渡邉哲也のレビュー一覧
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ゴーン逮捕が、11月19日。
その背景と意味を詳しく分析する本が、もう出版された。
注文したら、その日のうちに届いた。圧倒的なスピード感。
ニュース、ネットで書かれているゴーン逮捕を
より総合的な視点で、解説している。本もすごい時代になったね。
ニュースやメディアで報道されているゴーン逮捕の
グローバリズムと反グローバリズム(ナショナリズム)の視点で
詳しく分析しているので、世界的な構図がわかりやすくなる。
フランスのマクロンの狙いが浮き彫りになり、
アメリカと中国の貿易戦争の中で、日本、ドイツ、フランスの
立ち位置が 見えてくるのが面白い。
実に、いい本だった。勉強になった。 -
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野口氏の北朝鮮分析は、内外の報道と照らし合わせても的確であるように感じた。そして核をいつでも発射できるような国が近くにあるのにもかからわず、それを報道をしないマスコミに対する非難と、危機感を持たない日本国民に対する危機感もたしかにそうであるように思う。
ただ、後半に入ってテンションが上がってきたのか日本国民に対する苛立ちを隠さなくなってきたところで何処かで見た構図であると気づいた。朝日新聞のモリ・カケ報道である。モリ・カケ報道で不正を追求しているにもかかわらず、内閣支持率は下がらないどころかむしろ上がり、逆に朝日新聞が追い込まれる状況となっている。そしてとうとう有権者に対する苛立ちを隠すこともせず有権者を批判するに至っている。野口氏は、北朝鮮の危険性を散々指摘しているのにもかかわらず国民が危機感を持たない、これだけ報道しているのにもかかわらず報道のとおりに危機感を持たない国民はおかしい、という苛立ちを見せている。
捏造のモリ・カケと違って、北朝鮮情勢と野口氏の指摘とのズレが小さいため違和感を覚えないだけで構図は同じである。結局のところ朝日新聞も産経新聞も根は同じではないかという印象を受けた。朝日新聞だから信用できない、産経新聞だから信用できるという見方では、いずれ足元を掬われてしまうのではないかと思う。きちんとその記事の意図を見抜くことが必要だろう。一見正しそうな産経新聞は特に。 -
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過激なタイトルであるが、読めばこれ以外のタイトルはあり得ないことがわかる。沖縄をコントロールするためにお金を積み上げ、そして沖縄もそれを天秤にかけ更に要求するという悪循環が今の沖縄を作り上げているという、これまで表に出なかった沖縄の現状が語られている。
このタイトルは沖縄を食い物にしている左右双方に対する警告のようなものでと捉えられているようだが、むしろ沖縄県民に対する警鐘であり檄文ではないかと思う。明治維新の頃には近代化のために奔走した人たちが存在し、米軍統治時代には米国留学で学んだことを沖縄に持ち帰り沖縄の発展に寄与した人たちが大勢存在している。沖縄県民の能力は決して低くはないはすだ。しかし今はどうだ?ただエサをもらうだけの存在に堕落しているではないか。沖縄を発展させたいのなら沖縄県民自身が行動すべきだ。「エサを与えられるだけの存在でよいのか?」と。 -
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テロ等準備罪、マイナンバー、テロ3法。ここで書かれていることはこれらの法律が成立したあとに何が起きるのかということである。これらは個別の法律のように見える。しかし”カネ”という軸で見ると全てがつながっていることが示されている。つまりこれらの法が成立することに反対していた人たち――いわゆる”お困りの人びと”――がなぜ反対していたのかがよく分かる。呆れるほどにやりたい放題だった資金移動、マネーロンダリングができなくなる。結局のところテロも”カネ”であり、れらの成立により資金確保ができずテロの準備ができなくなる。だから成立が困るのである。
さて、一般人への影響についてはほとんど触れられていないため、どれだけの影響があるのか分からないが、全く影響がないといい切ることは難しいだろう。とはいえテロの準備でもしていない限りは直接的な影響を受けることはないだろうから、何らかの影響があるにしても限定的かつ軽微なのものではないかと思われる。 -
