの、読み物として楽しめる。

個人的には第二章『文明交流とパスタのソース』、第四章『地方の名物パスタと国家形成』第五章『母と子の思い』が興味深い。
第二章は文明が交流していく家庭で、味が洗練されていく様子が伝わってくる。
これまでも『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書)『茶の世界史』(中公新書)でも感じた、世界が出会う瞬間の興奮がここにもある。
唐辛子、トマト、チーズ......当たり前のようにパスタのお供だと思われているこれらの食材がどのようにパスタと出会ったのか、考えてみると奇跡的だ。

第五章は「マンマの味」の裏を考察する。
本質的に母親を想起させるパスタ。
家庭の守り神としての母の姿は美しく、素晴しいものであるが、しかしそれはいつまでも通用する理屈なのかと著者は疑問を投げかける。
カトリックのダブルスタンダード、ブルジョワの規範、ファシズム体制下の女性の役割.....
そこには政治、宗教、社会的イデオロギーが横たわっているのではないか?
なにも母親の愛情としてのパスタが悪いわけではない。
それを利用していた社会の存在について深く考えさせる疑問である。

第六章ではパスタの敵対者たちを扱う。
アメリカへの移民という話がでてきているが、ここからアル・カポネについて調べていくのも面白いのではないかと感じた(本文中では移民について、という所までで話が区切られている)。

身近なものを通して一国の歴史を辿るーー。
これは非常に好奇心をかき立てる。
一つの料理の中にはたくさんの歴史が詰まっていることを考えると、自分が今ここに生きていることの奇跡を感じる。
その重みがおいしいパスタに凝縮されている。

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2015年03月18日

Posted by ブクログ

2012年の読書感想文課題図書。あまりにも手に取られないから、内容がつまらないのかとおもったらそんなことない!(笑)

高校生には手が出しにくいのかなぁ。むしろ大学生あたりが好みそうな感じ。

パスタがイタリアと奥深く関係すること、国の統一ってもしかしたら食べ物(食文化)でできるんじゃないかとか、イタリアだけでなくヨーロッパの歴史を知ることができた、私的にはヨーロッパ史は苦手意識あったから食べ物を通して知ることができてお得な一冊でした。

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2012年08月21日

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メンクイである。ルドルフ・ヴァレンティノに代表される二枚目スター
(今のイケメンではない)も勿論好きだが、麺類が好きだ。

うどん、そば、ラーメン、焼きぞ場、そうめん、冷麦。そしてパスタ。
白米がなければ3食が麺でもまったく問題なしである。

本書はイタリアと言えばパスタ!のパスタの変遷を、イタリアの歴史と
共に辿るジュニア向けのお話である。

ジュニア向けなので少々物足りない部分もあるのだが、駆け足でパスタと
イタリアの歴史を覚えるのにはいいかも。

既にイタリアの国民食と認識されているパスタも、その昔は王侯貴族や
富裕層の食べ物であり、庶民が口に出来るのはハレの日のみだった。

今じゃアルデンテなんていわれるけれど、そもそもは煮込んでかなり
柔らかくして食されていたのだ。

イタリアのマンマの味とされるパスタであるが、そうなったのにはキリスト
教カソリックの女性差別が裏にあったのではないかとの著者の考察は
興味深い。

スープで煮込んだり、チーズだけで食されていたり、元々はごくごく
シンプルに食べられていたパスタ。次にパスタを食べる時は、胡椒と
チーズだけでシンプルに作ってみようか。

それにしてもパスタは色んな形があって飽きないね。ビンに入れて
飾っておくだけでも楽しいもの。

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2017年08月17日

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自分の中のイタリア史はローマ帝国の後はファシスト党なぞという状態でした。ずっと他人様の支配を受けていたと知らなかったです。そして、イタリアでパスタが一般的になった時期についてビックリさせられました。
無知な人間にはジュニア新書で読みやすかったのも良かったです。

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2012年04月29日

Posted by ブクログ

パスタの歴史本は珍しいですね。
パスタ料理の本はたくさんあるけれど。

たまにはこういう別の角度からみると面白い。

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2025年04月03日

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ピザにしろパスタにしろトマトは伝統料理のように思っていたので、トマトが入って来たのが結構後になってからというのは目から鱗。南米原産なので少し考えればわかりそうなものだが。
と思ったがさらによく考えたら大航海時代なのでイギリスの紅茶文化と同じくらいと思ったらそんなもんか

