ウンベルト・エーコのレビュー一覧

  • 薔薇の名前[完全版] 下

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    物語の舞台は1327年11月。
    あくまでもフィクションなのだが、実はこの日付が重要だ。時は教皇のアヴィニョン捕囚の真っ只中。教皇ヨハネス22世と神聖ローマ皇帝ルートヴィヒ4世との確執やフランシスコ修道会の「清貧論争」が相まって、物語に奥行きを生み出している。一見すると犯人探しのミステリー仕立てだが、横糸となる『異端審問』や党派対立などについて、ある程度理解しないと話についていけない。(久しぶりに世界史の復習をした気分)。特に、日本ではそもそも基礎知識が無い“ボゴミル派”や“ドルチーノ派”など、異端審問に出てくる教派。(勉強になりました)

    物語は見習修道士だったアドソの回想という形をとっている。全てが遠い昔になってしまった過去を回想しながら、アドソの胸中に去来していたものとはなんだったのか。非常に深い物語だった。

    アドソの手記には往古の文書のこんな一節が引用されている。

    「あらゆるもののうちに安らぎを求めたがどこにも見出せなかった。ただ片隅で書物と共にいるときを除いては」

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    2026年03月16日
  • 薔薇の名前[完全版] 上

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    1980年にイタリアで発売され、各国でベストセラーになった本書。1986年にはショーン•コネリー主演で映画化された(こちらは私も見た)。日本版刊行は1990年。著者は記号論学者。難解。でも面白くて、二週間ほどかけてじっくりと読みました。
    本書は著者の構想メモなども追加収録した『完全版』で、読みでがあります。

    北イタリアの修道院を訪れたウィリアム修道士とその弟子アドソ。ウィリアムは、数日前に起きた修道士の死について調べてほしいと修院長から依頼を受ける。閉ざされた修道院で起きた不可解な死。しかし、事件はそれだけでは終わらず…。
    中世のイタリアを舞台にしたミステリーを縦糸にして、物語は修道院をめぐる大いなる謎に踏み込んでいきます。

    謎に挑む修道士ウィリアムはイギリス人で“バスカヴィル家”出身。彼に同行し、後にこの手記を書く見習修道士の名はアドソ(ワトソン?)と、ミステリー仕立てですが、話はそう簡単にはいきません。面白い!

    【余談】
    読み通してみてよくわかった。映画版は非常に上手く物語のエッセンスを伝えていたんですね。映像化にあたっての時代考証も実に的確でした。本当に中世の修道院そのものの中で撮ったような見事さでした。

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    2026年03月16日
  • 薔薇の名前[完全版] 下

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    少し読みづらい読み飽きるところも多々出てきたものの、全体を通して面白く読めた作品でした。
    欲望、各々の信じるところ、行き着いた果て…等々他になかった読後の感想を得ることができました。
    上下揃って再読してみるとまた違った視点、観点が生まれるのかなと思いました。

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    2026年03月07日
  • 薔薇の名前[完全版] 上

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    知の巨人と謳われたウンベルトエーコの本を始めて読みました。
    難解というか、日本人にはあまりキリスト教が広まってないのもあり、読み辛い部分も正直ありましたが、中世イタリアの修道院で起こる連続殺人事件…ミステリ好きにはたまらない設定です。
    探偵役にはウィリアム修道士と、その見習い弟子アドソ!
    薔薇の名前は昔映画になったそうで、ウィリアムはショーンコネリーが演じています。
    読む時ウィリアムが出てきたら、頭の中にショーンコネリーが話していると想像して読み進めると、もっと楽しめるでしょう。
    下巻に期待です。
    がんばれアドソ!負けるなアドソ!

