梯久美子のレビュー一覧
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うちの息子の初めて発した言葉は「パパ」でも、「ママ」でもなく、「あんぱん」であったことを今でも鮮明に覚えています。何故、アンパンマンはあれほど、乳幼児を魅了するのかずっと疑問に思っており、この本を読めば何かわかるかと思い、購入しました。
いくつか、アンパンマンの知らなかったことをしることができました。
何故アンパンマンが空腹の子を助けるのか、アンパンマンの丸顔の由来、ドキンちゃんのモデル等々…。これらの真実を知るたびに、やなせさんの生い立ちや戦争での経験が、アンパンマンという作品に大きな影響を与えているということがわかりました。また、三越やサンリオと、やなせさんの関係性というのも、意外で驚 -
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ネタバレ__いま生きている人だけの声を聞き、今日と明日のことのみを考えるとき、国も人も判断を誤ることがある。つねに過去をかえりみながら進むことが必要なのだ。
戦争の歴史というと、
広島の平和記念資料館と、沖縄のひめゆりの塔、が、修学旅行などで行ったこともあったりで身近でしたが、それ以上知る機会や知ろうという考えが及んでいませんでした。
それぞれの地で、それぞれの戦争の経験があることを改めて思い知らされました。
知らない歴史、というよりは、ちょっと知っている、聴いたことあるけれども、知ろうとしない事実。
像山地下壕は初耳でした。なんだか架空のお話みたいだと思いました。
あとは、初めの毒ガス資 -
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私の趣味は博物館めぐりである。大抵は考古学博物館ではあるが、戦争・平和博物館も多くまわっている。わりとたくさんまわっていると思っていたけれども、此処に紹介された14の博物館のうち、行ったことのあるのはたった3博物館だった。ショックなのはそこではなくて、行ったことがあるのに、書いていることのほとんどを、私は初めて「気がついた」のである。
梯久美子(かけはしくみこ)さんは、私の尊敬する数少ないノンフィクション作家である。本書はミュージアムガイドではない。詳しいアクセスも入場料金も記載がない。ノンフィクションなのである。多くの遺物の中から、何を選びとって、どう記すか。それが作家の価値を決める。
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ネタバレ著名な女性5名の「個人的な戦争体験」。
NHKのアナウンサーだったり、慰問団の女優だったり、緒方貞子さんだったりするので、市井の方とは少し違うこともあるが、当時の生の様子が垣間見えて興味深かった。ちょうど母と同年齢の方の話もあり、そんなふうだったのかな、ということが、少し想像できた。
戦時中、つづらに入れておいた遺体が盗まれたり、艦載機の機銃掃射で追われた際に米兵の笑う顔が見えたり、敗戦の日、働こう、と誓ったり、教科書に墨を塗りながら泣き出す先生の話や、戦時中は男性に代わって放送戦士と言われたのに、戦後、男たちが復帰してきたらアナウンサーの職場を追われたり、戦時ならではのエピソードがある一方 -
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筆者の梯久美子は、本書のあとがきに「"書く女"とその父」という題名をつけている。その題名の通り、本書は、9名の、比較的活動時期の古い、従って、既に亡くなられている女性作家とその父親との物語を描いたものである。執筆の動機について、筆者は「女性がものを書くとはどういうことか、ということに、私は長く関心をもってきた」と書いている。これら9人の女性作家たちが、ものを書くようになったこと、あるいは、書いている中身、に父親がどのように影響を与えているかを考える、すなわち、「娘と父の関係を通して、新たな側面からこのテーマについて考える」ことが狙いであったということだ。
それぞれの女性作家 -
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サハリン、樺太、サガレンいろいろな呼び方がある。歴史的には、幕末の日・ロ雑居地状態から、1875年の樺太千島交換条約によりロシア領に、1905年のポーツマス条約により北緯50度以南は日本領に、そして太平洋戦争後、同50度以南は日ロ間に平和条約が結ばれていないため未帰属状態で現在に至っている。
偶然だが、本書を読む少し前に、林芙美子の紀行エッセイを読んだのだが、芙美子も戦前に樺太を訪れ、鉄道旅をしていた。本書第1部は、著者の鉄道旅プラス廃線探索なのだが、主要線はそのままなのだからある意味当然だが、主に芙美子の足跡を辿った旅となっている。
すごく面白いなあと思ったのは、芙美子は途中駅の白浦 -
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日経新聞に連載された9人の女性作家たちの父との関係についてまとめた本。綿密な取材で、彼女らが父をどうとらえたか、深掘りしながら鋭く推察している。
厳しい時代に生きた父への尊敬、愛情の念もあれば、憤り、悔恨、葛藤といった負の感情もある。それらを通して感じたのは、「書く女」たちのしなやかさと強さだ。それに対比して、男たちの身勝手さ、浅はかさも伝わってきた。
修道女として生きた渡辺和子は、二・二六事件で、父親が射殺される瞬間を目前で見たが、泣かなかった。軍人の子として凛とした姿勢を貫いた。
石垣りんは、半身不随となり4人目の妻に甘えて暮らす父親への嫌悪の中、窮乏した一家6人を養うため、定年まで働き続