梯久美子のレビュー一覧

  • この父ありて 娘たちの歳月

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    9組の父親と書く娘。梯さんの取材力と筆力。どれも読みでがあった。
    石垣りんの詩をもっと読んでみたい。
    石牟礼道子さんの作品をいつになったら手に取るのだろう。
    馬込文士村、わりと近くに住んでいたのにどうして散策しなかったのか。
    読んでいて、私自身の次につながる感じがした。

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    2023年10月29日
  • カラー版 廃線紀行―もうひとつの鉄道旅

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    今は無き八重洲ブックセンター本店で閉店になる10日くらい前に、もう最後だから何か買おうと思って新書の棚を眺めていたら見つけた本です。
    元々新聞の連載をまとめたもののようで各路線にかけるページ数は少ないものの、著者がちゃんと現地に行って見て書いているのが判って、自分でも行って見たくなります。自動車の運転をせずに歩ける範囲で取材しているので、その点も実際に行くときの参考になりそうです。

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    2023年10月27日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    筆者の梯久美子は、本書のあとがきに「"書く女"とその父」という題名をつけている。その題名の通り、本書は、9名の、比較的活動時期の古い、従って、既に亡くなられている女性作家とその父親との物語を描いたものである。執筆の動機について、筆者は「女性がものを書くとはどういうことか、ということに、私は長く関心をもってきた」と書いている。これら9人の女性作家たちが、ものを書くようになったこと、あるいは、書いている中身、に父親がどのように影響を与えているかを考える、すなわち、「娘と父の関係を通して、新たな側面からこのテーマについて考える」ことが狙いであったということだ。
    それぞれの女性作家

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    2023年08月25日
  • サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する

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     サハリン、樺太、サガレンいろいろな呼び方がある。歴史的には、幕末の日・ロ雑居地状態から、1875年の樺太千島交換条約によりロシア領に、1905年のポーツマス条約により北緯50度以南は日本領に、そして太平洋戦争後、同50度以南は日ロ間に平和条約が結ばれていないため未帰属状態で現在に至っている。

     偶然だが、本書を読む少し前に、林芙美子の紀行エッセイを読んだのだが、芙美子も戦前に樺太を訪れ、鉄道旅をしていた。本書第1部は、著者の鉄道旅プラス廃線探索なのだが、主要線はそのままなのだからある意味当然だが、主に芙美子の足跡を辿った旅となっている。
     すごく面白いなあと思ったのは、芙美子は途中駅の白浦

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    2023年07月27日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    日経新聞に連載された9人の女性作家たちの父との関係についてまとめた本。綿密な取材で、彼女らが父をどうとらえたか、深掘りしながら鋭く推察している。
    厳しい時代に生きた父への尊敬、愛情の念もあれば、憤り、悔恨、葛藤といった負の感情もある。それらを通して感じたのは、「書く女」たちのしなやかさと強さだ。それに対比して、男たちの身勝手さ、浅はかさも伝わってきた。
    修道女として生きた渡辺和子は、二・二六事件で、父親が射殺される瞬間を目前で見たが、泣かなかった。軍人の子として凛とした姿勢を貫いた。
    石垣りんは、半身不随となり4人目の妻に甘えて暮らす父親への嫌悪の中、窮乏した一家6人を養うため、定年まで働き続

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    2023年07月02日
  • 原民喜 死と愛と孤独の肖像

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    某所読書会課題図書: 被爆の現状を作家の立場で詳細に記載した文書は、当初は「原子爆弾」という題名だったが、GHQによる検閲を考慮して「夏の花」と変更されている.さらに俳句の連作もあり、貴重な資料となっている.遠藤周作との交流が原にとって非常に貴重な体験だったと推測するが、祖田祐子さんも含めた行動は荒んだ気持ちをいくらかでも和らげたのではないかと推測する.素晴らしい才能を持った人材が自死によって失われることは非常に残念なことだが、関係した文人たちが彼のことをあらゆる機会に追想しているのは、羨ましくもあり素晴らしいことだと感じた.

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    2023年06月14日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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     なんと重いテーマの父娘の物語か。
    父も、娘も、更に、母も、夫も、それぞれの葛藤を抱えている。 それが故なのか、九人の娘たちは、" 書く人 " となる。
     書かざるおえない何かを深読みする力は、私にはないが、重く影をさすあの時代・戦争について考えさせられた。

     そして、改めて、茨木のり子が好き、と想う。
     彼女の夫は、『茨木の父と同様、開明的な人物で、家庭に妻を家庭に閉じ込めることをしなかった。』と、ある。 夫も父も、よき理解者であったよう。
     気が滅入るような壮絶な人生を歩む娘たちが多いなか、読んでいて、心が和む。


     そして、我が身を想う。
     頑固で短気だった我が父

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    2023年05月26日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    9人の女性作家とその父親との関係思いへの考察。
    書き手となった娘たちが、立派で尊敬し愛する父である場合はもちろん、そうでない場合も、この父ゆえに作家となったことが伝わってくる。
    石牟礼道子の父親の亀太郎氏が興味深かった。

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    2023年03月13日
  • 昭和二十年夏、女たちの戦争

