異様な構造を持つ館で起きた、特異な動機の殺人事件を名探偵が解明した。これを14年後、別の「名探偵」が再調査することになる……。コアになる14年前の事件だけで充分楽しい。ただミステリとしては若干アンフェア(予め読者に提示されていない、一般的でない知識に基づく推理)なので、凝った構成の中にはめ込まれたのかも知れない。14年後の物語は冒頭から、如何にも色々仕掛けてますぜ、みたいな展開が全開で、読者はみんな地雷回避に大汗をかくんじゃないか。それでも大方は踏んづけてしまいそうだが(迂生は見事にしてやられました)。