渡辺靖のレビュー一覧

  • 文化と外交 パブリック・ディプロマシーの時代

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    日本のパブリックディプロマシーに投ずる予算は先進国の中で圧倒的に低い(国際交流基金の展開力も含め)。にも関わらず、日本への関心を高めるなど漠然とした目標がずっと掲げられている。もっとターゲットを絞り、具体的な目標にフォーカスしたアプローチこそ必要。また、メタ的な要素としては自国に都合の良いところのみ移さず、自分の国のオープンさ・器の大きさを示す方がよっぽど効果がある。結局、相手の心と精神を掴むことが重要で、伝統的外交とは異なり、相手国国民に直接アプローチできるこの分野の可能性は日に日に高い。日本文化論の焼き直し(自然との共生・伝統と最新の融合など)の点に対する批判はとても納得しました(笑)

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    2021年08月31日
  • リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義

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    自由至上主義者はマリファナを吸いすぎで頭がおかしくなった連中なのか。自由市場、最小国家、社会的寛容を重んじ経済的には保守、社会的にはリベラル。連邦政府への懐疑心が強く国防、司法、治安のみを政府の役割とする夜警国家論も。弱者を切り捨てる市場万能主義と批判も共和、民主にも共感できない米国若い世代が増加中。中南米では急速に浸透中、東欧では対極の権威主義が増殖中。

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    2021年08月19日
  • 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」

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    Black Lives Matter 運動が起こるきっかけになった白人警官による黒人男性の射殺事件。
    それまでも同様の事件が頻発し、とうとうこの運動が大きな波となった時、まだ運動の根底にある問題やアメリカの実情は全く知らなかった。漠然とイメージにあったのは、人種差別、反移民、白人至上主義、白人ナショナリスト=暴力的な集団。。

    この”白人ナショナリスト”について当初は暴力的で理解しがたい別世界の人たちだと思っていたのに、読み進めるうちに理解できることが多くて驚いた。

    アメリカの人口の大半を占め、アメリカの礎を築いてきた白人は、今や移民の流入等により米国に占める割合がどんどん減っている。そして

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    2021年06月05日
  • リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義

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    この本を読んでいると、国家の干渉という点では、自分はリバタリアニズムの影響を大きく受けているなあと感じる。

    リベラル、保守どちらにもない視点がリバタリアニズムにはある。そしてリバタリアニズムといっても相当幅があるのが面白かった。

    「人種差別は最も下等で下品な原始的集合主義」という立場をとりながら、政治による是正措置には否定的など、独特なロジックがあるのは興味深い。

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    2021年04月22日
  • 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」

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    白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」
    「どうしてそういう思想を持つに至るのか」という疑問から読み始めたのだが、第1章のジャレド・テイラーの言葉「もし日本に外国人が数百万単位で入ってきたら〜」に衝撃を受けた。中国人観光客が大量に押し寄せてきただけで、我が町の商業施設はその様相を変えた(具体的にはドラッグストアや安売り店だらけになった)これが移民ということになったら、町はさらに形を変えるに違いない。それを受け入れるのか拒むのか。白人ナショナリズムを極々小さな規模まで落とし込むと、こういう話になるのだと思った。
    一方で、白人至上主義者が日本に対して好意的なのにも複雑な気分にな

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    2021年02月13日
  • 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」

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    アメリカ、そしてヨーロッパで起きていることの一面の理解に。ルポルタージュ的内容で、著者自身はどちらかというと反トランプ的なようですが、中立的に書かれていると思いますので、参考になりました。

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    2020年10月04日
  • 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」

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    ナショナリズムはグローバル化する世界への反動なんだろうけど、文化的同一性の高い日本人が批判するのは簡単よね

    アメリカは大変だろうと思う。コロナ禍によってグローバリズムとナショナリズムの関係はどうなっていくのか

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    2020年08月16日
  • 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」

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    20200725ー0801 題名の『白人ナショナリズム』とは、白人至上主義と自国第一主義が結びついた反動思想だと言う。著者はトランプ政権下での草の根のリアルな動向を伝えている。コロナ禍に世界中が見舞われているなか、アメリカではBLM運動が炎上している

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    2020年08月03日
  • 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」

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    BLMが正義であり、KKKに代表される白人至上主義が悪である、という単純な理解がまかり通る日本において本書が刊行される意義は大きい。読後に、白人ナショナリストたちが理想とする「単一民族」日本の実態とは?白人から見れば同系民族である朝鮮人を差別するのはなぜなのか?移民が確実に増加していく将来のあり方は?、と自問することになる。

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    2020年07月25日
  • 白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」

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    彼らが強まっている力学、というよりは内部からの声に真摯に向き合ったという印象で、どういう理論で彼らが発言しているのか、というのが判断抜きで語られる。
    その点、とても中立的で真摯な印象をうけるし、その上での筆者の判断もそれとわかる形で明示されているので押し付けがましくなく、とても読んでいて気持ちがいい。

    この本を選んだ問題意識はなぜ白人ナショナリズムの高まりがこれほどとなっているのか、だったがそれ自体の答えは明示されず、筆者も考えている、という印象。

    現在進行形の問題に対してはこういう態度が実は一番紳士的で、読者にとっても、考えて今を分析するツールの一つになるのだなぁと気がついた

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    2020年06月02日
  • リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義

