梯久美子のレビュー一覧

  • 戦争ミュージアム 記憶の回路をつなぐ

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    audible23冊目。

    旅先でよく、史跡や資料館等に出向きます。
    まさに、この本のいう「戦争ミュージアム」です。
    むしろ、戦争ミュージアム目的で旅先を選ぶこともあります。
    年末年始に広島に行ったため、その前にこの本を読みました。

    令和の時代にあっては、10代も70代も、戦争を知りません。
    戦争ミュージアムでは、当事者の証言や膨大な資料を通して、人々の記憶を後世に伝えてくれます。
    現地に赴くことで、本やホームページだけでは感じ取れないことを、土地の記憶が私たちに教えてくれます。

    読んで良かったです。続編を是非、希望したいです。
    この本に出てくる場所のうち5箇所ほど訪れたことがありますが

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    2025年01月03日
  • 戦争ミュージアム 記憶の回路をつなぐ

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     日本には戦争にまつわる記念館・ミュージアムがある。しかし、戦争という負の歴史を記録と記憶の継承を取り組むミュージアムがある一方で、残念ながらアジア・太平洋戦争は大東和共栄圏の開放・産業発展のために正しかったとする記念館も含まれる。
     本書は、戦争の時代を生きた人間を描くノンフィクションを多数残してきた梯(かけはし)久美子氏が、全国各地を行脚し、各地の平和のための博物館や資料館を訪ね、そこで触れた土地の歴史と人々の語りについて14施設の概要を伝える。安保3文書、南西諸島の軍事要塞化などきな臭い匂いが日本全体に充満していく中で、過去の歴史が今と地続きとなっている過去の旅へ誘う。紹介される1ヶ所目

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    2024年12月22日
  • 戦争ミュージアム 記憶の回路をつなぐ

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    日本各地の第二次大戦に関する資料館、記念館等を巡り、そのミュージアムの紹介と大戦当時の状況を取材したノンフィクション。
    ひとつひとつの章は短いながらも、語られていることの内容の濃さは特筆。知らない施設が多かったが、全ての場所に行ってみたくなった。あとがきで筆者が「場所の持つ歴史性」という言葉を使っていたが、施設のある場所は展示内容の直接の場所ではなかったりするが、それでもなぜそこに施設がある理由が分かってくる。それを知るのも、この本の大事な部分。

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    2024年11月22日
  • 戦争ミュージアム 記憶の回路をつなぐ

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    戦争の時代を生きた人々の群像を描き出してきたノンフィクションの名手が、各地に残される戦争の記憶を紡ぐ記念館、博物館、美術館などを探訪する一冊。どの一章も読み応えがありますが、予科練平和記念館、戦没学生慰霊美術館、周南市回天記念館、原爆の図丸木美術館、長崎原爆資料館の旅の記録が圧巻。特攻隊、回天など、太平洋戦争の最中、この日本という国は、兵士を消耗品、それも極めて安価に見積もった消耗品として扱っていたことが改めてわかる。なぜだったのか?どういう精神状態だったのか?
    戦争は人を殺すことだ、戦闘員も戦闘員以外も大量に。
    世界が右傾化し、ウクライナ、ガザなどで戦火が絶えない今、油断すれば、また若者が命

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    2024年11月13日
  • 戦争ミュージアム 記憶の回路をつなぐ

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    当事者が減少する中、やはりこういった戦争の記憶、記録を伝える資料館の存在は大切。
    戦記の記録も大事だが、一作品でなく長く記憶を継承するミュージアムを訪れ、作家の印象の記録。下手な戦記より余程説得力がある。

    日本人として、これらのミュージアムを訪れ自分のアタマで考えてみたいと思う。

    変に彫像で残すより客観的な資料を閲覧するミュージアムは、歴史を後世が客観的に検証するためにも必要な施設であろう。

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    2024年09月22日
  • 戦争ミュージアム 記憶の回路をつなぐ

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    梯久美子さんの著書を読むのはこれで4冊目。『カタログハウス』2020年盛夏号から2024年初春号に連載された「シリーズ 戦争を忘れない」を補筆し書籍化した本書。亡き両親を含め、自分は戦争の時代を偶然生きながらえたと知る世代が、何よりも望んでいたことは平和。子どもの頃はなぜそんなに当たり前のことをわざわざ願うのか?とさえ思っていたが、ひとの記憶は残さなければ消えてしまうのだ。私たちにできることは遺された記憶を次世代に繋ぐこと。本書はそのための素晴らしいガイドブック。