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    所謂「銃後」であった女性たちの証言。
    取材された当時(もう亡くなられた方ばかりになってしまったが)、それぞれの分野で名を成した方ばかりであるためか、裕福な家庭に生まれた方ばかりのためか、予想より悲惨ではないな、と緒方貞子さんまでは思っていた。
    が、最後の吉武輝子さんでガツンときた。
    多分、この本を読んだ人はみんなそうなんじゃないか。
    想像を絶するほどの経験。奪われたのは肉体ではなく「幸せになろうとする意志」だった、と。この壮絶な体験が吉武さんの人生にどれだけ大きな影響を及ぼしたかと思う。
    著者がつらい経験をプラスに転化できたように見えると吉武さんに言ったあとの言葉も忘れ難い。
    戦争中に行った教

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    2023年03月05日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    9人の女性作家と家族、特に父親との関係に焦点を当てて書いてあるが、読みごたえがある。
    成長と家族との関係が、筆を動かす。
    2.26事件で父を惨殺された修道女の渡辺和子、ベストセラーの置かれた場所で咲きなさいは読んで、心動かされた。
    同じ事件で投獄され、その死後、歌会始に招かれ、天皇に声をかけられる齊藤史、なんとも凄い。
    死の棘の島尾ミホ奄美大島で立派な養父母に育てられたこと。
    9人の歴史が痛かった。

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    2023年02月15日
  • 愛の顛末 恋と死と文学と

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    作品を読んだことのある人、作品を読んではいないが名前や代表作は知っている人の中、唯一知らなかったのが近松秋江。ちょっと前の日本の私小説作家というと葛西善蔵とか貧困を赤裸々に描く人が多い印象だったが、この人は妻や恋人に対し、ストーカー行為を繰り返し、それを小説として書いたというんだからたまげた。
    現代だったらちょっとあり得ない。女性のプライバシーや人権に全く配慮してないし。(この時代の男は大抵そうだっただろうけど。)愛というより、妄執。田山花袋なんかもそうだけど、気持ち悪い。しかし、男子たるもの、という考えが当たり前だった時代に、妻に逃げられて追いかけ回して愛想つかされてというのを書いて、「滑稽

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    2022年12月17日
  • 昭和二十年夏、僕は兵士だった

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    忘れてはいけない日本の過去。
    死ぬかもしれないと思うことがなく
    毎日を生きることができる。
    そのことがどれだけ幸せか、計り知れない。
    「好きなことを勉強できることが何より幸せ」という言葉にグサリときた。
    毎日大切に生きよう、そう思える本。

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    2022年07月28日
  • 愛の顛末 恋と死と文学と

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    書かれたものにも、書かれなかったものにも、言葉にしなかったことにも、想いは詰まっているのだなあ、と思う。
    中井英夫と八木重吉と、吉野せいに俄然興味が湧いた。

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    2021年11月26日
  • 狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ―(新潮文庫)

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    運命的な恋が一転、お互いを狂気へと引き摺り落としていく夫婦。虚構と虚飾にまみれた理想の夫婦の幻想。ミホさんのその執着は愛なのか憎しみなのか。島尾敏雄の非道さ薄気味悪さに背筋が寒くなる。わたしだったら一発ぶん殴って走って逃げるな…良著。

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    2021年08月28日
  • 硫黄島 栗林中将の最期

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    散るぞ悲しきから続けて読んだ。とても興味深く、特にバロン西のくだりが印象に残った。ただ、最後の章の皇后陛下はちょっと色が違うように感じた。

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    2021年07月31日
  • カラー版 廃線紀行―もうひとつの鉄道旅

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    梯久美子が、全国の廃線50路線を訪ねて歩いた紀行文集。
    日本には、訪ねるに値する場所が多いのだなぁと、感心する。
    こういう本を読むと、旅に出たくなる。

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    2020年04月02日
  • 原民喜 死と愛と孤独の肖像

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    栗林中将の本がよかったので、本書を手に取る。
    冒頭から話が重すぎて暗すぎて、読み進めるのがほんとうに辛いのだが、遠藤周作さんやタイピストのお嬢さんが登場してくる最後の章あたりから、モノクロのトーンだった話が急にカラーへと変わるように生き生きとしてくる。

    私情を盛り込んだり、事実をことさら美化したりしないで書く著者ではあると思うが、あとがきには大きな震災をへて現代に生きる我々に向けたメッセージが伝わってきます。

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    2018年12月24日
  • 原民喜 死と愛と孤独の肖像

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    読み進めれば読み進めるほど、切なく哀しくなる…。目の前の現実を見つめず、ただやり過ごすだけの自分が恥ずかしくなる…。

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    2018年12月06日
  • 原民喜 死と愛と孤独の肖像

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    原爆作家としてしか知らなかった原民喜であるが、この評伝で妻がこの人を支え生きながらえさせた実生活に触れ、新たな視点を受け取った。この人は緘黙症のまま生きることになったかもしれない人であり、鎮魂歌にあるように「愛は僕を持続させた」のだと思えた。

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    2018年08月30日
  • 原民喜 死と愛と孤独の肖像

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    原民喜と言えば、「夏の花」で「原爆文学」。そんな貧弱な文学史的知識しか持たず、国語の教科書にほんの少し抜粋されていた文章しか読んだことがなかった。この評伝を読んで初めて、ああ、こういう人だったのか、こんな孤独な魂の持ち主だったのかと、一人の人として目の前に現れてくる気がした。

    以前著者が小林多喜二について書いていたときも同様のことを思った。教科書の平板な一行だけの記述の背後で、失われていくその人の切実な人生を、梯さんは丁寧な取材でよみがえらせ、そっと目の前に差し出してくれる。圧巻の傑作「狂うひと」とはまた違い、静かな悲しみをたたえている一冊だ。

    原民喜が自死を選んでいて、しかもそれが鉄道自

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    2018年08月21日