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2024年09月08日

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兄に勧められて読んだ1冊。
この本を読み終わった日の夕ご飯はトマトクリームパスタだった。おいしかった

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2024年08月15日

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タイトルとテーマから軽薄本と見せかけて骨太本。人におすすめしたい。パスタと母性の関係、パスタを迫害する敵がアメリカとフェミニズムなど考察もちゃんとしてるし読み応えある。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

「パスタでたどるイタリア史」という題名だが、むしろ「イタリア史の中のパスタ」と言うべき本(パスタがメイン)。
パスタといえば、いまや日本を含め世界的な食であるが、それが発祥地であるイタリアにおいて、どのように民族・国民の歴史とともに歩み、発展していったかがわかる。
いまやパスタには欠かせないトマトや唐辛子は、大航海時代にイタリアにもたらされたことや、貧しい人々にとっては長らくパスタは贅沢品であったこと、イタリアではずっと愛されてきたと思っていたパスタが、迫害されていた時代もあったことなど、イタリアとパスタの関係に関して知らない事実を多く知ることができた。

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2023年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

モノからたどる世界史シリーズ、イタリア編。
お隣フランスからイタリアへ。
個人的に古代の話が好きなので、古代ローマとかの話はワクワクする。
小麦の起源は何だろうとか、トマトが持ち込まれる前のパスタは何だろうとか、興味深い話が多かった。

自分でパン作りしたり、調味料に興味が出てくるほど料理をするようになった今だから読んで面白いけど、高校生の課題図書としては、食に興味があるか、よほど好奇心が強くないと面白いとは思わないかも。
作ってみるのもいいかも。

以下まとめ

○日本のパスタ
 明治40年代(1907~)に大使館用にマカロニ製造機を新潟の製麺業者が開発
 1955~(昭和30年代)オーマイブランド、日本マカロニ(株)

 1970~(昭和):ファミレスがオープン。ナポレオン、ミートソースが普及。
 1980~(昭和55~):イタリアで修業を積んだコックがイタリアンレストランを次々オープン。生パスタが普及。
 1990~(平成2~):フレンチからイタリア料理が人気に。イタ飯という言葉が生まれる。

※日本の麺文化
 鎌倉時代:切り麦~うどん →きしめんへ進化
 1200年代にはそうめんがあったそうな
 江戸時代:屋台の6割がそば、うどん
 
 ・そば…朝鮮の僧より東大寺へ伝わる
 ・ラーメン…昭和に北海道に働きに来ていた中国の麺よりヒント。日本人が開発。ドラマ「まんぷく」

○パスタの種類
 小麦…乾燥パスタ(デュラム、セモリナ粉)は卵を使わない
    生パスタ(普通小麦)は卵を使う

 じゃがいも…ニョッキ
 粟、雑穀

○小麦のルーツ
 紀元前9000~7000年頃、東地中海に自生していたと言われ、メソポタミアで栽培され、のちエジプト、ギリシャ、ローマの諸文化を支える主食になる。

○古代ローマ…ギリシャより、パンとしての小麦が伝来し、主食に。
 ※エルトリア人のお墓にパスタの練り粉を作る器具が描かれていた。ギリシャからパン製法がもたらされ、パン職人の学校を作り、特許制の組合組織を定める。
 bc30にはローマ帝国には329の精製パン所がギリシャ人によって経営されていたそうな。
 まだパスタは生まれておらず、ラザーニャと呼ばれるワンタンっぽい小麦粉の生地をスープで煮たもの。

○古代から中世へ
 ゲルマン人の侵入→狩りと肉を好むため農業があまり発展せず。東ゴート族、東方ビザンツ、ランゴバルト、フランク王国と支配勢力が入れ代わり立ち代わり替わる。オリーブ油や小麦は中世ヨーロッパではあまり食用としては貴族内で用いられなかった。

○ルネサンス、パスタの復活
 レシピ集に書かれたラザーニャはこの時点でチーズを使ったり、スープで煮る製法が多く、水と結合していた。14世紀トスカーナ地方で発見された「料理の書」
 北イタリアでは軟質小麦しか手に入らなかったため、生パスタが発展。乾燥パスタはアラブ人より伝わり、シチリアが一大産地となる。運搬しやすく商業に適しているため、輸出用としても活躍。

