新野剛志のレビュー一覧
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新野剛志『ヘブン』幻冬舎文庫。
『キングダム』の続編。前作の『キングダム』は消化不良というか嫌悪感と喪失感だけが残る物語だったが、この続編はどうだろうか。600ページ超えの長編ノワール小説である。
前作を遥かに凌ぐ、馳星周か新堂冬樹かというくらいの真っ黒で絶望的なノワール小説。前作の主要人物を巧く絡めながら、見事なノワールの新たな世界を描いている。
かつて、半グレ集団『武蔵野連合』の頂点に君臨し、東京の裏社会に自らの王国を築いた真嶋貴士は前作での事件後にタイに逃れ、麻薬王の元で新たな非合法ビジネスに手を染めながら、組織内で頭角を現す。
数年後に麻薬の販路を求め、再び日本の地を踏んだ真嶋 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新野剛志による旅行会社の空港係員の活躍を描くシリーズ一作目。
タイトルの「あぽやん」が一体何を意味するのか、それが気になって読み始める。しばらくは明かされないが、明かされてみるとなるほど、そういうことかと納得する。そのあぽやんたちが巻き込まれる騒動と、それによって成長していく主人公がストーリーの軸だ。
空港係員といっても、本作の係員は航空会社の子会社の旅行会社で働く人たちなので、他の旅行会社では持っていない特権も持っている。また、旅行会社のカウンター業務についても解説され、普段何気なく対応してもらっている空港の人たちの仕事が垣間見れて面白い。
ストーリーも空港ならではであるが、登場人物も癖のあ -
Posted by ブクログ
おもしろい。
ただの旅行会社の一社員が、成田空港で奮闘する話。これだけでは、小説としてのネタないだろと思うけど、ほんと小さなエピソード大きなエピソードを、これでもかというぐらい出してくる。
すごいわ、新野(作者)。
主人公の遠藤は、大したやつじゃない。どこにでもいる平社員。
だからこそ、共感できる。
まっすぐで憎めない。自分をもってる人。
もともと空港の仕事を何とも思ってない遠藤が、少しずつお客と接しているうちに、やりがいを見出し、能力を発揮する。
もともと有能で容姿もいい遠藤だから、あまりいない人物のようにも思うが、四苦八苦してる様を見てると微笑ましい。
感情移入できやすい小説、次はど -
Posted by ブクログ
ネタバレやはり返事はなく、通り過ぎていく。
かわりに子供たちが挨拶をしてくれた。
「ハロー」
「ハローエブリバディー」
何故か英語だった。
「今日は英語の日なのかな」
そう訪ねてみたら、目がくりっとした
かわいい女の子が、「シャラップ」と答えた。
もちろん挨拶などない。逃げるようだ、とも
いえるけど、それにしては堂々としている。
子供たちにバイバイと言ったら「グッバイ」と
普通に返ってきた。やってきたときに
声をかけた、目がくりっとした子に
「楽しかった?」と訪ねてみた。
女の子は口を尖らせ、僕を指さした。
「ユーアードッグ」
なかなか考えさせられる答えだった。
このくだり何回読んでも笑っちゃ