あらすじ
生放送のバラエティー番組収録中に、お笑い芸人が予定外のネタを始めた。大スポンサーの商品を貶める内容に、スタジオは騒然となる。怒り心頭のプロデューサー、対応に走る広告営業マン。芸人は、家族の命をたてに脅迫されたとうなだれた。一体誰が、何のために? 再発防止策がとられるものの、同様の事件が相次ぎ、現場は混乱を極めた。しかしこれは、さらに大がかりな脅迫事件への序章に過ぎなかったのだ……。
かつてない好景気に浮かれ騒いでいたバブル期の日本。なかでも隆盛を極めていたテレビ界を襲う驚愕の脅迫殺人事件と、時代に翻弄され、生き迷う若者たちのドラマが交差する、著者渾身の長篇サスペンス。
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Posted by ブクログ
1980年代のバブル経済に浮かれる日本を舞台にしたミステリー。江戸川乱歩賞作家が過去の善き時代へのオマージュと、今もなお続く格差に翻弄される若者たちを描く。交通事故の遺児である津田修介と檜山暁夫、橋本希美子の三人の高校生の出会いが前代未聞のカクメイ事件へとつながる。
確かに、あのバブル経済時代にテレビ局はバカな番組を数々生み出し、自分も含め、多くの日本人は何の疑問も抱かずにバカな番組を楽しんでいた。明るい未来が永遠に続くと勘違いしていたあの時代…
少し込み入ったプロットの割りには事件の真相と結末があっさりと見えてくるのが残念。若者たちの怒りのエネルギーがもっと伝わって来ても良かったのだが。