今年(2024)のGWの大掃除で発掘された本のレビューは大方終わりましたが、その前に娘夫婦が宿泊した時に大慌てでスースケースにしまい込んだ本があり、それらの本のレビュー書きを終了させたく思っています。記録によれば、まだまだ世の中がコロナ騒動の真っ最中だった、4年前(2020.6)に読み終わった本です。
この本の著者の高橋氏の本は長い間お世話になっていて、これで45冊目となります。この本でも、一般に公開されているデータを根拠に、それを彼がわかりやすい図表に置き換えてくれて説明してくれています。数字でしっかりと説明されると納得感が違いますね。読み終わってから時間がかなり経過しているので、レビューを書きながら大事な点を振り返りたいと思います。
以下は気になったポイントです。
・筆者が議論するときに心がけていることは「川を上り、海を渡れ」である、歴史を遡って過去の経緯を調べる、海外の事例を調べる、である(p8)
・ファクトを探すための3つの言語、1)人文科学の言語、母国語の日本語と外国顔(今の時代は英語)、2)自然科学の言語、数学、3)社会科学の言語で、会計や経済理論、である(p25)
・演繹法とは、複雑な事例をいくつかの前提から全ての解答を導き出す方法である、本質があってそこに何かが組み合わさったものが世の中の事象になっている、何が本質かというファクトを導き出す(p30)
・政策賃金だけを上げるのは政策としては本末転倒、全体の賃金が上がる中で最低賃金も少しずつ上がるのがベストな状態である、貧困を無くしたいのなら、全体的な経済成長をするしかない(p47)
・ベイシックインカムは、失業保険、生活保護、年金、これらに関係のない人が喜ぶ。逆に言えば、関係ない人までもらえるが故に、一律にばら撒けば失業保険等の受給対象者の取り分が絶対的に減る、だからこれは無理筋な話となる(p56)
・国際関係とは国家間の貿易と安全保障のこと、貿易と安全保障は表裏一体で、それを国家間でどうして行くかを話し合うのが外交である(p74)
・貿易赤字になれば景気は悪化するのか、という問いに答えを出すには、貿易収支と経済成長率に相関関係があるかを検証すれば良い、結論を言えば、GDP に対する貿易収支の比率と、経済成長率の点は、p85の図のように相関関係は無いことがわかる(p84)
・対外試算は、これまでの輸出額の総計になる、逆に言えば、輸入額=対外負債の純増となる、この輸出額から輸入額を引いた額に、運賃・旅行費・外債利子といった「貿易外収支」を加えれば「経常収支」となる。つまり、貿易黒字の累計が対外純資産となる、それはこれまでの経常収支の累計にほとんど等しい(p99)
・インボイスとは、簡単に言えば納品書に税額を書くこと、これは世界の常識である。消費税の滞納が老いということ自体、取引の段階で税率を書いていないという証拠でもある。そんな時代も終わり、2023年10月からインボイス制度の導入が決まった、これにより脱税がしにくくなり、消費税も上げなくて済む(p112)
・法人税が世界中で下がっているのは、法人税の二重課税を排除したいから、海外では納税者番号などで個人の所得、資産の捕捉ができるるようになったから引き下げられる、日本で下げるのが遅くなったのは、マイナンバーカード制の導入が遅かったから(p119)
・人間の特性として「5%未満のものは認識できない」というのがある。そこまで認識していたら何もできなくなるから。これをうまく使っているのが、降水確率0%である。気象庁の公式見解は「0ー5%未満」である、みんなは5%未満をゼロと認識してしまう。(p124)
・国税庁が把握している法人数は270万社、日本年金機構が把握する民間での社会保険加入数が236万社、差し引きが34万社である。社会保険料も税務署に納めるようになれば、日本の税収も大きく変わる(p131)
・空き家が増える理由は、1)高齢の両親が亡くなったあと、誰も手入れしなくなるから、2)空き家の方が固定資産税が低い、小規模宅地特例により土地に住宅が建っている場合には、固定資産税が通常の6分の1に減額される(p171)
・人生は50歳くらいまでで概ね決まる、定年退職までにある程度の死兆円程度んがあれば後は何もしなくていい。それまでにどうやって資産を蓄積しているかによる。高齢者世代はどうしても資産格差が大きくなるから、中学時代の同窓会なんてもうできない。どうしても同じ階層の人だけでしか集まらなくなる、これは残酷な事実である(p178)
2020年6月15日読破
2024年7月17日作成