【感想・ネタバレ】高学歴ワーキングプア~「フリーター生産工場」としての大学院~のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年07月29日


専門性が極めて求められる大学院はほとんどの大学に備わっています。
国の支援による大学院システムが学生搾取へと繋がるプロセスを見出した本です。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月23日

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書) 新書 – 2007/10/16

大学院(特に文系)に進学したら地獄にまっしぐらです
2016年1月14日記述

水月昭道氏による著作。
2007年10月の本である。
ただ指摘している事は全く古くなっていない。
残念ながら現...続きを読む在進行中のままなのだ。
本書内では主に文系の大学院進学者を想定している感じ。
理系だともう少し具合が違うのだろうか。

自分も文系で大学院進学は厳しいとは認識していた。
しかしここまでとは思わなかった。
大学院重点化策のあまりにずさんな、あまりに悲惨な、あまりに理不尽な結果に怒りを覚える。
大学院重点化による計画的な大学院生増加政策とは悪質な振り込め詐欺に他ならない。
どうなるか将来を検討もせず、そして誰も責任を取らない文科省官僚、大学経営者、教授には反吐が出る。

90年代前半からスタートした大学院重点化で増えた大学院生数と少子化で減った学部生の数が奇妙にほぼ同じであることも驚くほかない。
(90年代後半からの就職氷河期の学生の就職先が見つからないという問題を考えれば当時は雀の涙程度の意義はあったかもしれない。無論、今は無し)

そして非常勤講師の待遇のヒドさ。
正規、非正規の格差は民間、公務員でも酷い。しかしアカデミアほどではないのだ。
専任講師や准教授になると実質的に終身雇用になり、教授になれば年収1000万円を超える。
しかもその非常勤講師達は学費を払う為の奨学金(学生ローン)の返済も合わせると手元にお金は残らずむしろ赤字になってしまうだろう。
リアルな地獄の行進をおこなっている。
その非常勤講師達によって大学の授業は成り立っている。
近隣の各地の大学で必至に教えている。
入試難易度差はあっても大学教育に格差など実質無い。
しかしこんな状態で授業料に見合うような高品質なものを提供し続ける事は出来ないだろう。
日本の大学は、最低品質のサービスを最高料金で提供する産業なのだ。

2015年6月12日の日経新聞夕刊記事だと会計大学院で既に13校中9校定員割れと報道された。
立命館、甲南、法政、2017年からは中央も廃止。
法科大学院もボロボロで先日成蹊大学法科大学院の廃止が決まったばかりだ。
この流れは構造的なものであり本書の指摘する事を真正面から受け止め改善していかないなら一般の大学院も会計大学院、法科大学院のように廃止される事態になるだろう。

労働力不足社会に突入した今後の日本にとって無用な大学院は廃止させるべきだ。
昔の大学院生数7万人程度にまで縮小させて何も問題はあるまい。
現行の大学院生数26万人は多すぎる。

現状大学院生になってしまった者はアカデミアにこだわることなく民間、行政に就職される事を勧告したい。
この腐った構造に身をおいてはいけない。
水月昭道氏も指摘するように「末は博士か大臣か」なんて言葉は死語と成り果てている。

本書終盤に水月昭道氏が書いていた学校法人は利他の精神を持てというのは理想論であろう。
そもそも私立学校は経営が安定しているならともかく
そんな綺麗事だけでは経営は難しそうだ。
本書で登場した私立コースにいた女子学生がいざ国立大学に受けると手のひら返しをするのには呆れるばかりだ。
当の女子学生が卒業後に不信感を抱き母校への寄付などしないのも当然だ。
ただこの事態は私立高校ならば十分あり得るなと思ったのも事実だ。
(私も私立高校出身だ。何をするにも金ばかりでうんざりした記憶が強い。よほど特別なトップ校以外は私立なんて行く意味ないと当時思ったものだ)

利他の精神うんぬんについては、小中高は実際に数の上では公立学校がほぼメインだからまだマシだろう。
大学は逆に数の上で私立が多い。
経営的にも利他の精神どころではない。
大学院生数を無意味に増やしてしまった遠因になっているように思える。

