粒と棘

粒と棘

小説・文芸
2,200円 (税込)

11pt

ある男は、上海から空輸されたダイヤモンドの行方をめぐって追手から逃げる――飛行士として空を駆けた日々に思いを馳せながら。ある少年は、みずからと似た境遇の浮浪児を集めて地方の農家に身売りする――それが彼らにとっての幸福に違いないと信じながら。ある女は、紙芝居の出版社で働く傍ら許婚とともに義兄の帰りを待ち続ける――父のいなくなったこの国で自由とは何か悩みながら。一九四五年、第二次世界大戦の終結とともに被占領国となった日本の状況は一変した。あらゆるものを失い、時に犯罪に手を染めてもなお、生きるために人々はもがく。惨めにも、時に気高く。占領と復興の十年を駆け抜けた名もなき人々の生を描破する珠玉の六編。/【目次】幽霊とダイヤモンド/少年の街/手紙/軍人の娘/幸運な男/何度でも

詳しい情報を見る

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内ミステリー
  • 出版社
    :
    東京創元社
  • タイトル
    :
    粒と棘
  • タイトルID
    :
    1906110
  • ページ数
    :
    360ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年07月30日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

粒と棘 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    敗戦しGHQの占領下に置かれた日本。その中心部、東京で暮らす人々を描いた6編の短編集。

    戦後の日本は貧しく、老若男女、誰もが必死で生きるのに精一杯だった。戦時中、物資を運んでいた元飛行士。浮浪児の少年たち。郵便の検閲の仕事をする男性。子どもたちに自由な紙芝居をと願いながら、許嫁の兄の帰りを待つ出版社勤務の女性。GHQの下で働く料理人。ある別邸で元伯爵令嬢の女性と若い女性のお世話をする若い女中。

    みんな先の見えない暗い時代を必死に生きていた。彼らが必死に生きて来たからこそ、今の日本があるのだと思う。

    特に浮浪児の少年たち。好きで1人になったわけじゃないのに、世の中に嫌われ、邪険に扱われ辛い描写が多かった。

    今年は戦後80年。多くの戦争関連の本が出版されたが、『エレガンス』で東京大空襲の前後を読み、この『粒と棘』で戦後の日本を読んだ。戦争の恐ろしさを理解したつもりでも実際に体験していないから、その怖さは想像だけ。それでも、もう2度とあってはならないものと強く感じる。

    予約している『13月のカレンダー』も心して読みたい。

    しかし、最後の「何度でも」に出てくるあの人はあの人がモデルで、あの人はあの人がモデルなのかなーと。(ネタバレになるから、全部あの人)

    0
    2025年09月19日

    Posted by ブクログ

    戦後の雑踏の混沌とした熱気や匂いが充満する短編集。各短編が何気なく繋がっていて、気になった人物たちのその後が知れて落胆したり安心したりした。一番好きなのは「軍人の娘」。違和感あって引っかかっていたピースたちがラストでカチッとはまって、そう来たか!となった。これも戦争が生み出した悲劇の一つで。昭和の悲しい恋愛小説のようで好みだ。

    0
    2026年06月10日

    Posted by ブクログ

     全ての人ではなく、戦後史の知識がある人に届くような仕掛けでできた一冊。同じ人物が細い糸のように連作的に登場はする。しかし、連作として読む必要はきっとない。また、例えば最後の一編が「夫人」の経歴をなぞって作られたことなら気付く人は多いはず。ただ、そんな風に分かりやすいものばかりではない。でも、だからこそのんびりとした時に手に取ってみる価値はある。
     もしも、新野さんに楽しい本をリクエストしたいのならば、「アポやん」もあることだし。

    0
    2026年01月04日

    Posted by ブクログ

    戦後GHQ占領下の混乱期、上野の浮浪児や没落華族、元飛行士ら市井の生きざまを描く連作短編集。

    それぞれの編は独立しているが、登場人物につながりがあり、全体として1編の小説となっている。

    敗戦により家族、職業、財産といった生活の基盤をすべて失った人々が必死に、しかし矜持を失わずに生きようとする姿。

    どの編も将来への渇望、生きる意欲に満ちながら、決してハッピーエンドとはならない。
    最終編の最後も悲劇を示唆するもので、本書のトーンを象徴している。

    児玉誉士夫、笹川良一など戦後右翼の大物と思しい人物も登場する。

    0
    2025年10月29日

    Posted by ブクログ

    1945年、終戦後の日本を舞台にした中編集。戦時中の苦労話は良く聞くが、戦後の被占領国となった暮らしについてはなかなか知り得る機会が無かった。単に私の無知のせいではあるけど。
    時に犯罪に手を染めても、最低限生きる為にもがき続ける庶民を描いている。私は「幸運な男」のミステリアスな展開が面白かった。

