早見和真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説家が書く小説家の物語。出版不況の現状と、暑苦しくもロマンあふれる創作の現場を描く本書は、小説好きを語る以上は避けて通れない一冊ではないかと。
小説を書く人、作る人、売る人、読む人。
その最後にいる私はプロの書評家でもなく、ただ単に本が好きで気の向くままに読みたい本を読み、気軽に感想を書いたりしている一読者ですが、この小説を読んで、小説というのは途方もない忍耐とロマンの塊なのかもしれないと思いました。
主人公は、10年前に文学賞を受賞して以来鳴かず飛ばずの作家 豊隆と、その幼馴染で文芸編集者の俊太郎。出版不況が叫ばれる中、十数年ぶりに再会したふたりは、日本の文芸界を変える一冊を目指して二人三脚で奮闘していく。
小説家が小説家を描くというテーマは斬新なものの、ストーリー自体は比較的単調で、主人公の二人が一冊の小説を通して成長する過程やその結末も、そこまで新鮮味のあるものではなかった、というのが正直な感想です。
ただきっとこの本は、作家や編集者だけでなく、文芸に携わる全ての人を代弁するような小説なのではないかと。だからきっとドラマ化、漫画化までされたのではと思います。
巻末の解説で森絵都さんも触れられていましたが、この本を読んで一番歯がゆいのは、豊隆と俊太郎がこれほどまでに情熱を注いだ小説『エピローグ』を読むことができないこと。数年前に流行った漫画「響」の『お伽の庭』に対してもそうでしたが、実在しない小説とわかっていながら、作中でその本を手に取った読者に嫉妬してしまいます。