0

Posted by ブクログ 2023年05月05日

15年くらい前の本ですが、今に通ずる内容も多く、あのときのこんな政策が今に繋がっているのかと勉強になります。

0

Posted by ブクログ 2014年10月05日

ちょっとひねくれた視点かなと思われるところが無いでは無いが、概ね実態を正確に記述しているのではないかと思われる。
他人事なら笑い話なのだが、笑ってばかりはいられない。
まとめのところで出てくる「利他の精神」(この発想は著者が仏門に入っているからかも知れないが)というものが、大学・大学院に限らずす...続きを読むべてのところに欠如していることが大きな問題なのではないだろうか。

0

Posted by ブクログ 2014年06月25日

大学院を卒業しても就職口もなく、11.45%は死亡、不詳となる。
なぜ死ぬほど追い詰められてしまうのか、博士たちを取り巻く環境を説明している。
社会は博士を必要としていないというのは民間で働いていて納得。正直、院に行くのは本当に勉強が好きな人と、コミュ力がない人(学歴がどうあれ、就職できなさそうな人...続きを読む)という偏見もあって、そうなると前者は研究するんだから、後者が就職できなくても納得できちゃう。
院に魅力がなくはないというが、常識や人間力は就職してたらOJTで身につくわけだし、課題設定力や解決案策定も、どっちかっていうと大学でやることでは?だったら若者が院にいく理由はやっぱり薄いかな。

0

Posted by ブクログ 2014年03月03日

○大学院で博士号を取得したにもかかわらず、無職同然となってしまっている「高学歴ワーキングプア」について、その実態を記した作品。
○「博士」の意味や取得の難しさはもとより、アカデミズム社会の強烈なコネ、学歴差別、政府の無理な博士増産政策について、現実と理想の狭間を明らかにしている。
○これほどまでに勉...続きを読む強して、優秀であるはずの「博士」たちが、ニートやフリーター同然の扱いを受けているのは、大変非効率であると感じる一方で、その社会適合性についての課題も感じた。
○なんとか、上手くマッチアップする方法はないものか・・・。

0

Posted by ブクログ 2013年10月21日

おそろしい。
博士課程への進学枠を増やしたかと思いきや、その後のポストは十分に用意されていない…構造上の欠陥をかかえた大学院改革について当事者が厳しい現状を打ち明ける。
就職できないのは自己責任、の一言で済ませるのは当事者の人生や社会の損失といった点から失礼だというのが分かった。

0

Posted by ブクログ 2013年09月05日

自分の知り合いかと思う人ばかりの話…。自分も含めて。
大学院に進学する前に読んでおきたかったな。
研究室の先生如何で、退院後の運命が決まるのは本当。
正直、こんなレベルで大学教授でいいの?って人多すぎ。
自分もある意味フリーター状態なわりにまだ恵まれてる方だけど、この先どうなるのか、大学院生の今後を...続きを読む国なり大学が真剣に考えてほしい。

0

Posted by ブクログ 2013年04月05日

本書の方が、著者の第2作目『ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院』より、著者の主張が客観的かつ冷静にまとめられており、それが伝わってくる。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年03月22日

周りを見渡しても、高学歴ワーキングプアーはあちこちにいる。ずっと親のスエをかじり続けてる、高学歴ニートとか高学歴ひきこもりとか。
どんな形であれ、学んだことは生きていくために活かしていくべきだと思う。社会の中で働いて、誰かの需要に応えることができるだけの技術や能力を身につけて、それで賃金を得て、食い...続きを読むたいもの食って好きな服買って、どこかに住んで、そのために学ぶんだと、オレは、思う。
文系も理系も、分野によっては、ほとんど社会で使い物にならない場合もある。お勉強するための勉強、みたいになっている人も見てきた。
親の金がたくさんあるのなら、それでも良いんだと思う。そういうところから何か新しい学問の発展があるかもしれない。
でも、そうじゃない場合は、学ぶという行為は、自分がより楽しく生きていくために必要な技能を身につけることだと思う。