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    いつも渡辺先生の現代アメリカに対する視点のフレッシュさに感心する。
    アメリカを通して日本を見つめているとの記述に、激しく同意。自身も海外の経験を通して結局のところ日本を思っている。こうした視座に立つ事が大切なことだと。

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    2019年05月11日
  • リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義

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    ネタバレ

    名前以外ようわからんかった「リバタリアニズム」、結局は、「空理空論」つうか、「ぬえ」みたいなもんやね。「リバタリアン」を自認している人達の現実の政策的主張に幅がありすぎだし(中選挙区制時代の自民党並の幅広さw<バカにしてる)逆に突き詰めれば、無政府資本主義(なんだそりゃw<バカにしてる)になる。分断の拡大再生産みたいな志向だね。
    まあ、何が「保守」で何が「リベラル」?そもそも対立点ってそこにある?って時に、考え直す補助線としては、必要かもしれない(いらないかもしれない)政治に影響を与える「思想」ではあっても、現実の「政治」にはならないね、これは。ただし、「リバタリアン」を自認する人が増えている

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    2019年05月06日
  • リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義

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    「これからは社員を管理しない会社が生き残ってゆく」という論調が散見される。社員を大人扱いして、その自主性と自律性を重んじ、管理という名の会社の介入を最小限にして生産性を高めよう、という。
    確かに、過去に社員が犯した大きなミス、あるいは、想定し得る最悪の事態を基準にしてがんじがらめの社内ルールを作り、不祥事を減らしている一方、業務効率を大きく落とすというケースがある。これでは、ミスとは無縁の多くの優秀な社員をも巻き込み、企業全体の生産性を落とす、ということにつながりかねない。
    でも、社員を大人扱いしたところで、そこからこぼれる人たちは当然出てくる。大人として認められなかった場合、最悪、彼らは切り

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    2019年04月22日
  • 〈文化〉を捉え直す カルチュラル・セキュリティの発想

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    ネタバレ

    文化的リテラシーが問われる現代世界において、カルチュラル・セキュリティの重要性を説く一冊。
    カルチュラル・セキュリティとは聞きなれない表現ではあるが、自分自身をつくりあげてきた環境以外の文化へのまなざしを、謙虚に構築していく必要性は多分に同意できた。不可逆的に加速する、グローバルな他者との交流を築いていく上で、参考にしたい概念である。
    また、二項対立に引き寄せらることなく、そして私自身の価値観や思考を切開し相対化していく作業を怠ることなく生活したいとも、この著書を読み改めて感じた。

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    2019年01月02日
  • 反グローバリゼーションとポピュリズム~「トランプ化」する世界 マル激トーク・オン・ディマンドvol. 11~

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    ネタバレ

    トランプ大統領の誕生は、米国における白人のマイノリティ転落に対する恐怖(白人によるアイデンティティ・ポリティクスの行使)、急速なグローバル化やインターネットの登場による中間層の没落(豊かだったものが貧しくなったという感覚、インタネットの登場による生活様式の共有への不信)といったより大きな問題を表象しているに過ぎない。こうした社会の流れや急速な変動への揺り戻し、(移民に対して非同化政策を採ったことに起因する)共有できる敵を常に必要とする従来のアメリカン・ウェイという観点から、トランプ政権が徹底して自国第一主義に走ることは当然の予想である。政治的正当性への不信も含めた民主主義の劣化、享楽化(ポスト

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    2018年07月08日
  • 〈文化〉を捉え直す カルチュラル・セキュリティの発想

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    国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察。
    今後の文化政策を考えるうえで示唆深い内容となっている。「人間の安全保障」「ソフトパワー」といった文化政策に関連するキー概念を理解するのにも役立つ。

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    2017年12月28日
  • 〈文化〉を捉え直す カルチュラル・セキュリティの発想

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    副題のカルチュラルセキュリティの定義や内容があまり頭に入ってこないが、多様な文化の見方が記載されているので、一読の価値あり。

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    2016年11月20日
  • 沈まぬアメリカ―拡散するソフト・パワーとその真価―

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    今回はアメリカのグローバルな影響を、通常見られる飽き飽きした観点ではなく、氏ならではの切り口で展開している点は、相変わらず素晴らしい。
    ただ、あまりにもトクヴィルの言及が多いのが、興ざめに感じた。

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    2016年08月01日
  • 沈まぬアメリカ―拡散するソフト・パワーとその真価―

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    アメリカの力強さを如実に示す8つのトピックを取り上げている.どのアイテムも凄いと感じたが,リベラルアートをとことん追求するアメリカの教育の姿勢を解説した第1章と,日本ではあまりなじみのない政治コンサルタントの実態を取り上げた第6章が印象に残った.アメリカは出張でテネシーやテキサスの田舎に行ったことがあるが,東海岸の都会とは全く別の国だと感じた.だが,田舎でも力強いところは数多く持っていると思う.

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    2016年07月25日
  • アメリカのジレンマ 実験国家はどこへゆくのか

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    親米でも反米でも時代錯誤の罠に陥りかねない、という筆者の言葉が印象的だった。アメリカ例外主義は、アメリカをアメリカたらしめているあまりにも重いイデオロギーである→なるほど、ジレンマの根幹をなす考え方なのだ。共和党と民主党、保守とリベラルの構造に関しては、一読しただけでは、まだ掴みきれなかったが、本書はバランスのとれたアメリカ論で貫かれており、読む価値のある著作と考える。

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    2015年10月22日