本書で特に勉強になったのは、トランプの「米国第一主義」「メキシコ国境に壁を」といった主張はすべて、トランプによる唐突なアイデアではなく、それまでに白人ナショナリストが打ち出していた論であることである。彼らはトランプを支持しているわけではなく、信念のない政治屋だと考えているが、共和党を変えてくれるとして投票する。トランプは彼らの界隈のミームを投稿するなど迎合し、カジュアルなオルトライト層を取り込む。
これらの層は今や異端と軽視できない。世論調査によれば、ナチズムやオルトライトを明確に支持する者は米国人の1割に満たないが、それらを明確に否定しない者は米国人の3割近くに及ぶという。第二次トランプ政権の異常な DEI 排斥は、こうした現状を映し出しているものと考えられるだろう。
Black Lives Matter 運動が起こるきっかけになった白人警官による黒人男性の射殺事件。
それまでも同様の事件が頻発し、とうとうこの運動が大きな波となった時、まだ運動の根底にある問題やアメリカの実情は全く知らなかった。漠然とイメージにあったのは、人種差別、反移民、白人至上主義、白人ナショナリスト=暴力的な集団。。