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Posted by ブクログ
『緑の葉がしげる枝えだに、たくさんのブランコのようにぶら下がっているという、ヘリオトロープ色の、小さなリンゴのように愛らしい、やさしく切ない、遠い夢のような味のする』フラココノ実。
なんて美味しそう。素敵な描写にうっとり。
このフラココノ実は、大人になると食べたくなるという。けれど食べると自分の中の「何か」が消えてしまうらしい。
それでも食べたいのは、誰もが食べているのに食べていない自分は「何か」が足りない気がするからと。
その気持ち何となく分かります。
「「何か」を得れば「何か」を失う。見方を変えれば、どっちかの「何か」は持っているのだ。そこいらじゅうの人がなくしてしまった「何か」を大事に持っているほうが貴重、かつ愉快じゃありませんか」というバンボーロさんの言葉にハッとした。
登場人物が、冴えない中年おじさん、(本人曰く)ただの主婦、「何か」が足りないと評価されている画家、本に鼻を突っこんでいるおばあさん。
これは、大人のために書かれた物語だ。
楽しい~。
Posted by ブクログ
児童書の体裁で、子どもが読んでももちろん楽しいけど、大人にこそ読んでほしい。
まず感心するのは高楼さんの言葉のセンスの良さ。登場人物の名前も、フラココの実という名前も、(5ミリでも9ミリでも1センチでもなく)4ミリというのも絶妙。ヘリオトロープ色というのも。ヘリオトロープって聞いたことはあってもよほど花が好きな人や色に詳しい人でないと、どういう色か思い浮かばない。(実はちゃんと表紙に描いてあるんだけど)一体どんな素敵な色なのかとすごく気になる。あー気になる気になると思いながら読むので余計に想像してしまう。上手い。
こういう不思議な物語は、読者をその世界にスッと連れて行けるかが重要なのだけど、意識すらしないで同じ場所に行ける。
高楼さんの作品での友情は年の近い同性なんて狭いものではないのが、素敵。老若男女問わず、魂のありようが似ていれば友達になれる。わかりあえる。『紳士とオバケ氏』で人間とオバケに友情が成り立ったように。それから、登場人物が孤独を恐れず人生を楽しんでいるのもいい。
私も4ミリ浮いていられたらなぁとも思ったり、いやいや時々素晴らしいフラココの実を食べに行くのも悪くないよ、と思ったり。
読んで幸せな気持ちになれる本は多くないけれど、これは数少ない幸せが感じられる本。プレゼントにもいいかも。挿し絵も魅力的。
Posted by ブクログ
高楼方子さんの作品は、「ゆゆのつづき」以来、久しぶりに読みましたが、今作はユニークな中にも、ひっそりと大切なものが潜んでいる、おとぎ話のような面白さを感じました。
「フラココノ実」を食べられない現実に、不安を抱えて生きる、四十代の主人公「ポイット氏」が、同じ仲間三人と協力して、なんとか実を食べようとお互いに協力し手を結んだのが、「4ミリ同盟」。
同じ仲間と書いたが、細かい点での嗜好というか、考え方の違いを強調しているところが、重要なのかなと思いました。フラココノ実や、周りの考え方に惑わされずに、あくまで現実に起こったことを冷静に見つめる、と。児童書だけど、なんだか大人も読めて奥が深いというか、人生を楽しく生きるための方法を教えてくれているようで、興味深かったです。
ただ、ストーリーが簡潔で短かったのが、やや消化不良な感もありましたが、児童書だから、仕方ない部分もあるとは思いました。それでも、個性的な挿し絵の構成や、時折、崩れる文字フォントの自由さ等、何かワクワクさせる要素が多かったのが、また印象に残りました。
これを読んだ子供たちが、どういった感想を持つのかが、すごく気になります。
Posted by ブクログ
ポイット氏はフラココノ実を食べたことがない。
この本の世界では、人はある時期がくるとみんなフラココノ実を食るようになる。はじめて食べる時には、未知の味を味わおうと大人びたふうを装ったり、精神鍛錬に励んだりする人もいれば、逆にフラココノ実を拒否しようとする人もいる。けれど、一人一人違う「食べ時」が来たら、人はフラココノ実を食べずにはいられない。
大きな湖の中程にあるフラココノ島にある木になるフラココノ実。一度食べたら、毎月一度食べに行くことになるが、そうなると、フラココノ実は日常のひとつでしかなくなる。
大人はほぼ、フラココノ実を食べている。
だけど、ポイット氏は、そこそこおじさんで、仕事もしている大人なのに、まだフラココノ実を食べた事がない。島に近付こうとすると何らかの障害があって、島に渡ることさえできないのだ。
他人には隠している、フラココノ実を食べていない事実だけど、ある時、エビータさんという女の人に声をかけられた。
「あなた、お歩きになるとき、4ミリほど浮いていらっしゃることご存じ?」と。
フラココノ実を食べていない人は、地面から4ミリほど浮いている、そして自分もそうなのだと言うのです。
さらに画家のバンボーロ氏もおじいさんなのに4ミリ浮いている。
3人は4ミリ同盟をくんで、フラココノ島へ一緒に行くことを決めましたが・・・。
フラココノ実が大人への階段のようなものであり、フラココノ実を食べていない人の楽しげな空気が、たかどのほうこさんらしい・・・と言うか、たかどのほうこさんこそ、4ミリ浮いていても不思議じゃないと思ってしまう。
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