【感想・ネタバレ】白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」のレビュー

あらすじ

白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」。トランプ政権の誕生以降、注目を集めるオルトライトをはじめ、さまざまな勢力が連なる反動思想だ。反共、反多文化主義、反ポリティカル・コレクトネスといった旧来の保守と共通する性格の一方、軍備拡張や対外関与、グローバル資本主義を否定する。社会の分断が深まるなか、自由主義の盟主アメリカはどこへ行くのか。草の根のリアルな動向を現地から報告。

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Posted by ブクログ

なるほど、アイデンティティポリティクスやら加速主義やら暗黒啓蒙やら、あれやこれやはそういうことか!っていう本。みんな読みなさい。

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2021年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コロナ禍、トランプ政権、大統領選挙と今読むには打ってつけの内容。
排斥する側の歴史から見る思想だったり、今まで起きた事例をびっしり書かれていて読み応えがあった。
本書でも何回か書かれていたが、この事象(何百万単位の移民がくるようなこと)が日本でも起きた場合、リベラルな立ち位置を保持しできるか、甚だ疑問が残るという考えだ。
とりあえず、より、大統領選挙は注目したくなる本だった。

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2020年11月15日

Posted by ブクログ

また渡辺靖氏の現代アメリカ研究に耽溺した。
最後のコロナ影響への言及まで、止まることを知らないアメリカの変化と懸念が、白人ナショナリズムを通じて明確に浮かび上げていく。
そして日本への眼差しも忘れない視点が素晴らしいです、毎回。
自分達がこれまでグローバリズムの恩恵を受けてきた事とこれからのナショナリズム勃興への危惧を感じ、その前提でどのように行動すべきか問われていると自覚した。

