田中俊之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
何者にもなれず、これ以上の盛り上がりは期待できそうもないな…と感じ始めた男性が、どうやって生きていくのか、ライトな語り口で綴られている本。
「主役でなくてもいい」という考えは、今置かれている状況を満足してを楽しむということに繋がる。マイドフルネスではないけど、そういう考え方はここ最近のトレンドなのかもしれない。
ところで、語り部2人は「中年男」だけど、読み手の私は独身女。30代半ばに入ろうとしていて、目下、「何者=妻、母」と考えている。(そういう考えの同年代の女性は多いはず。多分)
でも、彼らは夫であり、父であって、女の私に置き換えれば「何者」になれている。まだまだ、男と女にとって「何者」の定義、つまり社会人としての目標の定義が違うんだなと感じた。
男性学の田中先生に、男性社会に生きる女のルネッサンスについても話してもらえたら嬉しいなと思った。
-
Posted by ブクログ
田中先生の新作を見つけて、つい手にとってしまった。
男性とはこうあるべき、女性とはこうあるべきという価値観は、個人のものかと思えばそんなことはないのだなと。私はわたしだから、だけでは済まないのだなぁと思いました。
自分の立場と重ね合わせ、夫婦間のお話の部分をより一層目を見開いて読んだのだけど、特に小島さんの旦那様が言ったという「君は誰と戦ってるんだ」のエピソードがぐさりときた。私が泣き叫んで起こっていとき「そんなことは言ってない、思ってないよ」と悲しそうに言っていた旦那さん。そうだなぁ、わたしはきっと私が作った「女性像/妻像」とのギャップへの苛立ちを、旦那さんにぶつけていたんだなと。至極反省。
男性も、女性も、性の呪縛から解き放されることはないし、その必要はないのかもしれないけれど、価値観の多様化が必要なんだ。その意味を考えさせられた。
一言で言うと、「根深い」。 -
Posted by ブクログ
働いていない主夫です。
いろんなことを分かりやすく代弁してくれてるなぁと思います。
前作の「男がつらいよ」と内容的にはほぼ同じですが、だんだん分かりやすくなってきている気がします。
本書にも書かれている通り「働く」ということについては、男女問わず「ずっと働き続けなければならない」というのがルールとして確立しつつあることに、違和感を感じるべきな気がします。
人生の半分以上を仕事をする時間に費やす、ことももちろん生き方としてアリですが、全員がそれをすることはない。
一時的に「働く」ことから離れるのも、違う世界を知ること、多様性への理解を深めること、いろんな意味で決して悪いことではないと思いますが、一方で皆が働いているのが当たり前の状況で、働いていないことに罪悪感を感じてしまう。
いま働いていない男性が感じる後ろめたさは、そんなところなんですが、もっと仕事を離れた人がまた仕事に戻りやすくなることを願っています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレはじめに
走るのをやめたとき見えてくるものがある
男性が抱える不安の正体
絶望の時代の希望の男性学
帰ってきた寅さん
違いのわかる男は黙ってビールを飲みますか?
24時間は戦えませんし、戦う必要もありません
転換点としてのSMAP
男たちよ!自分に向き合うときがきた
第1章 男性はなぜ問題を抱えてしまうのか
競争を宿命づけられて
競争の果てに残ったもの
意地の張り合いが生み出す悲喜劇
目があったら微笑みかけよう運動
攻撃的な男性は弱さを抱えている
男は強くなくてはいけない病
なぜ男性は弱音を吐けないのか?
女性の言う「すごい」に隠された意味
「寝てないオレ」はすごい
自分は優れた人間であるという勘違い
解決しようとする男、共感を求める女
なくなった「普通の人生」
「平日昼間問題」を知っていますか?
相手を選ばなくても結婚できない男性がいる
独身男性に世間は冷たい
女性をリードしなければならないというプレッシャー
趣味には序列がある
「男らしさ」という難敵
早めに本気を出してください
第2章 仕事がつらい
男性は不幸なのか
高すぎる男性の自殺率
問題として直視されていない長時間労働
自己犠牲が評価される日本
「社会人」という日本語は間違っている
ワーク・ライフ・バランス再考
定年退職者の憂鬱
働くことの意味
デビルマン世代の困惑
イクメンが抱える過剰な負担
増える男性の非正規雇用
見えない敵としての企業文化
満員電車に揺られて
画一的な服装から抜け出せるか
台風の日は出社するのを止めましょう
第3章 結婚がつらい
人は冷静に判断して恋に落ちる
恋愛が若者の義務になっている
恋愛の難易度が上がっている
要望を増やしすぎてはいけない
「若さ」という女性の魅力について
浮気は本当に楽しいのか
なぜ男性は女性に謝れないのか
アラサー男性は本当に結婚したい?