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    2024年09月18日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    島尾ミホさんの章だけでも読みたいな、と思って手に取って、結局夢中になって全部読んだ。
    梯さんの文章は読者を引き込む力が強いと思う。

    石垣りんさん、茨木のり子さんの詩は読んだことがないけれど、ぜひ読んでみたいと思った。
    特に茨木のり子さんの、フィリピンで日本兵の遺骨が発見されたことに関する詩が胸に刺さった。

    父親と良い関係を築けている人、むしろ関係が悪かったり、その関係性に後悔が残っていたり、さまざまだった。

    わたしも幼少期は父からすごく溺愛されて、でも大人になってから、父を反面教師にする部分がグッと増えたなと思う。
    良くも悪くも父から受けた影響は計り知れない。

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    2023年11月17日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    ネタバレ

    渡辺和子さんの話の印象が強い。ここまで愛して愛されたからこそ、晩年の感情に繋がったのだろう。あとは大人は親はきちんとしないといけないなと思った。とても印象に残った。書ける人は自分を救えるんだろうな。羨ましい。

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    2023年08月24日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    「人はたまたま遭遇した時代に人生を左右されるのだ」
    当たり前だけれど、人は誰も親はもちろんのこといつ生まれるか、自分のはじまりを選ぶことはできない。けれど、どんな環境においても、その父の娘として生まれてきたからには「そのように生きるしかなかった人間」がいたのだと、九人九様それぞれが悩み苦しみながらも必死に手を伸ばして生きる姿に心を揺さぶられた。特に心に残った萩原葉子さんと茨木のり子さんは作品も読んでみよう。

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    2023年08月23日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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     最初何の気なしに読み始めましたが、娘から見た父や、それぞれに濃い父娘関係に引き込まれて、一気に読んでしまいました。あとがきにもありましたが、書くことができるまでに長い歳月が必要で、書くことで徐々に父娘関係を俯瞰で見られ、書くことに苦しみつつも、真摯に家族と向き合い、一種のセラピーのようでもありました。
     最初の渡辺和子さんと2・26事件で青年将校に殺害された父の場面から始まり、晩年、渡辺さんが加害者遺族と出会って、加害者遺族が自分以上に辛い年月を過ごして来たと分かり、ようやく恨みから開放されたという記述に、想像を超える人生のあり様を垣間見た気持ちがしました。

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    2023年08月06日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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     文学者の娘からの視点で父を見つめる。とてもいい作品である。どうやらこの程度の長さの文章の方がじっくり読める。

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    2023年07月30日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    読み応えあった。少しずつ読んで楽しめた。
    「書く女」の文章を通り抜けているからか本当に生きていた人の生々しさが昇華されていて、切ないものを見ているみたいだった。

    ずーっと前から何の気なしに目にしていた角川文庫の発刊のことばの背景を初めて知って、胸がじんとした。

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    2023年05月28日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    日経新聞土曜版に連載されていたときから注目して読んできましたが、改めて一冊となり、じっくりと時間をかけて読みました。梯久美子の文章には、なんとも言えない説得力があり、時間をかけての咀嚼にふさわしい。
    「この父ありて」この娘あり、なのでしょうが、渡辺和子、齋藤史、島尾ミホ、石垣りん、茨木のり子、田辺聖子、辺見じゅん、萩原葉子、石牟礼道子と、「書いた」娘たちの生涯に光を当てる著者の視線は実にあたたかい。
    いずれも素晴らしいですが、最初の渡辺和子、そして、最後の石牟礼道子がやはり圧巻でした。

    渡辺和子といえば、吉行あぐりさん(吉行淳之介、吉行和子の母)のエッセイ「梅桃が実るとき」に、二・二六事件の

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    2023年05月15日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    書く女9人とその父の壮絶な関係を綴った良書。この父あって、この娘あり。その後の人生に想いを馳せると、いろいろ考えさせられた。

