前田司郎のレビュー一覧

  • 愛が挟み撃ち

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    タイトルがとても好みで、装丁もインパクトがあったので、つい手に取ってしまいましたが、これはもう、読んでよかったです
    BF*GFという台湾映画の主人公たちの関係性と似ていると思いました、どちらもすきです

    みんな情に薄いような感じがしましたが、最後まで読んで、子どもは愛の結晶、なるほどね、となりました
    いびつでも、それは3人の愛だったと思います
    もう、かなり挟み撃ちにされました
    ところどころ劇作家さんならではかな?というト書きのような文章もあって、頭の中で映像として浮かびやすくてよかったです

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    2023年11月11日
  • ヒミツのヒミツの猫集会

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    色んな猫写真集を眺めてきたけど、後ろ姿の写真に「これいい!」って感じたのはたぶん初めて。
    背表紙になってる草むらに飛び込む茶トラの躍動感ある後ろ姿もいいけど、路地の薄明かりの中で歩く影のような後ろ姿や寄り添いながら歩く二匹の後ろ姿も良き。
    完全に心の栄養剤的な一冊です。

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    2022年06月02日
  • 大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇

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    前田司郎らしさが出ていてとても面白かった。主人公感のあたり含め、しつこいほどどうでもいいエピソードを交えてくるところに、北区の滅亡とか愛でもない、とか過去作と同じような既存のフィクションに対するアンチテーゼを感じる。
    新婚だがもう倦怠期の夫婦が地獄旅行を経て、互いのコミュニケーションを見直すことで仲良くなる話。カンボジア旅行を思い出した。
    敢えて超非日常的な設定を用意することで、日常的な事ごとへの気づきをよりくっきりさせることに成功している

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    2020年12月29日
  • 誰かが手を、握っているような気がしてならない

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    よかった!!前田司郎の小説で一番好きかも

    いろんな人の視点で、考えていることがぬるっと境目なく入れ替わっていったりする。
    神様っていうのが本当に気取りなくさり気なく手を握ってくるようにそばにいる存在ぽくて優しくてたまらんくなる

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    2018年11月10日
  • 愛が挟み撃ち

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    前田司郎作品は一通り読んできたけれど、この人がこんな作品も書くのか、と、素直に驚いた。
    まさに「到達点」。

    親子愛、夫婦愛、性愛、友愛、愛にもいろいろあるけれど、どれが最も尊いのだろう?
    ということがこの小説の主題ではないのだろうけれど、「愛」に関する問いやエゴ論というモチーフに、夏目漱石の『こころ』を髣髴した。
    学生時代のエピソードにある憧憬と焦燥感は『三四郎』のそれみたいで、親友との三角関係だとか、親友の愛する人を奪う展開だとか、『それから』を思い浮かべたりもした。

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    2018年04月05日
  • 愛が挟み撃ち

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    愛という形のない物が、いろいろな現実の出来事の中で表現されている気がしました。「愛を信じられない男」は、誰よりも愛を信じていたのではないかと思います。
    過去の若さからくる自信が年月を経て変化し、それぞれの人生と重なったからこそ、全員が愛を感じて満足いく結果が待っていたんじゃないかと思いました。
    読後感もよく、さらさらと読める物語なのに、さらさらと読んだ後、3人の関係や出来事の意味などずーっと考え続けてしまう深さがありました。読書の楽しさを感じた一冊でした。

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    2018年02月17日
  • 濡れた太陽 高校演劇の話 下

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    『「あたしは、前に、あんたがやったあの、クラス合宿の、あれとか面白かったな」
    「あ、ほんとに」
    太陽は嬉しかったので、嬉しくなさそうに言った。』

    『判った、よい戯曲は一回読んだくらいでは理解できないのだ。悪い戯曲は説明的なセリフが多いから、一回読んだだけで簡単に理解できちゃうのだ。
    俺の戯曲は、ただ読んだだけじゃあ判らないのだ。よい戯曲だから。』

    『太陽がマリを天才かも知れないと思ったのは、もちろん、クラス合宿での出し物のこともあるけど、それよりも一緒に芝居をしてみての感想だった。
    その駄目出しに対する反応のよさ、掛け合いでの反射神経のよさ、反射の正確さ、間に対する感性、芝居の空気を支配す

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    2015年07月05日
  • 濡れた太陽 高校演劇の話 上

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    『太陽は早くも孤独を感じていて、どこか自分の孤独を演出できる場所を校内に探していた。できたらその場所で孤独に浸っているところを女子に見つけられ、密やかな好意を寄せられたい。
    ということは、本当に孤独の場所はまずいな。ある程度オープンなスペースで、それでいて孤独感があり、欲を言えば近くにトイレがあって、夏涼しく、冬暖かい場所がいい。』

    『鈴たちの年頃はまだ、様々な形の欲望を、誰もが持っているって事を確信できずにいることが多いから、もしかしたらこんな欲望抱くなんて自分だけかもしれないという悩みに陥りやすいと思う。』

    「渋谷から十分くらいのとこ」
    「ええ凄い」
    「凄くねえよ」
    「でも相原くん全然

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    2015年07月04日
  • ジ、エクストリーム、スキヤキ

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    スキヤキ食いたし。
    大人についてのくだりがよい。
    映画観たいが、家でまったり観たいタイプかもしらん。

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    2013年11月29日
  • 大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇

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    『咲には信念みたいなものがあった。ご飯さえ炊ければどうにかやれる。いつでもそう思って生きてきたのだ。』