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『パナマ文書』は、オフショア取引を悪用した租税回避企業・個人のリストと捉えられがちであるが、真に炙りだされるのはテロリストなどの反社会的勢力を支援する企業・個人であるとの指摘は興味深い。テロリストといえどもお金は必要なわけであるが、これまで不明だった資金源がこれによって明らかになる可能性があるという。その他「ゆうちょ銀行問題」「民泊問題」などの日本国内の問題 ―― 一見『パナマ文書』に関係なさそうであるが実は大いに関係がある ―― にも触れている。事実の積み重ねによって『パナマ文書』の意味、影響を解説している。陰謀論に根ざした解説書が出回る前に、このような冷静な解説書が世に出たことは僥倖である。
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今まさに世界が大きく変わろうとしていることが実感できる。9月の習近平の訪米の話題を導入として余命宣告が始まる。本来であれば最新のトピックを扱ったことになるはずなのだが、それすらも過去になってしまうほど事態の進展が早い。中国政府は市場のコントロールを失い、金に物を言わせることができなくなり国際的な影響力もほぼなくなったといえる。本書ではその経緯を詳しく解説しており、経済の崩壊は必然だったということがよく分かる。経済面での最後の足掻きともいえるAIIBについては軽く触れるにとどまり、すでに終わったことになっているようだ。
国内で言えば親中派(媚中派)筆頭の二階氏を批判しているが、その二階氏が朝日新聞で中国に対して厳しい批判をして一部の人達を混乱に陥れたことは記憶に新しい。ガス抜きであるとか、ポーズであるとか言われているものの、やはり中国と関わることで得る利益よりも損害のほうが大きくなったのではないかと思う。加えて、中国崩壊あるいは米中軍事衝突に備えて距離を取ろうとしているようにも見える。今後も批判を繰り返すのであれば、それだけ中国崩壊が近づいているということになるだろう。また、単なるポーズだったとしても、そういうポーズを取らなければ選挙に勝てないからポーズをとるわけなので、どちらにしろ親中派と言われる人たちの影響力が弱くなるのは間違いない。そういった視点で見れば、親中派の人たちの言動は中国の現状を知る目安になるかもしれない。
さて、本書のもう一つの目玉は安倍首相の戦後70年談話の解説。著者のTwitterなどでも解説をしていたが、改めて詳細な解説を読むことができる。非常に丁寧な解説であり、背景や批判あるいは皮肉についての推測も根拠が明確で説得力があった。 -
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サブプライム問題発端の金融危機・・・いんちきマネーの終わり, 2008/9/28
今起きているサブプライム問題を発端とした金融危機。栄華を誇ったリーマン・ブラザーズが倒産し、メリルリンチは救済合併、格付けAAAを売り物に大々的に日本でCMを打つAIG(アリコなどの保険が有名)のアメリカ政府の救済措置。
なんで、たかだか、アメリカの住宅ローンの焦げ付き問題でここまで、大騒動になるのか。
いろいろ、記事や雑誌を見てもわかりにくかったけど、この本はとてもわかりやすく解説してくれる。
タイトルは「ドル崩壊」であり,話はそこに行き着くのだが、現状のサブプライム問題と、金融工学の最先端、デリバティブ(金融派生商品)、特に、リスクの証券化(CDSなど)がいかにイ自分のリスクを取らずに、他人を騙して金儲けするのか。
その関係者(売り側、買い側)の強欲が、レバレッジという方法で肥大化し、未曾有の金融危機を起こしていることがよく分かる。
「最新の金融工学を駆使し、リスクをヘッジする」その美名の元に、ようは単なるババ抜きゲーム(ババ=デフォルト)をしているだけじゃん・・・
という感じがしました。
また、一番印象に残ったのは、FRBっていうのが、民間企業で、しかも倒産する可能性があるという話でした。
いずれにせよ、金融で儲けるということ自体が大きく間違っているのでは無いか、儲けるのは「地道に汗を流して稼ぐ」これが王道のような気がしてきました -
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旧英植民地や英領にタックスヘイブンが多い理由が、歴史的・制度的背景からよく理解できた。また、パナマ文書の流出を契機に、世界各国がいわば「タックスヘイブン狩り」を本格化させていることや、日本のマイナンバー制度もその国際的な流れの一環であることが明確に示されており、非常に示唆的であった。
さらに、自国内にタックスヘイブンを抱えているため大きなダメージを受けず、むしろ積極的に取り締まりを進める米国と、シティや香港の金融機関を通じて英領のタックスヘイブンを活用し、国際金融支配を維持してきたイギリスとの間に存在する対立構造が浮き彫りにされている点も、特に興味深かった。 -
