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Posted by ブクログ 2013年06月22日
ほんとうに多彩な形状のツノゼミたち。なぜこんな形状になったのか。それはまだ完全には解明されておらず、とても興味深い。そしてネーミング。「トッテツキツノゼミ」という素晴らしい名前をつけられたツノゼミもいる。そんなツノゼミたちを数多く精細な写真で観られる貴重な一冊である。
残念だと思ったのはそんなツノ...続きを読むゼミたちを立体的に思い描くのがむずかしいこと。「顔面カタログ」に取り上げられた種を除いて、基本的に1アングルであり、また、深度合成写真法が用いられていることもあいまってか、奥行きを捉えるのが難しい。1アングルの撮影でもかなり手間のかかる作業になるのだろうが、複数アングルの写真があれば……、と欲がでてしまった。
Posted by ブクログ 2018年01月30日
ツノゼミの、ほぼ図鑑です。
わ〜すごい!どうしてこんな風になるの?!
飛んでいる実物を見つけてみたい!と思いました。
が、実物サイズがページの端に載っているのですが
小さい!!
こんなに小さな虫を集めたり研究したり...
研究者ってすごいなぁと改めて思いました。
Posted by ブクログ 2017年04月15日
写真集のように美しい図鑑。
拡大写真と原寸大の写真が、同ページにあるのも嬉しい。
ヘルメットツノゼミやハチマガイツノゼミのデザインセンスに痺れる。
Posted by ブクログ 2014年10月21日
ほんとに居るの?って感じです。ページの下にメモリがついていて、実際の大きさが載っています。
こんな形をしている虫が動いているなんて、ほんとに不思議。
Posted by ブクログ 2014年08月10日
ツノゼミの一般向け入門書です。数多くの写真と簡単な解説がつきます。
不思議な生きもの・ツノゼミの世界へいざ。
ツノゼミはツノゼミ科(Membracidae)に属する昆虫で、一般的にいうセミとは異なる生きものです。セミとは下目まで同じ分類ですが、ヨコバイがさらに近縁となります。
セミのように大きな鳴...続きを読むき声は立てず、2mm~25mm程度と相当小型です。
この虫のすごいところはなんと言ってもその形態です。本書の副題は「ありえない虫」ですが、本当にありえないほどの奇妙な形と多様さです。
全体の形として、体の上に長目で半透明の羽が付くところはセミにも似ていますが、セミと違うのはさまざまな形の突起物が付くところ。
植物の棘や枯れ葉によく似たものもいますし、ハチやアリなどにそっくりなものもいますし、イモムシの糞や昆虫が脱皮した抜け殻の擬態をしているものもいます。要は自分を目立たなくする、または危険な存在だと思わせるのがツノゼミの「ツノ」なのです。そうはいっても、やりすぎて、もはや何の擬態かわからないような珍妙な形もちらほら。いやまぁ、あんた、それどういうつもりなの・・・?と聞いてみたくなります。
こんな大きな突起物がついていても、すべての種が「飛べる」というのもすごいところ。但し、大きい突起物を持つものは「不器用」に飛ぶようです。
さらに、このやたらと複雑な形、脱皮で困らないのか?と疑問に思うわけですが、幼虫期にはこの突起物はないのだそうです。最後の脱皮(羽化)の際、しわくちゃに畳み込まれた状態で突起物が出てきます。そして徐々に、翅が伸びるのと同時に突起物もふくらんでいきます。中身は空洞であることが多く、風船がふくらむようにして完成形ができあがります。
ツノゼミは昆虫には珍しく、卵を守ることが知られています。母ツノゼミは産んだ卵の上に覆い被さるようにして、外敵から卵を守ります。なかには幼虫になってからも保護し続ける種もいます。
ツノゼミの寿命は2~3ヶ月で、次世代を守り育てつつ、短い生涯を終えることになります。
ツノゼミの餌は植物の汁。アミノ酸が乏しい一方、糖分が多く含まれるため、必要なだけのアミノ酸を取ろうと思うと、糖分の取りすぎになってしまいます。そのため、余った糖分は排出されます。甘露と呼ばれるこの排出物に寄ってくるのがアリです。同様に甘露を出すアブラムシを保護するように、アリはツノゼミを保護しています。成虫だけでなく幼虫も甘露を分泌します。アリがとんとんと背中を叩くと、幼虫は腹の先から甘い汁が出し、こうしてアリとツノゼミは仲良く共生しています。
ツノゼミが多く存在するのは、中南米やアジアの熱帯地域です。日本にも十数種存在しますが、熱帯のものに比べ、地味なものが多いというのもおもしろいところ。
奇抜な配色で文字通り「とんがった」デザインのものはやはり熱帯のものに多いようです。
