乙一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「さみしさの周波数」というタイトルを冠しているけれど、
今まで読んだ乙一作品は表題作が含まれていたから、
そのタイトルの作品は収録されていないことがとても不思議。
収録された4篇のうち2篇が未読だったので、
未知の乙一作品を読むことができるという喜びに浸れた。
「未来予報」では、そうではない別の姿=パラレルワールドの
可能性もあったのだろう、と切なくなり、
「フィルムの中の少女」では黒乙一か? と思わせておきながらの
後半には悲しみを超えていく物語に。
同じく角川スニーカー文庫から出ている他の2冊にも、
未読の作品あるかもしれないし、手に取ってみよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大人の文学というよりはYA.もの。
私は携帯電話を持っていない、だけど携帯電話が欲しいと思っている女子高生(16才)。頭の中で携帯のイメージをしているうちに、その電話に、本当にある男の子(17才)から着信が届く。彼も私と同じく、人としゃべるのが苦手で、孤独な高校生。二人はいつしか、実際に会いたいという思いにかられる。
他に2作。
「傷」・・・他人の傷を移動できる能力をもつ少年との友情物語。
「ウソカノ」・・・友達の手前、見栄を張って彼女がいるとウソをついてしまった高校生の友情物語。
全ルビ付き、小学校高学年から。はじめて読む乙一としてはいいのでは?>白の乙一 -
Posted by ブクログ
いわゆる「白」の乙一といわれるせつない系の短編集。乙一が描く主人公は大抵、人付き合いが苦手で人間関係が希薄で他人の前では仮面をかぶって演技して、といったキャラ設定で、太宰治が描く人物像に近いものがあります。筆者の控えめな性格によるものでしょうか。
タイトル作の「きみにしか聞こえない」は、携帯も必要ないくらい友達がいないんだけど、空想の携帯を持ってるふりをしているうちに他の空想の携帯電話を持つ相手とつながってしまうという妄想の上に妄想を重ねたようなお話。で、電話相手とは微妙に時間差があったりして、今自分と話している相手が実は30分過去の相手だったりする。もちろん、より鮮やかなラストを演出するため