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現在2025年であるが、世界は混沌としたままだ。
今でもロシア-ウクライナ戦争は終結していないままであるが、東アジアの日本周辺地域についても、実はかつてないくらいに緊張感が高まっている。
日本は確かに今まで奇跡的に安全で、平和に過ごしてきた。
その安全と平和が、これからは崩れてしまうかもしれない。
中国は本当に台湾に侵攻するのだろうか。
その「もし」が起きた時は、日本は間違いなく惨禍に巻き込まれる。
その時に日本はどういう手を打つのか。
アメリカは介入するのか。どの程度なのか。
戦争は起きないと言っている識者が多いのは事実。
論理的に考えると、中国が台湾侵攻を実行した際のデメリットの方が多く、利はほとんどない。
確かに論理的に鑑みればその通りで、まさか戦争を起こすはずがないと思うのだが、そのまさかが起きたのが「ロシア-ウクライナ」である。
独裁国家ゆえに、国家のトップが「やるぞ」と言えば、論理を超えて戦争が始まってしまう。
中国は軍事力増強の一途である。
とにかく戦争が始まってしまえば、軍事力の問題だけでなく、総合力での戦いとなる。
GDP世界2位の国家が、あらゆる手を使って攻めてくるとしたら、日本だって自衛隊だけで、アメリカ軍のサポートだけで守りきれるかどうかは、分からない。
例え戦勝したとしても、参戦した国が、すべて無傷ではいられないのが戦争なのだ。
とにかく、戦争を起こさせないことが絶対に重要だと言える。
このために、あらゆる手を使って、外交する訳であるが、果たしてどうなるか。
本書にも書かれている「半導体禁輸」によって、世界のICT(情報通信技術)のパワーバランスが大きく変わる。
先端半導体は、まさに台湾しか作れない状況であったのを、改善しようとしている。
アメリカ国内にも、日本にも先端半導体を製造できる工場を建設することで、リスク分散を図ろうとしているし、中国は中国で、自国での半導体製造を急ピッチで進めている。
戦争に使うミサイルだろうが、戦車だろうが、ドローンだろうが、すべてにおいて先端半導体とネットワークは必須である。
もちろんそれら技術は、EVや自動運転、スマホにも使われる訳だから、AIや量子コンピュータを含めた最新科学技術のどの分野をどう握っていくかというのは、国家安全保障と直結する最重要戦略と言えるのだ。
本書では日本の立ち位置を示しているのだが、大きな意味で世界情勢のカギを握ると言っても過言ではない。
この30年間経済は停滞し、モノづくり日本の栄光から脱せられないままだった。
新規産業を構築できないまま、GDPはジリジリと後退し、少子高齢化、人口減少、労働力不足、技術の継承問題などが、ドミノ倒しのように起こっている状況だ。
果たしてこれらを打開する方法があるのか。
とにかく冷静に勝ち筋を見つけ、一手一手着実に駒を打っていくしかない。
中国の動きを牽制する日本の対応如何によっては、世界のパワーバランスが大きく変わってしまう。
それだけ重要な役割を担っているのは間違いない。
自国の平和と安全が最優先であるが、世界の平和も日本の対応次第だ。
逆に言えば、大きなチャンスとも言える。
これで中国を上手にコントロールできれば、日本のプレゼンスは大きく上がる。
その時に日本の半導体工場が上手く立ち上がっていれば、追い風を掴んで上昇気流に乗れるかもしれない。
まだまだ国家間の駆け引きは続く。
これからAI含めたソフトウェアは益々重要になるが、さらにそこにロボットや自動運転などハードウェアも絡んでくる。
ハードを制御するのはソフトウェアな訳で、いずれにしても先端半導体は今後も益々需要が増してくる。
そんな中で、原材料であるレアアースでは中国が優位である。
日本は現段階では製造に不可欠な素材では優位性を持っている。
台湾TSMCは、半導体チップのアセンブリで圧倒的な技術力を誇っている。
これらのバランスがどうなっていくのか。
日本の動き次第というのは、大袈裟な話ではない。
今までの閉塞感から殻を破って、新時代への飛躍を想像してしまう。
日本にとって大きなチャンスでもある。
明るく元気な、そして平和で安全な世界を目指していきたい。
(2025/7/4金) -
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今年(2024)のGWの大掃除で発掘された本のレビューは大方終わりましたが、その前に娘夫婦が宿泊した時に大慌てでスースケースにしまい込んだ本があり、それらの本のレビュー書きを終了させたく思っています。