0

Posted by ブクログ 2013年01月03日

誰も使わない橋を作れば批判があるが、就職できない博士を社会的資本を投入し、大量に生み出している現状は認識されにくいという部分はなるほどと思いました。

0

Posted by ブクログ 2012年08月04日

大学院博士課程へ進学する人が、少子化に対する大学の経営的な思惑と、文部科学省の政策にはまってしまい、気がついたら不安定な仕事しかない実態に驚いた。

真面目に論文を書き、研究をしている博士が社会の中で活かされる世の中であってほしいと思う。

大学教授、准教授、専任講師を自前で雇わず、アウトソーシング...続きを読むして安く抑えようという大学側の経営姿勢が、一般企業と変わらないことにも驚く。

有名人が教授として教壇に立つことはテレビで見聞きしていたが、大学の知名度を上げること、学生の定員を満たすために、有名人を特任教授として招いていると知り、なるほどそういうことだったのかと合点した。

0

Posted by ブクログ 2012年04月20日

高学歴ワーキングプアについて知りたくて読書。

人的資源の再生産に失敗している現状の日本や大学院卒のポスドク問題などについて知ることができる。本書を読むと日本の教育改革はピラミッドの下からではなく上からやったほうがいいと感じる。

内容柄仕方ない面がもある仮名での登場が多く現実味が薄く感じてしまう。...続きを読む

読書時間:約45分

0

Posted by ブクログ 2012年04月07日

内容が良いだけにただの大学院の問題ととらえてはもったいないかもという印象。本文中でも引用されている城さんや本田さんの本も併せて読むと社会構造の問題としてわかりやすいかも

0

Posted by ブクログ 2012年03月15日

僕の「一応の」将来の夢は大学教授ということになるのだが、その大学がいかに旨みの少ない場所なのかということが切々と描かれた本。やっぱり自分で新しいものを作るしかないかなーという気がしてくるNE!

0

Posted by ブクログ 2012年02月18日

九州大学大学院博士課程修了、同志社大学非常勤講師・立命館大学衣笠総合研究機構研究員(当時)にして、浄土真宗本願寺派に得度した水月昭道氏(1967-)による、大学院重点化政策批判を中心とした「高学歴ワーキングプア」論。

【構成】
はじめに
第1章 高学歴ワーキングプアの生産工程
第2章 なぜか帳尻が...続きを読む合った学生数
第3章 なぜ博士はコンビニ店員になったのか
第4章 大学とそこで働くセンセの実態
第5章 どうする?ノラ博士
第6章 行くべきか、行かざるべきか、大学院
第7章 学校法人に期待すること
おわりに

 文部省と東大法学部の旗振りによって平成に入ってから急速に拡大した大学院。そのふくれあがった大学院、わけてもその博士後期課程に進学して「博士」の学位を取得した人々が本書の扱う対象である。

 現在日本では、学部学生の1割にあたる26万人超の大学院在籍者を抱えており、博士後期課程を修了する者が年間約16,000人いる。しかし、このうち「就職」できる者はわずかに57%、さらにここから医学・薬学系を差し引けば優に50%を割り込んでしまう。

 最上位の高等教育を修了した者の半数、分野によっては半数どころか6~7割が「無職」となってしまうのである。

 その中の多くは血のにじむような努力をして博士論文を書き上げて、学位を取得した正真正銘の「博士」も数多く含まれている。
 大学教員というポストが既得権益者と一部の有力大学関係者によって独占されている以上、彼ら無職の「博士」にすぐ「職」が見つかる保証など何もない。

 大学教員の道が無いのなら、民間企業へ就職ということになろうが日本企業は高学歴者を嫌う。企業の実務に専門知識など必要ないし、専門分野で博士号を取るような「視野の狭い」人間は要らないし、そんな人間に高い給料を払う理由が見つからないというのが大半の人事担当者の見解だろう。

 多くの社会資本を投入して学部入学から足かけ10年以上大学で教育を受けた人々に対して、現在の日本社会が提示した答えは専門知識を活かす余地など微塵もないフリーターという名の「ワーキングプア」への道だけである。無論、語学ができる人なら迷うことなく海外に居を移すであろう。

 政府が対策を講じない限り、時間、予算、労力、人材全てを無駄にするこの社会構造は哀れな「博士」を生産し続けることになる。学部新卒至上主義という世界でも類を見ない愚かな画一的採用方式を貫く低学歴国家の日本。この馬鹿馬鹿しさを政府はいったいどう説明するのだろうか?

