渡辺靖のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アメリカ社会、とりわけ若い世代に広がりつつある「リバタリアニズム」(自由至上主義:政府の力を極限まで排除し、自由の最大化を目指す)について紹介した書籍。
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・自由市場・最小国家・社会的寛容を重んじる人々を「リバタリアン」(自由至上主義者)という。
彼らは、ある面では保守、ある面ではリベラルである。例えば、移民や人工妊娠中絶などには寛容(リベラル)であり、銃規制や公的医療保険制度には反対(保守)の立場をとる。
・近年、若者の間でリバタリアン志向が高まっていることを示唆する報告が増えつつある。
2017年に18~34歳の若者を対象に行われた調査では、71%が二大政党(共和党、民主党)に幻滅しており、本格的な第三政党が必要だと回答した。
・リバタリアニズムが広まった背景には、インターネットの登場がある。
例えば、Airbnb、Uber などのサービスは政府の法規制によって守られるのではなく、インターネットを通した利用者間の評価を基に自生的に成立する。ブロックチェーンも然り。
こうした技術の進展が、政府とは無縁のリバタリアン的世界を広げている。
・リバタリアンの内実は様々。
例えば「政府の関与の度合い」については、次のように立場が分かれる。
└無政府資本主義
政府の存在を認めず、警察や裁判所などあらゆるサービスの民営化を唱える。
└最小国家主義
政府の役割は、国防・司法・治安に限定されるとする。無政府資本主義者よりは穏健な立場。
└古典的自由主義
「大きな政府」を否定しつつも、政府の役割にはより肯定的。最も穏健で中道に近い立場。
・リバタリアンには立場の違いを超えた共通点がある。
それは「相手(ないし自分)の自由を侵害しない限り、自己(ないし他者)の自由は認められる」とする、相互不可侵の関係性。 -
Posted by ブクログ
リバタリアンに興味があって購入した。自由ってものを考えている中でよく見かける思想だったので、お、読んでみよかな、と。
前半や最終あたりはフリーステイト構想やリベルランドなどすごく面白いと思った。日本の少子高齢化の加速具合とかを見る限り、限界集落を狙ってやれば実現するのでは?なんて夢想して、心が躍った。日本は中央政府が強い統治構造なので、自治立法権を強くしたり、予算とか課題は山積だけど。いずれにせよ、なんてかっこいいアイデアなんだ、と。アイデアの共同体というのも、すっと腑に落ちる。世代かな。
他方で、後半はつまらなくなってきた。一つには、リバタリアニズムというものを考察するのだが、なんというか若干印象論に近いような…あまり学術的な考察になってなかった点があると思う。もう一つは、著者の人脈自慢のような影を感じて、気分的に乗れなかった。ただ、後半もランドなど各種思想家やその影響を紹介してくれていて、イントロダクションとしての意義は深いと思う。
総じて、イントロダクションとしての価値は高い。
ちなみに、後半は考察される人がコロコロ変わるので、注意しないと誰が誰か分からなくなる。 -
Posted by ブクログ
米リバタリアン党を創設した、デヴィッド・ノーランは、リバタリアニズムの位置づけを、個人と経済的自由をともに重視する政治的立場と位置付けています。個人の自由を軽視し、経済的自由を重視するのが保守、個人の自由を重視し、経済的自由を軽視するのがリベラル、とのことです。
このノーランチャートは、アメリカの2大政党である共和党(保守)と民主党(リベラル)、そして最近注目されているリバタリアンの政治的位置関係を良く説明してくれています。固定した身分社会や巨大な政府による統治の両方を拒むという点においては、いずれも共通とのことです。