記録によれば、日本ではコロナ緊急体制が出された2年程前(2022.5)に読み終えた本です。ウクライナ侵攻がその年の2月末に始まっているので、それを踏まえた内容になっていたと思います。レビューを書きながら中身を振り返りたく思います。
以下は気になったポイントです。
・ドルが基軸通貨になってから、石油・穀物といった戦略物質から、武器・麻薬に至るまで決済はドルが支配している。各国の通貨の価値が保有するドル資産で裏付けられる側面もある。表の社会も裏の社会「金本位制」から「ドル本位制」になっている。企業が対ロシアビジネスを続ければ、金融機関からの融資が行われなくなる。さらに、貿易決済やサービス市場は、ロンドンの「シティ」に集中している。再保険の最大手がイギリスのロイズ保険組合である、この他にも金地金市場、両替市場についてもシティが最大の市場を持っている。ロシアに進出している企業は再保険になることから、多くの民間企業には撤退という選択肢しか残されなくなった。つまり、ロシアに対してアメリカが「ドル」を遮断し、イギリスが「サービス」を遮断した(p11)(p68)
・貧しい国が豊かになれば世界は平和になる、というのは幻想であり嘘である。貧しい国が豊かになれば戦争が発生し、豊かな国が貧しくなれば内乱やクーデターによる政権交代が起きる、これが世界の現実である。(p28)石油の可採年数は1950年代に20年、60年代で35年、70年代で38年、80年代で31年、90年代で40年、現在は53年となった(p29)
・債務国と債権国の間に入るのが「パリクラブ」で債権者会合である、国家と民間銀行の間で債務が返済できない場合には「ロンドンクラブ」で協議される(p33)
・中国人民元がSDR構成通貨に採用された時、中国が西側と約束したのは、為替の自由化と資本移動の自由化であったが、その約束は守られていない。すなわち中国は片方でグローバリズムの恩恵を受けながら、一方で、自由貿易・為替の自由化・資本移動の自由化、というルールを守らず、ナショナリズムに走り続けた(p41)
・2022年2月20日に北京五輪が閉幕した翌日21日、プーチン大統領はロシア編入を求める分離独立派が実効支配する、ウクライナ東部のドネツク州、ルハーンシク州を、ドネツ人民共和国、ルガンスク人民共和国を国家として承認する大統領令に署名した、まさにクリミア危機が繰り返された(p49)
・2020年8月28日、安倍首相が辞任表明をした時、世界各国のトップが御礼や感謝のメッセージを発信した、この返信は、アメリカ(トランプ大統領)、インド(モディ首相)、オーストラリア(モリソン首相)、台湾(蔡英文相当)、イギリス(ジョンソン首相)である、この人選と順序には極めて重要な意味がある。安倍氏のインド太平洋戦略の構図そのものである(p63)
・イラクの大統領フセインは、1991年に湾岸戦争を起こしたにもかかわらず処刑を逃れた、ところがフセインはフランスの働きかけで、99年に導入さればかりのユーロに石油取引の通貨を変更しようと画策した、ジョージブッシュ政権は、ありもしない大量破壊兵器の存在を理由にイラク戦争に踏み切ったのは、ドル支配の維持にあるとされている。2003年に米軍特殊部隊によってフセインは拘束、2006年に処刑された。石油などの戦略物資取引のドル支配を破壊しようとするものには「死」をという強烈なメッセージである(p83)
・日本からアメリカへ現金を送金するときは、通貨ごとに「コルレス(遠隔地の取引先の略)銀行」という中経銀行が指定されている、米ドルならシティバンクやモルガン・チェース銀行、ユーロならドイツ銀行である。日本はかつては東京銀行であったが、現在はそれを合併した、三菱UFJと三井住友銀行がコルレス銀行となっている、それ以外はドメスティック銀行と呼ばれている(p86)ロシアはSWIFTから排除されたが、ドル決済ができなくなりロシアが海外からモノを購入できなくなることを意味する(p94)
・バイデン政権が成立した2021年、欧州はアメリカ以上に脱化石燃料に動いていたが、それはコロナ禍とロックダウンによる経済停滞で成立していたに過ぎなかった、経済活動が再開したことで、欧州は急激なエネルギー不足に見舞われた。ウクライナ侵攻は、ドイツや欧州の偽善が生み出した側面が強い(p103)
・ウクライナ侵攻におけるロシア軍の1日当たりの戦費は、1兆2000億円とも言われている、ロシアは日本の4分の1の経済規模で、金融制裁・経済制裁で経済力は急速に衰えた、長期にわたり戦闘を継続するのは不可能な情勢である(p130)
