渡辺靖のレビュー一覧
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日本のパブリックディプロマシーに投ずる予算は先進国の中で圧倒的に低い(国際交流基金の展開力も含め)。にも関わらず、日本への関心を高めるなど漠然とした目標がずっと掲げられている。もっとターゲットを絞り、具体的な目標にフォーカスしたアプローチこそ必要。また、メタ的な要素としては自国に都合の良いところのみ移さず、自分の国のオープンさ・器の大きさを示す方がよっぽど効果がある。結局、相手の心と精神を掴むことが重要で、伝統的外交とは異なり、相手国国民に直接アプローチできるこの分野の可能性は日に日に高い。日本文化論の焼き直し(自然との共生・伝統と最新の融合など)の点に対する批判はとても納得しました(笑)
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Black Lives Matter 運動が起こるきっかけになった白人警官による黒人男性の射殺事件。
それまでも同様の事件が頻発し、とうとうこの運動が大きな波となった時、まだ運動の根底にある問題やアメリカの実情は全く知らなかった。漠然とイメージにあったのは、人種差別、反移民、白人至上主義、白人ナショナリスト=暴力的な集団。。
この”白人ナショナリスト”について当初は暴力的で理解しがたい別世界の人たちだと思っていたのに、読み進めるうちに理解できることが多くて驚いた。
アメリカの人口の大半を占め、アメリカの礎を築いてきた白人は、今や移民の流入等により米国に占める割合がどんどん減っている。そして -
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白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」
「どうしてそういう思想を持つに至るのか」という疑問から読み始めたのだが、第1章のジャレド・テイラーの言葉「もし日本に外国人が数百万単位で入ってきたら〜」に衝撃を受けた。中国人観光客が大量に押し寄せてきただけで、我が町の商業施設はその様相を変えた(具体的にはドラッグストアや安売り店だらけになった)これが移民ということになったら、町はさらに形を変えるに違いない。それを受け入れるのか拒むのか。白人ナショナリズムを極々小さな規模まで落とし込むと、こういう話になるのだと思った。
一方で、白人至上主義者が日本に対して好意的なのにも複雑な気分にな -
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彼らが強まっている力学、というよりは内部からの声に真摯に向き合ったという印象で、どういう理論で彼らが発言しているのか、というのが判断抜きで語られる。
その点、とても中立的で真摯な印象をうけるし、その上での筆者の判断もそれとわかる形で明示されているので押し付けがましくなく、とても読んでいて気持ちがいい。
この本を選んだ問題意識はなぜ白人ナショナリズムの高まりがこれほどとなっているのか、だったがそれ自体の答えは明示されず、筆者も考えている、という印象。
現在進行形の問題に対してはこういう態度が実は一番紳士的で、読者にとっても、考えて今を分析するツールの一つになるのだなぁと気がついた -
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ネタバレ名前以外ようわからんかった「リバタリアニズム」、結局は、「空理空論」つうか、「ぬえ」みたいなもんやね。「リバタリアン」を自認している人達の現実の政策的主張に幅がありすぎだし(中選挙区制時代の自民党並の幅広さw<バカにしてる)逆に突き詰めれば、無政府資本主義(なんだそりゃw<バカにしてる)になる。分断の拡大再生産みたいな志向だね。
まあ、何が「保守」で何が「リベラル」?そもそも対立点ってそこにある?って時に、考え直す補助線としては、必要かもしれない(いらないかもしれない)政治に影響を与える「思想」ではあっても、現実の「政治」にはならないね、これは。ただし、「リバタリアン」を自認する人が増えている -
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「これからは社員を管理しない会社が生き残ってゆく」という論調が散見される。社員を大人扱いして、その自主性と自律性を重んじ、管理という名の会社の介入を最小限にして生産性を高めよう、という。
確かに、過去に社員が犯した大きなミス、あるいは、想定し得る最悪の事態を基準にしてがんじがらめの社内ルールを作り、不祥事を減らしている一方、業務効率を大きく落とすというケースがある。これでは、ミスとは無縁の多くの優秀な社員をも巻き込み、企業全体の生産性を落とす、ということにつながりかねない。
でも、社員を大人扱いしたところで、そこからこぼれる人たちは当然出てくる。大人として認められなかった場合、最悪、彼らは切り -
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ネタバレトランプ大統領の誕生は、米国における白人のマイノリティ転落に対する恐怖(白人によるアイデンティティ・ポリティクスの行使)、急速なグローバル化やインターネットの登場による中間層の没落(豊かだったものが貧しくなったという感覚、インタネットの登場による生活様式の共有への不信)といったより大きな問題を表象しているに過ぎない。こうした社会の流れや急速な変動への揺り戻し、(移民に対して非同化政策を採ったことに起因する)共有できる敵を常に必要とする従来のアメリカン・ウェイという観点から、トランプ政権が徹底して自国第一主義に走ることは当然の予想である。政治的正当性への不信も含めた民主主義の劣化、享楽化(ポスト