吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世間の評価とは全く関係なく、読者として、小説はすごくいいけど、エッセイは感性が合わない作家、逆に小説はイマイチだけどエッセイはたまらなく面白い作家というのがいる。
そりゃ、もちろん作家というからには小説を本業としているという自負があるだろうから、小説よりもエッセイがいいと言われるのは面白くないだろう。とはいえ、エッセイは書き手そのままが出てしまうので、そこで感性が合う人とは人間的に繋がったような気がして読むほうは嬉しい。で、吉本ばななは、私にとって後者の作家。中でも、この初期のエッセイは彼女自身あとがきでも書いているけど、若々しい失敗をたくさんしているという。でも、彼女が「失敗」と呼ぶところこそ、私に訴えかける。彼女のエッセイの中でもこれは一番面白かった。(2007.8.31) -
Posted by ブクログ
◆吉本ばななの人生を一変させた人々の言葉や生き方を紹介する「ひきつけられる人々」。特異な緊張感がみなぎる「海外に向けた仕事」。胸に迫ってくる「心をゆらす様々なできごと」他。大きな気持ちで人生を展開する人々を描き、また、独特の視点で生活と事物を見極める吉本ばなな初のコラム集。◆
『何かを創る人間にとって最も大切なことは昔から変わりない。自分が時代の空気を自由に呼吸し、得た感動を消化して作品にして、世間に還元しているという実感だ。』
『その人が徹底してその人であり続けて全うする人生ほどすばらしいものはない。そこには善悪はない。ただその魂の色と力が残像のように残るだけだ。』
『「(略)回復率の低い重病患者を二組に分けて、一組は通常の治療だけ、もう一組は治療のほかに彼らの知らないところで面識のない人々が陰ながら回復を祈る、というのがあって、結果は祈られたグループの回復率がぐんと高かったのです。(略)」』
『「(略)気分が落ち込んでいる時に、気持ちのいい見知らぬ人とやさしい話をすると元気になる時がある。(略)こういう時に、『人の力』を感じる。」』
『「あーぼうは、日いちにちとおしゃべりになり、あれこれうるさくなってきている(略)このあいだまでは何もかも、私の言うことを聞いて、うんうんうなずいていたのに、今ではちがうちがうばっかり。たぶんこれを人は反抗期というのかも。でも、NOということを知ったのは、大きな意識の広がりだったろう。」』
『人が自分を自分よりも大きく見せようとしたり、人に何かをこう思わせよう、としないでつづった文章というのは、このように気持ちのいいものだ(略)』
『その人が本当にその人の言うべきことを言い、するべきことをしていれば、世の中に不可能はほぼないのだろう。』
『人生は人のことをどうこういうよりも、自分のできることを苦しく楽しく一生懸命やり、泣き、笑い、他者に貢献し、周囲の人々を愛し、毎日を生ききっているうちにあっというまに終わってしまう。それでいいような気がする。』
『自分で飼っていて、だから忙しくてもきれいにしなくてはいけない汚れた亀……なのではなくて、違う速度で生きている地上の仲間と、同じ時間を偶然にも共有しているのだと思えてきた。亀に合わせてゆっくりと眺めると、植物も、犬たちも、置き物たちも、同じ時間を共有して、静かに息づいていた。光の入る角度で変わっていく一日というものは思いのほか長く、同じ光は二度となく、世界はいつもみずみずしく思えてきた。』
『この世の誰もがみんな、自分の魔法を持っている。』
『そしてそれは「あっても別に損はしないし、便利かもしれないし」と自分の中で無理に納得しているということだが、そこで汚されるのは、もっと大きなもの、例えていえば魂のようなものなのだとなぜわからないのだろう?自分の人生の選択はどんなに小さなものでも自分でするというのがどんなに大切なことかなぜわからないのだろう。』
『ど、どうして日本人は何でも「身内」でこぢんまりとまとまり、「仲間と」マスターベーション的なことを小さい世界でやり続けるのが好きなんだろう。』
『あそこには私が小さい頃にちょうど日本人がだいじにしていたものがみんなあったような気がする。そんなに面白おかしいことがなくてもこつこつと生活し、ちょっとくらいしんどくても人がくればもてなし、自分のこだわることには決して手を抜かず、きちんと身ぎれいに暮らし、あまりぐちもこぼさず、素朴でおいしいものをきちんと食べて、自然に親しみ、熱い風呂を愛し、動物を飼って、夜になれば眠り、朝早く起きる、そういう暮らしの匂いがした。』
『子供の頃は、家族と学校と家の近所だけが全世界だ。それじゃあさぞかしせまかろうよ……と思うのは大人の考えで、その小さな世界の中にはこの世のすべての出来事がいちばん基本の形でぎゅうっとつまっていて、足元のアリンコから、やってない宿題から、おばけから、友達とケンカしたことまで何もかもが極彩色の激しい色で日々展開しているのだから豊かすぎるくらいだ。(略)大人になって結婚したって、あの頃あの子といたようにはワクワクしないだろう。全宇宙はあの頃よりも秘密に満ちてはいないだろう。(略)そのぬくもりにあんまり気づいていなくて、でもその贅沢さこそが子供の生命の力そのものだからいいのだ。(略)そして子供は命があふれているから、いちいちそんなことで感動したりしないけど、大人は時間に対していくぶんびんぼうになっているので、ハッとしたり、する。』
『きちんと生きるということは、きれいごとではなくて自分を知っているということだ』
自分が影響を受ける文を書く人が影響を受けたもの って、興味深い。
すなわち、名も知らぬ人の「感動体験談」よりずっと響く。
「私が感じた感動を伝えたい」と思ったら、私自身をもってして心を動かし良い変化をもたらす人間になること。そうすれば、その伝わり方は格段に上がるのね。
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Posted by ブクログ
7話の短編集。すべての話において主人公の女性が不倫を経験、もしくは継続中、あるいは母や祖母などが愛人だったなど不倫にまつわる出来事が語られ、話の舞台はそのほとんどがアルゼンチン。(ひとつだけブラジルに住む友人の話)ばななさん自身によるあとがきによると、小説中のエピソードの多くは、アルゼンチンを旅したばななさん自身が体験したものによるそうだ。ただ恋愛的な要素については、実際はなかったそうだが・・アルゼンチンって不思議な国だと思う。ヨーロッパの歴史と古代文明の香りが融合したような。日本から一番遠い国のひとつであることも想像力をかきたてられるひとつの要因かもしれない。
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Posted by ブクログ
タヒチと東京を舞台にした恋愛小説。タヒチアンレストランで働く瑛子とオーナーの恋愛。面倒なことにかかわりたくない、亡くなった母親にそういわれ続けてたこともあったし、田舎で純粋な生活を営んでいた彼女にとっては、お互い惹かれ合うものがあることがわかっても、不倫関係になるドロドロがいやでオーナーの気持を拒みつづけ・・タヒチ滞在の最後の夜に出会った老婦人、金山さんの話が瑛子の心を動かしたあたりの描写が良かった。オーナーの「男の純情」にもきゅんとくるものがあったし、巻末のタヒチの写真(いるかとたわむれるばななさん・・うらやましい!)もすごくステキだった。