予防医療教育が経済にどう寄与しうるのかということを学ぶいい機会となりました。
アメリカでは、予防医療を重視したされたいわゆる「オバマケア」が2010年に導入されてから、予防医療教育が大ブームかつ巨大ビジネスになっているそうです。
Apple Watchがヘルスチェック機能を前面に売りにしていたり、G
...続きを読むoogleがFitbitを買収してヘルス分野に力を入れていることもその証左でしょう。
著者は、予防医療教育に演劇を取り入れる案も提案されていましたが、非常に興味深いので実践して効果を是非検証していただきたいなと思いました。
私自身も自治体が主催する短期の演劇ワークショップに参加したことがありますが、楽しく住んでいる地域のことを学ぶことができたので、こういった活動は広がればいいなと思います。
また、本書で紹介されている今年開講したばかりの「芸術文化観光専門職大学」は、演劇やダンスの実技を本格的に学べる初の国公立大学で、芸術文化と観光の二つの視点を活かして、地域を元気にする人材の育成に力を入れる方針だそうで、この大学の取り組みにも注目していきたいと思いました。
ただ、4章まではプランBとして具体的にどんなプランを提案するのか分からなかったので、そこまではもやもやしながら読んでいました。
あと、プランA(IT、AI、バイオ関連のハイテク産業の競争力向上)は失敗するリスクが高く、仮に成功したとしても国民全体の生活の向上にはつながらないとう主張は納得できましたが、プランAへの投資を減らすことに対するリスクには言及されていなかったので、そこはどう思われているか気になりました。
そもそも、「成功」、「失敗」という言葉をよく使われていましたが、政策を成功・失敗と簡単に二分できない(当初の計画を達成したかどうかは評価できるでしょうが、計画を達成したからと言ってその政策が国民や、これから産まれる人や移ってくる人も含めた潜在的国民の生活に寄与したとは限らないでしょうし)と思うので、そこも引っかかりがありました。
また、本書では公共事業(道路や河川等の維持・補修工事や災害復旧を含む)の経済波及効果が小さいと書かれていますが、その主張の根拠としている数値が掲載されている塚原康弘氏の論文には、「公共事業が社会のストックを増やし、将来における生産の増加に貢献するようといような長期的な効果は考慮していない。」と書かれていますが、そういった旨のことは本書には書かれておりません。
地方経済における不適切な評価として「未来に受け取る便益を不当に低評価する計算方法」(p.157)を指摘していますが、土木を学んだ者としては、公共事業が不当に低く評価されるような書かれ方が気になったので、読まれる方はその辺りもご留意いただければと思います。