黒木登志夫のレビュー一覧
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まさかこのタイトルの本に、谷崎や三島の名前を見ることになろうとは、思っても見なかった。
著者の黒木先生はがん研究者であり、それがこの本の購入動機にもなった。
「知的文章」に関しては、先の日本の文豪等からも引用し、その教養の広さに驚かされた。
「プレゼンテーション」に関しては、正直、あまり学ぶところがなかった。
というよりも、先生とは考え方が合わないようである。先生は、あまり派手なプレゼンを好まないようであるから。
「日本語と英語」に関する考察も非常に興味深い。
"Globish"や"Glopanese"という造語は、これから私にとっては、キーワー -
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ネタバレ[ 内容 ]
40年間研究だけをしてきた基礎医学者が、突然、地方国立大学の学長に。
法人化の混乱、抵抗する教員、文科省の圧力、予算削減のなかで奮闘する落下傘学長。
データを駆使した現場報告。
[ 目次 ]
落下傘降下
遠山プラン―高等教育のグランド・デザイン
国立大学法人化―国立大学包囲網
法人化で何が変わったか1―システム改革
法人化で何が変わったか2―削られる予算
岐阜大学の試み―思いつき学長
教育に軸足を置く―大学の原点
附属病院の危機―破綻のスパイラル
事務局―支配する組織から支持する組織へ
拡大する大学間格差―東大一人勝ち
学長の生活日誌―忙中閑あり
[ POP ]
[ おす -
Posted by ブクログ
2014年のSTAP細胞事件から「研究不正」に興味があり、本書を読んだ。これまでに村松秀著『論文捏造』や上原善広著『発掘狂騒史』を読んだが、これらの事件も含めてより広範に不正の事例を紹介している。不正とは、①捏造、②改ざん、③盗作の3つである。
本書の発刊は2016年。著者の黒木登志夫氏は東北大学医学部を卒業した医学博士で、世界で初めて試験管内での発がん実験に成功した研究者。東大名誉教授、岐阜大学名教授でもある。1936年生まれの氏は2024年現在88歳だが、まだまだお元気で、今年の8月にも『死ぬということ』(中公新書)を上梓した。本書で記された「研究不正」に対する怒りからも、またときおりジョ -
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ワクチンの仕組みや開発、その有用性に対する科学的な説明を主軸に、コロナ禍に何が起きて何がなされていたのか、2022年始めのオミクロン株ぐらいまでの変遷が分かりやすく説明されています。また、コロナ禍で顕わになった日本の政治対応や医療体制の脆弱性についても落ち着いた議論、提言がなされていて納得はいきます。コロナ禍の渦中ではフェイク情報が溢れて社会に分断も生じたかもしれないが、社会的には落ち着いてきた現在、このコロナ禍の3年間を冷静に客観的に俯瞰して眺めるためには有用な一冊でした。
ワクチンを自動車のシートベルトに喩えているのは分かりやすく、著者はシートベルトを義務化するならワクチンも義務化すべきと -
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著者の黒木登志夫さんは、東北大学医学部卒業。専門はがん細胞、発がんのメカニズム。
第1章 パンデミックは続く、変異も続く
第2章 ワクチンの基礎知識
第3章 ワクチン開発物語
第4章 ワクチンをめぐる「困った問題」
第5章 日本のワクチンはなぜ遅れたのか
第6章 治療薬への期待
第7章 医療逼迫はなぜ起こったか
終章 コロナ禍の終わりに向けて
2022年3月に書かれた本なので、比較的最近までの情報は入ってはいる。しかし終章に記載のある今後考えられる3つのシナリオの中で、可能性が低いと見られていたオミクロン株の後に、より強力な感染力の変異ウィルスが出現するということが現実(BA5 第7波)と -
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新型コロナのワクチン、治療薬、医療逼迫について、解説。
2022年3月くらいまでの情報が記述されている。
分かりやすく、読みやすい。
日本は感染者数、死亡者数が抑えられているものの、ワクチンや治療薬の開発では遅れをとり、またワクチン接種でも遅れをとった。そして、医療逼迫で入院したくても出来ない状況が発生し、他の疾患での救急医療にもしわ寄せが起こった。
今(2022/06下旬)現在、感染状況は落ち着いているが、数々の問題点があったことを改めて認識した。
コロナ危機の行方として、「終わりの始まり」「始まりの終わり」「終わりなき始まり」の3つのシナリオをあげているが、著者が一番可能性が高いとしてい -
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経緯や関係者、感染の仕組みや対処方法、治療薬など、網羅的に説明してある。断片的に頭に入れていた情報が整理されたように思う。まず本書を読んでから話をしたり聞いたりすれば、会話や議論もスムーズなのかな。
コラムや横道にそれた話も面白い。
過去、北京で「SARS対策の指揮を執っていた」二人が、「それから17年後、二人は新型コロナ対策の指揮を執ることになる」のくだりは、古代ローマ帝国でカンネの会戦で破れたスキピオ・アフリカヌスがザマの会戦に臨んだのと重なって熱くなった。
メルケル・ドイツ首相が国民に向けて伝えた言葉には、あらためて涙が出る。アーダーン首相や蔡英文・総統の対処の背景にも触れられている