大野八生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『緑の葉がしげる枝えだに、たくさんのブランコのようにぶら下がっているという、ヘリオトロープ色の、小さなリンゴのように愛らしい、やさしく切ない、遠い夢のような味のする』フラココノ実。
なんて美味しそう。素敵な描写にうっとり。
このフラココノ実は、大人になると食べたくなるという。けれど食べると自分の中の「何か」が消えてしまうらしい。
それでも食べたいのは、誰もが食べているのに食べていない自分は「何か」が足りない気がするからと。
その気持ち何となく分かります。
「「何か」を得れば「何か」を失う。見方を変えれば、どっちかの「何か」は持っているのだ。そこいらじゅうの人がなくしてしまった「何か」を大事に -
Posted by ブクログ
「あしたはかんこの味方だ」空き地のひらたい大きな石のところで
出会ったふじぎなじっちゃん“風助さん”が、かんこに言った
この言葉が、なんとも良くて力づけられる。
人と人とのつながりのあたたかさがあちこちにちりばめられて
読んでいると、どんどん心の奥の方が温かくなっていく。
風助さんと出会って、風助さんがいなくなり、手紙が来て
風助さんのことがいろいろ分かった後、
かんこは「人生をうんと生きた気分」になる。
この「人生をうんと生きた気分」という表現がまたいい。
簡単に理解できたり、割り切ったりできない、
さまざまな想いや体験を超えていくことで、
人は大人になっていくのだろう、と思った。 -
Posted by ブクログ
素敵なお庭!
こどもに語りかけるような、易しく柔らかな語り口。
ある日顔を出したとある植物が主人公。
植物たちがおしゃべりしたり、それぞれのびたり花を咲かせたり。
全部の文字を読むと情報量が多いので、ところどころ端折ったり、補ったりして(読み聞かせを)一緒に楽しんだ。
のびのびと伸びていくツル(詳しくないので一様にツルということに)も、様々なタイプがあるそう。
巻きついたり、トゲで固定したり、おもしろい!
植物のつる、ひげ、ようへい、など絡みつく箇所?の名前が様々あることを学んだ。
著者の方の他の作品も読みたくなった(以前に読んでいたことが判明)。植物への眼差しがなんか好き。