・CIPS(人民元国際決済システム)もSWIFTも送金のメッセージサービスで、直接的な決済サービスではない。メッセージを受けた銀行がコルレス銀行を利用して現金の決済を行う必要がある、CIPSに加盟している銀行の8割はSWIFTとも提携している。その意味ではCIPSはSWIFTから完全に独立しているとは言えない。結局のところ、CIPSを使っても、制裁対象の金融機関の利用を見つけ出すことはできる、見つかれば経由した銀行どころか「CIPS」そのものも二次的制裁の対象になってしまう可能性が高い、ドル・ユーロ・円のコルレスがCIPSのサービスから離脱すれば、CIPSは中国国内と一部のテロ国家しか使えなくなってしまう。残り国際決済の方法は、外銀の本店とロシア支店間決済となる、これを揺るか否かはアメリカ次第である(p136)
・アメリカとの経済戦争になると判断したイギリスは、植民地支配が利いていた地域を「シティ」と同様の金融の自由都市にして対抗した、ガーンジー島、マン島などの王室属領、ケイマン、ジブラルタルなどの海外領土、シンガポール、キプロス、バヌアツのようなイギリス連邦加盟国、香港などの旧植民地、イギリスはシティを中心とした、タックスベイブンの重曹的なグローバルネットワークを作り上げた。基軸通貨はアメリカに奪われたが、ドル自体の取引量は、世界の貿易決済量で見ると、シティが4割、ウォールストリートは2割である。シティからロシアが排除されたことは、世界の貿易取引からロシアが排除されるということ(p139)
・イギリスのロンドンには世界最大級の再保険市場「ロイズ保険組合」がある、ここから締め出されることは、ロシアの航空、宇宙産業に対して世界中が保険を認めないということである、EUは2022年2月27日、航空機リース会社に対して、同年3月28日までにロシアでの現行契約を終了するように求めた。ロシアの航空機980機の約3分の2がリース運用で、リース契約解消のために返却する義務が生じる。しかしロシアは返却の動きはない。(p141)
・2022年3月23日のインタビューで、高市氏は国際社会における日本の問題を以下の3点にまとめた、1)国連で拒否権を持つものが「外交」を支配する、2)核兵器を持つものが「軍事」を支配する、3)資源を持つものが「経済」を支配する(p159)
・戦略核を搭載したアメリカの戦略原潜が、中国・北朝鮮・ロシアに対して作戦行動を行う際に必ず通過しなければならないのは、宗谷海峡・津軽海峡・対馬海峡東水道及び西水道、大隈海峡である(p176)
・アルミニウム、亜鉛などの工業用金属の国際価格を決めるのが、ロンドン金属取引所である。ウクライナ侵攻によってニッケルが暴騰したことで、2020年に取引停止をした。今後は多くの金属が不足することが予測されている(p187)
・明治期に関東がドイツ製、関西はアメリカ製の発電機を導入したため、現在でも関東以北は50ヘルツ、関西以南は60ヘルツである、静岡と長野に周波数を変換する特殊な施設を設置し、関西から関東への電力融通は可能になっているが、スムーズとはいかない(p202)
2022年5月9日読破
2024年8月1日作成 -
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私事ですが社会人になったのが平成元年、その年末にバブルのピーク(日経平均最高)を迎え、年号が変わった2年に不況が起きてきたように(昭和2年、大正2年、恐らく明治2年)ほぼ社会人生活を続けた35年間は不況の日本で暮らしてきました。
インフレは子供の頃の微かな記憶はありますが、30年以上も同じような生活をしていると、いざインフレが来てもどう過ごしていけば良いのでしょうか。その間に日本のGDPは中国やドイツに抜かれて、私の生きている間に、インドやインドネシア等にも抜かれていくと予想されています。
日本の将来を憂う本は本は沢山出ていて簡単に手に取れそうですが、その反対の内容である本書のタイトルには惹かれるものがあり読むことにしました。この30年間足踏みしていたから、これから30年はその揺り戻しで成長する、という単純な話では無いとは思いますが、デフレ化の資産運用は「とにかくお金を稼いで現金を大切にすべし」だったと思います。散々失敗してきたからこそ私が学んだ教訓ですが、これからのインフレ時代は「お金の価値が下がっていく時代」なので、本気で資産運用を考える必要があると思います。
この本を参考にして人生の後半戦の中観以降を自分らしく過ごすための指針がこの本から読み取れたので嬉しく思いました。
以下は気になったポイントです。
