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隠蔽された真実の告発を目的に、創刊準備号(ヌメロ・ゼロ)の編集に取り組む記者たち。嘘と陰謀と歪んだ報道にまみれた現代社会をミステリ・タッチで描く、現代への警鐘の書。
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Posted by ブクログ
エーコの遺作。 ジャーナリズムを風刺するミステリー。情報操作の手法が、ユーモアと共に語られるのがおもしろい。嘘を真実のように見せる方法、記者の考えをばれずに仕込む方法、都合の悪い指摘への反駁の方法など。
ウンベルト・エーコが90年代イタリアのジャーナリズムを舞台にした作品。売れないライターである主人公は、ある大富豪が発行準備を進める日刊紙の編集メンバーに採用され、創刊準備号(ヌメロゼロ)の発行に向けて行動を起こす。 その過程を描くこと中で、歪んだジャーナリズム/メディアのあり方を問うとともに、ムッソ...続きを読むリーニの真実を明らかにする過程でもまた、断片化された事実を繋ぐことで出てくる真実も描く。よくある陰謀論ロジックだが、昨今の情報過多、かつセンセーショナルになりがちな報道を見ると、あながち伝え方によって「隠された真実」と「作られた真実」が出てくることも事実であると考えさせられる。
まさに構成の妙。中盤読み飛ばしたくなるほどの冗長さから急展開、そしてストンと落とし余韻を残しつつ終わってゆく、序破急がよく分かる。映像で見ても面白いだろう。
小説の出来としては、素朴すぎて今一つ。メディアと権力についての論考としても目新しくはない。ただ、イタリアでは、自国の戦後史について、このようなことが語られているのか、と興味はわいた。
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