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2020年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「保守」、「リベラル」の括りでは捉えられない勢力の一つである「白人ナショナリズム」について、その当事者や元当事者へのインタビューを通して見えてくる実態について。「反グローバリズムを掲げるナショナリズム勢力が擡頭し、人権、平等、民主主義、多文化主義などに基づくリベラルな国際秩序が揺らいでいる。そこに過激主義や陰謀論の付け入る余地がある。白人ナショナリズムはその一例」(p.190)として、トランプ政権下での人種問題をテーマにしている。著者はアメリカでの生活、研究経験のある大学の先生。
 昔(2016年)『見えないアメリカー保守とリベラルのあいだ』という講談社の新書を読んだことがあって、その著者も渡辺という人だったし、内容も似ていてとても分かりやすいので、てっきり同じ人の書いたものだと思ったら、別の人だった。現実の問題はいかに複雑で解決困難か、似たような主張で一括りにする中にも大小の差異があること、民主主義国家への挑戦、試練という意味では日本も全く例外ではないこと、というポイントは分かった。そのもう少し細かい部分について、以下に気になった部分をメモして、少し整理したい。
 まず事態を複雑にしていることの一つは、外側から見た時と内側にいる人たちの意識の違いによって呼び名が変わること、というのがあると思う。例えば「白人ナショナリスト」(white nationalist)も、その呼び名を快く思わない当事者もいるらしいということ、別の呼び名としては「人種現実主義者」(race realist)とか、「白人擁護者」(white advocate)とか、「白人至上主義者」(white supremacist)とか、もっと穏健な(?)言い方としては「人権活動家」(human rights activist)(p.40)とか。ということなので、呼称を整理することがまず必要、ということが分かった。なので知らなければトランプは「白人ナショナリスト」なのではないかと思ってしまうが、どうもそういうことではなく、当事者にとっては「表層的で、ご都合主義」(p.24)の政治家にすぎないらしく、白人ナショナリストは「反ユダヤ」が多いことからも、トランプとは違うらしい。(が、主張が近いので結局はトランプを支持することになる、という話。)呼称の話の続きで、この世界ではいろんな言葉が隠語、暗号、code wordとして使用される、というのも恐ろしい感じがする。例えば「反増税」→「反福祉国家」→マイノリティ差別の意味、「治安強化」=「犯罪者=マイノリティ(特に黒人やヒスパニック系)」(p.46)など。「多様性」→「白人大虐殺」(p.30)みたいな、良かれと思って使った言葉でも、「そのマイナス面の助長+極端な偏見や思想」という意味を伴わせて攻撃的な言葉に変えてしまうロジックが怖い。
 それから「ペイリオコン」(paleoconservative、原保守主義者)(p.16)という言葉を初めて聞いた。トランプの「米国第一主義」の世界観と近いらしく、「『黄金の五〇年代』と称される第二次世界大戦後の社会を、将来回帰すべき理想と捉え」、「従来の共和党の立場に比べると、反移民、反多文化主義、経済ナショナリズム、非介入主義(孤立主義)の傾向が強い」(同)という指向があるらしい。そして白人ナショナリズムと同一視されがちな理由として、トランプの発言を支えている思想に、「『移民は米国にいられることにひたすら感謝し、大人しく服従すべきだ』という優越主義の残滓が色濃く滲み出ている。米国例外主義(米国を『世界の縮図』と特別視する発想)や愛国心とも絡む複雑な言説であるが、トランプ氏が白人で、言及した相手が白人だったこと、それまでもトランプ氏には人種差別的な言動が多かったことから、この発言は白人ナショナリズムと結びつけられて論じられた」(p.77)ということがあるので、同一視されがち、ということも分かった。事実、「白人ナショナリストにとっても『米国第一』は伝統的なスローガンの一つ」(p.86)ということだから、細かい方法や思想は違っても行き着く先が同じだと同じものとみなしがち、ということなんだと思う。「もっとも、白人ナショナリストといっても力点を置く課題や活動スタイルはさまざま」(p.94)ということで、この本では、「反移民系」、「反LGBTQ系」、「ホロコースト否定系」、「クー・クラックス・クラン系」、「レイシスト・スキンヘッド系」、「ヘイト音楽系」など、SPLC(南部貧困法律センター)による分類が紹介されていて(pp.94-100)、全部で1020(p.100)あるらしく、これは一体多いのか少ないのか、日本にはこういうのはどれくらいあるのか、よく分からないが、なんかアジア人にとっても怖い国だなと思ってしまった。その中にも「加速主義」というものがあるらしく、これに影響を受けて、「敢えて中東やアフリカなどからの移民の流入を促す者もいる。自らの人権意識に乏しい白人を覚醒させるには、移民の大量流入によって文化破壊を加速させ、危機感を喚起するほかないという考えからだ。『悪いほど良い』(worse is better)というわけだ。」(p.109)という、そんなディストピアの極みみたいな発想もあるのかと驚いた。
 そして、これは今のアメリカを語る時だけにはとどまらないが、人種問題なだけに「そもそも人種とは」、ということを考えないといけない。「白人ナショナリストの論理と心理」が第1章で説明されているが、「知能指数(IQ)や出生率、貧困率、犯罪率などをもとに、アフリカやラテンアメリカなどからの移民・難民の流入を否定する論法が多い。正直、私には白人支配を正当化した往年の優性学を焼き直した疑似科学にしか思えない」(p.14)ということだ。「人類学や社会学、歴史学、遺伝学などでは、人種概念を『所与』ではなく『構築』されたものとして捉えることーいわゆる社会構築主義(social constructionism)ーが主流となっている。」(p.124)という、確かに「ユダヤ人」という人種は存在しないことと同様、日常生活の雑談で「人種」という概念を用いて話すことがあったとしても、本当にそれを政策や決定に活かすというのは危険だと思う。「白人ナショナリストの場合、記述的概念である『白人』を科学的概念のごとく扱い、自らの政治的主張に援用している点が非科学的で危険に映る」(p.125)というのはよく分かった。意外なのはこの人たちは高学歴の人や知日家の人も多く「白人ナショナリストの九九パーセントは日本が好きです。」