あらすじ
反米/親米を超えて変わりゆく大国の素顔をとらえる
「貧困大国」等々のアメリカ衰退論は、どこまで的を射ているのか。これからの対アジア政策、中東政策、日米関係はどうなるのか。そして“ポストオバマ”のアメリカはどこへ向かうのか――。戦後70年を機に、気鋭の文化人類学者が、「歴史認識」「政治」「社会」「外交」から、アメリカ社会の実相とダイナミズムを鮮やかに描きだす。
※写真の一部をカラーで収載しています。
[内容]
第一章 アメリカの「歴史認識」──日本像から見る
(1) 不可解な日本の「保守」
(2) なぜ右派が警戒されるのか
(3) 更新される「歴史認識」
(4) 「ディスカウント・ジャパン」への反応
第二章 アメリカの「戦後」──保守とリベラルの相克
(1) 「自由社会の盟主」はいかにつくられたか
(2) 「黄金の五〇年代」を起点とするアメリカ現代史
第三章 戦後社会の変質──自由大国のジレンマ
(1) 「個人化」する社会
(2) 保守化する経済、拡大する格差
(3) 超資本主義化する政治
(4) 新自由主義的「自治」の加速
(5) 社会のリベラル化
第四章 オバマ外交の現実──「世界の警察官」からの退却
(1) アメリカ再建への要請
(2) アジアへの「リバランス」
(3) 転機を迎える日米関係
(4) 中東をめぐる混迷
第五章 「アメリカの世紀」は終わったのか──親米/反米を超えて
(1) アメリカ衰退論を検証する
(2) アメリカの自画像
(3) アメリカへのまなざし
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アメリカに関する書籍として、現在、最良である。前著のアメリカンデモクラシーの逆説にも衝撃を受けたが、本書は更に外交と歴史的な観点が加わった鋭い視点で書かれており、当にジレンマを表現しきっている。
氏のあとがきにもあるとおり、アメリカという国はいつも目が離せない。自分では到底整理出来ないが、これからも著者のアメリカ論をフォローしたく、何年後かの次作を期待する。
Posted by ブクログ
親米でも反米でも時代錯誤の罠に陥りかねない、という筆者の言葉が印象的だった。アメリカ例外主義は、アメリカをアメリカたらしめているあまりにも重いイデオロギーである→なるほど、ジレンマの根幹をなす考え方なのだ。共和党と民主党、保守とリベラルの構造に関しては、一読しただけでは、まだ掴みきれなかったが、本書はバランスのとれたアメリカ論で貫かれており、読む価値のある著作と考える。
Posted by ブクログ
アメリカのリベラル、保守の歴史、傾向等がわかる。読むほどに複雑な社会と考えさせられる。
単一民族の日本人とは全く違った難しさがあり、トランプ政権の今後が非常に気がかりに感じた。