【感想・ネタバレ】動物裁判のレビュー

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Posted by ブクログ

中世の時代、人間は自然を自分達のシステムの中に押し込めようとした。その結果の一つとして、動物裁判が行われたのだ。
現代から見れば滑稽無糖な風習も、本質を探っていけば当時の人々の価値観や思想が垣間見得る。
歴史的事象からその時代の本質的部分を探っていくことが、歴史を学ぶ楽しさの一つであると知った。

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2020年09月03日

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13~18世紀の西欧で実際に行われていた奇異な「動物裁判」をモチーフに、アナール派的史観によるアプローチによって、アニミズムの駆逐とキリスト教社会成立を背景にして、当時の法が対象にしていたものや社会風俗などが描かれています。ただ、Reviewerの方が指摘されているように、説明の方向性や主張が曖昧な部分も否定できませんので、新書というフォーマットの性質上、あくまでも読み物あるいは西欧中世の社会史の導入書という位置付けですね。

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2011年11月11日

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わかりやすい。動物裁判から入って中世の自然観を説き、その後動物裁判を問い直すという、何とも私好みの本でした。それにまた、図版が可愛いの何の。表紙では、ウサギさんが聖書(のような本)を読んでいますよ。これはもしかして獣の聖地巡礼ですか? とりあえず、動物裁判という現代から見たら、とても非合理的で無意味なものも、中世の暗闇から(今ではこの言葉は古いですね)の産物ではなくむしろ、啓蒙主義から来たものだったということがわかったわけですね。

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2009年10月04日

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中世、主にフランスで頻繁に行われていた動物裁判。全く知らなかったことなので大変面白かった(ノートルダムの鐘のあれはそうだったのか!という気づき)自然というものをどう捉えるか、その土地に根ざした宗教観はどういったものなのか、それによってこのような事象が成り立つ/成り立たないのが興味深い。

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2023年06月28日

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中世ヨーロッパの自然に対する態度の変遷についてが、著者の主に書きたいことに思えるのだけれど、
自然に畏怖していた時代から支配する時代になる過渡期の時に動物裁判はあったと理解しました

個人的に読んでて思ったのは
ただ、民衆が権威に対する嫌がらせのような意味合いで裁判してたのではないかと、、
その考えは浅はかか

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2021年12月26日

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13世紀から18世紀にかけてヨーロッパに広くみられた動物裁判について書かれた本。

本書は2部構成。第1部は史料に基づいて動物裁判の様子が書かれています。第2部では、なぜ中世ヨーロッパで動物裁判が行われていたのかを検証しています。

動物や昆虫を被告とした動物裁判が行われた背景には、中世ヨーロッパの自然観・人間観が関係しているかもしれません。

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2020年06月14日

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大変興味深い内容でした。まずそもそも動物が裁判???なんで???という内容の突飛さに引かれて手に取ったのですが、ブタやウシ、ウマ、イヌ、ネコ、どころか虫や氷河に森まで対象とは驚きました。きちんと記録も残っている通り実際に起こったことなんですね。ここで昔の人のやることはよく分からないなぁと突き放してしまうのは簡単ですが、この本はそこから踏み込んで「動物裁判は何故起こったのか?」「当時の人にとってどういう意義があったのか?」を探り始めます。中世というのがどのような時代であったのか、開墾とキリスト教の背景を元に、中世に変容した人々の自然に対する態度を様々な面から検証し、それが如何にして動物裁判へと結びついたのかを非常にわかりやすく解説してくれています。無知なもので色々と提示される情報全てが新鮮に写り、大変勉強になりました。また、人間の観念の移り変わり、それをどう検証すればいいのかという手法論としても参考になりそうだと感じました。絵画や文学、当時の思想論に見られるイメージや観念から何を読み取るのか、どのように考えるべきか、大変詳細に解説いただいているのでとても分かりやすかったです。西洋以外の思想等に着いて考える時にもこの本の内容が参考になりそうだと感じました。
総じて非常に興味深く勉強になる本でした。最後の日本と西洋の対比は少々論拠というか説得力に欠ける感じはありましたが、動物裁判に関しての本文のボリュームと内容は大満足でしたし、そして後書きに置ける現代への警鐘は、人文学の持つ意義を再確認出来るものだと感じました。面白かったです。

