大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇

大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇

小説・文芸
605円 (税込)

3pt

映画化の話題作! 長い同棲を経て結婚した大木信義と咲は、占い師にのせられ久しぶりの旅に出る。小さな池を抜け、向かった先は一泊二日の地獄旅行。猫畑、巨大旅館、ビーフシチュー温泉、そして赤と青の地獄人。不思議な出来事ばかりの奇妙な旅路は、馴れ合いになった二人の意識を少しずつ変える―。異世界だから気づく大切なこと。笑えてなぜかせつない物語。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    幻冬舎
  • タイトル
    :
    大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇
  • タイトルID
    :
    116914
  • ページ数
    :
    295ページ
  • 電子版発売日
    :
    2011年04月28日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    前田司郎らしさが出ていてとても面白かった。主人公感のあたり含め、しつこいほどどうでもいいエピソードを交えてくるところに、北区の滅亡とか愛でもない、とか過去作と同じような既存のフィクションに対するアンチテーゼを感じる。
    新婚だがもう倦怠期の夫婦が地獄旅行を経て、互いのコミュニケーションを見直すことで仲良くなる話。カンボジア旅行を思い出した。
    敢えて超非日常的な設定を用意することで、日常的な事ごとへの気づきをよりくっきりさせることに成功している

    0
    2020年12月29日

    Posted by ブクログ

    『咲には信念みたいなものがあった。ご飯さえ炊ければどうにかやれる。いつでもそう思って生きてきたのだ。』

    『信義が出張などで居ない夜は自分の炊飯ジャーでお米を炊いたりした。それは咲にまるで浮気のような罪悪感と、罪悪感からくるスリリングな快さをもたらした。』

    『それでオシンコとシャケと味噌汁とご飯とか、朝ご飯みたいなものが食卓に上り、信義が渋い顔をし、咲だってこんな朝ご飯みたいなものを夜に食べると蛇が来るよ、とおばあちゃんに言われたことはないけど、どうも、なんか文化的な何かに反抗しているみたいで気持が悪いのだった。』

    『何か、そういうビジネスが出来ないだろうか? 時間とエネルギーが余っていて筋肉をつけたい人を安価に雇って筋肉がつくような単純な仕事に従事させる。つまりそれは給与をお金で払うのではなく、筋肉で払うということなのか。』

    『信義は今日もスーツを着ていった。夏用に薄い生地のスーツを新調したのだけど、全く意味が分からない。そんなことならスーツの模様の刺青をしろ、と思っていた。』

    『近づいて見ると仕切りに直接店の広告が書かれており「占いの館 手相、星座、顔相、占い出来ます」とあった。占いの館なんだから「占い出来ます」は特筆するべきことじゃないんじゃないかと思う。』

    『咲はとりあえず両手を広げてゆっくりクルクル回ってみた。しかしこの行動は咲本来の欲望の希求ではなく、26年の社会生活から学んだ「気持ちの良い広い場所に出たとき取る行動の中で割と好感度の高い行動」のひとつを実践したに過ぎなかった。』

    『しかし、今日のご飯は咲にとってどうでも良い一食に過ぎない、今日のご飯を捨石にすることになんらためらいはなかった。これが旅行の途中とか、友達との会食なんかであれば負けは許されないものであったが、今日のご飯はいつもの何でもないご飯のうちの一回だ。やがて完全に忘れ去られる類のものだろう。だったら、負けても思い出に残る試合がしたい。』

    『草津とかは?』
    『意外と遠いよ。箱根は?』
    『ああ、いいね、どこでもいいや温泉あってのんびり出来れば』
    『でも、超混んでんじゃない?』
    『うーん、DVDで温泉のやつでも見るか?』

    『「あなた悩んでるわね」と言った。「悩んでます」とだけ言ってみて、出方を窺うことにした。「何に?」占い師はもう訊いちゃった。訊いちゃ駄目だろ。そこを当てて私の信頼を得ないと。咲はそう思うのだが、少し、意地悪をしてみるかという気になった。「当ててみてください」
    「うん。うん、」老婆は二度うんと言うのだが、咲にその意図は測れない。老婆はそのまま咲の顔を見る「色々悩んでるわね」と言うのだった。
    当たってる。』

