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愛とは何か? 愛は存在するのだろうか。愛が信じられない男をめぐる三角関係
36歳の京子と、もうすぐ40歳の俊介。
結婚して6年目の夫婦の悩みは、子どもができないことだ。
愛なんてこの世にないかもしれない。
でも、京子に子どもが生まれたならば。
検査の結果、不妊の原因は俊介にあり、しかも治療の余地さえないという。
二人の間に子供が出来ることは永遠にない。
諦めきれない俊介が提案したのは、驚くべき解決策だった。
男二人と女一人。
過去が思いがけない形で未来へと接続される、危うい心理劇。
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Posted by ブクログ
『かっこよく見えた。自分も何か、葛藤を抱えたかった。俊介の人生には挫折と呼べる出来事も、人生を呪うような悲劇もなかった。』
『では俺はどうすれば愛と呼べるのだろうか? 愛するには相手を知らないといけない。どうやって知るんだ? 沢山話して? でも、会話によって相手の内面を把握しうると思うのもまた、容姿だけで人を愛するのと同じほど軽薄ではないか。』
「見た目がちょっと良いからってあんな芝居、気持ち悪いよ」
「気持ち悪いかどうかはあなたの主観じゃないですか?」
「俺の主観はあなたにとっての客観だから」
『水口は時々笑顔を交えながら、それは、自分が真剣になり過ぎていることへの言い訳のように見えて、余計に真剣さが伝わるような言い方だった。』
『水口は断らない。
この時間は、自分に言い訳するために必要な時間だ。悩んだ末、押し切られたという体裁が欲しいだけだ。』
『水口は今でも俊介を愛している。囚われ、視界を狭められ、ただそれを信じ続けることで、それの存在を証明しようとする試みを愛というのなら。』
『水口は嬉しそうだった。「懐かしいな」と三回くらい言った。俊介も「懐かしいな」と二回くらい言い、京子は一回だけ「懐かしいね」と言った。』
Posted by ブクログ
愛なんてこの世にないのかもしれない、なんてちっとも感じなかった。
歪んでいて、醜くて、今にも消えそうで、でもここにあるのは確かに愛なんだと思った。
子供ができない夫婦。子供はできない。でも欲しい。あきらめる?どうしたらいい?そこに夫の提案を受けて、場面は溶けるように20年前の回想につながっていく。
京子と、俊介と、水口と。演劇を通じて出会ったこの3人の関係性がたまらなかった。
胸がぎゅうっとなる苦しさを久しぶりに味わった気がします。訪れるべくして訪れた破綻。破綻からの真実。どこかホッとしたけれど、よけいに苦しくなった。
みんな二十年分の歳をとり、そうしてもたらされたものに、どうにかなるはずも無いことに、「こんなの、馬鹿じゃないの」とそりゃ叫んでしまうだろう。叫ばずにはいられない。
でもそれこそが愛で。
だから、ふざけてるのかと思うぐらい滑稽で喜劇的なラストの展開にも、むしょうに悲しくなってしまった。
夫婦が、洗濯物を干しながら口論するシーンは見事だなぁと思いました。深刻なことを話し合いながらも、実際どこまでも日常の生活が営まれている。「何そのパンツ?」「特に意味は無い。良いでしょ?」「良いけど」みたいな唐突で不要なやりとりも然り。それらすべて安らぎだと思った。結婚してるってこういうことだ。
ストーリー、文体、世界観、まるっと好きな小説でした。
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