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2020年05月23日

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いや豚処刑されすぎ!
前半は動物裁判の事例が書かれていてヨーロッパでは行われていたみたいだ。
なぜ日本では浸透しなかったのか、それは日本では動物、引いては自然は共生するものだという認識があったからだということ(西洋はどちらかというと支配するものという認識)。

しおりに書かれていた言葉が印象的だったのでメモ
実用書は「生活が強制する本」、娯楽書は「生活から連れ出す本」であるとすれば、教養書は「生活を高める本」である。 清水幾太郎(本はどう読むか)

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2020年04月18日

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2013 8 24

動物裁判の是非→中世から現代までの自然観の変化→手に負えないもの=原子力を扱うこと
など授業で取り扱える内容が多い

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2013年08月24日

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人を殺した親豚は死刑、仔豚は嫌疑不十分で無罪、だとか、虫を破門するとか、トンデモネタを笑う本かと一瞬思うけれど、実はヨーロッパの自然観と宗教観の話。日本を対比してみると、自然が悪魔か神か、という発想が見え隠れして面白い。

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2012年06月20日

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立花・佐藤のブックガイドから。中世ヨーロッパの動物に対する人間の裁判についての本。結構おもしろかった。パロディのような感じで。新書だから仕方がないけど、かなり短い印象を受けた。

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2010年04月06日

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ヨーロッパでは、かつて動物裁判が真面目に行われて行われていたことを紹介し、なぜそのようなことが行われるようになったのか、著者が考察を加えた本。
人間に迷惑をかけた動植物が、訴訟され、裁判に呼ばれ、検察官や被告には弁護士まで登場したようだ。これを真顔でやってたなんて、信じられない話しだが、人間がアニミズムの世界から、合理的な世界に移行していくなかで、畏れていた神々が宿る動植物に対して裁きを行う上では、必要だと考えていた(ようだ)。
ナルホド。

以下は備忘録。
動物裁判は、ヨーロッパにおいて12世紀かそれ以前からみられ、13世紀以降本格化のきざしをみせ、14〜16世紀をピークとし18世紀まで続く。
中世・近世の人たちが法の掟に従属させたのは、動物だけでなく、植物や静物(鐘楼の鐘等)をも裁いた例が散見される。

なぜこのような人間ではないものの裁判が行われたのか?
擬人化したことは考えられるが、異教的アニミズムがその基底にあるとも考えられる。
アニミズムを悪魔化した教会のめざしたのは、動物にとり憑いた悪霊や人間の魂をキリスト教的祓魔式で祓う、という構図をおしつけることであり、そこに異教的慣習とキリスト教との衝突が現出したのだと。

かつては、特定の祭りなどの際には定期的に、「人身御供」が嫉妬深く怒りやすい神々に捧げられ、徐々に動物の犠牲にとってかわられた。そして神々の統括する神秘的な秩序や、秩序回復のための呪術的手段が実効性を失った後、人間世界を守りその条理を自然世界にまで貫徹するために、動植物まで人間同様の裁判にかけられ、処刑ないし破門されたと考えられる。
中世キリスト教にとっては、自然は人間が支配し制御するべきものだったが、動物裁判は、人間の世界を律する法・訴訟手続を自然に適用して、自然を人間の理性や文化の条理に無理矢理おしこむ装置だった。

ところでアニミズムは、神々が特定の自然物に居を構えているとするだけにとどまらず、それらの神々の統括下にある、あらゆる動物・植物・鉱物などにまで、霊が宿っていると考えられていた。
天地自然は、その霊によって生きていて、また一体化しているとされる。人間もその天地自然を統括する法則をまぬがれない。だから、人のほうから自然にはたらきかけるには、それを人間と同一視し、同一にあつかう必要があった。
人間の創造における卓越した地位は、神の法・神の正義の保証のもとに、人間の自然支配を正当化し、人間はその正義を、人と人との関係をすべているものと全く同一の諸原則に従って自然にも適用しなくてはならぬ、との議論を導いた。