 南イタリア:ビザンツ帝国→9世紀以降はアラブの支配を受ける。シチリアやブーツ底部分は異文化交流が盛んだった。1130年、キリスト教ノルマン人が両シチリア王国を建国。→イスラムとキリストが共存していた。」

 北イタリア:ジェノヴァがヴェネチアとともに海洋交易で栄えていた。シチリアからの交易を独占していたため、ジェノヴァでも乾燥パスタが手に入りやすかった。ジェノヴェーゼの原型

○都市国家としてのイタリア
 フランク王国の滅亡以降ローマ教皇と皇帝の勢力争い
 →そこをついて、それぞれの都市の有力者が自治都市(コムーネ)を成立
 →それぞれ領域国家として周辺を支配していた。

○中世のパスタ
 アーモンドミルクや鶏のブロードでゆでたパスタにチーズを振りかけるシンプルな食べ方。

 ※ブロード:日本のだし、フランスのブイヨン、イギリスのスープストックのようなもの。野菜、魚介、肉、鶏の4種類がメイン。

○大航海時代のイタリア
 植民地がなく、スペインに支配を受けていたイタリア地域。大陸との地中海交易をおこなっていたが、スペインが海洋ルートを独占したためジェノヴァやナポリが衰退。ただし、スペイン経由で新大陸の食べ物も入ってきた。

 ・唐辛子:育てやすく、胡椒の代替品として南イタリアで早くに栽培が始まる。
 ・トマト:赤い実が毒草マンドラゴラに似ているため、しばらくは観賞用として食用ではなかった。17世紀末「スペイン風トマトソース」アントニオ・ラティーニのレシピが出版。
 完熟トマトを炭火であぶり、皮を向いて細切れに。玉ねぎ、胡椒、イブキジャコウソウ、ピーマンを混ぜ、塩、酢、油で整える。

 ・かぼちゃ:砂糖が高価だった当時の貴重な甘味となる。16世紀にはかぼちゃのトルテッリ(詰め物)が流行。
 ・ジャガイモ:蕪や栗同様、下々庶民の食べ物と認識されて、18世紀の大飢饉が来るまで家畜に与えられる程度だった。ニョッキの材料として認知されてから浸透していく。
 ・トウモロコシ:休閑地の二毛作など雑穀扱いで家畜のえさ用だった。こちらも庶民が雑穀として食べていたくらい。

○イタリアのマッケローニ(パスタ)食いになるまで
 スペイン支配化のイタリア人は葉物野菜(ブロッコリー、キャベツ)を多食。
→ペストや飢饉で人口が半減したが、ナポリの人口が17.5万(15世紀)→40万(17世紀)へ激増。都市人口の急増と栄養不足への対応として肉の代わりにパスタが台頭。

 ※セモリナ粉のグルテン(植物性たんぱく「質)が豊富で、それにチーズ(動物性たんぱく質+脂質)をかければ完璧に

 ※グルテンフリーって??
  高GI食品なので、血糖値上昇対策としては多食は避けたほういいかもしれないがダイエット効果は不明。ジョコビッチが提唱。
  小麦アレルギーやグルテン不耐性症対策に有効。
  健康目的にグルテンを避ける食生活とのことだが、
  調子がいいと感じるのは添加物を取らなくなっただけとの話も。
  
○近世のパスタ
 庶民のミネストラ:中世の納品は領地を耕作する賦役あり。粉をひく臼の使用料なども払う必要があった。また、北ゲルマン時代の支配時代に畑が荒廃して小麦の収穫量が上がらないため、雑穀が庶民の食卓のメインだった。雑穀のごった煮スープミネストラ。
当時はパスタをたらふく食べるのが庶民の夢。

 イタリアは都市国家(コムーネ)を領主が納めるスタイル→15、16世紀はシニョリーア(君主国)として、領主が皇帝または教皇から称号をもらい君主国となる。

 フィレンツェのメディチ家、ミラノのヴィスコンティ家、フェッラーラのエステ家、マントヴァのゴンザガ家など、各君主がパトロンとして学者や芸術家を保護することで人文主義が台頭→ルネサンス文化が先駆ける。