(p.20)と言ったり、「日常生活では黒人やヒスパニック系とも親しい」(同)ので、決して外国人恐怖症でも人種差別主義者でもない、ということだから、結局人間はどこまでも感情で動く生き物なのかもしれない。「科学と人種の関係を論ずる際に気をつけるべき点」が4つあり、重要だと思うのでここに引用しておく。「・差異の基準そのものが多数派や有力者の価値観を反映していないか。・多数派や有力者が上位にくるようにデータを収集、解釈していないか。・一見、生物学的に見える差異も、実は社会的、歴史的に育まれたものではないか。・分析に用いるデータセットやアルゴリズムに偏りはないか。」(pp.132-3)ということで、これは最近読んだ『客観性の落とし穴』という本でも同じようなことが書かれていた。ちなみに反ユダヤ主義といえば、自動車王のヘンリー・フォードも「第一次世界大戦のみならず、南北戦争やエイブラハム・リンカーンの大統領暗殺もユダヤ人の仕業だと公言していた」(p.144)って、英語の教材とかに時々出てくる人なだけに、そんな顔もあったなんて意外すぎる。ちなみに反ユダヤ主義とは、「ユダヤ教やユダヤ教徒を一括りにして紋切り型の色付けをする行動」(p.146)のことで、たとえ賞賛する内容だったとしても、「いつ反転するか分からない。そのときの怖さが私たちには歴史を通して身に染み付いている」(同)ということで、とにかくステレオタイプで集団にレッテルを貼るのは良くないし、ユダヤ人についての言説はその極端な例、と捉えることができると思う。
 著者の前作は『リバタリアニズム』で、白人ナショナリズムと並ぶ重要な2つのイデオロギーということで、本書は「姉妹編」(p.200)とも言える、ということだが、そのリバタリアニズムとの違い、というのも整理しないと、難しい。「連邦政府や二大政党制への不信」(p.27)という点では共通、過度なポリティカル・コレクトネスへの批判という点も同じだが、「リバタリアンは総じてグローバリズム(ヒト・モノ・カネの自由な移動)に肯定的で、個人の自由を束縛する集合主義(民族主義、人種主義、宗教原理主義、国家主義など)には否定的」(p.28)ということらしい。「リバタリアニズム」との関わりについては、p.135で紹介されている「ノーラン・チャート」(「『社会的自由』(個人の自由や権利vs. 集合的・道徳的価値)と『経済的自由』(大きな政府 vs. 小さな政府)を軸とする座標図」(p.199))が理解の助けになる。ちなみにポリティカル・コレクトネスへの批判、というのは言い換えれば「反エスタブリッシュメント」(p.71)とも言える。「『ポリティカル・コレクトネス』を国内外を覆う政治的・道徳的タテマエと一蹴し、『闇の政府』の解体を訴えるトランプ氏は、怒れるサイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派)、とりわけ白人労働者層にとっての『救世主』となった。無論、白人労働者と白人ナショナリストはイコールではないが、少なくとも両者が交わる領域は存在する。」(pp.71-2)ということらしい。白人ナショナリストの「上の世代の場合は公民権運動が、下の世代では進学や就職の際のアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)が大きな契機となっている場合が多い。そして、どちらの世代も、今日の米国を覆っている『ポリティカル・コレクトネス』(PC)は自由を脅かす『言論統制』の一種であり、その推進者や擁護者を『コミー』(commie, 共産主義者の蔑称)と糾弾する」(p.118)ということがあり、よく中高生に英語を教えている段階だったらmanは使わないようにとかMrs.とMiss.は古いからMs.で、でもちょっと行きすぎた言葉もあるよね(horizontally challenged peopleで太った人、とか)、くらいな話で済むけど、それどころではないくらい厳しいことになっている、というのがよくわかる。日本も「コンプライアンス」「ハラスメント」がブームだけど、これも行きすぎたら政治運動になって、これと真逆なことを言い出す人たちが生まれるような状況にまでなったりしないのかな、とか今思った。
 他にも「白人ナショナリズムとの訣別」(p.166)を果たした人と、再会した人が、かつて自分が暴力を振るった相手だったという話で、この2人が「寛容博物館」で働いている、という話は印象的。最後に、どういう人がどういう経緯でこういう思想に触れるのか、という話で、「オンラインゲームも勧誘の主戦場になりつつある。」(p.178)とか、そしたらゲーム好きな日本人だって容易に染められちゃうんじゃないの、と思ったり。最後に「トライバリズム」という言葉も初めて聞いたが、「人種や民族、宗教、ジェンダー、教育、所得、世代、地域などの差異に沿って、各自が自らの集団の中に閉じこもること」(p.189)を指し、さらに「近年、米国では専門家や専門知への敬意が失われ、正誤ではなく、好き嫌いによって政策を判断する風潮が強まって」(p.189)、「『客観的事実』なるものが消え去り、『部族』ごとに異なる事実が存在し、専門知も一部族にとっての事実に過ぎないというわけだ。(略)労働者層、とりわけ白人の多くもまた、ロシア疑惑やウクライナ疑惑があろうとも、同氏を固く支持し続ける。あたかも『トランプ部族』であるかのように。」(p.190)ということで、もう容易に自分が何を支持したらいいのかは分からないし、考えられないので、結局人を見てその好き嫌いで、ということがあるのだと思うが、その状況は日本も同じなんじゃないかなと思った。
 本筋とは関係ないが、自分の知らない英語や英語の使われ方、キーワードで勉強になったものは、replacementが「乗っ取り」、carnage「殺戮」、fringe「泡沫」、troll「荒らし」、character assassination「名誉毀損」、deep state「闇の政府」とかかな。ちょっと前に『世界をちょっとよくするために知っておきたい英語100』という本があったが、これの姉妹版みたいな感じで、英語にフォーカスを当てて今のアメリカについて勉強する本とかあったらいいな、とか思った。
 この本は2020年に書かれたものだけど、本書で述べられている傾向は、それこそ加速主義なみに加速しているような気もして、最近の日本での選挙を見ても、「日本人ファースト」とか書いてある政党のポスターも貼られていたりするので、これからの日本の未来を見る上でももっと今のアメリカを勉強しようと思った。(26/03/27)