・日本は賃金がなかなか上がらない状況が続いている、しかし今こうした状況が大きく変わろうとしている。その大きな原因となったのが、米中対立やロシアのウクライナ侵攻から始まった東西の新冷戦、そして新型コロナの流行である。国家間の対立は再び国境に壁をつくり、さらにコロナによって、人・モノ・カネの流れは強制的に遮断されてしまった。やがてそれらは再開されたが、この間、生産拠点を中国から自国に移すなどのサプライチェーンの再構成が進み、東西の新たな冷戦はますます強化するようになった。これによりインフレが世界を覆っている、グローバリズムによるデフレの時代から、新冷戦のインフレへの時代へと巻き戻しが起こっている(p4)
・いまだに景気対策のために「国債を刷ってお金をばらまけ」という人がいるが、それはデフレ時の策であり、需要が供給を上回っている状態でそれを行えば、さらにインフレを促進する。景気がよくなるのではなく、単にインフレになるだけ(p20)
・なぜ日本だけが30年もデフレになったのか、1)バブルが崩壊した時期、冷戦終結・グローバリズム(低価格・低賃金競争)開始の時期が重なった、2)消費税の導入と税率引き上げ、3)日本人口が人口ボーナス(人口増加による経済拡大)の時期から、人口オーナス(減少による経済縮小)へと転換した、4)阪神大震災、東日本大震災により円需要の高まりから円高、それにより輸出競争力が低下し海外に生産拠点を移しデフレ化が促進した(p31)
・現在の冷戦環境(2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、アメリカによる中国デッカプリング(外し)、23年10月のハマスのイスラエル攻撃によるグローバリズムの終焉)(p39)は、日本にとって決して悪いものではない。日本を経済成長に導いたのは、前回の冷戦で、日本が世界で最も輝く時代が続いた(p41)
・物価下落が継続的に起こるデフレスパイラルにより、日本の産業を破壊し商店街を壊し、人々を貧しくした。ダイエー、長崎屋、ニチイ、マルエツ、ダイイチ、サティなど、かつては大量にあったスーパーマーケットのグループも、吸収合併を経て、今では、イオンとイトーヨーカドーの2大グループにほぼ集約された(p53)
・新たな冷戦により、日本を長期のデフレに追い込んできたグローバリズム、中国、脱原発からの脱却が進みつつある。日本を弱体化させてきた元凶を排除することは、すなわち、かつて世界最強と言われた日本経済を取り戻すことでもある(p97)
・日本のメディアは円安の悪影響ばかりを宣伝するが、円の下落は実はプラスの側面の方が強かった。国際競争力が回復して輸出に大きなプラス効果が出た。2023年6月の貿易収支は、23カ月ぶりに黒字を計上した、輸出も半期で最高額を記録した(p62)
・長期のデフレは日本企業の体質を非常に強くした、2022年世界のインフレ率(8.8%)に対して、日本は2.3%、各国が高いインフレ率に苦しむ中、日本は低いインフレ率に抑えることができあた。企業の体力強化により、マイルドなインフレに転換できた、これから問題となるのが賃金上昇である(p64)
・帝国データバンクが2022年12月に行った企業動向調査によれば、海外展開している4社に1社が国内回帰、国産品への切り替えを実施、検討していると回答した。エプソン、アイリスオーヤマ、ワールド、JVCケンウッド、製造大手も製造拠点の日本回帰を発表している(p69)
・現在光ファイバによる高速通信が行われているが、有線であるが故に、最寄りの基地局から利用者の建物までを結ぶ通信回線の最後の部分(ラスト1マイル)をどのように接続するか、それにかかるコストが大きな問題となっている、これを解決するには、ワイヤレス化が必須である。そこで、光信号を使った革新的な半導体により、処理速度を上げて、なおかつ消費電力も大幅カットするのが、IWON構想である。これまでのサーバクライアントの形も大きく変わり、自動車の自動運転も通信ネットワークを中心としたものが可能となる。また、電波による電力送信ができれば、携帯電話の充電が不要になり、電力消費が100分の1になる(p84)
・これまで半導体製造装置は、基盤に光で回路を焼き付け、フッ化水素でエッチングを行う露光方式であった、これはオランダASMLが特許を抑えている。これに対して、キャノンの開発した、ナノインプリント方式(ハンコを押すように半導体回路を作る)は、特許をキャノンが抑えて、コストはASML方式より1桁安い、半導体の分野で日本が再びトップを独創する日も遠くない(p87)オンリーワン技術をどうやって温存し、海外流出を守るか、日本だけでできない部分については、アメリカはじめ西側陣営と協力していくことで進めている(p95)