    『地獄甘エビ?』
    『地獄の名産です』
    『へー良いですね』
    『ええ、甘くて身がプリッとしてて美味しいんですよ、エビじゃないんですけど』
    『え?』
    『生物学的にはエビじゃないんですけど』

    『言葉がどうしても剥き出しになってしまう。単純な言葉を選んで使うとそういうことになるのだった。気遣いや、微妙なニュアンスなんかは、音の大きさや調子、表情といったものに託さないといけない。ヨシコと話していると自分が表情豊かになっているのに気付く。表情を会話の道具として使うのなんていつ振りだろう。咲は信義としかほとんど話さないけど、お互い大抵言葉でどうにかしようとする。案外そういうところに原因があるんじゃないか? などと考えて、原因て何の? と思い返す。私たちって上手くいってなかったんだっけ。私、ちょっとそう思ってたのかもな。』

    『結婚するときも、付き合ってるという状況に慣れすぎてそれをぶち壊すような気持があった気がするし、だけど、今度は結婚生活に慣れてしまったら私たちは、離婚するしかないのかなんて考えたこともあったけど、子供を産むとかもまあぶち壊しの一種だな、面倒だから嫌だけど。そうなるとやっぱり比較的簡単に起こせるぶち壊しはやっぱり旅行なのかもしれない。凄いところに来てしまった。日常に比べたらどこでも凄いところだよね。』

    『そしてお湯はビーフシチューのような色をしている。だんだん冷静さを取り戻してきてよくよく見ればもうビーフシチューにしか見えない。なにせ具のようなものも浮いている。「これはビーフシチューじゃないか」信義はそんな人生で初めて言うようなセリフを発していた。』

    『これから二人で過ごす時間を考えるとうんざりするほど長い。結婚ていうものはそういうものだと割り切った。だけど、何も今からうんざりする必要はないんだよな。本当にうんざりするまでは、うんざりしないよう努力してみるべきなのかもしれない。確かに少しサボっているのかもしれない。たまにはこうして体力と気力と時間とお金を使ってみるのも良いのかもしれない。うんざりしないのには努力が必要なんだ。その努力はそう悪いものではない。そう思う。』

    『二人は荷物を持ち替えて片手を空けると、手を繋いで歩いた。ずっと繋いでいるわけにはいかないから、きっとなんかの拍子に離さなくてはいけないのだけど。まあとりあえず手を繋いでいたい気持だったので、二人は手を繋いで真っ暗な階段を一歩一歩下りていった。』

    0
    2013年02月10日

    Posted by ブクログ

    平凡な夫婦、大木信義と咲。ふとした事から地獄に旅行に行く事に。そこで出会う、赤い人、青い人、地獄温泉などなど読んでいて思わず笑ってしまう様な事から涙ものまで幅広く書かれていて飽きずに一気に読めます。地獄に落ちた人がなぜ赤と青二別れるのか知りたいところですが…。最後は奈落の底に落ちて現世に帰ると言う愉快さ。

    0
    2018年02月27日

    Posted by ブクログ

    久々の前田さん。

    やっぱりこの感じ好きだなあ。

    日常に侵食してくるグレーな感触。
    それが何かは掴めなくて
    無意識に覆われているような。

    ぼやーんとしている大木夫妻が
    さびれたデパートの屋上から
    地獄へ温泉旅行へ。

    設定は無茶苦茶なのに、
    地獄ってどんなとこ??と読まずにはいられません。苦笑

    うしろを振り返っちゃだめ、
    沼に頭から入っていく、
    あか鬼にあお鬼、
    ビーフシチューのような温泉、
    埋まっている猫、

    とにかく出てくるものみんなシュールだし
    大木夫妻も
    何が面白くて笑ってるんだか
    でも笑わないとおかしくなりそうな感覚でいます。苦笑

    ただ、
    そんな非日常空間に
    めちゃめちゃ平凡なふたりが
    時折ふっと人間味のある感情を思い返したりします。

    そーゆーとこは映画で繊細に描かれてるんでしょうか。

    奈落の裂け目を自由に行き来できる、蝶々。
    ふんわり、ひらひらと飛んでいる先は奈落。
    現実世界は奈落の底なのかもしれません。

    でもきっと手をつないで。
    美味しいご飯を食べて。

    明日からもきっと平凡な日常なんだけど
    それでも本当に少しだけ変わるかもしれない。

    そんな一冊でした。


    通勤途中で読んでましたが、
    もっとゆっくり読みたかったなあ。

    0
    2013年05月26日

    Posted by ブクログ

    非日常な旅行の話だけど、日常が書いてあるんだなぁ。
    あるある!とか、これは私たちだと逆だなぁとか、これはないな〜とか、覗き見して楽しいみたいな。

    でもこの本は、あまりに第一印象が良すぎたので正当に飲み込めてないかも。
    映画とてもよかったな。
    てか映画化、成功なんじゃないか?地獄の世界のビジュアル化とか。竹野内豊かっこよすぎだし!!

