黒木登志夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
まさかこのタイトルの本に、谷崎や三島の名前を見ることになろうとは、思っても見なかった。
著者の黒木先生はがん研究者であり、それがこの本の購入動機にもなった。
「知的文章」に関しては、先の日本の文豪等からも引用し、その教養の広さに驚かされた。
「プレゼンテーション」に関しては、正直、あまり学ぶところがなかった。
というよりも、先生とは考え方が合わないようである。先生は、あまり派手なプレゼンを好まないようであるから。
「日本語と英語」に関する考察も非常に興味深い。
"Globish"や"Glopanese"という造語は、これから私にとっては、キーワードになりそうでもある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
40年間研究だけをしてきた基礎医学者が、突然、地方国立大学の学長に。
法人化の混乱、抵抗する教員、文科省の圧力、予算削減のなかで奮闘する落下傘学長。
データを駆使した現場報告。
[ 目次 ]
落下傘降下
遠山プラン―高等教育のグランド・デザイン
国立大学法人化―国立大学包囲網
法人化で何が変わったか1―システム改革
法人化で何が変わったか2―削られる予算
岐阜大学の試み―思いつき学長
教育に軸足を置く―大学の原点
附属病院の危機―破綻のスパイラル
事務局―支配する組織から支持する組織へ
拡大する大学間格差―東大一人勝ち
学長の生活日誌―忙中閑あり
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
2014年のSTAP細胞事件から「研究不正」に興味があり、本書を読んだ。これまでに村松秀著『論文捏造』や上原善広著『発掘狂騒史』を読んだが、これらの事件も含めてより広範に不正の事例を紹介している。不正とは、①捏造、②改ざん、③盗作の3つである。
本書の発刊は2016年。著者の黒木登志夫氏は東北大学医学部を卒業した医学博士で、世界で初めて試験管内での発がん実験に成功した研究者。東大名誉教授、岐阜大学名教授でもある。1936年生まれの氏は2024年現在88歳だが、まだまだお元気で、今年の8月にも『死ぬということ』(中公新書)を上梓した。本書で記された「研究不正」に対する怒りからも、またときおりジョークを織り交ぜるその文体からも、氏の情熱が伝わってくる。
近年も自動車メーカーでデータの改ざんなどが明らかになった。古くは1985年の日航123便墜落事故もJALの不正が原因であったと思っている。研究者の不正と企業の不正。要はモラルの問題で、地位や名誉や利益を優先すれば、相対的にモラルは低下する。日本で不正が多いのは、戦後に道徳教育をまともにやらなかったせいではないだろうか。
数か月前に山本義隆著『私の1960年代』を読んで、東大全共闘の目的の一つが、「科学への問題提起」であったことを知った。それは科学そのものというよりは科学者への問題提起であった。彼らが提起した問題と研究不正の問題は地続きではないか。 -
Posted by ブクログ
ワクチンの仕組みや開発、その有用性に対する科学的な説明を主軸に、コロナ禍に何が起きて何がなされていたのか、2022年始めのオミクロン株ぐらいまでの変遷が分かりやすく説明されています。また、コロナ禍で顕わになった日本の政治対応や医療体制の脆弱性についても落ち着いた議論、提言がなされていて納得はいきます。コロナ禍の渦中ではフェイク情報が溢れて社会に分断も生じたかもしれないが、社会的には落ち着いてきた現在、このコロナ禍の3年間を冷静に客観的に俯瞰して眺めるためには有用な一冊でした。
ワクチンを自動車のシートベルトに喩えているのは分かりやすく、著者はシートベルトを義務化するならワクチンも義務化すべきと主張しています。事故のときシートベルトをしていることで車に閉じ込められることで命を落とすこともあるだろうけど、シートベルトをしていることで助かる確率が圧倒的に多いから義務化されていて、人々もそれを受け入れている。ワクチンにも副作用の損失があるかもしれないが、mRNAワクチンは高い効果を有していることが証明されているわけで同様であろう、ということです。ワクチンの場合はシートベルトと違って、社会全体のパンデミックを抑える効果もあるといことでしょうか。 -
Posted by ブクログ
著者の黒木登志夫さんは、東北大学医学部卒業。専門はがん細胞、発がんのメカニズム。
第1章 パンデミックは続く、変異も続く
第2章 ワクチンの基礎知識
第3章 ワクチン開発物語
第4章 ワクチンをめぐる「困った問題」
第5章 日本のワクチンはなぜ遅れたのか
第6章 治療薬への期待
第7章 医療逼迫はなぜ起こったか
終章 コロナ禍の終わりに向けて
2022年3月に書かれた本なので、比較的最近までの情報は入ってはいる。しかし終章に記載のある今後考えられる3つのシナリオの中で、可能性が低いと見られていたオミクロン株の後に、より強力な感染力の変異ウィルスが出現するということが現実(BA5 第7波)となっているのは、思わぬ展開だったのでしょう。
いくつか同様の本が出ているが、きちんと出所を記載したデータを持って解説してくれるのが有難い。
ワクチンが効くメカニズムと変異株への有効性、各国の認証までのステップ、ファイザーやモデルナのmRNAワクチン開発の物語、各ワクチンの有効性データ、治療薬の特徴と効果等役立ちそうな情報もある。
意外だったのは、実は2015年当時はmRNAワクチン開発において世界のトップを走っていたこと。マウスやサルに抗体が出来ることが確認され、mRNA を細胞に運ぶ脂質ナノ粒子も第一三共が特許を持っていた。ビオンテックもワクチンを考えていなかった頃にだ。しかし第1相試験で厚労省は予算を出さず、製薬会社もリスクを回避したことで開発は潰れた。しかし国内産ワクチンの開発が必要だと、今更ながら重い腰を上げた厚労省が予算をつけるようになり、今年2月には第2、3相試験に入ろうとしている。
これだけではなく、厚労省、政府、専門家会議の後手後手対応やトンでも対応は山ほどある。他国よりも感染率が低いのは、日本人が自主的に行うマスク着用や衛生管理、同調圧力に従う国民性のおかげなのだろうが、将来を案じてしまうな。 -
Posted by ブクログ
新型コロナのワクチン、治療薬、医療逼迫について、解説。
2022年3月くらいまでの情報が記述されている。
分かりやすく、読みやすい。
日本は感染者数、死亡者数が抑えられているものの、ワクチンや治療薬の開発では遅れをとり、またワクチン接種でも遅れをとった。そして、医療逼迫で入院したくても出来ない状況が発生し、他の疾患での救急医療にもしわ寄せが起こった。
今(2022/06下旬)現在、感染状況は落ち着いているが、数々の問題点があったことを改めて認識した。
コロナ危機の行方として、「終わりの始まり」「始まりの終わり」「終わりなき始まり」の3つのシナリオをあげているが、著者が一番可能性が高いとしている「終わりの始まり」であって欲しい。
この2年ほどのコロナへの対応としてベスト・プラクティス7、ワースト・プラクティス7が挙げられているが、これには同意しかない。