動物裁判のうち教会裁判所での悪魔祓い、呪いの言葉を言うものは、アニミズムを前提とし、その神々・諸霊を悪魔化して祓いだすための儀式である、とした。

17・18世紀の科学的合理主義が機械論的自然観を徹底的におしすすめると、(人間の)理性と自然(身体と外界)の区別が、かえってゆるぎないものとなる。自然世界を人間世界に同化させる主観的人間中心主義は、客観的人間中心主義に姿をかえ、こうして、動物裁判は、当初それをささえた機械論的自然観の進展自体によって、消えてゆくのである。
動物裁判とは、正に自然界にたいする独善的な人間中心主義の風靡した時代(13世紀~17世紀)の産物だった。それをイデオロギー的に裏うちしたのは、権力と結びついた人文主義と合理主義である。またその具体的展開をゆるした社会的現実としては、自然を支配・搾取するための不断の戦いがあった、といえるだろう。
12.13世紀に発揚した「合理性」「刑罰」「正義」が、動物にまでやみくもに適用されたのが、動物裁判だったのであろう。

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2024年01月28日

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 西欧文明における動物裁判の発祥を多角的に検討する一冊。動物裁判の生々しい様子は、興味深かった。

 ただ、その考察に関しては、難解だった気がする。機械による自然の克服と宗教、哲学などが微妙に絡み合い、動物(自然)を人間の支配下に置こうとした、というのがおそらく主題だと思われる。近代以降は、動物裁判を野蛮なものとして克服し、動物保護の思想も定着したが、その反面、人間中心の動物・自然の支配という観念が生まれ、それが深刻な環境破壊の根深い要因になっている、というのが著者の主張なのだが、わかったようなわからないような、少ししっくりこないものが残った。

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2022年11月29日

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時代の間の現象としての検証。そこはうざい。
単に、変な裁判があって、変な判決があったというくらいでいい。
アホなことやっとるわ。

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2021年08月18日

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現代人から見ると奇異に見える中世ヨーロッパで広く行われていた動物裁判について、その実態や、なぜそのような裁判が行われたかを詳細に解説していて面白かった。

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2020年11月03日

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シブ知2・6
かかった時間 マジで不明

講談社現代新書の、白い表紙に緑の四角がある表紙のやつを読んだが、バーコードを読んで旧カバーを見て納得。まさにそっち系。

動物裁判という奇妙な習慣をとおして、中世の自然観や法、宗教についての価値観の変容を考察した著作。
前半はケースの集約、後半はそれを支える価値観の考察で、前半は娯楽読み物として、後半は知的読み物としておもしろかった。一方で、個人的には後半部分についてもう少し丁寧に説明があればうれしいとも思った。初版1990年?らしいが、まあ単純に、30年前の読者のレベルではそれでよくて、わたし世代?わたし?の読者としてのレベルがやや残念なんだろうと思うが。

もちろん、ひとつの事象から立ち上がるダイナミックな考察、という姿勢はエキサイティングで、歴史のうねり?推移?みたいなことも感じられ、よかった。

これをスラスラ読めるくらいになりたいなあー。

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2020年08月20日

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興味深い。中世ヨーロッパを舞台に実際に行われてきた動物裁判をまとめて考察した一冊。当時の文化や宗教観を理解することができる。

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2020年05月17日

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動物裁判という、現在から考えると特異な対応がどうして中世ヨーロッパで行われていたのかを解き明かそうとしたもの。題材の面白さに惹かれた。

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2020年05月05日

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題材は非常に興味深いが、事柄の羅列が多く、考察もいまいち切れ味に欠ける。まあ、そこは書き手の誠実さとも言えるが。

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2018年08月06日

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中世ヨーロッパの思想的な背景を理解するのには良い一冊。
ただ、全体的に冗長に感じる。主題である動物裁判に至るまでがながいかな…。

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2018年04月25日

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どの本だか忘れたが、読んだ中で裁判の事例が紹介されていて興味があって入手した一冊。