一人が好きでもいい
中年シングルが感じる居心地の悪さ
女性を「口説く」のは禁止です
木暮君の良さを理解してもらいたい
「どうして分かってくれないの」を受けとめる
世代交代で変わるのか
新しい家族像を作るためには
子供がいない夫婦もいる
関係を積み重ねていく
結婚の未来
第4章 価値観の違いがつらい
激減している暴走族
「昔はワルかった」といってしまうおじさんたちへ
おじさんがモテるという証拠はない
やさしい、まじめ、細かいことに気がつける系男子の時代
やさしいという言葉の意味
誤解された草食系男子
性から遠ざかる若者
ネオ・デジタルネイティブの誕生
ネットの極論は無視して大丈夫
若者が飲み会に参加しない理由
「みんな一緒」の不寛容さ
山はどうせ下りるのだから、登らなければよかったのか
オタクは何も悪くない
なぜオタクは差別されるのか
オタク的な生き方の一般化
芸人がバイトをして何が悪い
男が男に憧れて問題はないし、男が男を好きでもいい
話せばわかる
第5章 これからの時代をどう生きるか
立ち止まる勇気が必要だ
人との比較を止める
自分の中の多様性を認める
何が変わっていないのか
花を買ったぐらいで許してもらえると思うな
根強い独身者への偏見
仕事と見栄を切り離す
働き方の根本的な見直し
正論で世界は救えない
おわりに -
Posted by ブクログ
立川で路上ライブをやって、一緒にやってた女がこんなことを言った
「ぶっちゃけ女の方が好きなことやって生きていける。男は稼がないと駄目だからね。」
正直な人間は大好きである。路上仲間の前で言うところがまた、ロック精神に磨きがかかった女であるといえよう。ただちょっと手加減してほしい。
本書は彼女の発言に象徴されるような男性的ジェンダーを論じる。ジェンダー『論』と、それを迎える現実との間にどのようなギャップがあるのか。少し『論』ばかりが先行してはいないか。「人は女に生れない、女になるのだ。」ボーボワールの言葉を今裏返して考えることには意義があると思う。
ゼミ論の文献にするつもりだったが、使わず。 -
Posted by ブクログ
独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
昭和戦後期の皆婚が、いかに女性の人権を無視して実現していたのかがよくわかった気がします。
と同時に、いわゆる弱者男性はもう結婚はできない世の中に日本はなったんだな、と思いました。
男性も(女性も)ケア能力が求められるとのことで、それ自体は悪くはないと思うのですが、一方で男性は稼得能力から降りることは今後も許されないと思うので、そうするとハイスペ男性しか結婚・出産はできなくなりそうですね。
その結果、思いやりのない男性が淘汰されていくのであれば、それはそれで結構なことであります。
今も昔も恋愛強者は男女ともに3割だそうなので、その3割だけが結婚し、子孫を残していくことになるのかもしれません。ただ、その3割の中にはいわゆるヤリたいだけの男とかもいますので、必ずしも思いやりのある男性が残る、というわけでもなさそうな気がします。多様性というのであれば、恋愛能力のない男女でも子孫が残せた方がよさそうな気もしますが、今後どうなっていくのでしょうか。
自分はそもそも女性を惚れさせる能力がありませんでしたし(そもそもヘテロではなかったようです)、稼得能力もなく、この厳しい世の中を生き抜いていけるだけの人を育てる能力もなかったので(自分が生きるので精一杯)、結婚・出産ができなかったのは仕方なかったのかなと半分諦めています。
男性の性や裸が軽く扱われてきたことに対する憤りを田中先生が語っておられたのは、画期的だなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ケアやフェミニズム関連の本を読むようになって、ふと男性の側はどうなんだろうと思い、手に取った本。著者は男性学で知られる田中俊之さん。コラムのような内容なので、さらりと読める。
タイトルは「男はつらいよ」ならぬ「男“が“つらいよ」。これだけ見ると、「つらいのは男なんだ!」という主張のようで、女性のブーイングを浴びそうだが、これは男という「あり方」がつらいという意味だろう。
「男」としているが、本書のメインターゲットは2015年刊行当時に著者と同世代の30代、40代の男性。私は著者よりやや下だが、ほぼ同世代だ。というわけで、書かれていることは、いちいち確かにと頷ける。女性が読んでも男性のメンタリティが理解できるかもしれない。結局のところ、男を生きづらくしているのは、己の見栄なのだ。つらい…。
今年、本書の続編が出ているらしい。7年の間に何が変わったのか、定点観測の意味で、機会があれば読んでみよう。