水月昭道のレビュー一覧
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ネタバレやや乱暴な文体だが、現在の大学・大学院を巡る状況が大まかにわかった(少子化で18歳人口の数は減っているのに、大学・大学院は急増している等)。博士号を取得してもフリーター・無職になってしまう若者の残酷な現実がひしひしと伝わってきた。何のための教育か。大学にはそのような根本的な教育哲学が必要だと思う。
ただ働きたくないとかそういった軽い気持ちで大学院に進んだ人はともかく、純粋に向学心に燃えて or 大学の画策によって進学した(させられた)人への就業支援は、大学だけでなく、社会政策によってもなされるべきである。もちろん彼ら自身も何のために大学院まで行くか、ということを入学前に考えておく必要はあるが -
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これからの社会は高学歴but非正規雇用者が間違いなくあふれる。
今のヨーロッパの労働問題なんかはそれもあるんじゃないかな。
ヨーロッパは移民という問題があるからね。労働の場を守るのはより大変なのさ。
これからの日本は「高付加価値」が絶対必要だろう。
そのためには高い頭脳が必要である。
だから院生とか研究者の拡大は間違ってない。
だから、もっと「非正規雇用」という言葉が悪いもののように映っているが、そうではないように政策を展開していかなくてはいけない。
そして、国民が心から正規雇用と非正規雇用の違いで悪いイメージを持たなくなるようにしなくてはいけない。
だって国家は国民の最大多数の幸福を目 -
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「末は博士か大臣か」。
そんな時代も今は昔。現代の博士号取得者は仕事を得ることができず、ワーキングプア一直線だという。
そんな博士の実態についての問題提起の書。
元来、博士課程に進むということはそれだけのリスクを負うものだとも言える。なんといっても年齢はかさんでいく。その覚悟をして入学しろ、という指摘も出来るだろう。
しかし現代における博士の増加(少子高齢化もあり、学部学生は減っていく傾向にあるのに、院生は増えているという)の背景には、もっと政策的な判断があったと著者は指摘する。
定員確保(政府の補助金獲得)のために大学側は学生に進学を勧め、そして後は放置。結局、博士号持ちを増やし -
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水月氏がこれからどういうプランを描いているのか分からないが、一つのけじめの書となったのではないかと思う。
前半は、前著「高学歴ワーキングプア」の続編にあたる所で、後半は、この間にあった自らの心中の変化を赤裸々に語っている。
著者とほぼ同じ境遇で大学院時代以降を過ごしたため、共感できる所が多い。上の世代が大して仕事もしないのに既得権益を持ち、日々学内で振舞っていることに対し多いなる不満を持っている。
さて、本著の評価であるが、ロジックとしては前著でほぼ語り終えているので、新規に分かったことはなかった。それでも、後半部分については著者の人となりが理解できたので、前半☆3、後半☆5で、トータル -
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博士になったらいい仕事がもらえるわけではないことを改めて感じた一冊。安定雇用で給与をもらえるようになると安心してしまって研究意欲が下がるというのは筆者以外にも心当たりがありました。本書をとおしてわかったことは「教職員みんな(=人間)安定が好き」ということです。
●この問題は解決しない
ノーベル賞受賞者が訴えても、政治に関係しないからなど筆者の主張には納得感がありました。とはいえ近年、若手研究者の補助金などを意識的に増やす傾向はありますが、その先のポストが増えているわけではないというトラップがあるのです。
●学校の内紛の話は少し冗長でした
様々な関係者との根回しなど、おそらく関わった筆者の感 -
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ネタバレホームレス博士~派遣村・ブラック企業化する大学院~ (光文社新書)2011/8/5
博士号よりも一杯のコーヒーの方が 自分自身の身を助けてくれる
2016年1月14日記述
高学歴ワーキングプアという著作を持つ水月昭道氏の本。
本書も基本的には前作とほぼ似ている。
ただ具体的な解決策が提示されていない点。
あまり新しい事実が浮かび上がっていない点で物足りない。
東大大学院の博士卒の就職率が40%程度というのは驚きだ。
年齢が高すぎて企業も敬遠するのだろう。
せめて修士卒で軌道修正出来ていればと悔やまれる。
第二部の水月昭道氏の半生を振り返った箇所は少々興味深かったが。
特にパチプロ生活し -
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高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか? (光文社新書) 新書 – 2014/2/18
君の実家が自営業なら、院に進んでより深い知識を学んでもいい。でもそうでなければ、諦めて就職しなさい
2015年12月27日記述
大理 奈穂子氏、栗田 隆子氏、大野 左紀子氏
水月昭道氏監修の本である。
大学院生、非常勤講師、大学非正規職員の理不尽さは
昔に比べれば多少は世の中に浸透したように思う。
ただ大理氏の指摘するようにその中でも女性はより不遇に使われている。
企業内においても女性の役員数は日本は世界に比べ圧倒的に低い。
