黒木登志夫のレビュー一覧

  • 研究不正 科学者の捏造、改竄、盗用

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    過去に起こった研究不正事件について、詳細に調べた結果が紹介されている。
    データの改ざんや捏造は、決してやってはいけないことだが、一人で研究しているといつでもできる状態にあり、良い結果が出ない場合は、そのような誘惑にとらわれることがあることは理解できる。
    その誘惑を断ち切るかどうかは個人にゆだねられている。
    論文提出時に、自己申告させる項目を増やし、不正ができないようにすること。
    その項目の中に、第三者が確認したかどうか、ということも入れると良いのではないかと思った。

    0
    2025年06月15日
  • 死ぬということ 医学的に、実務的に、文学的に

    Posted by ブクログ

    豊富な症例と合間の短歌で読み手を飽きさせず、ポップな語り口で「死ぬということ」という重苦しいテーマか軽妙に綴られている。

    老いや死について興味が増えてきた。自分自身というより両親がいよいよその境地に足を踏み入れているという実感から、先人たちの知見を拝借しその時の心構えをしておきたい、という心境なのだろう。

    なによりも、定期検診と規則正しい食生活、交友関係なんかも健康に過ごすには大切。昔から言い伝えられてきたことが、やはり真理なのだと納得。
    しかし、ピンピンコロリに対する著者の反対姿勢は新鮮な視点。コロリも逝く人は往生で幸せかもしれんが、後に残された身内は身辺整理等で煩雑な手続きに晒される。

    0
    2025年05月12日
  • 死ぬということ 医学的に、実務的に、文学的に

    Posted by ブクログ

    国や文化によって死への考え方は大きく違う。

    胃ろうは日本特有。それがなければ2週間程度で穏やかに亡くなる。

    安楽死に自殺幇助を含むか。鬱によるものは治療できる。スイス、オーストリア、イタリア、スペイン、オーストラリアの一部で認められている。

    孤独死は後に残された人が大変。

    固有の理由があるにしても非常にためになりました。

    0
    2025年02月12日
  • iPS細胞 不可能を可能にした細胞

    Posted by ブクログ

    iPS細胞の生みの親である山中伸弥教授に影響を与えた黒木登志夫教授によるiPS細胞の解説本。
    内容は、iPS細胞の開発の歴史を関連するES細胞や核の初期化などの分野ごとに紹介してある他、iPS細胞を使った臨床研究や基礎研究を国内外の様々な事例を通じて紹介しています。
    本書の中身は、少し込み入っているため他の山中教授が書いた本でiPS細胞の概要を掴んだ後読むと理解がしやすいかと思います。

    【こんな人におすすめ】
    iPS細胞の研究に興味がある人

    0
    2023年08月27日
  • 知的文章とプレゼンテーション 日本語の場合、英語の場合

    Posted by ブクログ

    主に論文の書き方、発表の仕方、情報の集め方など学問・研究向けに書かれた本だが、これらのノウハウは応用が効くので読んでよかった。

    文章の書き方に関する本はたくさん読んできたが、多分これが一番参考になる。日本語でものを書く時は、

    1必要なときには主語は略さない
    2短い文章を書く
    3名詞の修飾は短く
    4読点は、分かりやすさと読みやすさで決める
    5語順はわかりやすさで決める
    6あいまいな表現は使わない
    7英語に直してみる

    上記の7点を意識すると、読みやすく、すっきりとした文章が出来上がる。7は今まで見たことのなかった視点で、これは同時に日本語の曖昧さを意味することもあり興味深い発見だった。

    0
    2021年06月27日
  • 新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ

    Posted by ブクログ

    昨年末までの新型コロナに関する情報が網羅的にまとめられている。スタンダードな知識や意見がよくまとまっているので、様々な尖った意見に触れる前に最初に読んでおくべき本だと思う。

    厚生労働省がPCR検査の拡大に反対したために、病院クラスター等への対応が遅れたと批判しているが、なぜ厚生労働省が検査の拡大にそこまで反対するのかが分からない。

    検査で陽性になった者への対応が大変すぎるからというのであれば、検査を無くすより、陽性者への対応の方を変えるべきであろう。検査でできる限り情報を集めることは重要である。