 本書冒頭で記されている博士課程修了者のうち「死亡・未詳」の割合(2004年)は"11.45%"である。

0

Posted by ブクログ 2012年01月02日

理系なので事情は若干異なるけど、博士課程に在学してる身にとっては身の毛のよだつ話ですな。
理系は研究所なんかがあるのはあるから、若手のうちはそこまでシビアじゃないはず。少なくとも私の周りは。師事した教授に依るところも多い気がするけど。

とか言う自分はアカデミックな進路は選択肢にないので死ぬ気で就活...続きを読むと実験やります。
そのモチベーションを維持するのに持って来いな1冊。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年02月19日

やや乱暴な文体だが、現在の大学・大学院を巡る状況が大まかにわかった(少子化で18歳人口の数は減っているのに、大学・大学院は急増している等)。博士号を取得してもフリーター・無職になってしまう若者の残酷な現実がひしひしと伝わってきた。何のための教育か。大学にはそのような根本的な教育哲学が必要だと思う。
...続きを読む
ただ働きたくないとかそういった軽い気持ちで大学院に進んだ人はともかく、純粋に向学心に燃えて or 大学の画策によって進学した(させられた)人への就業支援は、大学だけでなく、社会政策によってもなされるべきである。もちろん彼ら自身も何のために大学院まで行くか、ということを入学前に考えておく必要はあるが。

最後、大学・大学院時代の専攻と全く違うことで起業した人の話は興味深かった。こだわりを捨てることも大事だと彼は言う。そう、大学は職業訓練校ではない。就活予備校でもない。確かに就職支援・キャリア教育は必要だけど、大学で学んだことをどのように生かすか(直接的なことだけでなく間接的なことも含めて)はその人次第なのだ。

0

Posted by ブクログ 2011年11月07日

凄まじい現実を知りました。
著者に感謝しつつ、せめて身内だけでも
このオソロシイ現実を伝えたいと思います。

0

Posted by ブクログ 2012年02月12日

今の時代、あえて大学院まで進学することの意味に、「物事の本質を理解・解析する力を養う」と筆者は説いている。自分は修士卒だが、省みてみるとたしかに今の自分の価値判断基準は、大学院での研究生活を通じて醸成されたように感じるところではある。

0

Posted by ブクログ 2018年10月09日

以下Evernoteより転記

2007年10月20日初版

実際に就職が見つからないという状況に置かれている著者が語る「大学・大学院の実情」と「博士の実情」

高学歴ワーキングプア→ポスドク であるが、それだけではない。
博士の学位を持つ人間が、コンビニ店員になりその専門的能力はまったく発揮されな...続きを読むい状況。

大学が、大学院を持ちたいという欲求があり、実情を伴わないまま、大学院が多く作られた。
そして、院生が増えてもそれに追いつく教授の椅子は無かった。
また企業では、「自分の考えを持つ」博士をあまり積極的には採用したくない、と

この本では書かれていないが、単純に年齢的なものもあるだろう。高い年齢でありながら、社会における実務経験がないというのは企業においては積極的に採用されないというか積極的に否定される人材のわかりやすいモデルである。

これも年功序列、という制度がもっている排除性であるし、またそれに毒されている価値観の表れでもあると思う。

気になるのは、この高学歴ワーキングプアの問題は現状(2009年)でどうなっているのか?ということ。新聞の紙面を賑わすことはなくなった。
普通の正社員ですら雇用が危ないというときに、こういったもともと正規のルートに乗り切れていなかった人々には焦点が当たらないというのは日本のメディアの現状ではあたりまえなのかもしれない。
おそらく問題は解決しているどころか、2007年よりも悪い方向に進んでいると言えるだろう。