企業だけでなくやはりアカデミックの世界でもそうだったのだ。
本書 -
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◾️概要
博士号を持ちながらも、パーマネント職につけない人材が多数に及ぶ現状を、鋭く切り取る。世間では触れられない不都合な真実にも目を向け、ノウハウを余すところなく伝授する一冊。
◾️所感
自身のキャリアに活きる学びを得るため、読みました。
偶然によるところが大きいが、チャンスを引き寄せる場にいるように常に心がけていたことは無視できない要因。
どのような環境に身を置きながらも、直面する出来事に対して、それがうまくいこうとそうでなくとも、自分なりの意味づけと解釈を見出すことができるか。己をどう納得させ充実感と誇りを持てるか。
というのは、一般のビジネスパーソンにも当てはまると思いました。 -
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私自身は高学歴ではない。
どちらかというと、就職氷河期世代_ワーキングプアである。
非正規公務員を長くしていた中で、ポスドクの人に接する機会がかなりあったと思う。彼らの生き様を垣間見てきたこともあり、この本を手に取った。脱出という言葉に少しだけ希望が持てる。
私が研究者でないから言えることなのかもしれないが、最後まで生きること、食べていくということを諦めてはいけない。大学移転に伴い、様々な事情を抱えて焼身自殺された方のニュースは本当に痛ましく、衝撃を受けた。
コロナだけでなく、数々の自然災害にも見舞われ、益々生きていくことが困難な時代になりつつある。生きようとする人を応援できる心を持ち続け -
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我が家は震災をきっかけに檀家を辞めて、お盆とお彼岸に家の仏壇を拝みにきてくれるお寺さんを依頼するに至った。理由はひとつ、お金である。提示された金額が払えなくなったからなのだ。
社会構造や家族構成の変化によって、お寺さんが抱える問題を包みかずさず書いておられる。著者の代表作に「高学歴ワーキングプア」がある、本来ならこちらを先に読もうと思ったのだったが・・・諸般の事情でこちらを先に拝読するに至る。
我が家に通ってくださっているお寺さんは、私たちのように経済的事情で宗教行事やお布施を軽減せざるを得なくなった家族をどのように感じておられるだろうか。地域コミュニティの中のお寺の役割についても、いろいろ -
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前作を読んだのは大学在学中だったか。
就職予備校と呼ばれる我が母校、T京R大の特に電気科にとっては、
「電気で博士号取ろうなんて、どんな人生送ったらそんな発送にたどり着くんだよ」
と全員が思っており、事実博士過程に進んだ同期は全く聞かない。
これが機械科とか、理学部になると博士課程に進む知り合いも多いんだな。
さて、博士課程に進んだ連中は10年前から変化あったのか。
全くない。
学振がどうのとか(ごめんよくわからん)、
脱サラして博士課程に進んだだの(大変だな)、
TwitterのTLにはそんな奴らが結構いるけど、博士課程に進んでサラリーマン以上の御賃金もらってるやつ -
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以下Evernoteより転記
2007年10月20日初版
実際に就職が見つからないという状況に置かれている著者が語る「大学・大学院の実情」と「博士の実情」
高学歴ワーキングプア→ポスドク であるが、それだけではない。
博士の学位を持つ人間が、コンビニ店員になりその専門的能力はまったく発揮されない状況。
大学が、大学院を持ちたいという欲求があり、実情を伴わないまま、大学院が多く作られた。
そして、院生が増えてもそれに追いつく教授の椅子は無かった。
また企業では、「自分の考えを持つ」博士をあまり積極的には採用したくない、と
この本では書かれていないが、単純に年齢的なものもあるだろう。高い -
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何も考えず、何もせずに過ごしてしまった時期を取り戻すべく、一生懸命頑張ったこの10年。頑張って頑張って頑張って、もちろん何も得なかったわけではなく色々なことを勉強できた。でも心は一向に楽になる気配はない。目指す自分に近づけてるかと思いきやメッキが剥がれ始めて、追い込まれて苦しくなって自滅もして。私にとっての超えたい壁がいつまでも超えられなくてもがき苦しんでいた。自分のこの先の道を思い描けなくて辛かった。
でもこのまま進むのが嫌で180度違う環境に飛び込んでみた。想像よりずっと大変で辛くて挫けそうになった。感情の浮き沈みがすごくて、どうにか抜け出したくて人のせいにして余計苦しくなって、ふとそんな -
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いかに周囲の目がいいかげんであるのがよくわかる。
そもそも否定的な言葉を発するときにはその中に一度入り込んでみなければわからんないだろう。
無論、その中での話であり、それを100%信じることはできないがそれでも何かを考えるためには必要なことなのだと確信した。
世論は宗教課税を強めようとさせる。しかし、その裏で自分の首を少しづつ締めているという事もいずれ気が付くことだろうが気が付いた時にはもう遅いという事にならないようにしなければならない。
いずれにしてもこの世界から宗教という概念は消える方向に突き進んでいくのだろう。それを後押ししたのが自分たちだという事も忘れないでほしい。