    あと、「主人公感」56ページあたり、この描写は凄かった。

    0
    2013年04月03日

    Posted by ブクログ

    新婚夫婦が盗まれた炊飯器を探すついでに、五反田とうきゅうの屋上から地獄へ新婚旅行に行く話。

    映画を観たのち、原作があると知り購入。
    映画で「ああ、ここいいな」と思ったところが原作にはない、ということが結構あったけれど、「えー映画の方がよかったー」ではなく、「わー違うバージョンだーなんか得したー」と思わせるだけの魅力がある。
    でもまあ、文体も内容もそれぞれ激しく好き嫌いがわかれるタイプであるなあ、と思うので、人には熱心に薦めがたい。
    でも薦めたい。
    川上弘美「椰子・椰子」「神様」、紺野キリフキ「キリハラキリコ」、バリー・ユアグロー「一人の男が飛行機から飛び降りる」、あと岸本佐知子のエッセイが好きな人なんかは好きなんじゃないでしょうか。

    0
    2011年06月26日

    Posted by ブクログ

    映画版を見て、原作小説に興味がわいたので。

    何だか余分な脱線的な描写は多いし、
    舞台はなぜか地獄だし、
    かといっておどろおどろしくなくゆる~いし、
    何とも捉えどころがないのだけれど、
    それでいて、日常でいつの間にか変容している感覚とか、
    「どうでもよさげなこと」の大事さとか、
    旅に出ることの楽しさと効能とか、
    いろんなことが浮かび上がってくる物語。不思議です。

    文章で読んでしまうと、
    やはり映画版はゆるさとコメディ的なところばかりが
    引き立ってしまっていたなぁと実感。
    やはり、文章の些細なところに紛れ込んでいる機微を
    映像で再現するのは難しいですねー。

    0
    2011年05月28日

    Posted by ブクログ

    読み始めての方は、登場人物の思考の移り変わり(の表現)に慣れず読み進めるのにちょっと苦労したけど、でも人の思考なんてこんな風にまとまってないよな、と思ってからなじんですらすら進められた。

    地獄だけど「何が起こるか全くわからない!」ではなくて、普段自分たちの日常にある部分(温泉とか特に)がちょっと変で、そういうところを頭で想像しながら読むのが楽しかった。

    最後は思いがけずほっこりした。

    0
    2012年04月19日

    Posted by ブクログ

    著者が劇作家という予備知識があるからそう思ってしまうのかも知れないが、読んでいると暗転があるような感じで、リズムがついて読みよい。
    地獄についてからは短い1章の中でオチがついていたりしてこれが笑わす。前田司郎なので、普通の小説ではないとは思っていたが、本当に地獄に旅行させちゃうとは。それだけで笑かす。
    「恋愛の解体と北区の滅亡」の文庫化求む。

    0
    2011年03月28日

    Posted by ブクログ

    夫婦って長く一緒にいたりすると愛情がただの情になるとか空気みたいに存在になるとかってよく言うけど、それは確かにそうなんだけど以前は同じだと思ってた価値観がなんとなくずれてきてるって違和感を感じることも多々あったりして、一心同体のようでもやっぱり別々の人間なんだよな。夫婦って。
    ってことを改めて思ったりして。

    咲の思考が私とすごく似てて、変なとこにすごくこだわるとこ(例えば炊飯ジャー)とかちょっと冷めた目で物事を見る感じ(例えば野球のユニホーム)とかが面白かったな。

    不真面目なようで割と真面目なそんなお話でした。

    0
    2022年02月17日

大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    幻冬舎
  • タイトル
    :
    大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇
  • タイトルID
    :
    116914
  • ページ数
    :
    295ページ
  • 電子版発売日
    :
    2011年04月28日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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