 18世紀のヨーロッパの啓蒙思想よりイタリア近代化、独立の機運が高まる。
 →1891年、アルトゥージ「料理の化学と美味しく食べる技法」が出版
 →イタリアを代表するレシピとして、さまざまな地方のパスタ料理が記載され、家庭に1冊といわれる。
 →「イタリア」国文化としての意識の浸透。方言色が強かったイタリア語を標準的な言葉で記述し、言語の統一も少なからず果たす。

○マンマの味
 イタリアではカトリック系、マリア崇拝が盛ん。
  →マザコン気質、楽観的、無条件の母性愛信仰、親離れ、子離れできないイタリア人の原型
  ※とあるが、著者のイタリア男性のイメージが若干きつめに書いてあるような…。

 男女の役割が日本と同じくはっきりしていた。
 料理=女性が当たり前。カトリックの保守的な教えも影響している?
 あり合わせで安い食材を工夫して美味しくする想像力=創造力が求められる。
 南部カラブリア地方では嫁入り条件が15種類のパスタを作れること、らしい…。
 裁縫などと同じくパスタ作りも女性のリーダー職だったが、近代化してからパスタ生産も工業化が進み、女性の立場は低く待遇も悪くなる…。

 ※カトリック教会と国家の思惑により、男女平等をうたいながら、女性の家庭外での活躍をよしとしない風潮が根強く残る。ファシスト政権時代、ムッソリーニの家政政策。男を戦争で使う→その他の家の問題は女性が責任者としてうまく回すような役割を与えた。

○戦後のイタリア
 日本も同様だが、自由、モダン、平等理念など、アメリカナイズすることがかっこいい、いいことというイメージがあったが、自国の停滞ムードを打破するための夢想…。
実際にアメリカに移民したイタリア人はかなり差別され、パスタ料理もなかなかアメリカで受け入れられなかった。
 肉消費量が増えている中、肉食により栄養バランスが崩れている。1960年以前と以降でアメリカナイズの食事をするようになった世代の健康状態が悪化したため、くしくもスローフードとしてのパスタ料理が見直される。
 (パスタと野菜中心のメニュー)

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2020年07月12日

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「砂糖」とか「茶」とか「コーヒー」とか「チョコレート」とかとかと違って、「パスタ」なんで、あまり世界史的な広がりがない。ま、その分深堀りができている、のかな。

実はイタリア史はツマみたいなもんで、とにかく「パスタ食べたい」と思わせる「パスタ史」の本だと感じた。

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2014年12月23日

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 世界中の人々に愛されるパスタ、イタリアの代表的な料理を主軸に、イタリア延いてはヨーロッパの歴史全体を俯瞰しようという意欲作である。パスタの原料となる小麦は、パスタだけでなくパンやケーキなどの生産にも必要不可欠であり、今では庶民の味方として確固たる地位を築き上げている。しかしそれは長い年月をかけた品種改良と技術革新の賜物であり、古くはその収量の少なさや収穫までの手間により貴重な穀物の一種であった。そのため一般民衆の口に日常的に供給され、イタリア=パスタという図式が完成するまでには幾世紀に渡る人々の歴史がある。
 本書はパスタの定義に始まり、原初の時代から歴史を辿りつつ、豊富なソースの素材や文芸といった側面から、あるいは国家統一とファシズム体制、そして戦後という側面からイタリア半島の歴史を紹介している。概観ではあるがパスタに関わる部分のみを抜き出しているため、歴史の流れを追いやすい反面、非常にマニアックな知識が満載だとも言える。とは言え文章量も多くなく気軽に読めるので、これからイタリア史あるいは世界史を学ぼうとする人、もしくは既に学んだ人が復習するのにもお勧めできる。
 歴史の学び方として、ある一つの主題(それも日常に由来するもの)を一つに絞ることは、興味関心を惹きやすいため良い導入となり、学習効果が高いのではないだろうか。もちろんこれを実現するためには、あらゆる歴史に精通した人物による先例が無ければならない。そしてそれは得てして稀なことであり、ましてや一般向けに書かれることは貴重である。この本がそれ程のものかは判断しかねるが、一つの候補として推挙できる一冊だと思う。誰の言葉かは忘れてしまったが、若者は学び、老人は本を書くべきであるという意味の言葉がある。高齢化社会が進む日本において、小さな希望としてこのような本がより増えることを期待したい。