    0
    2025年09月13日

    Posted by ブクログ

    終戦から八十年。
    この夏は、TVでも戦争関連の番組を多く目にした。
    白黒映像の戦後の荒廃した場面や戦争孤児の多くが逃げている様子までも…。
    今では考えられないが、かつてはなんとか生きようと右往左往していた小さな子どもがそこら辺にいたのだ。

    この物語も戦後の東京で男や女や子どもが、これは罪なのかと考えるよりも今を生きようとしているのがわかる六篇の短編集である。

    「幽霊とダイヤモンド」ダイヤモンドをめぐって追ってから逃げる飛行士。

    「少年の町」浮浪児を集めて地方の農家に売り歩く少年。

    「手紙」GHQの下で手紙を検閲する元士族。

    「軍人の娘」紙芝居の出版社で働きながら許婚とともに義兄の帰りを待ち続ける女。

    「幸福な男」連合国軍が接収した洋館で働く料理人。

    「何度でも」元伯爵家でかつての浮浪児が見たもの。




    0
    2025年09月03日

    Posted by ブクログ

    日経新聞に目利きが選ぶ一冊として取り上げられた戦後の混乱の時期を生き抜いた人たちを主人公にした短編集。まあ夏休みの宿題かと思って読み始めた。結局は9月になってしまったけど。
    終戦後に生き延びるためには何でもあり、何が犯罪かなんて関係ない、狡く、逞しく、地べたを這いつくろうが、人の体を踏みつけようが、とにかく生きること、いやちょっとした運と偶然があればそれもいいのか。路頭に迷った人達が集まる東京はどんなだったか、その一片を見せているのだろう。決して優しいことではない、綺麗なものではない、それでもちょっとした光が見えたりしたんだろうか、なんてことを思った。
    自分の家の近くの記述が出てくる。そういえば自衛隊駐屯地があった。そこには終戦後の足跡が残っているような場所があるらしい。これだけで戦争に何かを知ることもできないが、少しだけ戦後の東京に思いを馳せて今年の夏休みの宿題は終わりにした。

    0
    2026年09月01日

    Posted by ブクログ

    終戦後の東京を舞台に、生きるためにもがき、虚無と不条理の中で何かを求めて駆ける人々を描く。

    ダイヤモンドを見たい元飛行士と麻薬中毒の元軍人
    戦災孤児たちを地方に身売りする仲介をしている元戦災孤児
    かつての想い人を見たという手紙の主の家に通う検閲官
    戦地で左足を失った許婚と共に、その兄の帰りを待つ女性
    人体実験をされている中国人捕虜をGHQの施設で世話している料理人
    何らかの妖しい教育を受けているらしい女性を世話する元戦災孤児の少女

    いずれの話も結末は苦い。
    最終話の言葉を借りれば『なんで、現実の世界は号も壊れやすいのか』
    子供が子供でいられず、人の命は紙より軽い時代が確かにあったことを忘れてはいけないと改めて思う。
    生きるためにはどんな惨めなことも我慢し、良心に蓋をし、襲ってくる幽霊たちも躱さなければならない。
    それなのに人はあまりの重さに心が折れ、命を投げ出してしまう。

    何とも鬱々とする話だが、逞しく生きている人もいて、特に最終話の小春には何とか幸せになってほしいと思った。
    今の平和な日本がずっと続いて欲しいが、世界のどこかでは、この作品のような世界が繰り広げられているかと思うと苦しくなる。

    0
    2026年07月24日

    Posted by ブクログ

    短編集6篇。それぞれの登場人物があちこちに顔を出して連作短編集とも。
    戦後の混乱期の上野界隈の孤児たちやGHQの支配などをミステリー風に描いていて、それを最後まで書かない。次の物語でその結果がわかったりしたが、最後の「何度でも」は悲しい結末が予想されて。でももしかすると何らかの奇跡が起こる未来も想像できて、なかなか奥深い。

    0
    2025年12月14日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    戦後80年。
    家族も尊厳も失い、犯罪に手を染め、惨めで理不尽なことが襲いかかかる中、それでも懸命に生きる人々の群像劇。

    戦後の無法地帯となった日本で生き抜くこと、様々な組織が暗躍し、まさに闇。
    想像しただけで恐ろしい。

    しかし、そうやって生き抜いてきた先人達がいたからこそ、今の日本があるのであり、過去から現代と、まさに地続きになっていることを忘れてはならない。


    最後のストーリーは、あの人とあの人がモデルなのかな?



    0
    2025年10月23日

粒と棘 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内ミステリー
  • 出版社
    :
    東京創元社
  • タイトル
    :
    粒と棘
  • タイトルID
    :
    1906110
  • ページ数
    :
    360ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年07月30日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

無料で読める 小説

小説 ランキング

新野剛志 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す