【感想・ネタバレ】研究不正 科学者の捏造、改竄、盗用のレビュー

あらすじ

科学のすぐれた成果を照らす光は、時として「研究不正」という暗い影を生み落とす。研究費ほしさに、名誉欲にとりつかれ、短期的な成果を求める社会の圧力に屈し……科学者たちが不正に手を染めた背景には、様々なドラマが隠されている。研究不正はなぜ起こり、彼らはいかなる結末を迎えたか。本書は欧米や日本、中韓などを揺るがした不正事例を豊富にとりあげながら、科学のあるべき未来を具体的に提言する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

過去に起こった研究不正事件について、詳細に調べた結果が紹介されている。
データの改ざんや捏造は、決してやってはいけないことだが、一人で研究しているといつでもできる状態にあり、良い結果が出ない場合は、そのような誘惑にとらわれることがあることは理解できる。
その誘惑を断ち切るかどうかは個人にゆだねられている。
論文提出時に、自己申告させる項目を増やし、不正ができないようにすること。
その項目の中に、第三者が確認したかどうか、ということも入れると良いのではないかと思った。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

研究不正のありがちなポイントを並べるだけでなく、研究不正の事例を挙げて事実を述べていく構成。
卒業や任期の締め切りがある中で成果=論文を出すことが求められる。いいデータが出ると上司に承認され、研究室での立場も向上する。そんな中、自分が欲しかった結果やデータ、統計結果が出ない時にどうするか、時間もない…となった時に果たして魔が差さないとは言い切れるか。考えさせられた。

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2020年09月14日

Posted by ブクログ

★現象優先の生命科学の危うさ★生命科学の研究者が研究不正を過去の事例から淡々と分析する。日本だけでもこんなに不正があったのかというのは単純に驚きだ。STAP細胞よりもノバルティスの問題の方が企業に都合のいいように研究が使われていた意味では問題が根深いのがよく理解できた。キャラに引っ張られるのがいかに危ないことか

科学といっても数学などに不正は生じにくく、医学と生命科学で目立つという。後者は理論の前に現象を優先し、抽象化があいまいなまま進んでいくからという。とにかく目の前の人を治すために、という思いがあるのだろうが、確かに同じサイエンスでも言語がまったく違う。

一般の人に分かりやすいようと、ところどころに笑いを交えようとするのが、こなれていなくてむしろおかしい。

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2020年08月02日

Posted by ブクログ

誤魔化しのない厳密な世界だと思っていたが…
個人的には考古学の神の手とされる人の話は昔から知っていたので入りやすかった。作者自身がその世界の方のため非常に具体的(当事者と知り合いのケースあり)で説得力があった。
データを自分の都合の良い情報に寄せて行くのは成果が求められる世界では誘惑として抗えないのかもしれぬ。各事例があり日本も悪い意味でトップとなっているなど参考になる。
最新版を望む。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

2014年のSTAP細胞事件から「研究不正」に興味があり、本書を読んだ。これまでに村松秀著『論文捏造』や上原善広著『発掘狂騒史』を読んだが、これらの事件も含めてより広範に不正の事例を紹介している。不正とは、①捏造、②改ざん、③盗作の3つである。
本書の発刊は2016年。著者の黒木登志夫氏は東北大学医学部を卒業した医学博士で、世界で初めて試験管内での発がん実験に成功した研究者。東大名誉教授、岐阜大学名教授でもある。1936年生まれの氏は2024年現在88歳だが、まだまだお元気で、今年の8月にも『死ぬということ』(中公新書)を上梓した。本書で記された「研究不正」に対する怒りからも、またときおりジョークを織り交ぜるその文体からも、氏の情熱が伝わってくる。
近年も自動車メーカーでデータの改ざんなどが明らかになった。古くは1985年の日航123便墜落事故もJALの不正が原因であったと思っている。研究者の不正と企業の不正。要はモラルの問題で、地位や名誉や利益を優先すれば、相対的にモラルは低下する。日本で不正が多いのは、戦後に道徳教育をまともにやらなかったせいではないだろうか。
数か月前に山本義隆著『私の1960年代』を読んで、東大全共闘の目的の一つが、「科学への問題提起」であったことを知った。それは科学そのものというよりは科学者への問題提起であった。彼らが提起した問題と研究不正の問題は地続きではないか。

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2024年12月07日

Posted by ブクログ

ディオバン事件もSTAP細胞事件も詳細に経過や考察が記述してあり興味深く読んだ。色々と不正の背景を考察しているが、結局は研究者の「美意識」によるところが大きいのだと思った。「ピアレビューは性善説で科学的な意義を評価し、ソーシャルメディアに審査は性悪説で粗探し」。

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2020年04月26日

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深刻な研究不正の事例、不正の実態、なぜ不正にいたったのか、どういった仕組みで不正を監視しているか、不正をすると結局どうなるか、今後不正を防ぐためにどうすればよいか、そういったことが丁寧にまとめられています。なかなかボリューミーです。エラーもミスも人間である以上ゼロにはできませんが、自分の言動が大なり小なり周囲に与える影響を冷静に考えるための余裕くらいは、なんとか確保しておきたいです。

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2020年12月19日

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過去に起きた42の不正事件を紹介しながら、不正が生じる要因やその対応を論じる。不正の理由は様々で名誉欲だったりプレッシャーだったりするわけだけど、そういう理由では説明のつかない、それこそ病んでるとしか言いようのない事例もあってぞっとする。なかでも旧石器捏造事件は、当事者のその後を知るにつけ、捏造の当事者さえもある意味で被害者なんじゃないか思えるほどに衝撃的だった。

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2017年04月21日

Posted by ブクログ

一口に不正と言ってもいろいろあり,びっくりするような手口から,呆れるような手口まであって,こんなことにどうして引っかかったのかと少し謎な事例もあって,読み物としても面白かった.科学者としての在り方が問題のようであるが,まず人間としての在り方だろうと思った.

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2016年09月20日

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