・欧州では電気代の高騰でEVに対する逆風が強まっている、さらに様々な問題点も明らかになりつつある。中国や欧州がEV 開発に注力している理由の1つは、日本のピストンリングを使った、エンジンやタービン技術に対抗できないから(p96)ガソリン車をEV に変えるには、電池の材料であるニッケルが地球3回分必要、ボディは電池が重いので、アルミダイキャスト(鋳造)となる、大きな欠点として溶接できないので、破損時にはユニット全交換となり修理代がかかる、700万円のEV に修理代が500万円というケースもある(p98)電池の寿命は8年間(テスラ)で保証しているが、それ以降は実費交換になり、300万円近くコストがかかる、中古車市場でも4年以上使用した車両はほとんど売れないだろう(p99)
・アメリカのハーツレンタカーは、2024年1月所有するEV 2万台を売却し、ガソリン車に切り替える決定をした、その理由として、修理コストの高さとレンタカーとしての人気低迷を挙げている。欧州でもEU は2035年んびガソリンを使うエンジン車を禁止して全てEVにするという方針を、わずか1年で転換しエンジン車も容認することを決定している、太陽パネルも廃棄時に有害物質が生じる問題もあり環境のためになるのか疑問の声が出ている(p100)
・石炭の利点は、保管が簡単だということ、液化天然ガスは揮発していくので備蓄は60日程度、石炭は180日以上ある(p113)
・2023年11−12月にかけて、COP28(アラブ首長国)が開かれた合意文書では、草案の「化石燃料の段階的廃止」は削除され「化石燃料の段階的削減」にトーンダウンした(p115)議長国の先端技術相は、気温上昇を1.5度に抑えるという目標のために化石燃料の段階的廃止を求めることは「科学的根拠はない」と発言した(p123)
・アメリカでは2023年3月、グリーン(環境)投資に注力し、エコに関連した債権の60℃を扱っていたシリコンバレー銀行が破綻した。これも中間選挙で共和党が下院の過半数を取ったことが大きな原因となっている。下院は予算の優越権を持っている(p117)
・自民党内で脱原発・再生可能エネルギーを推進してきたのは、2016年に発足した再エネ議連(菅元首相、二階元幹事長、小泉元環境大臣)で、従来の電気事業連合会体制に関わることができなかった議員たちであった、岸田政権により、菅グループと二階派が党内野党化して、2023年9月に再エネ議連の秋元議員が収賄容疑で捕まって力を失った。23年3月には、岸田首相、麻生副総裁、森山選挙対策委員長が主体となって「国産再エネ議連」が設立されて、エネルギー政策においては、原発議連・再エネ議連・国産再エネ議連という、3巴の戦いになり、再エネ議連が弱体化しているのが2024年初頭の状況である(p121)
・中国の地方政府の債務は公式発表で35兆元(700兆円)だが、地方融資平台の債務は公式統計に含まれず、こうした簿外債務のIMFによる推計は66兆元(1320兆円)であり、全体では2600兆円と見積もられている(p134)中国の不動産価格は適正価格の3−5倍、人口の2−3倍住宅が余っている状態では、現在の価格の6分の1ー10分の1まで下落が続くことになる。日本のバブル時は、年収倍率の18倍まで上梓したが、バブル崩壊により3分の1に下落した。(p138)中国では、不動産デベロッパーの破綻を認めないので潰れないで残っている。裁判所が破産を認めないので会社は潰れていない(p141)
・中国の現状はどのような形で解決するか、1)市場原理に従って完全にバブルを崩壊させ、国民全体がダメージを受けながら再建に向かっていく(かつての日本)、2)資本主義経済を諦めて再び共産主義に戻っていく、全てを国有化して完全な統制経済となる。西側諸国と同じ市場で共存できないので、デカップリング(切り離し)が進んでいく、現在の習近平政権が行なっているのは、完全に後者であり「現代の文化大革命」の状況になっている(p153)
・2019年イタリアを一帯一路に加盟させて、G7で唯一の加盟国になり、ベネチア港を一対一路の終着点にすることを目論んでいた、しかし2022年の総選挙で、悟空のメローニ首相が選出されて政権交代が起きた。2023年12月に一帯一路を正式に離脱を表明した。さらに、紅海とバブ・マンデブ海峡封鎖の影響(シルクロードにおけるチョークポイント)が深刻化することで、海の一対一路は破綻することになる(p168)
・中国との関係を見直す国が増えつつある、特に中国の「借金の罠」に苦しめられている国は西側陣営につくことによって、債務の8割をチャラにしてもらえる魅力は大きいだろう。2023年11月には、アルゼンチンで反中右派のミレイ大統領が誕生、2024年1月にBRICSに加盟予定であったが、参加取り止めを明言している(p172)23年8月には、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国が加盟することに合意したが、候補だったインドネシアは加盟を辞退(p178)
