渡邉哲也のレビュー一覧
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米国で成立した法律とその施行時期についてを時系列にまとめることで、これまで起きたこととこれから起きそうなことをまとめた一冊。
制定された法の趣旨からして必然的にこうなるだろう、という記述が多く、タイトルに「大崩壊」とあるが、デマ・陰謀論の類とは一線を画す。
米中対立の帰趨については、筆者同様、中国には習近平主席のもと、変に覇権を目指すことなく、緩やかに域内で共産主義体制に戻っていただくのが一番平和的な解決と思うが、まあ、無理だろうな、と。
それにしても、本来ならこういう情報は新聞や少なくとも経済誌を読んでいれば入ってきて然るべき情報ではなかろうか。
ただ、法律で決まったことであっても、マス -
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著者の視野は広く、しかも事象の掘り下げ方が深く大変勉強になる。新聞でもこのように事象を掘り下げてくれたら面白いと思うが、日本の新聞という様々な制約上、しょうがないかもしれない。
中国の傲慢かつ狡猾なやり口がよく理解できる内容となっている。
第二次世界大戦後のグローバリズムを進める中で、先進国は狡猾に安い労働力を求め勢力を拡大して来た。一方、現在、世界の国々が保守に傾く中で、グローバリズムとナショナリズムがせめぎ合いながらどこに向かうのか不透明な状況だ。
世界を牽引して来た米国が「アメリカ・ファースト」に家事を切ったことで世界が振り回されている中で、これまで欧米諸国に振り回されてきた中国 -
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実態のつかみにくい中国経済であるが、アメリカの中国に対する動きとそれに対する中国の反応を見ることで、中国経済は非常に厳しい状況に追い込まれていることがみえてくる。一帯一路やAIIBを推し進める中国は一見すると強いように見える。しかし国際的な枠組みの中ではもはや勝ち目がなく、経済的な行き詰まりを打破するために中国を中心とする枠組みを構築する必要があり、そのための一帯一路、AIIBであることが明らかにされている。また、アメリカに対する報復関税も、苦し紛れの、しかも自らの首を絞めるだけという指摘はまさにそのとおりで中国の厳しい状況が見えてくる。一方でアメリカは動きが鈍く、後手に回っているように見え
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米中関係の今を理解するための助けとなる良書。たとえば中国の共産主義への回帰の本気度。ニュースを追っていくだけではそのような兆候があるという程度にしか見えないが、実はかなりの本気度であり、しかも順調に回帰しているという。また、トランプ大統領のアメリカファーストも背景を追っていくと実は日本にとって大きなチャンスであることが見えてくる。こうしてみると、ニュースでは表面的なことだけしか報道されておらず、そのまま鵜呑みにしてはいけないということが分かる。当然、著者を始めとした評論家の意見も鵜呑みにしてはいけないが、それ以上にニュースやニュースでの評論が表面的なものでしかないということである。このような
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現状のまとめ。ここ最近の著作で続いていたツイッターまとめのような感じではなく、図・表・数字が適度に配置された良い感じの構成。日本を始め、欧米、東アジアの現状に至るまでの過程を詳細に解説している。これからを見極めるためにはちゃんと経緯を把握しなければならないはずなのだが、経緯を無視してとにかく将来(というか自身の願望)のことだけを語る評論家が多い中で一味違うところを見せつけている。朝鮮半島、中国にかなりのページを割いており欧米は少なめ。良くも悪くも今一番ホットなのがアジアということなのだろう。そして、発行から1月も経っていないのに既に予測とのズレが出てきている。それだけ変化が激しく、何が起きて
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インテリヤクザの代表格と言える一部では有名な『猫組長』。猫組長ですよ、猫組長。名前が素敵過ぎて組長Twitterをいつも覗いておりますが、なんせ株情報が面白い、まんま信じたら馬鹿を見るし、しかし密かに面白案件を出しつつ、それらをどう読み取ってどう売買するか、あ、今回の書評とは違いますね。
元ヤクザやさんの解説だけに今回の山口組分裂の背景もよく分かったし、特に警察vs暴力団が決定的となったきっかけが山口組の関東進出であると、山口組自身が自分の首を絞めている現状であると、成る程感満載の内容。
そして、経済の全てが石油であり、石油が世の中を動かしている事実。そのオイルマネーで儲ける為に日々ヤクザやさ -
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アメリカ合衆国がドル建て取引を禁止するSDN LISTに日本の山口組会長や住吉会会長などの名前が載ったことに関心があった。この本によれば、アメリカが自国の安全保障を脅かすほうに資本を移動させない(テロリスト等に資金を行かせない)意向があり、逆に言うと、アメリカは「自国で取引をやってほしい」と言う意図があり同じタックスヘブン(TH)でもイギリス系THに逃げてしまった自国企業を取り戻したいというアメリカの思慮も働いているそうだ。
(日本のヤクザの海外進出が激しすぎて、米国政府に警戒されたらしい)
パナマ文書もイギリス系THとアメリカ系THの勢力争いでアメリカ系THiによるイギリス系THへの攻撃とい -
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読者が著者に追いつけないとも言われている渡辺氏による最新の米中分析。米中開戦もささやかれるなか、経済という軸で米中の関係、そしてランプ大統領の「100日計画」と「28の公約」から世界の今後を大胆に予測している。トランプ政権の最初の一手は対中包囲網である、という指摘は結論ありきのように感じた部分もあるが、アメリカに限らず中国の動きを牽制する動きをしており、対中包囲網という読み方はあながち間違いではなさそうである。そしてトランプ政権は冷戦構造を目指しているのではないかという指摘は興味深い。まだ始動したばかりであるが、アメリカの政策が大きく転換することもあり日本への影響は避けられない。そのためにも
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トランプ大統領が誕生した理由についての、世の中に出回っている全ての解説を見たわけではないがマスコミの影響力の低下であるという著者の分析はかなり的確だと思う。SNSによりこれまで発言することができなかった人々が発言できるようになっただけでなく、候補者自身がマスコミを通さずにメッセージを伝えることができるようになったことは想像以上に大きな変化だったようだ。日本でもすでにその兆候は現れているが今後それが加速していくのではないかと思う。また、オバマ大統領の広島訪問、安倍総理の真珠湾慰霊と日米双方が太平洋戦争に区切りを付けようとしているだけでなく、既に戦争は始まっているという指摘は非常に興味深い。平和
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1969年生まれで、若いころ、貿易会社に勤務し、独立後、複数の企業経営に携わったという経歴の著者が語る。お金にまつわる世界経済政治分析である。
以下、章ごとに私が気に入った項目を挙げておく。
第1章 変わりゆく日本と世界の「戦後」
「日本型価値観」の輸出で栄える日本
八月五日は朝日新聞の「敗戦記念日」
かくして日本の「戦後」は終る
第2章「グローバリズム後」のマネーの流れ
「グローバル企業の租税回避叩き」が始まった
「架空資産」「仮名口座」「租税回避」は許されなくなる
円安がもたらす「好循環社会」とは何か
いまだに金本位制の思考にとらわれている人たち
第3章「孤立する中国」と新た