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

昨今の米国を覆う、従来の保守主義でもない、なにか。なにがトランプを生んだのか。なぜトランプは従来の常識ではありえない行動をとっても支持され続けるのか。本書が紹介する、米国における白人ナショナリズムは、日本にいる我々にとって不可解な現在の事象の背景を説明するものである。本書により、これまで異端に思えた思想が裾野を広げている現実や、突拍子もない陰謀論の発端となる思想への理解が深まる。
白人至上主義といえば、KKK に知られるように素頓狂な格好をする非常に尖った思想である、といったイメージはもはや古い。筆者が取材した会合では、ネクタイやジャケットの着用が義務で、参加者はみな社会的地位をもち不自由ない暮らしをしながら、白人を守るという思想に駆り立てられている。本書は白人至上主義者と呼ばれるのを嫌う彼ら (※ほとんどが男性) を「白人ナショナリスト」と呼ぶ。彼らは主張をソフト化し、またイデオロギを直接表面に出さず、インターネットやネットミームを駆使して、「オルトライト」と呼ばれる層を形成して裾野を広げる。
白人ナショナリストが理想とするのは、第二次世界大戦後が終わり公民権運動が始まる前の1950年代の、白人ミドルクラス中心の社会秩序である (Paleoconservative)。グローバリズムや「行き過ぎた多様性」により、本来の米国の魂を理解しない移民たちが白人たちの築いた社会を「侵略」し、白人たちの誇りを奪っているとして、“It's okay to be white.” をスローガンに活動する。日本社会のことを、移民・難民が少なく人種的均一性が高い社会として高く評価する。生理的な理由によって白人以外を差別しているわけではなく、知能指数や脳容量などの表層的なデータによって理由を作り白人の優秀さを誇る。強烈なユダヤ人差別感情を持ち、グローバリズムはユダヤ人の策謀であるという論を中心に、様々なユダヤ系陰謀論を唱え、ナチズムを支持する。
彼らは旧来は公民権運動、最近では Affirmative Action を契機に白人ナショナリズムに流れ、Political Correctness に反対し、連邦政府や二大政党制に不信感を抱いている (その点で Libertarian に誤解されることもある)。