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    2026年02月06日
  • 薔薇の名前[完全版] 下

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    本文はともかく、本文後の作者の覚書?が興味深い。なぜ本書を執筆したかから、小説論まで、多岐に渡り考察が書かれている。

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    2026年01月22日
  • バウドリーノ 下

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    ネタバレ

    いつ死んでもおかしくない年というフレーズにハッとさせられた。
    舞台は東方世界へ。奇想天外な種族たちはプリニウスの記述そのまんまだったのだなあ、と。新プラトン主義について曖昧模糊としたイメージだけしかなかったが霧が晴れた感じでした。最後の方で話のなかの「現在」にストーリーが追いつくところとか、ビザンツの歴史家が記述した、というような造りになっているところが憎らしい。老いてまた旅立つのもいいな。冒頭書いたフレーズが上巻下巻のどこにあったかは忘れてしまったが、読んだ時は「この時代だともう死ぬ年齢だよな」などと読んだときは思っていたがその少し後に同年代の友人が亡くなって感想が変わりました。現在でもいつ死んでもおかしくない年齢。そう言う意味でもいろいろ教えられた本。
    いやあ、読書ってほんとにいいものですね。

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    2025年02月16日
  • バウドリーノ 上

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    ネタバレ

    カバーに騙された岩波文庫。
    半年くらい前に読んだ思い出し感想。コンスタンチノープルの地図だけでごはん3杯はかるくイける。パリでの青春時代、後々の友人達との出会い。ローマ皇帝とウザいイタリア諸都市との関係とか面白い。面従腹背の諸都市と泥沼のイタリア戦争。その中での当時のパリの位置付けとかも含めてこれが同時代人のマンタリテなのか、とか思える。「薔薇の名前」よりはだいぶ読みやすい。イタリアの田舎出身でフリードリヒ皇帝の養子とか設定がうますぎる。当時の最下層から最上層までの視点を得るためのものか。大変勉強になる。こんな度胸と語学とホラの才能が欲しいと思えるアレッサンドリアの守護聖人。
    いやあ、読書ってほんとにいいものですね。

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    2025年02月16日
  • もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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    昔は、王族や貴族階級しか本を読むことができなかったけど今はどこでも本読めるし合わなければ読むのやめたっていいからいい時代だなって思った。基本的に読みたい本を買って読んでるけど時間が経つにつれてなんとなく妥協で読んでる本もある。読みたい本を読んでるよりも読むことが好きで読んでるみたいな状況も自分にもちょっとあるなって思った。

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    2023年10月27日
  • もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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    放談に近いが、蘊蓄はすごい。コーディネーターの力量によるのかもしれないが、紙の本の問題の全てを網羅しているわけではない。

    装丁、活字組が素晴らしい。

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    2023年07月28日
  • ヌメロ・ゼロ

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    ウンベルト・エーコが90年代イタリアのジャーナリズムを舞台にした作品。売れないライターである主人公は、ある大富豪が発行準備を進める日刊紙の編集メンバーに採用され、創刊準備号(ヌメロゼロ)の発行に向けて行動を起こす。
    その過程を描くこと中で、歪んだジャーナリズム/メディアのあり方を問うとともに、ムッソリーニの真実を明らかにする過程でもまた、断片化された事実を繋ぐことで出てくる真実も描く。よくある陰謀論ロジックだが、昨今の情報過多、かつセンセーショナルになりがちな報道を見ると、あながち伝え方によって「隠された真実」と「作られた真実」が出てくることも事実であると考えさせられる。

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    2021年05月13日
  • バウドリーノ 下

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    史実・現実に近い前半とは違い、ファンタジー色の強い内容。ヨハネの王国を探す冒険ものになっている。
    フリードリヒの溺死の裏にこんな事件があったとは(笑)

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    2020年03月09日
  • バウドリーノ 上

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    第二次~三次十字軍とかそのあたりの神聖ローマ皇帝周辺のお話。聖杯伝説的なのとかエゼキエル書とかちょいちょいある。
    面白いけれど、読むのにはある程度歴史や宗教の知識が必要。
    わからない子はおいてくよ~的な。
    当然、自分は完全には理解していない。

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    2020年03月03日
  • ウンベルト・エーコの世界文明講義

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    知の巨人、ウンベルト・エーコの様々なテーマの講義集。
    『薔薇の名前』で大ベストセラー作家になったエーコだが、博覧強記ぶりに驚かされる。