ブタやバッタ、ネズミなどの動物を裁判にかけられた事例を解説した上で、それら事実を元に中世の人々の考え方や宗教観、人々が置かれた環境などを考察していくのだが、これがなかなか説得力がある。

鐘という非生物も裁判にかけられる点、森の神秘性や魔物としての捉え方など含め、色々な角度から解明を試みているので、動物の裁判という点だけでなく、裁判という法制度そのものについても言及していく。
またエリートと民衆の関係など、当時の二分化された人々の認識についてなど「動物裁判から見た中世」といった感じでちょっと変わった歴史書で面白かった。

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2018年01月22日

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中世ヨーロッパでは動物を裁判にかけていた、その動物には所有者に対する責任という観点はそれほど多くなく、人間が自然界を支配するという文脈が強めなのが意外であり面白い。

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2015年11月29日

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中世ヨーロッパで実際に動物が裁判にかけられた動物裁判に関しての見解が記されている。

具体的には、豚が子供を殺害したり、獣姦や昆虫の農産物への被害など。

エピソードだけでなく、当時の自然観や宗教的背景などに関しても言及しており、自身の興味を引いたものだった。

おもしろい知識の一つとして、読めた。

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2014年05月09日

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中世の動物裁判について書かれた本。魔女狩りなどとも関連が深い。中世独特の法の原点ともいえる考え方から、人間と同じように権利を持った動物を裁く行為に至る。 しかし無機物にまで権利与えるってすごいな。

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2012年04月19日

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被告席にて裁きを待つのは、容疑者ならぬ容疑動物。
裁くは人間、広がる光景は今の私たちの常識からは異様なもの。法廷に立つブタ、破門されるミミズ、モグラの安全通行権。出廷しない鼠たちの事情を真面目に弁護する弁護人!
13世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパに広く見られた、動物裁判のお話。

「裁く」というニーズについて考察が深まるかなぁと思って手にとったんですが、西洋の歴史についての考察でした。
普遍的法の存在、人間中心主義・・・とまぁ法学部生でなくても一度は触れた西洋の歴史のキーワードがぽこぽこ出てきます。
問題は、「なぜ一時代にのみこのような事象が発生したか」という、歴史的固有性。この部分、筆者もあんまり自信もってないんじゃなかろうかと思うぐらいまとまり悪いです。
ので、全体的には「事例集」としての色が強いのが物足りないところですが、「ほーう、こんなことがあったんか」と教養としては面白いかと。行われていたこと自体は、だいぶショッキングだけれど。どうにも血なまぐさいですね、西洋に限らず・・・「裁く」手段が身体的に遠隔化されてなかった時代の話は。

読後、日本では確かにありえなかっただろうなぁ、と納得しました。一緒に「日本人の法感覚」もどうぞ。

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2011年10月16日

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[ 内容 ]
法廷に立つブタ、破門されるミミズ、モグラの安全通行権、ネズミに退去命令…。
13世紀から18世紀にかけてヨーロッパに広くみられた動物裁判とは何だったのか?
自然への感受性の変化、法の正義の誕生などに言及しつつ革命的転換点となった中世に迫る「新しい歴史学」の旅。

[ 目次 ]
第1部 動物裁判とはなにか(被告席の動物たち;処刑される家畜たち;破門される昆虫と小動物;なぜ動物を裁くのか)
第2部 動物裁判の風景―ヨーロッパ中世の自然と文化(自然の征服;異教とキリスト教の葛藤;自然にたいする感受性の変容;自然の観念とイメージ;合理主義の中世;日本に動物裁判はありえたか)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年12月15日

Posted by ブクログ

法廷に立つブタ、ネズミに退去命令・・
興味を持って読みました。
中でも獣姦罪の罰がすごかったですね。獣姦自体が私にとって衝撃的でしたし・・
動物裁判が起こらなかった日本との違い。そこには宗教が関係していたんですね。一概に、虐待だ!と非難はできない内容です。
でも、ふつーだったかな・・

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2010年08月13日

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