水月昭道のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大学院を卒業しても就職口もなく、11.45%は死亡、不詳となる。
なぜ死ぬほど追い詰められてしまうのか、博士たちを取り巻く環境を説明している。
社会は博士を必要としていないというのは民間で働いていて納得。正直、院に行くのは本当に勉強が好きな人と、コミュ力がない人(学歴がどうあれ、就職できなさそうな人)という偏見もあって、そうなると前者は研究するんだから、後者が就職できなくても納得できちゃう。
院に魅力がなくはないというが、常識や人間力は就職してたらOJTで身につくわけだし、課題設定力や解決案策定も、どっちかっていうと大学でやることでは?だったら若者が院にいく理由はやっぱり薄いかな。 -
Posted by ブクログ
著者が研究員、教員、職員とさまざまな立場で立命館の大規模な学校から小規模な学校までさまざま渡り歩いて思ったこと・・・「学校とはほんとうに『自力』が好きだということ」。毎日のように「頑張れ」「努力が大事だ」「夢を追いかけろ」と言われる。努力すれば道が拓けるという「自己信仰」が、夢の信仰ではなく、無限の苦しみのループを完成させている。
それは本当にその通りだと思った。そして、無限ループから著者を救ったのが「他力」だという。自力と他力の比較は面白かった。
あと、興味をひいたのが、著者がいう他力はご縁があって親鸞さんの影響を強く受けているが、弱いときこそ強い、父はそばにいて暖かく語りける、罪人こそ救わ -
Posted by ブクログ
ネタバレ周りを見渡しても、高学歴ワーキングプアーはあちこちにいる。ずっと親のスエをかじり続けてる、高学歴ニートとか高学歴ひきこもりとか。
どんな形であれ、学んだことは生きていくために活かしていくべきだと思う。社会の中で働いて、誰かの需要に応えることができるだけの技術や能力を身につけて、それで賃金を得て、食いたいもの食って好きな服買って、どこかに住んで、そのために学ぶんだと、オレは、思う。
文系も理系も、分野によっては、ほとんど社会で使い物にならない場合もある。お勉強するための勉強、みたいになっている人も見てきた。
親の金がたくさんあるのなら、それでも良いんだと思う。そういうところから何か新しい学問の発 -
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大学院博士課程へ進学する人が、少子化に対する大学の経営的な思惑と、文部科学省の政策にはまってしまい、気がついたら不安定な仕事しかない実態に驚いた。
真面目に論文を書き、研究をしている博士が社会の中で活かされる世の中であってほしいと思う。
大学教授、准教授、専任講師を自前で雇わず、アウトソーシングして安く抑えようという大学側の経営姿勢が、一般企業と変わらないことにも驚く。
有名人が教授として教壇に立つことはテレビで見聞きしていたが、大学の知名度を上げること、学生の定員を満たすために、有名人を特任教授として招いていると知り、なるほどそういうことだったのかと合点した。 -
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九州大学大学院博士課程修了、同志社大学非常勤講師・立命館大学衣笠総合研究機構研究員(当時)にして、浄土真宗本願寺派に得度した水月昭道氏(1967-)による、大学院重点化政策批判を中心とした「高学歴ワーキングプア」論。
【構成】
はじめに
第1章 高学歴ワーキングプアの生産工程
第2章 なぜか帳尻が合った学生数
第3章 なぜ博士はコンビニ店員になったのか
第4章 大学とそこで働くセンセの実態
第5章 どうする?ノラ博士
第6章 行くべきか、行かざるべきか、大学院
第7章 学校法人に期待すること
おわりに
文部省と東大法学部の旗振りによって平成に入ってから急速に拡大した大学院。そのふくれあが -
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大学院の博士課程に進学した人たちの多くが、就職のあてもないまま彷徨っている。
その数はおよそ10万人にもなるという。
これは学生人口の減少を大学院の人口を増やすことで延命してきた日本の教育会のせいである。
2年の修士ならまだ良いが、本気で学問の道を志して博士を出ても、大学の職員のポストは圧倒的に足りない。
彼らは報われない研究、論文をひたすら書き続ける。
運良く非常勤講師として講座を持つことになったとしても、その先は非常に狭く、また金銭的にも安定しない。
非正規雇用。
大学は既得権益層の自己保身ばかり。
上が詰まっている。
優秀すぎても採用されないかも。
無難にほどほどにこなせ。
YES -
Posted by ブクログ
大学の博士課程に籍を置きながら研究所で研究生として研究(理系)してますが、博士号取り立ての若い人が任期付のポスドクなのは、当たり前だと思ってました。
大学の現状を目の当たりにしてないので、何とも言えませんが。
むしろ、研究所なんかではパーマネント制度は廃止されてる所も多い気がします。
とはいえ、更新ありだから、パーマネントとそこまで変わりないのかもしれませんが。
といいつつ、博士課程修了しても、運良く博士号とれても、アカデミックな世界に残るつもりは断じてない。
就活厳しいだろうな。
この著者の本は、絶対アカデミックな世界には残らない、という意志のモチベーション維持に非常に有効です。