教授のポストを増やすという対策がおそらく予算的に達成できない以上、企業側がこういった高学歴の人々を偏見無く受け入れていく、という状況しかないだろう。
しかし仕事にありつきたい人々がたくさんいる中で、この「高学歴」の人々が厳しい就職戦線を生き抜けるのか、に関してはなかなか難しい所だと思う。

0

Posted by ブクログ 2014年10月10日

【超速読】若いちょい有名そうな学者さんが、同じ問題を提起しているネットニュースを読んだことがありまして。こちらの著者の方はバイク便の方ですよね。これはフリーターだけでなくニート、ひきこもりの温床ともなっていて、学校さえ選ばなければ院生から先のコースへ進むのは容易となっていますし、大学全入時代はさらに...続きを読む極まる可能性ありですね。もはや歯止めの効かないところまできてるというか、じゃどうするかというのは本田由紀「軋む社会」にも書いてあったりするんです。

0

Posted by ブクログ 2014年05月22日

ここで出てくる高学歴とはAランクの院生。40近くになっても非常勤講師等の不安定且つ低所得の女性達。特に人文・社会系を専門としている女子は理系と比較して教授への道は絶望的であり、なのに多くの女性は理系にいかずに・・・(ま、理系にいっても厳しいんだが)

娘2人をもつ私とすれば間違っても『パパ、あたい言...続きを読む語学者になるでー!』なんて言い出したら死にたくなるような悲しい現実。ま、ビッチだから心配ないわw

で、一番印象に残ったフレーズが

『磨き過ぎた女子力はもはや妖刀である』

磨き過ぎた女は、自分はもはや抜き身の刀が持つ妖しい光しか放っていないことに気付いていない・・・・

あっ、そういえば私の同級生には『妖刀』が・・・ゴホッ!ゴフッ!ゲフッ!・・・・・・

0

Posted by ブクログ 2013年10月26日

大学院博士課程を修了しても仕事がない、そんな人が多いらしい。修了したあとの正規雇用への就職率がだいたい半分くらいと、半数の人しか就職できず、残りの人たちは一時的にフリーターとして働かざるを得ない。そんな状況であるらしい。

博士課程とは、学部を卒業したあと修士課程として2年間勉強し、それが終わったあ...続きを読むとに始まる課程(最低3年間)である。博士論文を提出し修了すると、○○博士との肩書きがつく。

こんな何年間も勉強ばっかりして研究してようやく終わっても、半分の人には就職先がないというのは酷な話だ。

なぜそんなに就職先がないか。
就職先の一つとして大学の助教授、准教授、教授へと続く道を考えた場合だが、その全体の数は昔とほとんど変わっていない。しかし、大学院に在学する学生の数は20前と比べると4倍に増えており26万人になるそうである。限られた就職先を多くの人で争うため自然と就職率も低くなる。
ただなぜ大学院生の数が昔と比べて4倍にもなっているのか。学部生の数は、一方で少子化のために減少しているのに。

このへんのよくわからんことの理由がこの本に書かれている。博士まで取った人がコンビニで働くはめになるとはなんとも残念だと思う。

0

Posted by ブクログ 2012年10月28日

大学院重点化というのは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って練りに練った、成長後退期においてなおパイを失わん都執念を燃やす"既得権維持"のための秘策だったのである。
折しも、九〇年代半ばからの若年労働市場の縮小と重なるという運もあった。就職難で行き場を失った若者を、大学院につりあ...続きを読むげることなどたやすいことであった。若者への逆風も、ここでは追い風として吹くこととなった。
成長後退期に入った社会が、我が身を守るために斬り捨てた若者たちを、これ幸いとすくい上げ、今度はその背中に「よっこらしょ」とおぶさったのが、大学市場を支配する者たちだった。