本書には、数多くの美しい写真が収録されていますが、撮影の際、小さいがゆえの苦労があるそうです。ツノゼミの特徴はこの凹凸ある体。その全体にピントを合わせるのは非常に難しいことです。そこで著者が取った策は、標本を上下に動かしながら、多数の写真を層状に撮影し、ピントの合った部分を最後にコンピュータ上で合成するというもの。名付けて、深度合成撮影法。聞くからに手間の掛かりそうな方法です。さらには、標本にホコリが付いていると台無しになるため、1つ1つ丁寧にホコリを取って撮影に臨むのだそうです。この準備の方が、撮影よりさらに手間暇が掛かるのだとか。
そう思って改めて写真を見るとまた一段と味わい深いです。
この世界のどこかにおかしな形の小さいツノゼミたちがけなげに生きている。
そう思うとちょっと楽しいです。
*ツノゼミの存在自体は以前から知ってはいたのですが、今回、本を読む気になったのは、先日、たまたまツノゼミの研究をしている人に会ったため。台湾出身の彼は"treehopper"を研究していると言い、それは何だろうか・・・?と思ったら漢字で「角蟬」と書いてくれました。おぉぉ、ツノゼミですか・・・。
フィリピンの森に何度も採集に行ったことがあるのだとか。ふーん、どんだけおもしろい虫なのかと思って探したのがこの本(この著者も知っているとのことでした)。
袖すり合うも多生の縁。おかげでおもしろい奥深い生きものを1つ知りました。
ツノゼミも珍しいかもしれないけど、ツノゼミの研究者も結構珍しい、ような気もします。
Posted by ブクログ 2013年05月24日
チェック項目10箇所。昆虫のひとつの小さなグループで、これほど形の多様なものはいない。本書を通じて生きものの形の豊かさ、すなわち生物の多様性に一人でも多くの人が愛情と慈しみをもっていただければ、これ以上の喜びはない。ツノゼミは名前にセミとつくけれど、セミとは異なるグループの昆虫だ、体調数ミリしかない...続きを読むごくごく小さな生きもので、植物の汁を吸って生きる平和な昆虫である。ツノゼミの奇抜な角の役割はほとんどわかっていないが、いくつかの種ではその機能を推測することができる、ヘルメットツノゼミの丸く大きな角は、わずかな部分でしか体とつながっていない、敵につかまるとその部分が取れて、残った本体は逃げおおせることができる。ツノゼミの奇抜な容姿は、ほかの生きものに食べられないための工夫であり、生きるための技なのだろう、アリのような強力なあごも、ハチのような毒の針ももたないツノゼミにできる、最良の保身術なのだ。ツノゼミは、、余分な糖分を水とともに体の外へ捨てている、ツノゼミのおしっこにふくまれる糖分は非常に多いのだ。アリにとってツノゼミが出すこの甘い露はとても魅力的、甘露欲しさに始終ツノゼミにつきまとう、ツノゼミはつきまとうアリを怖がることはない、アリの方もツノゼミを攻撃しようとは思っていないようで、その関係はまったく友好的なものである。じつはありは甘露をもらう代わりに、ツノゼミの護衛を引き受けている、アリがそばにいるおかげで、ツノゼミはクモやほかの昆虫などに襲われにくいのだ。アリの甘露好きは筋金入りで、ときには1匹のツノゼミに40~50匹のアリが押し寄せて、遠くから見ると黒い球が枝についているように見えることがある。ツノゼミの寿命は種によって異なるが、長くても2~3ヶ月、私たち人間にくらべると、とても儚い命である。
Posted by ブクログ 2011年12月25日
「え、こんな生き物がいるの!?」と思わず言ってしまいそうな写真集です。ここに掲載されているのはツノゼミという虫たちで、まだまだ自分が知らないことはたくさんあるんだということを教えてくれました。
僕も東京にいたころはずっと野外で仕事をしていたので暇を見つけては夏になると木に止まって気忙しくないてい...続きを読むるセミを素手で捕まえては放すという何の生産性もないことを業務の合間合間にしていたことを思い出しました。少し、話は脱線してしまいましたが、この本は世界中にいるとされる珍妙な『ツノゼミ』の各種を特殊な撮影技法を駆使して、克明なまでに再現したものをオールカラーで掲載したものでございます。
ページを読み進めていると、これがまた日本では決して見ることのできないような模様や特徴のあるツノゼミたちがこれでもかといわんばかりに陳列されてあって、世界はまだまだ僕の知らないことがたくさんあるもんだなぁ、などと、妙に感慨深い気持ちにさせられました。中には『それはいったいなんの役に立つのですか?』と聞きたくなるようなプロペラのようなコブを持ったツノゼミや、中にはアリが戦うときの構えを模した形をしているツノゼミ。
そして、『自分には毒がありますよ』という警告をド派手な模様で示しているツノゼミなどがあって、見ているだけでも楽しくなってくる一冊でした。こういう本がきっかけで、少しでも外の世界に興味を持ってくれれば。そんなことをふっと、この記事を書きながら考えてしまいました。