ウンベルト・エーコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ愛書家による本にまつわる対談集。こういうのがエスプリが効いた掛け合いとでも言うのでしょうか。
原題直訳の『本から離れようったってそうはいかない』もなかなか良い感じ。
邦訳タイトルはかなりおどろおどろしく、衝撃的ですよね。
著者の片方、ウンベルト・エーコは薔薇の名前やフーコーの振り子のタイトルだけ知ってた作家さんであり学者さん。
フーコーの振り子と言ったら上野の科学博物館ですわー。
そのうち読んでみたいです。薔薇の名前は文庫版がないみたいで残念。
『保存すべきものを保存するための当てになるツールが、今日なかなか見つからない(p93)』って、ほんとその通りで、だから私が積極的に電子書籍を買わない -
Posted by ブクログ
冒頭であまりにもユダヤ人やフランス人についての反感が述べられていたり、フリーメーソンについての話が出てきたので、いったんお手上げになり、解説を読んだ。
解説によれば、舞台は十九世紀のパリ。偽書として名高い「シオン賢者の議定書(プロトコル)」の成立が物語の中心にあるとのこと。
贋造と判断するための基準、複製とオリジナルの関係性についての長年の作者自身による考察が反映されているといえるようだ。
主人公は十九世紀にすでに老境にある反ユダヤ主義者で、その人物の内面から当時のパリを透かし見るような趣の作品世界である、ということをまず押さえてから、もう一度読書に挑戦ということにしたいと思う。
うーん -
Posted by ブクログ
ウンベルト・エーコが90年代イタリアのジャーナリズムを舞台にした作品。売れないライターである主人公は、ある大富豪が発行準備を進める日刊紙の編集メンバーに採用され、創刊準備号(ヌメロゼロ)の発行に向けて行動を起こす。
その過程を描くこと中で、歪んだジャーナリズム/メディアのあり方を問うとともに、ムッソリーニの真実を明らかにする過程でもまた、断片化された事実を繋ぐことで出てくる真実も描く。よくある陰謀論ロジックだが、昨今の情報過多、かつセンセーショナルになりがちな報道を見ると、あながち伝え方によって「隠された真実」と「作られた真実」が出てくることも事実であると考えさせられる。
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Posted by ブクログ
誰もいない森の中で倒れた木は本当に倒れたのか
この議論は逆に言えば、森の中で木が倒れた音を聞いたと主張する者がいれば、真実となるということになる
この本は12-13世紀を舞台にした「法螺話」の話である
イタリア出身の主人公バウドリーノは我が半生は語られることによって真実となる、と第四回十字軍のさなか助けたビザンチン人に語り出す。
バウドリーノはフリードリヒの養子となり司祭ヨハネ(プレスタージョン)の王国を目指して旅をするが主人公の話そのものが虚実が曖昧である。更に旅の途中で聖遺物の偽造で金儲けを図るが、偽の聖遺物を売って儲けた金で本物の聖遺物を購入しようとする欺瞞。更に旅の先では様々な神学論争 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ「シオンの議定書」成立を描く歴史小説。
19世紀後半のヨーロッパの歴史が良くわかっていないので、何が史実で、何がフィクションかがわかりませんでしたが、宗教派閥闘争、ユダヤ人排斥、国間紛争などが絡んでややこしいながらも面白かったです。
視点が、偽書作成の天才のシモニーニ、その二重人格と思われるピッコラ修道士、著者と思われる「書き手」の3人で、日記形式で歴史の裏側を語っていくのが、みんな同一人物だと裏を読みつつ、実は「書き手」は著者視点でした。
それにしても、上記の語り手以外は、全て実在の人物というのが信じられないほど、癖のある人物たちばかりで社会権力の怖さを感じました。
分厚い本で、読み難いな -
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Posted by ブクログ
19世紀初頭から末にかけて偽造文書作りをなりわいとした者を通じて描かれる、憎悪と歴史。
記憶を取り戻すため、日記を書くことにしたという体裁でスタートするが、どうも様子がおかしい。ときおり倒れるようにして眠ると、別の人間が自分の日記の続きを書いている。「語り手」はその2人の記述を補うように「物語」を書き足す。
エーコらしい、メタフィクションだといってしまえばそれで終りなのだが、エーコらしく、隅々に歴史や美術、当時の風俗に関する描写がちりばめられていて楽しめる。
語り手によるフィクションでありながら、実在する登場人物たちを華麗に操作しながら語られる、ある種の歴史であり、その意味で、虚構と事実 -
Posted by ブクログ
つい先ごろ亡くなったウンベルト・エーコの最新長篇小説。その素材となっているのは、反ユダヤ主義のために書かれた偽書として悪名の高い『シオン賢者の議定書』である。その成立過程が明らかにされてからもユダヤ陰謀説を裏付けるものとして、反ユダヤ主義を広めたい者たちによって何度も利用されている史上最悪の偽書だが、そんなものがどうして世に出ることになったのか。そしてまた、イエズス会、フリーメイソン、ユダヤ人、と時代や場所によって誹謗する対象を変えながらも、何度も息を吹き返しては現れる、この偽書が民衆に対して持つ意味とは。
記号学の大家としても知られるエーコ先生だが、こ難しい理論を開陳しようというのではない -
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