先輩が研究室においていった本。大学経営もビジネスだということかなぁ。自分とは違う文科系の博士がどういうものか知って驚いた。色々と考える所がある一冊であった。

0

Posted by ブクログ 2012年10月08日

大学院=高学歴と仮定して、大学院博士課程に進んでも就職できない人がたくさんいます、そしてそれは国家的な陰謀(で、自分は悪くない)という主張。
まあ、言いたいことは分かるし、確かに目的なく大学院に行く(行かされる?)人もいるんでしょうが、、、
ただ、諦めに終始している気がして、もうちょっと主体的に...続きを読む行ってもいいのかもしれないなあ、と。
考えてみるネタとしては、格差社会問題と並んでいい話だと思いますが。

0

Posted by ブクログ 2012年06月27日

博士号を取ってもなかなか就職先が見つからない先輩。
やたら大学院進学を勧める教授陣。
コネで論文をアクセプトしてもらう人。

研究ってもっと純粋なものだと思っていたのに、大学で見た現実は少し違った。
もちろん純粋に社会貢献や真理追及を目指す人はたくさんいるのだが。

疑問を持ちつつこの本を読むと、が...続きを読むっかりした。研究と教育の場にそんな事情があったのか、自分が食べていく為のビジネスだったのか、と。全ての教員がそうだとは思わないが、そんな人もいる、という現状を大学院進学前に知っておくにこしたことはない。「先生」という立場の人の言葉を信じ、勧められるまま大学院に進学する人もいるだろう。その前に一度、現実を多面的に見て、自分の頭で考えるべきだ。修了後どんな未来が待っているのか、自分は何をしたいのか。

0

Posted by ブクログ 2012年06月13日

博士号の意義とその価値、そして日本独特の大学システムを考える本。
興味深く読みました。
実績の無い古参は自ら早く身を引くべきなんですよね。たぶん。

0

Posted by ブクログ 2013年10月23日

本当にこんななの??と思う反面、完全否定は出来ないです。学歴の序列は当然の世界ですからね。ちらっとロースクールの事も書いてあります。法学系に関しては、ポスドクはかなりロースクールの恩恵を受けたらしいけど、また新たなワーキングプアが作られているという矛盾。

0

Posted by ブクログ 2012年06月19日

 枝葉末節で多少外れているところがあるとしても、門外漢の人間が最近の現状を知るためにも、こういう本は読まれても良いのではないかと思う本その2。


 ?研究職を目指そうと思う人にとっていかに経済的に厳しい状態に追い込まれるのか、ということが一つ。

例えば、
a)保険もついていないし、保険に入ること...続きを読むが出来たとしても、実際に病気になったら出費に困るのが現状である、など。



 この手の本を読むとなると、経済的に厳しい事ばかりが注目されがちである。が、そこだけに注目してはいけない。


?アカポスへの就職などで、大学の中で理不尽なことが何てたくさんある。

b)専任になった途端に、自分自身は何も変化していないのに労働3分の1、給料は3倍。

ろくに論文も書かずにのうのうと過ごしている教員がいるという実態。


c)まさかただ助成金をもらいたい一心で定員を埋めたいだけという下心があるとも思わず、就職については何も心配しなくて良いようなことを言われたという実態。



 bやcのように、いかに理不尽なことがまかり通っていて(それでいて世間にはあまり知られていない)ということが起こっているのか、そこにも関心を払う必要がある。

 一人ひとりの人生、また教育や研究のことを考えた場合こんなことがあってはならないはずであり、普通なら良心が耐えられないはずであろうし、それに本気で教育・研究問題を考え、世の中の理不尽なことが許せないような、そういう誠実で良心ある人に読んで欲しいし、またそう訴えかけている本だろう。





 ただ、最近ではもう大学院での状況が厳しいことは、大学生あたりには認知されてきているようで状況が変わってきたような気がする。

大学院重点化は始まったがまだ大学院がこんなに厳しいと分かりだす前と、だんだんと認知されてきた今ではまた違うのかなと。

すでに厳しいと分かって敬遠する人が出てきているような気がする。

とすろと、本書で書かれてある大学教員に院進学を誘われた人はいつぐらいの時期のはなしなのだろうか。



[2008年9月13日追記]
 結局のところ学力優秀でも社会適応力がなかったのだろう。なにせ、バイトをするのでもコンビニなのだから。

0

「社会・政治」ランキング