    『信義が出張などで居ない夜は自分の炊飯ジャーでお米を炊いたりした。それは咲にまるで浮気のような罪悪感と、罪悪感からくるスリリングな快さをもたらした。』

    『それでオシンコとシャケと味噌汁とご飯とか、朝ご飯みたいなものが食卓に上り、信義が渋い顔をし、咲だってこんな朝ご飯みたいなものを夜に食べると蛇が来るよ、とおばあちゃんに言われたことはないけど、どうも、なんか文化的な何かに反抗しているみたいで気持が悪いのだった。』

    『何か、そういうビジネスが出来ないだろうか? 時間とエネルギーが余っていて

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    2013年02月10日
  • 生きてるものはいないのか

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    『もっと真剣に考えてよ』
    『俺だって真剣に考えてるよ』
    『二人でそんなお祭りみたいなもの飲んで、全然真剣じゃないじゃない、もっと真剣に考えてよ』

    『でも後で保障とかしてもらうとき、お金もらえないかもよ』
    『どうせ、もらえないよ、何人も死んだでしょ、あっちの遺族に払わないといけないもん、俺らみたいにそばにいただけで気持ち悪くなっただけじゃ、お金もらえないよ』

    『なんで? 踊りたいの?』
    『踊りたくないよ ー 踊りたくないけど、踊らないといけない時だってあるじゃん』

    『知らないけど、カツフミ君のこと愛してるから』
    『知らないのにどうしてそんなこと言えるのよ』
    『知らないから愛せるんでしょ』

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    2013年01月20日
  • 濡れた太陽 高校演劇の話 下

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    気が付いたら私もこの演劇部の一員のような感覚でのめり込んで読んでいました。最後にかけての盛り上がり、まさに1つの演劇を見ているようでした。

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    2012年08月25日
  • 濡れた太陽 高校演劇の話 下

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    うひゃー、ゾクゾクした。
    劇中劇もしっかり書いてあるので臨場感がありました。
    皆と同じで、終わって欲しくない、と思ってしまった。
    気が向いたら続きを書いて欲しい。

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    2012年07月21日
  • 生きてるものはいないのか

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    すごく好きな世界観だった。すごくあっさりとばったばった登場人物が死んでく。死に方も人それぞれ、死に際の表情も人それぞれ。映画も見てみたいと思った。染谷将太のケイスケを見たい。

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    2013年10月02日
  • 恋愛の解体と北区の滅亡

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    ここに出てくる宇宙人のフェイクですらない存在感。一周して逆にヒリヒリするとか、そういうことでもない。

    ただそこにいることで、確実にその背景を支配してしまう存在でありながら、自覚もないし、主体性もない。登場シーンの段取りの悪さは、むしろ信頼に足るほど。

    僕は、作品と現実を対応させて読むという旧来の読書スタイルやリアリティに、読み手として、もうすでに無理を感じているところが大きい。

    スカした言い方をすれば、それはつまり、「ポストモダン以降の文学の前提」であり、この作品では、「宇宙人の記者会見」がその役割を担っていたと思う。

    そしてとにかく主人公の思考が些末。ここに共感を覚えずにはおれない。

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    2012年03月05日
  • 誰かが手を、握っているような気がしてならない

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    「私」と「わたし」と「僕」。
    一人称がごたごた出てきます。
    …面白い!!!!!
    そして、「神」は一体誰なのか。
    …面白い!!!!!

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    2009年10月21日
  • 恋愛の解体と北区の滅亡

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    「僕はオシャレな不細工が男の中で一番哀れだと思っている」という一文を書籍で読めるとは思わなかった。思考も文体も全てがずばりハマった。

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    2009年10月07日
  • ヒミツのヒミツの猫集会

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    猫集会をテーマにした文とコラボの写真集。
    ・猫のカラー写真 沖昌之
    ・エッセイと物語     「毛玉」前田司郎  
       「化身」池澤春菜  「猫をやめたい」いしいしんじ
    ・解説「猫集会の科学」今泉忠明
    猫たちは何処へ行くの?何故集まっているの?
    なんだか不思議な猫集会をテーマにした写真とエッセイ、物語。
    そろそろかな・・・行こう!・・・一緒に・・・挨拶して・・・集まる。
    三々五々集まって・・・猫集会・・・時が経ち・・・解散・・・またね!
    そんな感じの猫たちの写真が並ぶ合間に、猫集会をテーマにした
    エッセイ、物語が顔を出します。最後に猫集会の研究の話。
    集会?な場面の猫たちの様子は、等間隔だっ

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    2021年01月09日
  • 愛が挟み撃ち

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    学生時代の話が、長いし青いし、ちょっとおっさんには辛いな痛いなあ、なんて感じながら、タイトルの意味がなんだろうと思い、3分の2までは頑張って読んだ感じ。残りで一気にパーンと謎解きしてくれて、個人的には不快感があるけれど、これが今時の文学だよね、と思った。

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    2020年03月10日
  • 愛が挟み撃ち

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    ネタバレ

    不妊の原因は夫の俊介にあることがわかったけれど、俊介は子どもを諦められないでいた。

    俊介が考えたのは、学生時代の友人だった水口と妻の京子で、子どもを作るということだった。

    よみがえる学生時代の水口との思い出。
    行きつけだった喫茶店でバイトしていた京子との出逢い。

    演劇の才能はあるのにくすぶっている水口。
    そんな水口に惹かれている京子と、京子のことが好きな俊介。

    俊介の京子への自分の思いを、水口は知っていながらも邪魔をするような態度を取っていた理由。
    愛しているんだ、と言った水口。

    愛の形って、なんだろう。
    とんでもない三角関係で、人間くさくて、喜劇みたいで、面白かった。

    水口と京子

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    2019年05月23日