    また、1年以上経っても、新型コロナの対応が一部の公立病院や大学病院だけで行われていて、治療体

    0
    2021年05月30日
  • 新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ

    Posted by ブクログ

    「何と頭が良く、残酷なウィルス」と著者が恐れる新型コロナウィルス。本書は膨大な資料から、その正体を探ります。大げさな表現かもしれませんが、著者と中公新書の良心が詰まった日本人必読の力作です。

    著者の黒木登志夫さんはもともと癌の基礎研究者。2001年以来、現場を離れてから医学を中心としたサイエンスライターとして活躍されています。中公新書の著書も多く、本書も読者を意識したわかりやすい構成で、感染症やウィルスの基礎知識に加え、各国の対策、研究開発の状況、そして、コロナとの共生の未来を迎えるための医療システム、社会システムの改革についての提言が行われています。

    個人的に印象に残ったのは:
    1)自滅

    0
    2021年04月20日
  • 新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ

    Posted by ブクログ

    新型コロナウイルス感染症について、ウイルスの基礎から病状や経過、診断、治療、予防(ワクチン)などの臨床、そして、日本や世界各国の対応などが分かりやすく書かれていて、とても良い一冊でした。
     読みやすい文章なので、色んな人に読んで欲しいと思います。

     本書は2020年10月23日までの動向と研究成果に基づいて執筆されており、同年11月23日までに明らかになった重要事項が追記されています。

     この新型コロナウイルス感染症が収束した時に増補版が出版されることを期待しています。


    以下、目次より

    序章 人類はパンデミックから生き残った
    第1章 新型コロナウイルスについて知る
    第2章 新型コロナ

    0
    2021年01月24日
  • 新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ

    Posted by ブクログ

    新型コロナウイルスに関するわかりやすい解説で大変参考になります。参考資料や図表が理解の助けになります。紹介されていたグーグルの感染予測を見てみると東京都は1月21日まで増加し、その後減少し2月に入ると1500人ぐらいで推移しています。16日は4000人を超える予測だったけど、実際には2000人を下回っていたので、予測は更新されていくのでしょう。

    0
    2021年01月17日
  • 新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ

    Posted by ブクログ

    コロナ渦の中で最もまともな問題意識を持っているサイエンスライターの方が書いた本です。経歴を見ると、感染症の専門家ではありませんが、忖度なしで活動されているのがブログ等を見てわかりました。といっても、国際的に活躍をされていた超有名な方でした。山中教授のブログでも太鼓判を押しています。

    洪水のように『コロナ本』が量産される中で、個人的には一番価値ある本だと思います。他の多くの書籍は、科学的というより「自分の思い」をただ書いているだけといった内容でした。自分が知りたいことは、このわけわからない日本のコロナ対応が何故まかり通っているか、それを理解できるなら、理解したいと思いました。

    コロナ渦で一番

    0
    2021年01月12日
  • 新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ

    Posted by ブクログ

    ちょうどこの書評を書いている途中に東京都で新型コロナウィルスの陽性者が4桁を超え1,300人余となる事がニュースで流れた。本書はその様な本邦における現状を正しく認識する上でも重要な一冊になる。

    本書では、総合的、俯瞰的に新型コロナ(COVID-19, SARS-CoV-2)について書かれている。本書内容は以下のようなことである。
    新型コロナに関する字形的な事実、疫学的な解説、このウイルスの特性。各国のこのウイルスに対する対応・政策とその問題点。本邦における対応・政策と問題点、特に厚労省における、自省のメンツにこだわることによって生じる対策の遅れ、作為的な無策、医療技官の問題、官邸主導による根

    0
    2020年12月31日
  • 新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ

    Posted by ブクログ

    一気に読んでしまいました。
    第3章の数学のところ以外はリアルタイムなので腑に落ちて分かりやすかったですし、興味を持って理解することができました。厚労省の不誠実さに唖然としました。
    ウイルスのしたたかさや、これからのヒト(自分)の生活様式などなど、これから考えるべき事の多さに頭がクラクラしました...