    縦横無尽に古今東西の賢人が出てくる。

    面白かったのは、
    以前TV番組にアポロ月面着陸陰謀説が放映されて真偽が気になっていたが、
    当時アメリカと競っていたソ連が、月面着陸について何も言わなかったことが、月面着陸が真であったことの証拠であろうといっていることに腑に落ちた。

    この本は、教養が身についていないとなかなか読めないだろうと思える書。

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    2019年02月13日
  • もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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    紙か電子書籍かという話というよりも、知識はどうやって繋がるか、学ぶのかということがテーマ。出版されたときにはなかった、AIと人間を考えさせられた。電子書籍をよく使う人が読んでもいいと思う。

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    2018年03月05日
  • もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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    閉ざされていた空間にひっそりと忍び込むよろこび

    夫とまだ付き合っていたころ、彼の住んでいた寮の近くで暇をつぶすために入った古書店。その古書店で手に取って買おうか迷っていた本を、ようやく読みました。
    あの時の直感はまちがっていなかった、心にのこる一冊でした。

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    2017年10月19日
  • バウドリーノ 下

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    嘘が本当になってしまう嘘つきが、嘘をつきすぎてわからなくなった真実を探す物語。

    お固い西洋史にはじまったかと思えば、夢想の果ての世界へまで足を伸ばすなんとも様相の変化の激しい作品でもある。

    世界観を活かした真相の提示は見事。
    しかし大きな真実の前に小さな真実を葬り去られる。
    挙句に皮肉めかして作者が一番の嘘つきだと提示してくる手腕には脱帽である。

    知識不足で小ネタが拾いきれないのが悲しい。また色々勉強して読みたい一冊。

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    2017年08月30日
  • バウドリーノ 下

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    誰もいない森の中で倒れた木は本当に倒れたのか
    この議論は逆に言えば、森の中で木が倒れた音を聞いたと主張する者がいれば、真実となるということになる
    この本は12-13世紀を舞台にした「法螺話」の話である
    イタリア出身の主人公バウドリーノは我が半生は語られることによって真実となる、と第四回十字軍のさなか助けたビザンチン人に語り出す。
    バウドリーノはフリードリヒの養子となり司祭ヨハネ(プレスタージョン)の王国を目指して旅をするが主人公の話そのものが虚実が曖昧である。更に旅の途中で聖遺物の偽造で金儲けを図るが、偽の聖遺物を売って儲けた金で本物の聖遺物を購入しようとする欺瞞。更に旅の先では様々な神学論争を戦わせ、真実が曖昧となる。
    こうなると何が真実か、真実の条件は何かが不明となる
    本書は真実かそうでないかの判断基準とは何かも問いかけてくると思う

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    2017年07月10日
  • もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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    インテリ万歳!タイトルだけ見ると、なんだかシリコンバレー系の人がpdf移行と電子書籍について書いたAMZNの動向とかベゾスがどうのとか思いそうだけど、あらまだそんな知らない本があったのね、と沢山教えてくれる対話形式。ありがとうエーコ。最高です。

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    2017年03月26日
  • もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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    本の魂と肉体についていろんな側面から語りつくす一冊。
    エーコとカリエールの博学には驚くばかり。しかも何か資料を片手に対話しているのでもない。おそろしい二人だ。
    エーコの蔵書数は3万冊を超えているという。へぇーっ‼︎

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    2017年01月29日
  • もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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    すべての読人(よみんちゅ)に捧ぐ――
    もうすぐ絶滅するという紙の書物についてばかり語っている訳ではない、が、それ以上に面白い、オモシロイ、示唆に富んだ対談。USBからフランス詩、インキュナビュラ(グーテンベルクの印刷術発明から15世紀末までにヨーロッパで活字印刷された本)に名著珍本、焚書と禁書、空き巣まで……
    読み終わったら誰もがこう思うはず。
    ”本から離れようたって、そうはいかない”!!

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    2015年06月08日