・ロシアがウクライナ信仰をした理由として、東部4州を支配下におくことでクリミア半島(黒海艦隊・セバストポリ、軍艦の建造基地)までの陸路を確保したかったから、そこから国会に出て、トルコのボスポラス海峡を経て、地中海、アラビア海、インド洋に出ていくが、トルコはボスポラス海峡を制限したので、ロシアにとっては黒海が完全に機能不全になった(p186)さらにスウェーデンがNATOに入ると、バルト海のロシア艦隊は完全に機能不全になる、バルチック艦隊の司令部は、ポーランドの真北にあるカリーニングランドにあるから、すると、結果的に日本真北の、ウラジオストック・ナホトカに多くの軍艦を集中させることになる(p189)
・サウジアラビアなど、多くのアラブ諸国がスンニ派である一方、シーア派の中核をなすのがイランであり、中東各地にシーア派は点在する、問題となっているのは、シーア派の武装組織である、イエメンのフーシ、レバノンのヒズボラ、ガザのハマス、その背後にはイスラム革命防衛隊(イラン国軍)がいる。このため、イスラエルは多面線を迫られ、ガザ地区・レバノン・シリア・ユダヤサマリア地区(ヨルダン川西岸)・イラク・イエメン・イラン、の7方面戦争の様相を示している、イランを除けば一種のゲリラ部隊で、正規軍相手の戦いにならない、ある意味、ベトナム戦争と同じで泥沼化する(p193)
2024年7月23日読破
2024年7月26日作成 -
Posted by ブクログ
世界は複雑になっている。
ウクライナ問題、古くからあるパレスチナ問題、同じ国とは思えないくらい分裂しているアメリカ、経済はどうなっているのかよくわからない中国など。
そんな中でも日経平均株価は、上昇を続けている。
先週の金曜日に、バブル期に記録した3万8915円まであと少しのところまで達したが、下げて終了した。
以前、週刊東洋経済の記事で、中国は世界の知見を学んでいるというようなことを書いている人がいた。
それなのに不動産問題で多額の債務を抱えていると言われている。
「クマのプーさん」と揶揄されるあの最高指導者の権力維持のために、個人崇拝を進めたり、自分の都合の良い人材(人罪といったほうがいいか)を登用したり、「巨大な北朝鮮」を目指しているのかと思ってしまう。
中国人の不動産投資に対する熱狂ぶりには目が丸くなる。
日本はお人好しなので、技術を提供していてオウンゴールを連発している。著者が例に挙げている日本の新幹線技術がいつの間にか中国産に化けている。
米中対立で日本は「漁夫の利」を得る絶好のチャンスが到来している。
熊本や北海道で、半導体工場の建設や計画により、特に熊本で、アゲアゲになっているとメディアが取り上げている。
EVは環境によくこれからの時代をリードするかのような幻想をメディアは垂れ流している。
ところが寒い地域ではEVは役に立たず、しかも電池の寿命は短いなど裏の顔が露呈して、EVに依存から方針転換する国や会社も現れた。
ハイブリッド車で定評のあるトヨタ自動車が見直されて、このところ株価がアゲアゲフェスになっている。
財務省が増税病にかかり、アゲアゲムードに冷水を浴びせるようなことをしなければ、日本経済に明るい未来が見えてくるかもしれないなあと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大前研一さんの「日本の論点」的な本。Audibleで聴いた「2022-23年版」が良かったので引き続き「2023-24年版」も読んだ。
本書で深掘りされているキーワードはどれも自分でも追っているはずなのに、渡邉哲也さんの主張が鮮やか過ぎて、いったい自分は何を見てきたんだ?と反省するとともに驚かされる。この渡邉哲也さんとはどんな人なのか?
調べてみると、保守系「チャンネル桜」で活躍されている人らしい。書籍をも多い。なるほど、三橋貴明さん、上念司さん、林千勝さんなどの論客に並ぶ人のようだ。このカテゴリーの人たちは弁護士のような雄弁さと芸人のようなキャッチーさをかけ合わせたタレントと認識してる。立ち位置を明確にして、ブラさず、弁論で立ち回る。保守(反グローバリズムなど)、財政出動(MMTなど)、陰謀論(反ユダヤなど)を期待する人たちにとってのアイドル的存在と言える。でも正直、僕はこういう芸風の方々からは距離を取ることにしてる。ダニング・クルーガー効果が働いて「自分だけが知っている(がみんなはまだ気づいていない)という自己重要感」の中毒性があるからだ。実際はダニング・クルーガー効果が示すように「自己重要感(全能感)」は続かない。物事はもっと複雑なのだ。
だから渡邉哲也さんの主張に目からウロコではあるが、この「世界と日本経済大予測」シリーズくらいに留めておこう。