内藤朝雄のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
「ニート」とは、働かず、就学もせず、求職行動もとっていない若者を指す言葉で、日本では二〇〇四年頃より使われ始め、その急増が国を揺るがす危機のように叫ばれている。様々な機関が「ニート」の「人間性」を叩き直そうと「支援」の手を差し押べており、多額の予算が動いている。
このような状況下において、本書では、まず、日本での「ニート問題」の論じられ方に疑問を覚える本田由紀氏が、「ニート」という言葉自体の不適切さを量と質の両面から明らかにする。
また、『いじめの社会理論』の著者である内藤朝雄氏は、「ニート」が大衆の憎悪と不安の標的とされていることを挙げ、憎悪のメカニズムと、「教育」的指導の持つ危険な欲望について解説する。
さらに、ブログ上で「俗流若者論批判」を精力的に展開し注目を浴びている後藤和智氏が、「ニート」を巡る言説を詳しく検証する。
その急増が国を揺るがす大問題とされる「ニート」。
しかしそもそも、その定義自体が妥当なものなのか?
大衆の憎悪のメカニズムと教育的指導に潜む危険な欲望とは?
ニート論が覆い隠す真の問題を明らかにする。
[ 目次 ]
第1部 「現実」―「ニート」論という奇妙な幻影(「ニート」のイメージは間違っている 若者に対して真に必要な支援は何か)
第2部 「構造」―社会の憎悪のメカニズム(青少年ネガティヴ・キャンペーン 佐世保事件にみる諸問題 ニートをめぐる「祭り」の状況 ほか)
第3部 「言説」―「ニート」論を検証する(「ニート」論前夜―「自立しない若者」への苛立ち 「ニート」論はいかにして広まったか 週刊誌における「ニート」 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
どうせ安易なニート擁護の本であろうと期待せずに読んだのだが、ちゃんとしたデータに基いた精緻な議論がなされており、読んでよかったと思える内容だった。ニートの増加という「社会現象」を何の疑いも無く信じていた自分が恥ずかしくなった。無気力、怠け者といったイメージのいわゆる「ニート」ととして想起されるような若者は、ニートと定義される人々全体のなかではほんの一部に過ぎず、その数は以前と比べてあまり変化していないという分析には特に納得させられた。実体のない「ニート」という虚像だけが一人歩きして、そのような言説に基いて、政策や社会運動が進められているのは実に愚かしいことだと思う。本書は、ニートについて考えたい人には必読の書である。
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子どもの人権をまもるというテーマに沿って……かな? けっこうそうそうたる人々が稿を寄せている。宮田雄吾(大阪共立病院・大村椿の森学園)、山野良一(名寄市立大学・専門社会調査士)、駒崎弘樹(認定NPO法人フローレンス代表)、仁藤夢乃(一般社団法人Colabo代表)、熊谷晋一郎(東京大学・当事者研究)、大塚玲子(編集者・ライター)、内田良(名古屋大学・教育社会学)、大貫隆志(「指導死」親の会共同代表)、大原榮子(「メンタルフレンド東海」世話人代表・名古屋学芸大学)、前川喜平(元文部科学省事務次官)、白濵洋子(佐賀女子短期大学・学校保健)、内藤朝雄(明治大学・社会学)、山下敏雄(弁護士)、村田和木(ライター・社会福祉士)、南和行(弁護士)、土井香苗(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウオッチ日本代表)といった方々。
一方で、どこか子どもの立場に立った活動なのだろうかと思わせもする。子どものためを思って考えての活動ではあるだろうけど、子どもの思いに直結できているだろうか。ほんとにほんとに子どもの人権をまもる活動といえるだろうか。厳密にいえば、たとえとして、大人が余裕をもって子どもを育てられるまちづくりのような活動は、子ども第一ではないと思う。そんなことを気にしながら、各人の稿を流し読んだ。
なぜ木村草太氏が編集になっているのかちょっと疑問。それらしい人ではあるけど、これまた厳密にいえばそのものズバリな人って感じがせず、彼の知名度に頼って編者にしたのかなって勘ぐってしまう。 -
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本田氏の「教育の職業的意義」、内藤氏の「マスコミ論・社会論」、後藤氏の「ニートをとりまく分析」それぞれベクトルが多少ずれている感があるが、面白く読めた。