本書で特に勉強になったのは、トランプの「米国第一主義」「メキシコ国境に壁を」といった主張はすべて、トランプによる唐突なアイデアではなく、それまでに白人ナショナリストが打ち出していた論であることである。彼らはトランプを支持しているわけではなく、信念のない政治屋だと考えているが、共和党を変えてくれるとして投票する。トランプは彼らの界隈のミームを投稿するなど迎合し、カジュアルなオルトライト層を取り込む。
これらの層は今や異端と軽視できない。世論調査によれば、ナチズムやオルトライトを明確に支持する者は米国人の1割に満たないが、それらを明確に否定しない者は米国人の3割近くに及ぶという。第二次トランプ政権の異常な DEI 排斥は、こうした現状を映し出しているものと考えられるだろう。

以上のような、日本で過ごしているだけではどうしても理解できない大衆的な変化を、筆者は取材も駆使して丁寧に説明していた。章分けが情報源ベースで話の行き戻りの多さが若干の読みにくさを生んではいるものの、その分重要な内容の繰り返しも多く、かつ平易な文章で読みやすい。日本における参政党の躍進の理解にも役立つかもしれない。読んでおいて損はない一冊。

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2025年04月30日

Posted by ブクログ

トランプが支持される理由がよく分かる本。単に白人ナショナリズムだけで支持されてるわけじゃなく、アメリカでこれまで連綿と続いてきた反権威主義と反知性主義などが悪魔合体したキメラみたいなものとして具現化している。

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2024年10月03日

Posted by ブクログ

 アメリカ(さらにヨーロッパ)では、保守とリベラルを超え、またリバタリアニズムと権威主義とが複雑に絡み合って、白人至上主義が台頭している現状と、その社会的・文化的な背景が実地研究を踏まえてわかりやすく解説されている。
 白人ナショナリストは、自らの民族・文化的なアイデンティティがリベラルな多文化主義、国際協調主義によって脅かされていて、むしろ自分たちこそ「被害者」であると考えている。この点に、問題の根深さがある。このことがよくわかった。
 文化的に同質性のある日本人には理解しづらいが、今後、外国人の入国・在留が増えてくる中で、日本人はなお多文化・多様性の尊重を唱えることができるのか。これを鋭く突きつける一冊。
 本書は2020年コロナ感染拡大の直後に書かれているが、コロナ禍によって、米国ではグローバリズムよりもナショナリズム、国際協調よりも自国第一主義の助長が予想される旨を示唆している。これは見事に当たってしまったと言わざるをえない。もっとも、この予想は、アメリカだけではなく、ヨーロッパ、さらにもはや日本にも妥当してしまっているような気もする。

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2022年10月02日

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Black Lives Matter 運動が起こるきっかけになった白人警官による黒人男性の射殺事件。
それまでも同様の事件が頻発し、とうとうこの運動が大きな波となった時、まだ運動の根底にある問題やアメリカの実情は全く知らなかった。漠然とイメージにあったのは、人種差別、反移民、白人至上主義、白人ナショナリスト=暴力的な集団。。

この”白人ナショナリスト”について当初は暴力的で理解しがたい別世界の人たちだと思っていたのに、読み進めるうちに理解できることが多くて驚いた。

アメリカの人口の大半を占め、アメリカの礎を築いてきた白人は、今や移民の流入等により米国に占める割合がどんどん減っている。そして、これに対して、自国を乗っ取られたくないという思いがある人たちがいる。。白人ナショナリストの人にとって日本は、同質性の高い社会として尊敬されているとのこと。
もし日本で移民や外国人労働者の受け入れが大幅に増加した時、自分はどんな考えを持つだろう?コロナ前に訪れた観光地が、中国からの観光客で溢れていた時、マナーの違い等から少なからず不快な気持ちがあった。また道ですれ違う外国人労働者に対するちょっと距離をおいてしてしまう気持ち。。

