前田司郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
突然、
空から宇宙人がやってきて、
しかも、
それは圧倒的な恐怖ではなくて
動きもトロいし
なんだかはっきりしない宇宙人たち。
だからこそ曖昧で怖いのかもしれないけど。
宇宙人の支配下に置かれた日本。
そして東京。
事件が起こるのは北区。
宇宙人を殺した地球人。
宇宙人からの報復攻撃はあるのか。
そんな緊迫していそうな、
なんだか如何にもならなそうな状況で、
主人公は
恋愛を解体してみようとする。
愛とか恋とかって何?
憎悪とか衝動とかって何?
うへー、なんか面倒くせぇ。
連鎖ゲームのように
あちらへ、こちらへ、思考は動いていきます。
何がどうとか詳細に描かれている訳ではないけど、
彼の思考がつるーっと
私の頭に入り込んできます。
正直グダグダグダグダ考えていて
生産性があるかって言うと、
一歩手前のような。苦笑
だけど、面白い。
あー、ふざけてんなあって思って読んでいると
急にぐっと目の前に飛び込んでくる言葉もあったり。
なるほど、そんな言葉や発想あったのねえってなります。
真剣に真剣になればなるほど、
突き詰めるほど
思考はシンプルに滑稽。
なので笑えます。
「人は愛を求めて海に出て
セックスという霧に巻かれて
そこで幻を見る。
愛の幻を。」
「それは単に、口元が少しつりあがり、
目じりが少し下がったかな、くらいの変化でしかない。
幸せは、そんな程度のことなのかもしれない。」
ちなみに一緒に収録されている
『ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ』
これは、あんまり書くことないけど
完璧に近づこうとすると邪魔をするものがあり、
限界があり、
キラキラした恋人っていう
二人の世界の
壮大なコントです。 -
Posted by ブクログ
「群像」掲載時と単行本で読みました。思い出しながらレビューなので正確ではない。
中篇「恋愛の解体と北区の滅亡」と短編「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」収録
「恋愛~」
宇宙人が東京に降り立った世の中、宇宙人殺害事件により外交問題に発展。宇宙人が声明発表を控えた日、だった気がする。そんな日に男は恋愛について考え、その解体のためSM嬢とのプレイを試みる。そんな話。
男のモノローグが自堕落に展開されていく。作風に好き嫌いはかなり分かれるかもしれない。個人的には町田康や舞城王太郎と同じカテゴリにおいてるのだが、両者に比べ視野は狭くスピード感はゆるい。文章自体も両者のような言語に挑戦する気概は感じられない。そういう意味では馴染み易いが、彼らを嫌いな小説読みはこういうゆるく自堕落な自分語りも嫌いそう。故に彼ら以上に読み手を選びそうなのである。
初読の感想は「なんか嫌いじゃない」くらいのものであったが、翌月の群像での合評(奥泉光・小谷真理あともう1人は失念)が興味深く、その視点を踏まえれば「世界と自己」について考える上でのサンプルとして面白い。
(合評の乱暴な要約:小谷がSF側のアプローチとして宇宙人についての描写が不足している点を指摘しており、それは確かにSF小説としては大きな瑕である。宇宙人のディテールも彼らの乗っているUFOも書割的だし、彼らが訪れたことによる社会の反応への考察も希薄だ。しかし、奥泉がこの書割的であること、SF的造形への無関心について文学的観点から説明してみせる。宇宙人の報復攻撃という世界的な危機→大状況に対して、一個人の恋愛に対しての考察という小状況という対比故である)
この危機的状況は客観的な作中世界において紛れもない事件であるが、主人公の主観的世界においては殆ど興味の埒外である。
宇宙人という異物は、SFであれば打倒ないし共存という手段に違いはあれど物語上の「敵」であるが、この作品では宇宙人そのものにも異物の襲来という状況にも主人公は接触を図らない。
セカイ系なんかでは社会を飛ばして主人公の意思が直接世界(大状況)の救済と接続されるが、この作品は世界とも接続しないのだ。常に目の前の小状況の集積によってのみ形作られている。
「無関心」の対象として大状況の存在が提示されている意味について考えると、メディア批判のメタファーとして捉えられるだろうし、文学に対して門外漢の僕には、時たま傲慢に映る文学という価値概念(個人的思想と世界との直接的な接続とか、そういった「力」の妄信)の否定のための小説として読めるような気がする。
「ウンコ~」
ウンコを臭いのないファナモという固体に変換する技術がある社会で、以前デートでウンコ危機に追い込まれた彼氏がファナモに変えたよ、という話。 -
Posted by ブクログ
これまた三島由紀夫賞最終候補作だそう。
舞城とか金原ひとみとかそっち系でエロいけどグロくない文章の巧さ面白さに拍手!
宇宙人が出てくるんだけどやばいー。
電車のなかで声だして笑いそうになった。
大体うしろについてる短編のタイトルが
「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」
って私友達なくなりそー。
以下のくだりがすき。
僕はオシャレな不細工が男の中で一番哀れだと持っている。
種が埋まってない畑にばかりこつこつと水をやり、肥料を撒き、来る日も来る日もその畑のことを考えている。でも、芽は出ないんだよ。そこには種がないんだよ。あっちへお行き。そして崖の所で雷に打たれ、壮絶な最期を遂げて、神様が同情して星におなりなさい。 -
Posted by ブクログ
新婚夫婦が盗まれた炊飯器を探すついでに、五反田とうきゅうの屋上から地獄へ新婚旅行に行く話。
映画を観たのち、原作があると知り購入。
映画で「ああ、ここいいな」と思ったところが原作にはない、ということが結構あったけれど、「えー映画の方がよかったー」ではなく、「わー違うバージョンだーなんか得したー」と思わせるだけの魅力がある。
でもまあ、文体も内容もそれぞれ激しく好き嫌いがわかれるタイプであるなあ、と思うので、人には熱心に薦めがたい。
でも薦めたい。
川上弘美「椰子・椰子」「神様」、紺野キリフキ「キリハラキリコ」、バリー・ユアグロー「一人の男が飛行機から飛び降りる」、あと岸本佐知子のエッセイが好きな人なんかは好きなんじゃないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
映画版を見て、原作小説に興味がわいたので。
何だか余分な脱線的な描写は多いし、
舞台はなぜか地獄だし、
かといっておどろおどろしくなくゆる~いし、
何とも捉えどころがないのだけれど、
それでいて、日常でいつの間にか変容している感覚とか、
「どうでもよさげなこと」の大事さとか、
旅に出ることの楽しさと効能とか、
いろんなことが浮かび上がってくる物語。不思議です。
文章で読んでしまうと、
やはり映画版はゆるさとコメディ的なところばかりが
引き立ってしまっていたなぁと実感。
やはり、文章の些細なところに紛れ込んでいる機微を
映像で再現するのは難しいですねー。