感情的ともいえる内藤氏のマスコミ・メディア批判論調は、それはそれでよいが、ではどうすればよいかについては中途半端にも思える。
後藤氏は当時、現役の大学生でありながらたくさんの文献を読破し、調査し、そのレポートをされたという印象。主観的な意見はあえてかくすところは大学生らしくない。
本田氏の担当された内容は、この後に出版された新書「教育の職業的意義」のプロローグともいえる。賛否はあろうが、主張は一貫している。 -
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ネタバレ「閉鎖空間でベタベタすることを強制する学校制度」(第5章1節タイトル)
これを読んで、大学進学以降、中高時代の友人が「あの頃に戻りたい」というたびに「絶対にいやだ」と言い続けてきた理由がわかりました。
「みんな」で「仲良く」が求められること、同一同進度を求められることが苦痛でたまらなかったんだろうなぁ…。
もちろん、そういう環境が好き・いいと思う人はいるだろう。しかし全員がそうであるとは限らないのである。
「学級制度をやめる」ほか、様々な提案(実現は難しそう)があった。
「治外法権」をやめ、何かあれば「警察」を呼ぶというのは徹底されてほしいなぁ…。いじめることが損である、というメッセージは大半のいじめを落ち着かせることができるような気もする。
また学級制度やそうでない形を学ぶ側が選べる形になってほしいとも思う。 -
Posted by ブクログ
3人の著者が、バトンをわたすようにして、それぞれの立場から「ニート」言説について切り込んだ本。問題意識としては「三者三様」という面もありながら、その中心点として「ニート」という言葉が析出するところに妙がある。
第一部の本田由紀のパートが、俗流「ニート」論のまやかしをわかりやすく示している。だいたいのところは
・統計で見れば、ニート(働く気がない若者)は増えていないし、以前からわずかである
・そもそもイギリスの「ニート」は、経済的に恵まれず低学歴な若者が社会から排除されるのを問題視するために生まれた言葉だった
・しかし日本では15~34歳までと対象が大きく拡大され、しかも「失業者」が除外されてしまった
・このことにより、日本では「ニート」問題が失業者対策から遊離し、さらに「ひきこもり」との同一視がすすんだ結果、つまりは「心の問題」であるとされてしまった
・「ニート」問題は、本来の就業問題としてとらえ直されるべきである
というあたりだろう。
この部分だけでよければ、前半の60ページだけで十分。あとは、「ニート」をダシにして、「職業教育」「いじめの心理」「若者バッシング」という3人それぞれの土俵へと読者をひきずっていくつくり。まぁ、それだけ「ニート」言説がかなりの広がりをもっているということだろう。
「近頃の若者は……」という言葉で耳が汚れたとき、解毒剤としてかなり効能が期待できる。 -
Posted by ブクログ
言ってることは正しいけど、それはもうわかってるでしょ、
とどうしても思ってしまう内容。
"ニートとひきこもりを近似値で見ること自体が間違え、更に言えばひきこもりを否定的に見ること自体が間違え(要約)"
"典型的なのは、2003年に内閣府が刊行した「平成十五年度版国民生活白書」における認識です。この白書の中では、「フリーター」問題は企業が若者、特に新規学卒者の採用を抑制したことから生じており、一番重要な原因は企業側にあると言い切っていました。"
ニートという単語が張り切る前にフリーター論がそういう風に転んでいたのは初耳でした、おしい。
"この時代の人々にとっては、十五歳少女がヒ素を使って妹二人を殺したという事件よりも高校野球の方が大事だったのです。"
少子化による子供の神聖化がむしろ児童犯罪をクローズアップさせて少年が非行化しているように見せているという悪循環。また、殺人・強姦率は戦後一貫して下がり続けているといういつものグラフも掲載、大切。
"かつての貧しい時代に起きた事件を見てみますと、兄弟が多すぎて、親の愛情が行き渡らなくておきた、というタイプの紋切型の報道がなされていたりします。"
少年犯罪の典型報道に「兄弟が多すぎて愛が行き届かなかったから」という時代があったことには驚き、現在は「一人っ子で兄弟との葛藤や本当の愛を知らない」云々になるのでとても忙しい。
全体的にもっとニートの雇用問題の話が多いのかと思ったら、少年・新卒付近の成年に対する社会の偏見について重点的に扱った本。若者論として見るなら古市氏の「絶望の国の〜」の方が優秀かと思われる。