あらすじ
「死ぬということ」は、いくら考えても分からない。自分がいなくなるということが分からないのだ。生死という大テーマを哲学や宗教の立場から解説した本は多いが、本書は医学者が記した、初めての医学的生死論である。といっても、内容は分かりやすい。事実に基づきつつ、数多くの短歌や映画を紹介しながら、ユーモアを交えてやさしく語る。加えて、介護施設や遺品整理など、実務的な情報も豊富な、必読の書である。
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Posted by ブクログ
豊富な症例と合間の短歌で読み手を飽きさせず、ポップな語り口で「死ぬということ」という重苦しいテーマか軽妙に綴られている。
老いや死について興味が増えてきた。自分自身というより両親がいよいよその境地に足を踏み入れているという実感から、先人たちの知見を拝借しその時の心構えをしておきたい、という心境なのだろう。
なによりも、定期検診と規則正しい食生活、交友関係なんかも健康に過ごすには大切。昔から言い伝えられてきたことが、やはり真理なのだと納得。
しかし、ピンピンコロリに対する著者の反対姿勢は新鮮な視点。コロリも逝く人は往生で幸せかもしれんが、後に残された身内は身辺整理等で煩雑な手続きに晒される。ここは、財産相続やウィリングリブの表明など詳しく記載されており、昔流行った終活の大切さを思い知る。
立つ鳥跡を濁さずが気持ちのいい最後だよね、いざ当事者として考えるとそんな余裕と気遣いできるかなーと自分に不安。
大切な人との別れ、残された側になる可能性が自分は高いとは思っている。
残された側のグリードからの立ち直り方として、いっぱい泣く•誰かに話す•生活負担を減らしてしっかり悲しむ。今までとは異なるものになってしまうけど、グリードを胸にしまったまま人生は続いていくのだ。
自信はないけど、その時が来たらちゃんと乗り越えられるよう本書の提言を頭の片隅にしまっておこう。
Posted by ブクログ
国や文化によって死への考え方は大きく違う。
胃ろうは日本特有。それがなければ2週間程度で穏やかに亡くなる。
安楽死に自殺幇助を含むか。鬱によるものは治療できる。スイス、オーストリア、イタリア、スペイン、オーストラリアの一部で認められている。
孤独死は後に残された人が大変。
固有の理由があるにしても非常にためになりました。
Posted by ブクログ
一章から八章まではやや飽きる内容が続くが、九章の尊厳死のあたりから非常に面白かった。
私自身、延命治療は時と場合に寄っては本人を苦しめることになるという考え方なので、共感できることも多々あった。
最後に村上春樹氏の作品の一節をひかれているが、生と死という対極的なものではなく、一部として存在しているという言葉に感銘を受けた。
「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」
Posted by ブクログ
米寿を迎えた黒木先生、死ぬことを考えて、本を一冊書き、いまや何も怖くない、という気分との事、曰く、悟りを開いた境地、めざせ、ぴんぴんごろり、であります。日本語は、濁音と静音では、意味が大きくことなる、刷毛(はけ)と禿(ハゲ)の違いのように。はけに毛あり、ハゲに毛が無い、ごとく、ごろり、とコロリは、違うようです。死を書きながら、なにかしら明るい本であります、☆四つです。
Posted by ブクログ
医学者である著者が、医学的観点を中心に、短歌や俳句など文学作品を随所で引用しつつ、死についての様々なトピックについて、エビデンスベースで、かつ、ユーモアを交えて解説。
タナトフォビアの自分にとって、健康で長生きするためにどうしたらよいのかということを含め、いろいろと示唆深い内容だった。著者が主張する理想の死に方としての「ピンピンごろり」についても、確かにそのとおりだと思った。
Posted by ブクログ
いずれやってくる死に向かいあおう、なんて考えはなく読み始めたが、いろいろな病気のことを知ることができた。
また、その日が来る前に家族に迷惑を掛けないためにも、備えが必要であるということも。
医学的面からの強い死に対する内容でした。副題に「医学的に、実務的に、文学的に」とあり、私は個人として「文学的に」の意味を大きくとりすぎたのか、少し不満の残る印象です。
確かに医学的に考えた「死ぬこと」はこれまで明確に書かれた一般的な書籍は少ないのかもしれません。その点は、良かったと思います。
Posted by ブクログ
WHOは、死因として病死と事故のみを記載している。老衰は寿命の限界に近づいたから。
フランスは結婚を登録制度に改めて出生率が上昇した。
定期的に検診を受ける。
前立腺がん、大腸がん、胃がん、肺がん、肝がんの順に多い。
高齢者が増えているからがんが増えている。年齢構成で補正すると、がんは減少している。
循環器は突然死が多い。多くはカテーテルで治せる。
循環器は、生活習慣病。
高血圧の薬はタイプがいろいろある。高血圧のため倒れるより、毎日薬を飲む方がコスパがいい。
コレステロールの薬は、スタチン系の薬品が使われている。
糖尿病は、合併症が怖い。患者数は1000万人、グレーゾーンが1000万人。合計すると総人口の15%を超える。
認知症は高齢化のスピードよりも増え方が早い=年齢調整有病率でも増えている。がんとは対照的。
認知症は予防法も治療法もない。老年期の喫煙、うつ、社会的孤立、聴覚障害などがなりやすい。
認知症に対しては、なにもせず見守ること。認知症は、穏やかな最後を迎えるための適応現象。就活機能。
老衰死は80歳以上。老衰死は指数関数的に増えている。自然の死が受け入れられるようになって、老衰死が増えた。世界的には、その他、の死に方。
誤嚥性肺炎は死因の第6位。毎食後の歯磨き、口腔ケアで半減する。喉の力を強くする。誤嚥性肺炎は、話せることとトレードオフも結果。
転倒の多くは朝方に家の中で起きる。
在宅看取りはたいへん。希望者は55%いても自宅で死ぬのは17%しかいない。
孤独死は後始末がたいへん。
死ぬときは、1週間程度の入院で死ぬのがよさそう。
80歳すぎて一人暮らしなら、健康でも孤独死への備えをする。
安易に在宅ひとり死を勧めるべきではない。
オランダの死因の4.2%は安楽死。死刑は廃止。
日本は逆方向に向かっている。
終末期は食べられない。食べないから死ぬ、ではなくしむから食べない。
90%が延命治療を望まない。
非オピオイド系鎮痛剤、オピオイド、モルヒネの順に強くなる。強いオピオイドと弱いオピオイドがある。モルヒネと同じように脳内で働く。
死が日常化。2/3が80歳以上、1/3が90歳以上で死ぬ。老衰が12%。
理想的な死はピンピンゴロリ。コロリは心筋梗塞など。ゴロリは少し寝込んで少しずつ死に向かう。ゆっくり死のほうが本人にも周囲にもやさしい死に方。