勿論、暴力を擁護することは決してないけど、白人ナショナリストの人たちの考えを自分も持つ可能性は大いにある。本当は、そもそも人種や出身国で人を見ずに個人として捉えなければいけないのかもしれない。。

とにかく、この本を読んで、遠いアメリカの出来事だと思っていた問題が日本でも起こりうる問題として自分ごとで捉えられました。

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2021年06月05日

Posted by ブクログ

白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」
「どうしてそういう思想を持つに至るのか」という疑問から読み始めたのだが、第1章のジャレド・テイラーの言葉「もし日本に外国人が数百万単位で入ってきたら〜」に衝撃を受けた。中国人観光客が大量に押し寄せてきただけで、我が町の商業施設はその様相を変えた(具体的にはドラッグストアや安売り店だらけになった)これが移民ということになったら、町はさらに形を変えるに違いない。それを受け入れるのか拒むのか。白人ナショナリズムを極々小さな規模まで落とし込むと、こういう話になるのだと思った。
一方で、白人至上主義者が日本に対して好意的なのにも複雑な気分になった。クールジャパンと言われている文化や行動に対する好感触が、実は単一民族による文化保護への評価(中身の良し悪しは関係ない)ではないかとさえ思えてきた。
考え方は色々で、今すぐに自分の中で答えは出せないが、引き続きこの問題について考えていきたいと思わされた一冊。

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2021年02月13日

Posted by ブクログ

アメリカ、そしてヨーロッパで起きていることの一面の理解に。ルポルタージュ的内容で、著者自身はどちらかというと反トランプ的なようですが、中立的に書かれていると思いますので、参考になりました。

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2020年10月04日

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ナショナリズムはグローバル化する世界への反動なんだろうけど、文化的同一性の高い日本人が批判するのは簡単よね

アメリカは大変だろうと思う。コロナ禍によってグローバリズムとナショナリズムの関係はどうなっていくのか

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2020年08月16日

Posted by ブクログ

20200725ー0801 題名の『白人ナショナリズム』とは、白人至上主義と自国第一主義が結びついた反動思想だと言う。著者はトランプ政権下での草の根のリアルな動向を伝えている。コロナ禍に世界中が見舞われているなか、アメリカではBLM運動が炎上している

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2020年08月03日

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BLMが正義であり、KKKに代表される白人至上主義が悪である、という単純な理解がまかり通る日本において本書が刊行される意義は大きい。読後に、白人ナショナリストたちが理想とする「単一民族」日本の実態とは?白人から見れば同系民族である朝鮮人を差別するのはなぜなのか?移民が確実に増加していく将来のあり方は?、と自問することになる。

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2020年07月25日

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彼らが強まっている力学、というよりは内部からの声に真摯に向き合ったという印象で、どういう理論で彼らが発言しているのか、というのが判断抜きで語られる。
その点、とても中立的で真摯な印象をうけるし、その上での筆者の判断もそれとわかる形で明示されているので押し付けがましくなく、とても読んでいて気持ちがいい