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    2023年03月22日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    いい本を読んだ。
    梯久美子さんが選んだ9人がまず、いい。
    著者が、この人たち、と選んだ9人は、父との距離が程よく遠く、家父長的でなく、それでいて愛情がある。

    距離が程よく、関係性がウエットにならずにすんだのは、おそらく彼女たちが「書く人」になったからだろう。
    作られたと感じる泣かせる話は何一つない。
    どの親子のエピソードも覚えておきたくなるが、いかんせん、新聞連載なら覚えられたかもしれないが、こんなに面白い書籍になっては、覚える暇もなく読み終わってしまう。

    目の前で父を惨殺された渡辺和子
    投獄された父を「おかしな男です」と天皇に話した斎藤史
    娘は幸せな結婚をしたと信じて死んだ島尾ミホの父

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    2023年02月15日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    ネタバレ

    石牟礼道子論が読みたくてだったが、どれもこれも優れた日本近代文学史だった。この人の評伝はやはりいい。

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    2023年01月22日
  • 狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ―(新潮文庫)

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    序章、冒頭で、いきなり86歳のミホさんが語っているのを読み、のっけからテンション爆上がり。島尾敏雄著『死の棘』の妻、あのミホさんが、目の前でしゃべってる! と一気に本書にのめり込んだ。

    興味深くて、心がいろんな方向に揺さぶられた905ページ、すごく楽しい、という表現が適切かどうかわからないけど、有意義で濃い読書時間だった。

    島尾敏雄とミホの、それぞれの誕生から死去まで、よくぞここまで調べて書いてくださった、本にしてくださったと、著者はもちろん、本書に携わった方々に感謝の気持ちでいっぱい。

    私は先に『死の棘』を読んでから本書を読んだので非常におもしろく読んだのだけど、同時に、本書の内容を知

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    2023年01月12日
  • この父ありて 娘たちの歳月

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    日経の連載の頃から毎週楽しみにしてました。
    事前にある程度知っていないと週間連載でここまで書けませんよね。
    あとがきにも書いてありましたが、元々好きな作家達とのこと。そりゃそーだろうよ。

    どの父親もスゴいけど萩原朔太郎のグズっぷりには光るものがありますね。戦前のブンガクシャはこうじゃなくっちゃ!!

    父と娘たちの残した言葉も素晴らしいですが、梯久美子さんの筆致そのものが、前者に負けず劣らず素晴らしいです。
    好きな作家達であれば、好きが溢れたりするものなんですけどね、冷静に見てますね。

    各章でも読みたい本が山積みなのに、梯久美子さんの過去の作品も読みたくなります。
    2022年、ノンフィクショ

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    2022年12月25日
  • 狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ―(新潮文庫)

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    『火宅の人』の檀一雄の奥さんの証言を基にして、沢木耕太郎が奥さんに成り代わって書いた『壇』という小説を以前読んだ。細かい内容を忘れてしまったけれど、檀一雄は檀ふみのお父さんで、不倫して、それを題材に小説を書いて、石神井公園が出てきたことだけ覚えていた。
     
     『狂うひと』も作家が不倫して、それを題材にして小説を書いて、石神井公園が出てくるところは同じだが、こちらは『死の棘』を書いた島尾敏雄とその妻ミホの話。檀家は家庭崩壊くらいで済んでいるが、島尾家は家庭崩壊および夫婦それぞれ精神崩壊している。比べるものでもないだろうが、こちらのほうが、一度読んだら忘れようがないくらい壮絶。

     敏雄とミホ、二

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    2021年08月13日
  • 昭和二十年夏、僕は兵士だった

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    今日は8月15日、終戦記念日である。ここ数日、梯久美子さんが書かれた太平洋戦争に関する本を3冊読んだ。もちろん、8月15日を意識して。
    終戦は1945年なので、今年は75年目にあたる。
    私自身はもちろん、直接に太平洋戦争を知っている訳ではない。終戦の時、父は16歳、母は10歳だったので、両親はある程度、実体験として戦争と戦後の混乱期を知っているはずではある。

    3冊の本を読んで、改めて感じたのは、私たちは、というか、少なくとも私は、太平洋戦争について、きちんとした知識を持っていないな、ということ。
    父親は、既に亡くなっているが、戦争の話をした記憶がない。母親は存命だが、同じく戦争の話をしたこと

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    2020年08月15日