新野剛志のレビュー一覧
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あぽやんとは旅行代理店が空港に配置するお客様窓口にして空港エキスパートのことだそうだ。かってはあぽやんは空港業務の花形だったらしいが、いつしか旅行代理店の閑職となり、そこは左遷を意味する配置場所になってしまった。そこに若くして「飛ばされた」若者の職業成長物語。
空港で発生するトラブルにこんなものがあるのかっていう驚きが中心で、そこにどのように対処していくか、それが人間模様なのか、少々不思議な感じがした。軽妙で、多少人間関係にひねりがあり、ふてくされた若者が成長していく姿は読んでいて気持ちがよい。すらすらと読める。シチュエーションも初めてのなので新鮮だ。
しかし、物語としての奥行きのようなものはあまり感じない。へー、といっておしまいのような。まあ、たまには肩の力抜いて次々読みたいときもあるので、そんなときにはすらすら読めてよいかな。 -
Posted by ブクログ
まさか続編があったとは!
前作の文庫化から4年半。
本屋で見つけて嬉しさ以上に驚いた。 『もう覚えていないよ~』と思いながら読み始めたら全然そんなこと無く覚えてた。
登場人物がみんな魅力的だからなんだろうな。
元々職業物の作品が好きだから、贔屓目に見てしまうけれど、数年ぶりに読んでも色褪せないストーリー。
状況的に自分の今と遠藤が重なって、より感情移入したのかも。
気持ち的には最後の遠藤の活躍がもっとあったら嬉しいけれど、それだと嘘臭い話になっちゃうからいいバランスなんだろうな。
大矢博子さんの解説も良かったなぁ。
最初は僕が嫌いなタイプの内容を列挙するだけのものかと思ったら、細かい部分まで読み解いて本編を読み終わったばかりなのに新しい発見を教えてくれるものだった。
帯は目を引くし良いコピーだとは思うんだけれどひとつだけ不満が。「出社拒否」じゃないよ。意図的に出社しないんじゃなくて出来ないんだから。
ここだけ残念。 -
Posted by ブクログ
新野剛志著:「美しい家」
「煮詰まる」が「行き詰まる」のような意味に使われることはもはや誤用ではないのだろうか?
謎めいた書き出しに引き込まれて読み始めながら、わずか3ページで
「散歩は煮詰まったときにもちいる手軽な最終手段。」という文章にであってしまった。これは明らかに「アイデアが出ずにどうしようもなくなった状態」の意味で「煮詰まった」を使用していると考えられます。
さらに終盤に
「岩田は、錆びついた鋏の片割れを握りしめて佇む、若者を見上げた。」
という文章があるのだけれどこの場合2つの読点「、」は要るのだろうか??
読む時のリズムも壊す上にもしかすると意味も不明確になるのではないか?
子供の頃スパイ学校に入れられたという謎の少女との出会いから始まる、人間の業を軸にしたとても面白いミステリーなのだけれど、上記の2点のせいでこの作者と作品を素直に受け入れられなかった。
作品を世に出すにあたって「校閲」は上の点を見逃したのだろうか?
それとも、これは私の知識と感覚の間違いなのだろうか? -
Posted by ブクログ
まぁ、普通に面白かったけど。
マルクスって、表紙の絵と相まって、経済小説かなんかかと思って(アンダーグラウンド市場とかさ)、ちょっと仕事マインドが高まっていた時に買ったんだけど。
いや、お笑いって(笑)。
って感じでした。
別に、小説だから、面白けりゃいいんですけどね。
でも、なんていうか、いきなり、レイプに仕立て上げられたスキャンダル始まるし、なんか、そういうのあるよね、っていう負の部分ばかりすごい強調されて、ちょっと、辛かったかな。全体的に。
最後には、少しポジティブな話も出てくるんだけど、それも、ネガティブな中での再起、という感じだから、現実まぁそんなもんとは言え、そこまで晴れ晴れもしないし。
とりあえず、この主人公の、のんびりしつつ熱血で、それでいて社会を斜めに見ている感じは、あぽゃんに通ずるかな、と思いました! -
Posted by ブクログ
本書のタイトル、あぽやん。
何のこっちゃ?と思って読み勧めると一章の中で説明があった。
あぽとは空港のことだ。航空業界、旅行業界では、かつてテレックスを使っていた名残で、アルファベット三文字で事物を表すことが多い。旅客はPAX、航空券はTKT、ホテルはHTL、そして空港はAPO。それをそのままローマ字読みにしたアポは、普段の会話の中でもよく使われる業界用語だ。
本書は、空港勤務のエキスパート「あぽやん」を目指す青年の物語である。
いわゆる「お仕事」小説である。
「お仕事」小説......心ならずも「その仕事」に就くことになった主人公が、様々なトラブルに立ち向かいながら、その仕事の面白さ・やりがいを見つけ、成長していく(たまに恋愛も絡む)ってのが、一つの王道パターンだけど、本書は、その王道パターンのど真ん中を描いてる。
30歳目前の遠藤君、大手旅行会社で企画などの仕事をやっていたのに、空港勤務を命じられる。渋々、空港勤務に赴くわけだけど、そこでは個性的な先輩や気になる女性が...。トラブルもたびたび起こり...。これ、「お仕事」小説の典型例だな。
空港という、ある種「非日常」の世界を描いてるとこが目新しい。空港での仕事って、なかなか想像しづらいけど、軽妙なタッチで分かりやすく書いてる。
主人公の遠藤君、カッコイイと思ったな。不本意な空港勤務とはいえ、目の前の仕事に一生懸命、向き合ってる。ふて腐れたり、逃げたりしない姿勢は読んでいて好感だ。
欲を言えば、もう少し空港の仕事を掘り下げて書いて欲しかった。スラスラ読める文章だし、読んでいて気持ち良いけど、後に残らないというか...。主人公の心情ももっと書き込んで良いと思うけどなぁ。好青年ってのは伝わってくるけど、仕事や恋に悩んでる心情が、チョット書き足りないような...。
☆3個
背表紙~
遠藤慶太は29歳。大航ツーリスト本社から成田空港所に「飛ばされて」きた。返り咲きを誓う遠藤だったが―パスポートの不所持、予約消滅といった旅客のトラブル解決に奮闘するうちに空港勤務のエキスパート「あぽやん」へと成長してゆく、個性豊かな同僚たちと仕事への情熱を爽やかに描いた空港物語。
作者の新野 剛志、たしか「八月のマルクス」で江戸川乱歩章を受賞してるんだけど、こんな軽妙な小説も書くの!?って、ちょっと驚いたな。続編も出てるようなので読んでみたい。