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2014年06月28日

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2012年の高校生の課題図書。タイトルに惹かれて読んでみたけれど、やっぱり課題図書って不思議。なぜわざわざこの本が選ばれなければならなかったんだろう?
岩波ジュニア新書だし、あとがきを読んでも一応読者は高校生が想定されているみたいだけれど、決してそんなことはない。岩波ジュニア新書と課題図書の選考委員(そんなものがあるのかどうか知らないけれど)は何か勘違いしているんじゃないだろうか。優しい言葉づかいで書かれていたら、本は読めるってものではないぞ。
たとえば本書には次のような一節がある。
「1960年代以降のの飛躍、いわゆる『イタリアの奇跡』が国民の収入と食事のレベルを高め」云々。
ここでは明らかに「イタリアの奇跡」を知っている者が想定されている。言い換えれば、それを知らない者(たとえば僕ね)は、なんか疎外されているような気分になるのだ。
他のレビューにもある通り、パスタの歴史を概観する前半部には、高校時代世界史を選択した者でも知らないような人名、国名、条約名が頻出する。
どう考えてもこれは、なんて言うか、課題図書として「一般的な高校生」に薦めやすい本ではないぞ。
もちろん、「イタリアの奇跡」を知らなくたって、国名なんていい加減に読み飛ばしたって読めるのは読める。でも、自分が読者として想定されているような本を読むことは、けっこう苦痛なことだ。
パスタの種類も、ソースの種類もたくさん出てくるけれど、説明が簡略にすぎてイメージが沸きにくいにもイマイチ。

パスタの来歴とその影響がコンパクトにまとめられている内容そのものは評価できるんだけれど、これでは「課題図書はおもしろくない」って言われても仕方ないなあ。

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2013年01月06日

Posted by ブクログ

20121007 食べ物と歴史の関係。イタ飯の今がどういう事か考えさせられる。何故かローマ人の物語が読みたくなった。

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2012年10月07日

Posted by ブクログ

中高生向きに書かれた推薦図書らしいんだけど、これ、中高生の時の私が読んだら初めの数ページで投げ出してたと思う。ってくらい結構内容がしっかりしてる。でも読んでみると面白いし勉強になる。
第2章の「文明交流とパスタのソース」がおもしろかった。
読んだあとはもちろん、パスタが食べたくなる。

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2012年09月27日

Posted by ブクログ

パスタを軸に、イタリアとその周辺の社会や食文化の歴史を記している。そつなく、よくまとまっており勉強になる。213~214頁の「パスタとイタリア史」で著者自身が内容をきっちり要約しているし、巻末の年表も親切なので、読後の復習もしっかりできる。高校生向けの課題図書(2012年)に指定されたのも納得。ただ、これを最後まで面白く読むことのできる高校生はそれほど多くないような気もする。個人的には、第6章、20世紀前半の「イタリア人にとってのアメリカ」に関する記述が面白かった。

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2012年07月13日

Posted by ブクログ

岩波ジュニア新書699~古代メソポタミアで栽培され始めた小麦は,ギリシャやローマでは粉にされてパンの材料になるとともに,練り粉をラザーニャのようにして食べることも始まった。中世では初期に小麦文化が衰退し,雑穀や野菜・豆類のミネストラが農民の日常食になる。水との結合の食品が登場したのは11~12世紀で,乾燥パスタがシチリアで,生パスタが北方イタリアで作られ始めた。小麦が機長だったので普及しなかったが,徐々に増産され,新大陸から南瓜・トウモロコシ・ジャガイモ・香辛料などが導入され,トマトソースが創造されて17世紀に野菜食いからパスタ食いへと市民が変貌したが,近代の経済危機や貧困化でパスタ消費は減り,1861年の政治的統一は食・料理の国家統一を担う要素にパスタはなった。20世紀前半,パスタは国家の発展を阻害するというキャンペーンもあったが,消えることはなかった~面白い視点だが,タイトルが気を持たせすぎ。内容はしっかりしているだけに残念。庶民は雑穀,ブルジョワは肉という時代が長かった。最近はマンマの味が失われてきたかも

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2012年06月13日

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