リバタリアニズムに多大な影響を与えている思想として、作家アイン・ランドの、「肩をすくめるアトラス」という小説が紹介されています。合理的利己主義を称揚し、公共善や利他主義を否定、集団的思想を拒否し個人の主体的実存を貫いたと、その人物像が語られていますが、元々はロシア出身。個人主義への傾倒は、ロシア革命後の全体主義に対する反発から生まれたのでしょうか。いずれにせよ、グリーンスパンや、トランプ大統領など愛読者が多いようです。
個人の才能や努力による自己実現を重視し、その自由を阻害する要因を排除、否定するのがリバタリアンと理解しました。著名な経済学者であるミルトン・フリードマンの孫が、シーステッドという洋上自由都市を提唱しているエピソードを興味深く読みました。 -
Posted by ブクログ
後書きにもあるように、リバタリアンを保守、共和党と同一と考えていた私自身がいた。しかし、そうではなく、リバタリアンで民主、共和双方に信頼を置かず、リバタリアン党という第3党がある。そして大部分のリバタリアンは党を超えて投票行動している。移民、他宗教、LGBT、妊娠中絶に寛容な思想から、むしろトランプ批判が強い。全くの認識誤りだった。彼らからすると日本の安倍政権は「規制大国」「最も成功した社会主義国」との理解はその通りになるだろう。経済的には「保守」、社会的には「リベラル」とは驚きだった。行きつくところに「無政府資本主義」という思想さえあるということは、どこまで知られているだろうか?
著者は共和党の大きな転換点をリンカーン、レーガン、そしてトランプにあると主張する。このレーガン共和党の考えも、リベタリアンとは全く異なる!驚きだった。 -
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政府要人同士の伝統的外交と異なり、相手国世論に直接働きかけ、相手国国民の「心と精神を勝ち取る」ためのパブリック・ディプロマシーについて、その中国や欧米による最前線から始まり、その起源と今日に至るまでの概念的変遷、代表的な手法と事例、注目すべき近年の動向、それに対する懐疑や批判、そして、日本におけるパブリック・ディプロマシーの歴史と課題まで、幅広く論じている。パブリック・ディプロマシーについて考えるには最も適した一冊だと思われる。
ただ、いろいろな要素が詰め込まれているので、通読した後、「で、パブリック・ディプロマシーとは何だったか」と思い返そうとしても、あまり浮かんでこなかった。パブリック・ディプロマシーというのは、一言ではなかなか語り難い概念であることを感じた。他方、パブリック・ディプロマシーに対する著者のスタンスがいまいちよく掴めなかったことも、理解が十分に進まなかった一因であるように思う。
パブリック・ディプロマシーへの批判として、その「政治性」や「戦略性」への批判が取り上げられていたが、個人的には、プラグマティックに考えて、文化が政策遂行の手段となることにあまり抵抗はない。むしろ、現在の日本のパブリック・ディプロマシーには、明確な政策目的や戦略性が足りないことが問題だと思う。 -
Posted by ブクログ
著者は、文化人類学から国際政治を分析。
先日、リアルの講演会に参加したので、著書を読んでみた。
リアルの講演会は、大統領選予測など、報道ものが多かったが、この本は、パブリック・ディプロマシーという文化外交の部分に焦点をあてたもの。
例えば、最近中国が豊富な経済支援とともに、孔子学院を世界中に立地させているというような話。
ユニセフのような理想主義、各国の国民が高い水準の文化と知識を持つために活動するのか、それとも自国のための国益追求のためのソフトパワーとして実施するのか、著者はその中間領域があるとの立場。
自分は、端的にいって、国益を実現するためのソフトパワーとして位置づけた方が税金を支出する理屈がたつと思う。もちろん、相手国に対して、どうお化粧するかは別にして。
最終的には国益に資するような効果を生まなければ、政策と長続きしない。
アイドルをかわいい大使に任命したり、トムクルーズを観光大使に任命しても、結局、それが日本の国益にどう役立っているのか、説明できなければ、国の役所のやる仕事ではないと判断される。
そういう厳しいチェックに、別に事業仕分けであっているというよりも、税金を支払う国民の目からあっているという意識が重要。