この本を選んだ問題意識はなぜ白人ナショナリズムの高まりがこれほどとなっているのか、だったがそれ自体の答えは明示されず、筆者も考えている、という印象。

現在進行形の問題に対してはこういう態度が実は一番紳士的で、読者にとっても、考えて今を分析するツールの一つになるのだなぁと気がついた

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2020年06月02日

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アメリカ研究の第一人者。今、最も良質なアメリカウォッチャーといえばこの方になるのかな。
白人ナショナリズムはリバタニアリズム同様、現在も生成過程にある概念で、その在り方は多様であり、実に様々な団体が発生しているとのこと。
これらが、個別的で断片的な事例の記述にとどまっているのは、現段階では学問的体系にまとめられるような状況ではないからであろう。そのことがアメリカ社会が混沌としていることを示唆しているかのよう。
私なり大きくまとめてみる。白人ナショナリズムは優生思想からくる他人種への蔑視という側面ももちろんある。だが、一方で、白人自体がマイノリティ化する中で、白人の権利が侵害されているという被差別意識が白人ナショナリズムを台頭させているという面もあるという点が重要だと思われた。差別は被害者意識が生む。すべからくどのような差別にも、それを行う当人に加害者意識はない。

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2024年07月03日

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白人ナショナリズムとは、白人至上主義と自国第一主義が結び付いた反動思想である。
反多文化主義である一方、軍備拡張や対外関与、グローバル資本主義は否定している。
アメリカはどこへ向かおうとしているのか、考えさせられる。

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2023年08月17日

Posted by ブクログ

「白人ナショナリズム」が、欧米で広がりつつある。白人至上主義と自国第一主義が結びつき、ネオナチや極右など、様々な勢力が連なる、この反動思想の動向を報告した書籍。

現在、米国において白人至上主義の指導者的存在とされるのは、雑誌『アメリカン・ルネサンス』主宰者のジャレド・テイラーである。彼の支持者は、自分たちはリベラルな社会秩序の「犠牲者」だという意識が強い。

白人ナショナリストの政党として「米国自由党」(AFP)がある。「米国人を第一に」をモットーに、「自由、主権、アイデンティティ、伝統」を重視する。その考え方は、トランプ大統領が掲げる「米国第一主義」に近い。

近年、欧州で極右・右派勢力が台頭している。これらの勢力は、自国第一主義やグローバリズムへの反発などを共有しており、米国と欧州で互いに共鳴し合う関係にある。

白人ナショナリズムの拡大に伴い、極右の過激派によるヘイト犯罪やテロが増えている。これまでのテロ対策はイスラム過激派に偏重していたが、今後は白人ナショナリストによる過激主義の脅威が安全保障の重要な課題になってくる。

米国では、白人人口が減るにつれ、白人ナショナリズムが増大している。今後、白人が過半数を割り込むとされる2040年代半ばに向け、さらなる過激化の可能性がある。

白人ナショナリズムの隆盛は「米国の分裂」を招く。昨今の米国社会は、トライバリズム(政治的部族主義)の様相が濃い。特定の部族=支持基盤の利益だけ重んじ、抗う部族を敵視する。他の民主主義国家でも世論の分断は進み、人権、多文化主義などに基づくリベラルな国際秩序が揺らいでいる。

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2021年09月08日

Posted by ブクログ

でてくる人,団体が多すぎて,学術的には必要かもしれないが,読んでいてフォローしきれない.団体にいちいち略語(アルファベットの頭文字で略したもの)を付けているが,一般の読者にはいらないのではないかと思う.全般に羅列すぎて,では著者の立場はどうなのか,があまりない.

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2020年11月14日

Posted by ブクログ

「彼らと同じ言い分」を、最近、日本でもほんとうに多く見聞きする。トランプ大統領の誕生とヘイト犯罪の増加の関連性は、安倍政権の存在が引き起こしている数々の事態と決して無関係とは言えない。読んでいて、そんな薄気味悪い感覚に襲われた。白人ナショナリストの「人種思考の強さ」を指摘した第4章は、人種の本質を考える上で必読!

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2020年06月17日

Posted by ブクログ

白人ナショナリズムが米国だけではなく、世界情勢にも大きな影響を与えることを危惧しつつ書かれた一冊。もっとも、その筆致は白人ナショナリストに対しても超越的ではなく、それゆえにかえって著者の危機感が伝わってくる。白人ナショナリズムにはダイバーシティですら否定的な言葉として受け止められていることに、衝撃を受けた。

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2020年06月03日

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