    0
    2020年12月30日
  • iPS細胞 不可能を可能にした細胞

    Posted by ブクログ

    iPS細胞の再生医療に期待している患者さんは多岐にわたる。臨床試験を行い早く様々なところで病気を治してほしい。

    0
    2020年10月01日
  • 研究不正 科学者の捏造、改竄、盗用

    Posted by ブクログ

    研究不正のありがちなポイントを並べるだけでなく、研究不正の事例を挙げて事実を述べていく構成。
    卒業や任期の締め切りがある中で成果=論文を出すことが求められる。いいデータが出ると上司に承認され、研究室での立場も向上する。そんな中、自分が欲しかった結果やデータ、統計結果が出ない時にどうするか、時間もない…となった時に果たして魔が差さないとは言い切れるか。考えさせられた。

    0
    2020年09月14日
  • 知的文章とプレゼンテーション 日本語の場合、英語の場合

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    途中、他の本に手を出してしまったりして読み終わるにはずいぶんかかってしまったけど、決して読むのに抵抗を感じるような内容や文体だったわけではない。むしろ、どこまで読んだか思い出しながら何度も読んだ部分もある。
    さすがの黒木先生の文章。わかりやすくテンポがよく、簡潔で、それでいて所々にウィットに富んだ例えや引用がある。硬い内容とは打って変わって、読み進めていきたくなる文章だった。第一人者の研究者であり、すでにご引退もされている著者だけど、いくつになっても時代の変遷に対する努力も謙虚な姿勢も持ちつづけていらっしゃるのだなと思う。こういうすゝめの本を読んだ後には、文章を書きたいと思わせられる。

    0
    2020年08月31日
  • 研究不正 科学者の捏造、改竄、盗用

    Posted by ブクログ

    ★現象優先の生命科学の危うさ★生命科学の研究者が研究不正を過去の事例から淡々と分析する。日本だけでもこんなに不正があったのかというのは単純に驚きだ。STAP細胞よりもノバルティスの問題の方が企業に都合のいいように研究が使われていた意味では問題が根深いのがよく理解できた。キャラに引っ張られるのがいかに危ないことか

    科学といっても数学などに不正は生じにくく、医学と生命科学で目立つという。後者は理論の前に現象を優先し、抽象化があいまいなまま進んでいくからという。とにかく目の前の人を治すために、という思いがあるのだろうが、確かに同じサイエンスでも言語がまったく違う。

    一般の人に分かりやすいようと、

    0
    2020年08月02日
  • 知的文章とプレゼンテーション 日本語の場合、英語の場合

    Posted by ブクログ

     著者は医師で,医学の権威。大学生の本分は,理系だろうと,文系だろうと,「自分の考えを文章にまとめるという,もっとも基本的な訓練」(iii頁)にあり,これからの英語の正規を生きるためには,まずは日本語でしっかり内容のある話ができていかなければならない。こうしたテーマの中公新書には,木下是雄『理科系の作文技術』が先行図書に挙げられるが,そのエッセンスとなる役割が本書にはある。
     日本語の非論理性を認識したうえで(第2章),知的な文章を書くために必要な三原則「簡潔・明解・論理的」を確認し(第3章),説得力のある文書の書き方を,論文,申請書,説明書,エッセイなど,媒体別に解く(第4章)。
     近年,ス

    0
    2019年01月27日
  • 知的文章とプレゼンテーション 日本語の場合、英語の場合

    Posted by ブクログ

    唐突に「理系・文系の区別は日本にしか無い」という話から始まる本書。
    この話は、「知的文書の重要性は文理を問わない」ということを伝える切り口となる。このように著者なりの機転やユーモアを交えて、わかりやすい文章とは何か、著者は説く。

    本書の特徴を2つ挙げよう。

    1つは、様々な参考書籍や論文を引用しながら、知的文書の書き方を分析的に解説している点である。この引用が絶妙で、本書の記載を手堅いものにしている。例えば、他人に理解させるためには、すでに述べたことを前提に論理を展開していく文章構造をとるべきだが、これは "Legget の樹" と呼ばれる構造で的確に示される。

    もう1

    0
    2018年01月31日
  • 健康・老化・寿命 人といのちの文化誌

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    碩学の書というにふさわしい。たばこをやめる、野菜を食べ塩分を控え、カロリーをとりすぎない、運動する、毎年健康診断を受けるという至ってまっとうな話だが参考文献と書きぶりが素晴らしい。

    0
    2015年08月09日
  • 知的文章とプレゼンテーション 日本語の場合、英語の場合

    Posted by ブクログ

    英日翻訳に際して文章の組み立て方を学びなおそうと読み始めた。
    読み返すべき箇所が多々あるので購入決定。

    著者の専門は医学者だからだろうか。
    エビデンス主義な書き方や切り口が現代風。
    これからのクラシックになるかも。
    文章の素となる思考を整理するためにも、大学の初年度生や高校生の討論用テキストに採用されていけばとよいと思う。

    0
    2013年08月07日