中嶋嶺雄のレビュー一覧
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ここ2年くらいで様々な大学論・教養教育論を読んだ。本書はその中で最も平易な言葉で書かれた、深い、本質を端的に述べた教養教育論だと確信した。本当に教養のある方の文章はとても分かりやすく、そして心に響く。
中世の自由七科には、これまでにも関心を寄せてきている。史実としてただ理解するのではなく、連綿と続く教養教育の流れを捉えることが有効。各章で著者は、自由七科を現代的に解釈し、国際教養大学で力点を置く科目を紹介している。この発想はかなり参考になった。おかげで、この自由七科という定性的な概念をどう統計処理するか。ちょっと試したい方法が浮かんできた。しかし数量分析(量的論証)はひとつの補助的作業(P. -
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まず初めに断っておくと、自分の大学の学長の著作なので☆5です。はい。理由は人それぞれなので、ま、それでもいいかな?と思ってます。
内容としては「はじめに」のところに、以下の様に書かれています。
“真の教養とは単なる知識の集積ではなく、「実践」を伴うものでなくてはならないと、私は考えます。(中略)歴史や先人の経験から多くを学ぶ事は大切な教養の一部ですが、それらがすべてではありません。教養とは、常に動く社会情勢の中で新たに創造され磨かれて、更新されていくものでなくてはならないと思います。”
定義の曖昧な「教養」という概念ですが、これが、「中嶋嶺雄が考える『教養』」なのかな。と感じました。自分 -
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ネタバレ国際関係論という学問がよく分かっていなかったので、購入し読んでみた本である。
当初自分は、国際政治と似ている学問なのかと思っていたが、実際は出来て日の浅い学問であり、学際的に色々学ぶことができる学問である。
しかしその分、この学問を修めるにはなにか一つの分野に特化して、それから国際関係論を修めることになる。逆に云えば、今すべての学問は国際関係論抜きには語れない、のかもしれない。
後半は戦後国際政治史の概説である。その後は国民国家と国際関係論について記されている。欧州はヴェストファーレン条約時代から国民国家体制が成熟しているが、アジアではまだ根づいているとは言えない。個人的には「国民国家」やそ -
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戦前から戦後、現代に至るまで各分野の知の巨人らが述べた良書である。
多様な著者の文学研究以外の物理学や法学、社会学など様々な研究で得られた知見と知のバトンを次世代に受け継ぐ本である。
興味があれば、中学生からでも読み始めている人は多いだろう。研究者とは「研究しない自由はない」と本著で述べている通り、全ての学問に対する研究に責任があると説く。第一線で活躍していた研究者の言葉を聞き、現代の価値観や様式、世界規模での情勢をその時の生きた時代の研究者へバトンは渡され、人類は発見と修正を繰り返しながら前に進んでいく。世界は広い、本著でも紹介されきれない研究者は山ほどいるだろう。そして、今生きる現代の次世 -
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本書に掲載された最終講義について一言ずつ。
桑原武夫…仏文学者以上に隲蔵さんの子息、というイメージが強い。垣根を越えた研究という事では共同研究も論語の著作も同じなのかも知れない。
貝塚茂樹…大学者一族の一角、湯川秀樹は弟。東洋史学者の模範的な最終講義だと思う。
清水幾太郎…60年安保前後で言論が大きく変わった、という印象の人だが、コントに興味を持つ面白い講義だった。
遠山啓…存じ上げない方だったが、数学論がほんのちょっと分かった気がした。
芦原義信…ゲシュタルト心理学から都市空間を観るのは面白い。
家永三郎…教科書検定裁判の人、として子供の頃から名前は知っていた。大人になってから読 -
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教養とはつまるところ、その人の判断の根幹を支えるもの。「行動哲学」である。この本は「日本人の教養」を図鑑のように記しているものではなく、日本人の教養とはどういうものであるか?または、どうあるべきか?というものを説明している本である。先日亡くなった著者の中嶋さんは僕が進学を決めた国際教養大学の創設者であったこともあり、今回読もうと思った。中嶋学長の経験に基づき、日本の大学がいかにクローズドで世界の学生から相手にされていないか、国際教養大学やICUなどの小さくても独自のグローバル化を達成している大学がこれから伸びて行くと考えるのはなぜか?などの理由がわかりやすく語られている。大学でも考えることにな
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ネタバレ[ 内容 ]
戦争と革命の世紀、20世紀は轟音を響かせて転換しつつある。
国家そのもののあり方とともに、国家間の関係もまた問われているのである。
国際関係論という学問は、政治・経済・文化などが交錯する場である国際関係に生ずる問題を解明し、現代史の深部の潮流を捉えて未来を展望することを目指す総合的社会科学である。
歴史の転換期に立つ現在、この学問は世界を見据える羅針盤となるであろう。
巻末に詳細な基礎文献案内を付す。
[ 目次 ]
序章 国際関係論の今日的意義
第1章 国際関係論とはどんな学問か
第2章 国際関係論の展開
第3章 地域研究と国際関係論
第4章 戦後国際関係の歩み
第5章 現代国 -
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国際関係論とはなんぞやということから、特に中国に注目した国際関係を概観する。地域研究と密接に関わり合う学問だとか、複数のディシプリンからなるだとか、比較研究が重要だとか、個人的にはとっつきにくくて苦手だなという印象を前半部からは受けたが、後半部、著者の専門である中国について記述したあたりからはかなり面白く読めた。中国に関しての記述は、最近某大の学校長の講話を聴く機会があって、そこでの話と重なることもあって、講話を聴いていたときは、どうやったらこのように物事をとらえることができるようになるだろうと思っていたが、そういう見方ができるようになるまでの学問的プロセスについて納得できた気がする。中国研究
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第三章までは「国際関係論」が一体どんな学問なのかを説明していて興味深かったのですが、第四章から突如として中嶋氏自身も批判している「国際問題の事情講義」になってしまった感があります。もっと著者自身の経験を絡めて国際関係論とは何かを論じて欲しかったです。中嶋氏は『政治の弁証』『大衆の国家』『大衆の反逆』『人間の勝利を求めて』『革命について』の五冊を読んで政治学のディシプリンを確立したとのことですが(28~31頁)、この部分をもうちょっと掘り下げて、ご自身が国際関係論の視座を獲得した過程を書いてくれたら良かったんじゃないかなと思います。
なお、巻末の文献リストは素晴らしいですね。ここだけでもお金出す -
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ネタバレ[ 内容 ]
日中国交樹立三十周年を迎えた二〇〇二年。
その華々しい友好ムードとは裏腹に、日本国内にはいまだ「嫌中感情」が根強い。
瀋陽事件は日中関係の虚実をまざまざと映し出した。
靖国参拝、歴史教科書、尖閣諸島問題など、内政干渉まがいの要求を突きつける中国と、漫然とふりまわされる日本外交。
繰り返されるその構図は、実は一九七二年の、拙速すぎた国交正常化がもたらしたツケだったのである。
いまこそ国交樹立の過程を回顧し、贖罪外交を続ける日本政府・外務省の姿勢を問い直す。
[ 目次 ]
プロローグ 日中三十周年で言うべきこと
第1章 「友好」の現実(「名」も「恥」もない日本外交―瀋陽事件をめぐっ