新野剛志のレビュー一覧
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敗戦しGHQの占領下に置かれた日本。その中心部、東京で暮らす人々を描いた6編の短編集。
戦後の日本は貧しく、老若男女、誰もが必死で生きるのに精一杯だった。戦時中、物資を運んでいた元飛行士。浮浪児の少年たち。郵便の検閲の仕事をする男性。子どもたちに自由な紙芝居をと願いながら、許嫁の兄の帰りを待つ出版社勤務の女性。GHQの下で働く料理人。ある別邸で元伯爵令嬢の女性と若い女性のお世話をする若い女中。
みんな先の見えない暗い時代を必死に生きていた。彼らが必死に生きて来たからこそ、今の日本があるのだと思う。
特に浮浪児の少年たち。好きで1人になったわけじゃないのに、世の中に嫌われ、邪険に扱われ辛い描写が多かった。
今年は戦後80年。多くの戦争関連の本が出版されたが、『エレガンス』で東京大空襲の前後を読み、この『粒と棘』で戦後の日本を読んだ。戦争の恐ろしさを理解したつもりでも実際に体験していないから、その怖さは想像だけ。それでも、もう2度とあってはならないものと強く感じる。
予約している『13月のカレンダー』も心して読みたい。
しかし、最後の「何度でも」に出てくるあの人はあの人がモデルで、あの人はあの人がモデルなのかなーと。(ネタバレになるから、全部あの人) -
Posted by ブクログ
新野剛志『ヘブン』幻冬舎文庫。
『キングダム』の続編。前作の『キングダム』は消化不良というか嫌悪感と喪失感だけが残る物語だったが、この続編はどうだろうか。600ページ超えの長編ノワール小説である。
前作を遥かに凌ぐ、馳星周か新堂冬樹かというくらいの真っ黒で絶望的なノワール小説。前作の主要人物を巧く絡めながら、見事なノワールの新たな世界を描いている。
かつて、半グレ集団『武蔵野連合』の頂点に君臨し、東京の裏社会に自らの王国を築いた真嶋貴士は前作での事件後にタイに逃れ、麻薬王の元で新たな非合法ビジネスに手を染めながら、組織内で頭角を現す。
数年後に麻薬の販路を求め、再び日本の地を踏んだ真嶋貴士……
剣応会を始めとする暴力団、暴力団に加担する半グレ、宗教団体・紅倫教、芸能事務所、大物政治家、タイの麻薬王たちが違法薬物、性摂待、暴力が吹き荒れる混沌とした闇の世界で蠢く。その闇の世界に斬り込む真嶋貴士の目的とは……
目的は成就出来るのか……
それにしても、今月の幻冬舎文庫から刊行されたミステリフェア作品の新刊は500ページから600ページ超えの分厚い作品が多いな。面白そうなので、本作を含めて4冊も購入してしまったよ。
本体価格990円
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Posted by ブクログ
ネタバレ新野剛志による旅行会社の空港係員の活躍を描くシリーズ一作目。
タイトルの「あぽやん」が一体何を意味するのか、それが気になって読み始める。しばらくは明かされないが、明かされてみるとなるほど、そういうことかと納得する。そのあぽやんたちが巻き込まれる騒動と、それによって成長していく主人公がストーリーの軸だ。
空港係員といっても、本作の係員は航空会社の子会社の旅行会社で働く人たちなので、他の旅行会社では持っていない特権も持っている。また、旅行会社のカウンター業務についても解説され、普段何気なく対応してもらっている空港の人たちの仕事が垣間見れて面白い。
ストーリーも空港ならではであるが、登場人物も癖のある人が多く、本当にこんな人ばっかりだったら大変なのでは?といらぬ心配もしてしまう。
旅好き、飛行機好きの人には既知の物事もあるかもしれないが、空港がどんな風に動いているのか、その一部を知ることができて、また旅に行きたくなる。そんな作品だ。 -
Posted by ブクログ
おもしろい。
ただの旅行会社の一社員が、成田空港で奮闘する話。これだけでは、小説としてのネタないだろと思うけど、ほんと小さなエピソード大きなエピソードを、これでもかというぐらい出してくる。
すごいわ、新野(作者)。
主人公の遠藤は、大したやつじゃない。どこにでもいる平社員。
だからこそ、共感できる。
まっすぐで憎めない。自分をもってる人。
もともと空港の仕事を何とも思ってない遠藤が、少しずつお客と接しているうちに、やりがいを見出し、能力を発揮する。
もともと有能で容姿もいい遠藤だから、あまりいない人物のようにも思うが、四苦八苦してる様を見てると微笑ましい。
感情移入できやすい小説、次はどんな小さなトラブルが起こるんだろうということが気になる小説、とっても読みごたえのある小説でした。