渡辺靖のレビュー一覧
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【私たちは往々にして現実社会における「影」や「負」への対応を政府に丸投げしてはいないか。そして、政府を批判することで私たち自身の「他者への責務」から逃れ、自らを道義的高みに置こうとしてはいないか】(文中より引用)
保守やリベラルといった広く用いられる用語では定義することが難しい「リバタリアニズム」という考え方。淵源やその広がりを辿りながら、アメリカで若者の注目をにわかに集めつつある思想の説明を試みた作品です。著者は、『文化と外交』などでも知られる渡辺靖。
リバタリアニズムの解説本として機能しつつ、リバタリアニズムが硬直的・単一的な思想ではないということを示している点が魅力的。アメリカを分析 -
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本来の自由主義
リバタリアニズムを代表する政治家として米大統領選にも出馬した経験のある元米下院議員ロン・ポール氏が現役時代の2012年、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授と、経済ニューステレビのブルームバーグで討論したことがある(『ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ』に収録)。
中央銀行によるインフレ政策を支持するクルーグマン教授は、金本位制の復活を唱えるポール氏に対し、百年前の世界に戻るようなものだと批判。するとポール氏はあざやかにこう切り返す。「教授の主張は一千年、二千年前に戻りたいという考えではありませんか? かつてのローマやギリシャのような国家が、自分たちの通貨を減 -
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パブリック・ディプロマシー(文化・広報外交)について書かれた本で、経済・軍事力といったハードパワーと対比される文化・国際交流のソフトパワーについて、各国の事例・日本と外国との対比を交えながら解説した良書。
そもそも文化・広報外交やパブリック・ディプロマシーという言葉自体に一般のなじみは薄く、British Councilを知っている人も日本に国際交流基金という日本の文化・国際交流を担う組織が存在していることはあまり認知されいないように思う。
中国が孔子学院という名で日本の大学の中に中国語教育センターを増やしていることへの言及もあったが、私自身中国語を勉強しようと思ったときに検討していた学校 -
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昨今の米国を覆う、従来の保守主義でもない、なにか。なにがトランプを生んだのか。なぜトランプは従来の常識ではありえない行動をとっても支持され続けるのか。本書が紹介する、米国における白人ナショナリズムは、日本にいる我々にとって不可解な現在の事象の背景を説明するものである。本書により、これまで異端に思えた思想が裾野を広げている現実や、突拍子もない陰謀論の発端となる思想への理解が深まる。
白人至上主義といえば、KKK に知られるように素頓狂な格好をする非常に尖った思想である、といったイメージはもはや古い。筆者が取材した会合では、ネクタイやジャケットの着用が義務で、参加者はみな社会的地位をもち不自由ない -
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トランプからバイデンにアメリカ大統領が変わっても、深い分断に苛まれ、遠心力が強まるアメリカの現状とその歴史的背景、今後の展望について解説。
米国流の「保守」と「リベラル」の歴史的形成過程、近年台頭する従来型の「保守」・「リベラル」とは別物の「権威主義(米国第一主義)」・「社会民主主義」・「リバタリアニズム」という潮流などの解説がわかりやすく、分断を深める現在のアメリカを理解するに当たって頭が整理された。
コロナ禍も契機に非科学的な陰謀論が米国を跋扈している現状も改めて認識し、頭が重くなるが、分断をこれ以上深めないためにも、本書で指摘されているように「陰謀論者の主張に同意する必要は全くないが、彼 -
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「実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。
これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。」
とも言われたように、民主主義は微妙なバランスの上でポピュリズム化の危険性の上に成立していたのだろう。
でもアメリカの民主主義もSNSの引き起こすポピュリズムにのまれようとしている。エコーチェンバー現象とフィルターバブル現象は、人間の根源的に持つ性質とSNSのというメディアの特性が生んだ必然ではないだろうか。
この先アメリカは新時代の民主主義を生み出せるのか、それとも本当にポピュリズムよって滅びてゆくのか。
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Posted by ブクログ
アメリカ(さらにヨーロッパ)では、保守とリベラルを超え、またリバタリアニズムと権威主義とが複雑に絡み合って、白人至上主義が台頭している現状と、その社会的・文化的な背景が実地研究を踏まえてわかりやすく解説されている。
白人ナショナリストは、自らの民族・文化的なアイデンティティがリベラルな多文化主義、国際協調主義によって脅かされていて、むしろ自分たちこそ「被害者」であると考えている。この点に、問題の根深さがある。このことがよくわかった。
文化的に同質性のある日本人には理解しづらいが、今後、外国人の入国・在留が増えてくる中で、日本人はなお多文化・多様性の尊重を唱えることができるのか。これを鋭く