渡辺靖のレビュー一覧
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ネタバレソフトパワーを活用した外交、パブリック・ディプロマシー(PD)について書いてある本。2011年発行なので最近の情勢が反映されている。特に東日本大震災と中国との関係の変化は大きい。
大まかな流れはPDの今、歴史、具体例、批判、日本のPD、となっている。ソフト・パワーはジョセフ・ナイが提唱したものとして知っていたがこの本はアメリカだけでなく世界各国でソフト・パワーがどのように機能しているのかが解説されている。
重要なことは、外交という点からすれば効果が無ければ打ち切られてしまうのもやむを得ないが、PDは確かに効果が目に見えにくいが効果は確かにあるということだ。狭い国益に縛られればかえって国益を -
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パブリックディプロマシーの意義について、他国の例も挙げながら非常にわかり易く説明。ナイのソフトパワーを如何に実務的に国策として展開していくか、まさに今の日本に必要とされている。
縦割り的(国内、国外)に取り組むことで、その効果は望まずにどんどん他国に流されるのでなく、マンガやAKB、相撲などフルに活用して、親日の波が市民レベルで拡がるきっかけ作りを国としても取り組むことを期待したい。
ODAなども、貧困削減なども大事であるが、ある程度の新興国に対しては、パブリックディプロマシーを事業計画に取り入れながら進めることも必要ではないかと思う。 -
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パブリックディプローマシーとは、相手国の政府ではなく相手国の国民に働きかけて、国際社会における自国の存在感やイメージを向上させ、自国についての理解を高めて行く外交政策である。
しかし、ソフトパワーやクールジャパンといった掛け声は手垢まみれで、明確なターゲットの不在、情報の操作可能性への過信など、戦略の不在と過剰を問題視する。
むしろ自国の負の現実も含めて事実を伝える自己批判力のある発信が国際的発信力をもたらす、透明性や対話力が示す懐の深さが対外政策を円滑にする、という著者の意見に耳を傾けたい。
実際に、スイスがマネー・ロンダリングにより悪質な組織の運営を間接的に支援しているとのグローバル -
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政府同士の外交ではなく、相手国の世論に働きかけるパブリック・ディプロマシー。現在のいわゆる韓流や、戦後の米国の対日政策が思い浮かぶ。マーケットの小さい韓国が外に向かざるを得ないのは国家の方針としてしょうがないが、ちょっと前の男優さんたちや女性グループの露出の多さで日本における韓国の好感度は全般的に上がっているように思える。(同時に反発もあるが)
日本を占領した米国も、その政策によって瞬く間に敵からあこがれの対象になってしまった。
「パブリック・ディプロマシー」という言葉自体は、意味合いこそ現在と違うものの、19世紀半ばには確認できて、その実践例ははるか昔のアレクサンドロス大王の対ペルシア人政策 -
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アメリカ研究の第一人者。今、最も良質なアメリカウォッチャーといえばこの方になるのかな。
白人ナショナリズムはリバタニアリズム同様、現在も生成過程にある概念で、その在り方は多様であり、実に様々な団体が発生しているとのこと。
これらが、個別的で断片的な事例の記述にとどまっているのは、現段階では学問的体系にまとめられるような状況ではないからであろう。そのことがアメリカ社会が混沌としていることを示唆しているかのよう。
私なり大きくまとめてみる。白人ナショナリズムは優生思想からくる他人種への蔑視という側面ももちろんある。だが、一方で、白人自体がマイノリティ化する中で、白人の権利が侵害されているという被差 -
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新大陸でイギリスを追い出し「大国なのに君主なき民主主義」の道を進んだ実験国家=「理念の共和国」はいま、岐路に立つ。現代アメリカの政治状況を解説する、非常にためになる本だ。
ソ連が崩壊して冷戦が決着した1990年代以降、この国は党派対立が鋭くなり、政治不信が進んだ。これがオバマ、とトランプという2人の大統領を生んだ。2人は手法は違えど根は同じなのだという(p18)。
保守は右へ、リベラルは左へ重心を移し、中道は求心力を失った。コロナとSNSはこうした動きを加速した。いまや米国は「交わることのないパラレルワールドを形成」(p170)しているのだ。本書で紹介される「キャンセル文化」だの、「暗黒啓 -
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「白人ナショナリズム」が、欧米で広がりつつある。白人至上主義と自国第一主義が結びつき、ネオナチや極右など、様々な勢力が連なる、この反動思想の動向を報告した書籍。
現在、米国において白人至上主義の指導者的存在とされるのは、雑誌『アメリカン・ルネサンス』主宰者のジャレド・テイラーである。彼の支持者は、自分たちはリベラルな社会秩序の「犠牲者」だという意識が強い。
白人ナショナリストの政党として「米国自由党」(AFP)がある。「米国人を第一に」をモットーに、「自由、主権、アイデンティティ、伝統」を重視する。その考え方は、トランプ大統領が掲げる「米国第一主義」に近い。
近年、欧州で極右・右派勢力が -
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アメリカ社会、とりわけ若い世代に広がりつつある「リバタリアニズム」(自由至上主義:政府の力を極限まで排除し、自由の最大化を目指す)について紹介した書籍。
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・自由市場・最小国家・社会的寛容を重んじる人々を「リバタリアン」(自由至上主義者)という。
彼らは、ある面では保守、ある面ではリベラルである。例えば、移民や人工妊娠中絶などには寛容(リベラル)であり、銃規制や公的医療保険制度には反対(保守)の立場をとる。
・近年、若者の間でリバタリアン志向が高まっていることを示唆する報告が増えつつある。
2017年に18~34歳の若者を対象に行われた調査では、71%が二大政党(共和党、