丸山宗利のレビュー一覧
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新書の持つ軽い教養の持つ魅力は素晴らしい。費用対効果最高の知的好奇心大満足の一冊。
地球上で最も種類の多いという昆虫。その多様性を「収穫する」「狩る」「着飾る」「まねる」「恋する」「まぐまう」「子だくさん・一人っ子」「旅をする」「家に棲む」などに分けて紹介する。
さらに別に章立てされているが昆虫の社会性。集団での戦争から奴隷もあれば農業や牧畜も。脊椎動物が行う制度はたいていは昆虫が行っている。
ポッケットに入るサイズの教養。新書の持つ手軽さはIT時代が来ようと変わらないだろう。そんな新書の魅力を十二分に堪能できるのが本書です。読んで間違いないです。 -
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甲虫たちの写真が美しい。いつまでも眺めてられる。
標本写真は深度合成法によるもの。虫の金属光沢は太陽光の下で初めて自然な発色を見せるので、撮影は困難を極めたとのこと。どうりですごく美しい……!そしてこの写真はそんなに簡単に真似られないものだとしる。
昆虫採取と標本作製、残酷だと責められるけど、それよりも、熱帯雨林を切って作ったものたちを消費する行為の方がはるかに昆虫を葬り去っている。昆虫採取はむしろ、新種の発見や、博物学の発展に役立っている。
昆虫の金属光沢、擬態に向かないと思いきや、太陽光のキツイ暑い地方では、強い光線に紛れて擬態できている、というのが面白い。
甲虫たちの模様のデザイ -
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ネタバレ旅行記のような昆虫探しのエッセイ。
新書はほとんど読んだ事がないのですがものすごく楽しく読めました。
私も著者丸山氏のように過酷な外国に行って現場を見てみたい!とは思いませんが、熱心に淡々と活動し続ける様子が易しい言葉で丁寧に綴ってあり、丸山ワールドにのめりこんでいきました。
まさか蟻の巣にさりげなく一緒に住んでいる他の虫がいるなんて。それ自体知らなかったです。しかもそれを専門に研究している人がいるなんて...正直言って地味すぎる!
著者が昆虫を紹介する際、頻繁に「かっこいい」という言葉が出てくる通り、心の底からホントに虫好きなんだなぁーと思いました。そして同士にも恵まれている。
子どもの -
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ほんとうに多彩な形状のツノゼミたち。なぜこんな形状になったのか。それはまだ完全には解明されておらず、とても興味深い。そしてネーミング。「トッテツキツノゼミ」という素晴らしい名前をつけられたツノゼミもいる。そんなツノゼミたちを数多く精細な写真で観られる貴重な一冊である。
残念だと思ったのはそんなツノゼミたちを立体的に思い描くのがむずかしいこと。「顔面カタログ」に取り上げられた種を除いて、基本的に1アングルであり、また、深度合成写真法が用いられていることもあいまってか、奥行きを捉えるのが難しい。1アングルの撮影でもかなり手間のかかる作業になるのだろうが、複数アングルの写真があれば……、と欲がでて -
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昆虫大好き少年だった私が、大人になって忘れていた昆虫愛を再熱させられるきっかけになったのが本書でした。
ほぼほぼ飛ぶのが昆虫ですが、鳥以前、さらには翼竜のいた一億年以上前に、昆虫はすでに空を飛んでいました。
昆虫は、地球で最初に空に活躍の場を広げた生物であるという話からも、昆虫はすごい、と思います。
オスをフェロモンでおびき寄せたり、メスに貢ぎ物をプレゼントしたり、子だくさんだったり、一個の巨大な卵を産んだり、擬態も得意です。
これらの行動を、ヒトが同じような行動(求愛や育児やモノマネ)をするよりもずっと昔に、昆虫が既にやっていたとみると、やっぱり昆虫はすごい、なと思います。
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Posted by ブクログ
様々な昆虫の生態について網羅的でありながらも詳細にわかりやすく書かれている。
昆虫たちの生存戦略は極めて効率化されていて無駄がない。遺伝子を残すという目的を達成するために取られた進化の過程は、まさに独特で多様で本当に面白い。
強い虫に擬態したり、安全かつ確実に子孫を残すために寄生したり、様々な毒を持ったり、全て種の存続のための進化の結果であると考えると、長い年月をかけて闘ってきた昆虫たちの道のりが頭に浮かんでくる。
また、農業をするアリや他の虫と共生するアリ、他のアリを奴隷にするアリなど、アリたちの生き残ろうとする姿は、人間の歴史にとてもよく重なるように思える。
これらを踏まえると、人