池上俊一のレビュー一覧
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ネタバレイギリス、そこは昔から今までずっと、王と女王の国。
イギリスは、日本が特に親しみを感じているヨーロッパの国ではないかと思う。島国であること、そして、王室があること。ある意味、王様でたどる歴史というのは、普通の視点のようにも感じるが、時代区分ではなく王様を中心に歴史を追うのには、また新たな発見もあった。
王様(女王様もいるけれど)の、征服者という戦闘性。世界中に植民地を広げ、身内になれば優しく抱える上から目線の侵略。好戦性と裏表な寛大さ。両輪となる議会との立ち位置や関わり。華やかな時代の裏にある貧富の差と、慈善という公私曖昧な社会福祉。食事はエネルギー補給でしかなく、感情はユーモアに包み込ん -
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ネタバレドイツの歴史と国民性は、その自然にあり。
ドイツは、確かにイギリスやイタリアやフランスと違う。そのなんとなく思っていた気持ちに対する、ひとつの考え方を示してくれた本であった。
側にある森と川の積極的な利用。それは自然を愛でるのではなく、利用するもの。しかし、一方で自然の力に対する畏れや崇拝も、神話や妖精、民話や伝承として息づいていた。長く個々に別れてきたドイツの統一に、その自然への愛が危ない形で作用したというのも興味深い。
ロマンティックな自然崇拝、その土地の自然や民話・神話を題材とする音楽。ナチスに愛されたワーグナーを今も受け入れられないという考え方がある。「自然」を尊ぶが故の、行きす -
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ネタバレ砂糖の歴史、西洋美術の歴史、宝石の歴史とあわせて、とうとうフランス史まで進出。
この好奇心が中学くらいに出てくれていたら…と再び煩悶する。
砂糖の歴史ではイギリスの紅茶文化にかなりスポットライトが当たっていたけど、最大の砂糖プランテーションを保持していたフランスで、砂糖文化が根付かないわけないよね!
キリスト教、奴隷貿易、絶対王政との関係から、どんなお菓子が発展してどうやってフランス料理の下地となったのか、がわかって面白い。
あと、岩波ジュニア文庫は岩波文庫とはまた違って、著者の思いが主張激しく書かれてたりもするのも面白い。
※サヴァランとかアマンディーヌとかいった鼻にかかった名前のお菓子 -
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★★★2019年6月レビュー★★★
「情熱」というキーワードでたどるスペイン史。
闘牛やフラメンコに代表されるような「情熱」の原点は何なのか。明確な答えはないものの、やはりヨーロッパの僻地であり、痩せて乾いた大地。そこに集った異文化の人たち。そのような地理的、歴史的背景が大いに関係しているのだろう。
カスティーリャ王国のアルフォンソ10世(在位1252年~1284年)の功績など、知らなかったことを知ることができた。彼は「賢王」と呼ばれ、異文化交流に大きな貢献をした。また、『七分法典』による法整備。それがラテン語ではなく、カスティーリャ後で書かれていることが重要。
現在のスペイン語の広ま -
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戦争や統治者の名前といった表面的なものではなく、生活の基底としている自然を通して歴史を説明している視点がいい。
ゲルマン人は、自然崇拝の多神教を奉じ、神々はヴァルハラという天国にいるとし、聖なる森を礼拝して、神秘的な空間とみなしていた。
ローマ帝国が滅亡すると、海を航海する商人は減り、内陸の大河を移動して交易する商人が増えた結果、川沿いには次々に都市が成立して発展した。ドイツの都市は、10~11世紀に商人が定住してでき始め、商人法を基にして都市法がつくられ、独自の地位を持つようになった。
ドイツ人は、10世紀からエルベ川の東方に進出し始め、12世紀には本格的な植民を始めた。
農民を支配 -
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イギリスは日本と同じ島国だが、成り立ちも政治も、あまり似ていない。
それでもどことなく、親近感を覚える。
歴史を見てみれば、複雑すぎて(欧州は総じてその傾向が強いけれど)、そして同じ名前が多すぎて、苦手とする人も多いかもしれない。
しかし、王の名前を把握し、その時代背景を理解してみると現代の物事も理解しやすくなるし、海外ドラマも一層面白くなるというものだ。
でも一体どうやって?
そんな時に役立つのが本書。
ばばーん!
巻末には英国史年表、王家の家系図付き。
近現代の王たちは馴染み深くさほど苦労はしないはずだ。
海外ドラマの「クイーンメアリー」「女王ヴィクトリア」(いずれも邦題)とあわせてみる -
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フランスと言えば、グルメ。その中でも甘ちゃん好きが思い浮かべるのはお菓子。ということで今回は、お菓子から見たフランス史の本を取り上げる。
本を読んでいてフムフムと思う点があった。それはイタリアから洗練された料理やマナーを教わらなかったら、今の「料理はフランスが一番」とはならなかったということだ。著者曰く、特にものすごくおいしいと言うわけでもなく、フランス人の食に対する知識や感性が鋭いと言うのは「まったくの嘘」という結果のアンケートがあったと言及している。
では、どうして「幻想」なのに、謝罪会見をしたり、裁判に訴えられることがないのか。それは、絶対王政以降、フランス各地の食材や料理 -
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フランス菓子の歴史、楽しいです。お菓子がいかに政治・経済・社会・宗教・文化と結びついているかということがよくわかる。侵略の歴史や王家の婚姻とも密接に。
たとえばマカロンやアイスクリームは中世、イタリアからフランスに嫁入りしたカトリーヌ・ド・メディシスによって伝わったし、チョコレートはスペインからやってきた。スペインの王女アンナがブルボン朝のルイ13世に嫁いだことがきっかけ。
序章で「私の信じるところでは、ほんとうに歴史を映す鏡として、社会や文化の重要な要素として、それらを象徴するものとなっているのは、フランス菓子だけだと思うのです。」という著者の主張はちょっとだけ強引な印象。
P82~83 -
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パスタに詰まった壮大な歴史
今や町中に行けばパスタを扱っている店は数多く、一体どれだけの種類があるのかと思わせる。
しかしながら、日本でなじみ深いものといえばせいぜい3、4種類程ではないだろうか。
本場イギリスでは数多くの種類が食べられているというのはご存知の通り。
この数の多さとそれに使うソース、具材からイタリアの歴史を見ていこうというのが本書である。
まずは巻頭のカラー写真。
これを眺めているだけでも面白い。
本文中にはふんだんに地図や史料が使われているので楽しみながら読み進められる。
コラムとしてあげられているイタリア各地の名物パスタは、写真や図がないので少々イメージしにくいものの、読